Uncanny X-Men Vol. 3

(シリーズタイトル、マーベル)

出版:2013年〜2015年

"遺伝子の突然変異で生まれ普通の人間以上の能力を持つミュータントは進化の次の段階である。 そのため彼らは人類から恐れられ嫌われているが、それでもX-MENとして知られるミュータントのグループはミュータントと人類の平和的共存のために戦っている。 だが、すべてのミュータントが平和共存を現実のものと考えているわけではない。"


概要

2013年の大型リランチ"Marvel Now!"のラインナップとして開始された新たな"Uncanny X-Men"のシリーズ。
大型クロスオーバー"Avengers vs. X-MEN"の終焉を受けてミュータント情勢が大きく変化した中、サイクロップス一派の動向を追う。
ブライアン・マイケル・ベンディスが綴る渾身のX-MENサーガの一編。

シリーズ開始時の情勢

フェニックス・フォースの来襲をめぐって起きたアベンジャーズX-MENの全面戦争はスカーレットウィッチホープの活躍により終焉。
世界中に拡散して消滅したフェニックス・フォースの力で新たにミュータントとして覚醒する人々が現れ、ミュータントはM-Dayによる絶滅の危機を脱しつつあった。
サイクロップスはフェニックスの力に取り込まれたために行った世界レベルの破壊、及びプロフェッサーX殺害の罪により逮捕されたが脱獄。他数名のミュータントと共に指名手配され、ミュータントテロリストに認定されている。それでも逆に平和や繁栄のためにとった行動と支持する一般人も多い。
そんな中、新たなミュータントの教育機関として「新エグゼビア学園」(New Xavier's School for Gifted)を立ち上げ、新しく現れたミュータントの勧誘・教育に力を注ぐ。
一方のアベンジャーズS.H.I.E.L.D.はサイクロップスを再び逮捕するべく行方を追っている……
サイクロップスの掲げる”ミュータント・レボリューション”とは何を意味するのか? 彼らの行手に先回りするかのように現れるセンチネル軍団は誰が操っているのか?

登場人物

エグゼビア学園

古参X-MEN

サイクロップス:元X-MENのフィールドリーダー。今はテロリストとして指名手配されているが、新たな「学園」を開く。オプティックブラストの能力は制御できなくなってしまった。
エマ・フロスト:サイクロップスの元恋人。Avengers vs. X-MENの終盤でサイクロップスに殺されかけたため、二人の関係にもヒビが入っている。テレパシー能力はコントロールを失い、人の心を読めないばかりか、自分の思考を他人に垂れ流してしまうことも。
マグニートー:やはり能力は弱体化している。以前のものと形状は似ているが白いコスチュームになった。
マジック:メンバーの中では唯一以前同様に能力を使えるように見えるが……

新たなミュータント:フェニックス・フォースの影響で覚醒した若いミュータントたち

テンパス(Tempus)/エヴァ・ベル:タイム・バブルというドーム状の力場を作り出し、その中の時間を操作する。
トリアージ(Triage):癒しの能力を持つ。
ゴールドボールズ(Goldballs) / ファビオ・メンディーナ:無数の金色の球体を投射する能力。
ベンジャミン・ディーズ:他人そっくりに姿を変える変身能力。

追加メンバー

ステップフォード・カッコーズ:第4話でジーン・グレイ学園からスカウト。
エンジェル:過去から連れてこられたオリジナル・X-MENの1人。ジーン・グレイ学園からスカウト。
ハイジャック:あらゆる機械を操る能力。生徒だが年齢は30歳。フェニックス・フィースにより覚醒した1人。

S.H.I.E.L.D.

