パーソナリティ - 夜狩り人-宵闇伝奇譚TRPG-

「名前はあまり気に入っていないんだ、ムーアとでも呼んでくれたまえ」

「ならむっちゃんで」

「むっ……！？」

　――ヒューゴと"むっちゃん"

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◯橘 沙羅（たちばな さら）

「現時点を以て、あなたは特定外来生物と判断されました。
     ――これより防除を開始します」

• 性別：女　年齢：２３

　特機班の実働部隊に所属し、第一小隊の小隊長を務めている女性警官です。
　冷たい顔立ちで小柄ながら、アイドル並の美貌とスタイルで、広報官としても活動しています。
　誰に対しても丁寧に接しますが極めて職務に忠実、特定外来生物に対しては一切容赦しません。
　また公的機関に所属していない退魔師に対しても、忌避感と嫌悪感を隠そうとしません。
　これは幼少期、そうした退魔業の巻き添えとなって両親を失い、自身も重傷を負ったためです。
　その経験は彼女を冷たく鍛え上げ、専用となった真紅の装甲服は、今や特機班の象徴の一つです。
　ただあくまでも憎悪するのは「特定外来生物」。そうでない外来生物には、厳しい態度ながら自制しています。
　法律という規範、法を遵守しているかどうかというのが、彼女が自らに課した最後の一線なのでしょう。
　ちなみにかなりの不器用で、車の運転を始めとする機械関係は大の苦手。
　ただし料理は例外で、非番の日は祖父の遺した喫茶店『サンバ』で珈琲と軽食を提供しています。

◯早房 春子（はやぶさ はるこ）

「お願いっ　あなたの力を貸して！　わたしといっしょに戦って……！」

• 性別：女　年齢：１１

　ごくごく普通の小学生です。得意なものはラクロス。苦手なものは算数。
　大好きなお父さんお母さん、友達みんなに囲まれて過ごす日々は、しかし一変します。
　傷ついた桜の精霊を助けたことをきっかけに、街を脅かす妖魔と戦う魔法少女となったからです。
　……もっとも、それは彼女の認識とは裏腹に、きわめて過酷で苦難に満ちたものではあったのですが。
　それ以来、皆を守るために奮闘していますが、未熟で経験不足なため苦戦は必須。
　自分と同じ力を持った人に助けを求めることもしばしばで、情けなくて落ち込んでしまう事も多いです。
　それでもすぐに立ち上がって、涙を拭いて、みんなを守るためにがんばろうと毎日努力しています。
　春子は良く言えば天真爛漫で純粋無垢、悪く言えば騙されやすく平和ボケしている、年齢相応の少女です。
　逃げ出さず、諦めず、沈んでもくよくよせず、持ち前の前向きさで立ち上がる。それは褒められるべき資質です。
　しかし夜の世界ではその眩しさは危うさと表裏一体。今までは辛うじて生き延びてきただけに過ぎません。
　助けを求めてきた彼女を見捨てれば、文字通りそのままの意味で、その未来と尊厳を奪う結果になるでしょう。

◯"ガンスリンガー"

「舐めるなよ、此処がいつで何処でアンタが何だろうが、俺は保安官助手だ。
     ……銃を捨てろ、手ぇ上げな！」

• 性別：男　年齢：２９

　BAR「マノス」でバウンサーをしている、風変わりな白人男性です。
　西部劇の登場人物さながらの格好をしており、実際に自分はサンタクララ郡の保安官助手だと主張しています。
　曰く『金塊を盗んだ南軍特殊部隊ルーファス・ヘンリー・イングラム大尉との銃撃戦中、稲妻に撃たれたら飛ばされた』とのこと。
　その証言は1864年7月15日に発生した「アルマデン・ヴァレーの銃撃戦」と酷似していますが、記録との矛盾が多く、信憑性に欠けます。
　確かなのは彼は卓越した拳銃使いであり、矜持と信念を持ったタフガイであり、そして美人に弱いという所です。
　何かトラブルに見舞われたなら、相談してみると良いでしょう。あなたが善良な市民か美人なら、きっと力になってくれるはずです。
　ちなみに本名はマイケル・ジェイ・フォックスですが、何故か笑われてしまうため、ガンスリンガーで通しています。

◯田奈 彪吾（だな ひゅうご）

「たぶん僕は笑って死ねる。だって僕は知っているんだ。
     死ぬだろうって時に、僕は体を動かせる人間なんだって」

• 性別：男　年齢：１６

　海外赴任中の両親を事故で亡くしている以外、本当に何の背景もない、運動も勉強も平凡な、ただの高校生です。
　ヒューゴは両親が亡くなった際に何もできなかった事から、「自分は誰かのために何かできるのか」と悩んでいました。
　ですが隕石から現れた怪物と戦う少女たちに遭遇した時、ヒューゴは答えを得ました。
　彼が自分で見つけた唯一の取り柄は、「死ぬかもしれないと思った時でも体を動かせる」事だったのです。
　そして実際に命を落としたヒューゴは、寄生体と融合した事で超人的な身体能力を獲得して蘇生しました。
　何処かの誰かのために何かをしよう。それをきっかけに、ヒューゴは夜の世界に飛び込んでいく事に決めました。
　だから今日も彼は、クロエとペネロープの二人に振り回されながら、何処かの誰かのために戦っています。
　大事な叔父叔母夫妻と世話焼きな従妹に心配をかけないよう、こっそりと。

◯クロエ・スペイセク

「『キャリー』って知ってる？　あたしの力はだいたいそれ。
     説明はもう良いわね。――燃えなさいッ！！」

• 性別：女　年齢：１６

　合衆国中央情報局作戦本部独立国家共同体部超能力班準軍事工作担当官である少女です。
　現在確認されている限りでは最高峰の念動発火（パイロキネシス）能力者として知られています。
　加えて若干ながら精神感応（テレパシー）能力も有しており、PKとESPの両方を扱える稀有な人材です。
　元は黒母教団の被害者で、友人家族が殺害される中、首を折られたショックで超能力に覚醒し、生還しました。
　以後は政府に保護名目で拘束され、黒母教団を始めとする超常現象テロリストの追跡に執念を燃やしています。
　愛らしい少女のように見えて存外に毒舌ですが、なんだかんだ言って世話好きで面倒見の良い性格です。
　そのためもし事件に関わる中で彼女と遭遇したなら、きっと協力を得られるに違いありません。
　ちなみにペネロープ、ヒューゴしか友人がいない事を、どうやら気にしているようです。

◯ペネロープ・ムーアヘッド

「さて、私の出番かな。其の御手を取らしむれば、即ち立氷に取り成し、亦剣刃に取り成しつ……と」

• 性別：女　年齢：１３

　サマセット切手騎士団（サマセット・スタンプ・スコードロン）に所属する魔術師です。
　肉体保持者としては最高峰のセカンド・オーダー、７＝４段階アデプタス・イグセンプタスの位階に到達しています。
　得意とするのは結界、呪詛、付与で、古今東西の魔術に精通した結果として陰陽道に近い様式を操ります。
　そのせいかやや老成した言い回しを好み、偏屈な人格で、言い回しも古風。わかりづらく捻くれています。
　というのも、ペネロープは前世の記憶を有して生まれた少女だからです。
　前世もやはり同位階の魔術師だったのですが、肉体を捨てたサード・オーダーの存在になろうとして失敗。
　現在は「時々おぼろげな記憶を思い出す、魔術的才能のある少女」に過ぎなくなってしまいました。
　当人としても現状に納得はしているのですが、人付き合いが少なく、友人はクロエとヒューゴの二人だけです。
　そのため魔術師として、あるいは年頃の少女として、頼られれば喜んで力を貸してくれるでしょう。
　ちなみに正真正銘の郵趣家であり、切手収集にも励んでいるとか。

◯"灰かぶり姫" 山東 リオン（さんどう りおん）

「じょーだんポイですわよ、この程度でわたくしがどうにかなるとでも思いまして？
     "十三階段"二十倍ですわ――ッ！！」

• 性別：女　年齢：１９

　現在都内で活動しているフリーランスの退魔師です。
　もともとは資産家の娘だった彼女は、しかし生まれたときから病弱で、ほとんど病室で過ごしていました。
　両親からも匙を投げられ、一人孤独にベッドの上で過ごし、そのまま死ぬのを待つだけの日々。
　ですが魔神ニスロクとの契約で「完璧な肉体」を手に入れた事で、彼女の人生は一挙に輝きはじめました。
　今まで食べられなかったものをすべて食べ、今までできなかった事を全部して、全てを楽しみ享受する。
　そのための代価として、命をかけて人外のものどもと戦うことの、いったい何処に不満があるでしょう？
　正当な取引であると彼女は冷静に断じており、その結果として待ち受ける死より過酷な末路も覚悟しています。
　ただ美食による堕落を追求するニスロクとしては、たっぷりとマヨネーズをかけた唐揚げ以外も食べて欲しいようですが。
　なお、その契約内容によるものか、彼女が得た異能"十三階段"は単純明快な身体能力の超強化です。
　魔弾妖刀マシンガンを無造作に弾き、拳の一撃でコンクリートだろうが多重結界だろうが吹き飛ばす……。
　お嬢様然とした佇まいから繰り出される理不尽な純粋暴力は、ある種の初見殺しとして成立しています。
　とはいえ、おおよその障害は暴力で排除できますが、それだけで全てを解決できないのも当然です。
　それを理解している彼女は、同業者を素直に頼ります。自分にできない事は、お金で解決できるのです。
　正当な取引、適切な代価を重んじる彼女が、あなたを裏切る事は決してないでしょう。