サイクロップスをミュータントテロリストと認定し行方を追う。
マリア・ヒル:現S.H.I.L.E.D.長官。
ダズラー:対サイクロップス専任エージェントとしてリクルートされる。

内容

#1
マグニートーがS.H.I.E.L.D.長官マリア・ヒルに語る真実。世界には新たなミュータントたちが覚醒している。そして彼は語る。サイクロップスの能力が壊れている間に、殺人モンスターと化してしまった彼を公衆の面前で破滅させるべきだと。
ゴールドボールズが初登場、サイクロップス一派に加わる。

#2
自分の能力は失われたのではなく、他人に思考を垂れ流していると気づいたエマ・フロスト。母の身を案ずるテンパスのため、オーストラリアの自宅に赴くが、そこではアベンジャーズが待ち受けていた。

#3
故郷に残した母を心配するテンパスのためオーストラリアの実家へ。するとすぐさまアベンジャーズが現れ彼らを逮捕しようとする。
サイクロップスが彼らに反論し、一触即発になったときテンパスが能力でアベンジャーズ全員を封じ込める。隠れ家に戻った彼らをマグニートーが待ち受け、アベンジャーズに連絡したのは自分だと告げる。マグニートーはS.H.I.E.L.D.に自分を信用させるためにやったというのだ。

#4
ウルヴァリンジーン・グレイ学園に向かったサイクロップスたち。説得の末、ステップフォード・カッコーズの3人とエンジェル(過去から連れてこられた若い頃のエンジェル)が仲間になった。

5〜7
第6話ではハイジャックが初登場、またダズラーがS.H.I.E.L.D.の対サイクロプス専任エージェントとして雇われる。マジックの能力が暴走し新エグゼビア学園のメンバーを伴ってリンボー界へ。ドーマムゥに遭遇し、魔族やマインドレス・ワンたちとの戦闘になる。ドーマムゥとの戦いで危機に瀕した仲間を救うため、マジックはリンボー界を消滅させる。しかし自らの魔術の力を理解し学ぶことの必要性を感じたマジックは、過去のドクター・ストレンジを訪れて弟子入りを願うのだった。
※非常にわかりにくい構成だがこれはおよそ30年も前のストーリー"Uncanny X-MEN" Vol.1 #191(1984年)とリンクしている。この時はドクター・ストレンジがマジックの弟子入りを断りエグゼビアに委ねるのだが、その理由が既にドクター・ストレンジは未来のマジックに全てを教えた後だった、というわけである。
※Frazer Irvingの幻想的で怪しいアートで描かれる。

8〜9
一連の出来事によりX-MENについていけないと思ったゴールドボールズが離脱を希望、故郷に戻るがすぐにS.H.I.E.L.D.のエージェントとして雇われたダズラーに連れ去られる。その間、サイクロップスはハイジャックを学園にスカウト。ゴールドボールズが逮捕されたと知ると救出に向かう。
ゴールドボールズが救出されたあと、ミスティークが現れダズラーを薬で眠らせると変身能力で彼女と入れ替わってしまった。

10〜11
ミシガンのアナーバーでサイクロップス一派を支持するデモが発生。学園のメンバーを引き連れ、サイクロップスは現地で演説をしようと試みるが到着してすぐにブロックバスター・センチネル(生命でも機械でもないため効果的なミュータント能力が少ない)に襲撃される。
一方マドリプールではザ・ハンドハイドラが抗争。S.H.I.E.L.D.のエージェントとして派遣されたダズラー(実はミスティーク)は嬉々として見守る。

12〜13 "Battle of the Atom"クロスオーバー。キティ・プライドと過去からきた方のジーン・グレイ、サイクロップスが学園に加入。

#14
ベンジャミン・ディードの主人公回。訓練についていけない彼の能力を開花させるため、エマ・フロストが街へ連れ出し特訓する。彼の能力が変身能力だけでなく、「他者をいい気分にさせる」「機械に影響を与える」なども含まれることが明らかに。多くの一般人たちに関わって能力を使わせることで飛躍的に進歩する。

#15
学園の女子たちだけで街へショッピングに出かけ、テリジェン・ボム事件に遭遇。インヒューマンと化した男が大爆発を起こす。男はA.I.M.に連れ去られてしまう。

#16
ミスティークの暗躍によりミュータント国家と化しつつあるマドリプールにマグニートーが招かれるが、彼はその構想を受け入れず本部を破壊して去ってしまう。ストーリーはマグニートーの個人タイトル"Magneto vol.2"へと続いていく。

#17
フィールドミッションでの訓練中にハイジャックがケータイを使ってしまい、探知したS.H.I.E.L.Dを呼び寄せてしまう。この出来事のためサイクロップスはハイジャックを学園から追放。またエヴァが一時失踪するが帰ってくる。その理由は後述のAnnualで語られる。

#18
2週間前のこと、エグゼビア殺害の件でサイクロップスを断罪をしようとしたキティ・プライドに対し、サイクロップスは悲壮な自責の念を告白。そして現在、キティ・プライドと過去から連れてこられていたオリジナル・X-MENたちがシーアーに連れ去られてしまう。
暴走したサイクロップスのオプティック・ブラストをモチーフにした壮絶なアートで描かれる一編。

19〜22 ”Uncanny X-Men vs. S.H.I.E.L.D."
SHIELDは追放されたハイジャックに接触し、サイクロップスの居場所を突き止めようとする。一方、セレブロにより強力なミュータントの出現を察知したサイクロップスだったが、仲間を引き連れて向かった先で待っていたのはセンチネルの大軍だった。罠に気づいたサイクロップスはセンチネルを操っているのがS.H.I.E.L.DならS.H.I.E.L.Dと戦争するし、誰かがS.H.I.E.L.DにそうさせているのならやはりS.H.I.E.L.Dと戦争になるのだと宣言する。
マドリプールではミスティークによりダズラーが監禁され、ミュータント・グロース・ホルモンの原料にされていた。マグニートが現れ、彼女を救出。
サイクロップスはセンチネルの罠にセレブロが使われたことからビーストを疑い、マジックと二人でジーン・グレイ学園へ。しかし突如2人が何者かに操られ学園を攻撃してしまう。さらにはサイクロップスを捉えるため現れたS.H.I.E.L.D.のヘリキャリアも操られ、学園を攻撃。新型のセンチネル軍団も展開され総攻撃の体勢になると最後には核兵器までもを起動する。絶体絶命の危機にミュータントたちを救ったのは追放されたハイジャックだった。ハイジャックは躊躇することなく学園に現れると能力で全ての攻撃を停止。
シリーズ序盤からセンチネル軍団を操っていたのはダークビーストだったことが判明、彼は死亡する。
ハイジャックはサイクロップスと和解し、学園に戻ることとなった。

23〜25 "Original Sin”タイ・イン。
「ヒーローたちが過去に犯した罪が暴かれる」というこのクロスオーバーで、本シリーズでは"The Last Will and Testament of Charles Xavier"(チャールズ・エグゼビアの遺言)と題しプロフェッサーXことチャールズ・エグゼビアの遺言がテーマとなる。
弁護士シーハルクによってジーン・グレイ学園に遺言がもたらされ、隠れ家に潜んでいたサイクロップスも呼び寄せられる。
そこに書かれていたのは「エグゼビアがミスティークと結婚していたこと」「かつてマシュー・マロイという強力なミュータント少年の能力を封印し記憶も奪っていたこと」の2つだった。ミュータントがミュータントとして人類と共存することを目的にしていたはずのエグゼビアがマシューの能力を封印していたことを知り「学園は嘘の上に成り立っていた」と怒るサイクロップス。さらに遺言には続きがあり、その内容はマシューの現状をX-MENが調べてから明かされるというのだった。

26〜32 マシューの能力が暴走していく中、S.H.I.E.L.D.が対処しようとするが死者が増える一方だった。サイクロップスはマシューを説得しようと尽力するが、S.H.I.E.L.D.のミサイル攻撃によりサイクロップス、マジック、マシューの3人が死亡する。しかしマシューのみは能力により復活。
マシューはジーン・グレイ学園に現れ、エマ・フロストを殺してしまう。
そんな中、エヴァ・ベルは新エグゼビア学園の仲間が止めるのも聞かずタイムトラベルを敢行。過去のエグゼビアに頼り、さらにマシューが生まれる前の時代に移動して彼の両親が出会わないようにしてしまった。
現在ではエグゼビアの遺言が書き代わり、ミスティークとの結婚やマシューに関する忠告は記載されておらず、ただ学園の遺産をサイクロップスに譲ること、もしサイクロップスに何かあった場合には代理としてストームに譲ることが書かれていた。
エヴァはサイクロップスに自分が何をしたのか伝えると「自分は卒業した」と伝え、能力でどこかへ消え去った。
サイクロップスはストームに学園を譲ることを提案し、さらには新エグゼビア学園の生徒たちも引き取るように頼むとジーン・グレイ学園を立ち去るのだった。

#33
サイクロップスがエグゼビア学園を閉鎖。メンバーはジーン・グレイ学園に。
アベンジャーズ・ユニティ・ディビジョン(Uncanny Avengers)での苦難に満ちた出来事を経たハボックがサイクロップスの元を訪れ、「ミュータント・レボリューション」とは何だったのか聞き出す。
今後、ハボックはサイクロップスと行動を共にすることを決める。

#34
マジックとキティ・プライドのストーリー。マジックはキティを伴いモンスター・アイランドへテレポート。
そこには幼いミュータントの少女「ボー」が1人取り残されていた。
2人で本音を打ち明け合いながらボーを救出。ジーン・グレイ学園に迎え入れる。

#35
新エグゼビア学園の生徒たちのストーリー。
サイクロップスが学園の閉鎖を決めたとき、生徒たちはジーン・グレイ学園に合流するように指示されていたが、彼らはX-MENとは無関係な独自のヒーローチームを作ることを選んだ。
その最初のミッションで新たなミュータントが能力を暴走させた事件を解決。ゴールドボールズの活躍を一般市民が撮った動画がバズり、一躍人気ヒーローとなる。
テレビや雑誌などのメディアでも取り上げられるが、両親が生放送で彼がミュータントであることを公表すると雰囲気が一転。次のミッションで一般市民にガラス瓶を投げつけられ、ゴールドボールズが重傷を負う。
まだ独自のヒーローチームで活動する段階ないことを悟った彼らはジーン・グレイ学園に受け入れてもらうのだった。

#600
ナンバリングがvol.1からの通し番号600に。
ジーン・グレイ学園に教師や生徒を問わずミュータントたちが集結。ビーストが5人のX-MENを過去から連れて来たことなど、時空間連続体・物理法則・遺伝学的摂理を乱したことについて彼と話し合うのが目的だった。彼が善悪の判断がつかなくなってきているのではないかと心配しているのだ。
しかしビーストは「これは裁判だ!」とストームらを罵ると学園を立ち去るのだった。
またコロッサスとマジックの兄妹が和解。アイスマンは過去の自分からゲイをカミングアウトされ、自らもそうであることを認める。過去から来たヤング・ジーン・グレイがヤング・ビーストに告白。
そんな中、サイクロップスはワシントンで演説を始める。そこにはヒーローもヴィランも全てのミュータントが集結していた。彼は語る。ミュータント・レボリューションとは何だったのか?彼が成し遂げたかったこととは?
そして1人ジーン・グレイ学園で荷物をまとめているビーストのところへエヴァ・ベルが現れる。
エヴァはタイムトラベルしたときに「ヘンリー・マッコイ(ビースト)は非常に重要な出来事だ」と聞いたといい、今日の裁判がその重要な出来事だと思うかと問うた。
ビーストは「今日はもう充分だ」と告げ、振り向くとそこにエヴァはいなかった。ビーストはジーン・グレイ学園を去っていった。

"Uncanny X-MEN Annual"

17話で失踪したエヴァに起きた出来事。
タイムトラベルを繰り返し、未来の世界で7年の時を過ごす。
"All New X-MEN Annual"に続く。







アメコミ@wiki

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年04月19日 11:12
添付ファイル