◯天宮 夜（あまみや よる）

「それでは皆さん、お仕事の時間です。今日も休まず頑張っていきましょう！」

• 性別：女　年齢：１６

　天宮警備保障の経営者を務めている少女です。
　友人たちと会社を立ち上げた女子高生起業家として、メディアからの注目も集めています。
　中学時代に友人と事件に巻き込まれたのがきっかけと語りますが、その事件は異界の者が引き起こしたものでした。
　辛うじて友人たちと共に生還した彼女は、こうした存在に立ち向かうことを決意したのです。
　しかし決意したからといって、一年二年で十代の少女がこのような企業を立ち上げるのは、目を瞠る行動力といえます。
　そのため実はやんごとなき血筋なのではとか、各方面に強力なコネがあるのではと噂されています。
　本人は笑って「ただの女の子ですよう」と誤魔化すばかりです。実際、異能や戦闘能力では、その通りなのですが。
　とはいえ個性豊かな曲者揃いの部下たちを取りまとめ、今日も彼女は営業に経営にスカウトにと走り回っています。

◯"サイレントガン" 晋陣 隼人（しんじん はやと）

「救済を願って撃てだぁ？　冗談じゃねえ、"とっととくたばれ"だ！」

• 性別：男　年齢：２８

　天宮警備保障に所属している退魔師です。
　傭兵としてアフリカの内戦に参加し、ヴードゥ・シャーマンの操るゾンビの群れに襲われながら生還した過去があります。
　さらに帰国した晋陣はボディガードとして依頼人を護衛中、彼は異界から現れた怪異に襲われてしまいます。
　しかし晋陣は依頼人ともども生き延び、これらの経歴を知った天宮夜から接触を受けてスカウトされました。
　とはいえ、晋陣自身は何ら一切の特殊能力を持たない、霊的な意味で言えば常人と大差ないような男です。
　ですが本来なら発狂する状況でも発狂しない、あるいは既に発狂しているため一切影響を受けないという特異な精神状態をしています。
　またその銃火器を用いた戦闘能力も極めて高く、あらゆる状況でも冷静で的確、容赦なく無慈悲に標的を排除していきます。
　ヴードゥ・シャーマンたちは晋陣を"サイレントガン"と呼び、阻止不能存在として恐れているようです。
　もっとも、普段の彼はただの気の良い男です。――それが戦いの場でも何ら変化しないというだけで。

◯"ブラックドラゴン"サーティンス・リーズ

「うーん、これが何かなんてどーでも良くない？　ぶっ飛ばしちゃえば全部いっしょでしょ！」

• 性別：女　年齢：２０？

　天宮警備保障に所属している退魔師です。
　見た目は明るく天真爛漫で奔放な女性ですが、黒い翼と細長い尾を持ち、強力なブレスを吐く能力を持っています。
　どういうわけか"サイレントガン"を「スペシャルくん」と気に入っていて、公私ともにツーマンセルで行動しようとする事が多いです。
　逆に彼以外のことはどうでも良いというか、社長など極少数の友人を除いては、記憶しているかどうかすら怪しい節があります。
　甘いものとゲームをこよなく愛し、そのまま遊び感覚で敵を蹂躙する様は、まさに"ブラックドラゴン"と言えるでしょう。
　その正体はリーズ家の悪魔、ジャージーデビルではないかと推測されています。
　難産の母親から「こんなに苦しませるのは悪魔に違いない」と言われた子供は、出産直後に怪物となって飛び去ったそうです。
　子供がそのまま大きくなったような彼女の人格は、このあたりに由来しているのかもしれませんね。

◯ジョン・キャラハン

「良いか、若いの。この程度はベトナムじゃあ日常茶飯事だ。
     つべこべ言わず、歯を食いしばれ」

• 性別：男　年齢：８５

　年齢を思わせぬガッチリとした体格、鋭い眼光を持つ北米系の白人男性です。
　夜の世界、影の世界ではヘルシング教授に次ぐ、近代のビッグネームの一人とされる退魔師です。
　魔術のみならず銃火器の扱いにも精通しており、多くの事件をたった一人で解決してきました。
　かつて東南アジアでの従軍経験で"人喰い"の存在を知った彼は、復員後にミスカトニック大学へ復学。
　そこで隠秘学について研鑽を積むと、知識と経験、従軍時代に培ったタフネスを武器に戦いを始めました。
　以来半世紀以上に渡って、彼は数々の人外を滅ぼし、世界の光と闇、昼と夜の多くの面を見てきました。
　感謝も恨みも、友人も仇敵も、出会いも別れも、数え出したらきりがないと彼は言います。
　現在はエジプトでの退魔行を終え、次の戦いに備えて静養中との事。
　偏屈な老人ですが、気に入られれば様々なアドバイスをしてくれるでしょう。

◯ベルナール・ギー

「我らを害する者のために祝福を。決して、呪ってはならぬ。我らは祝福を以て、悪を滅ぼすのだ」

• 性別：女　年齢：２３

　若くして祓魔局の局長を務める女性枢機卿です。
　先代の局長が高齢で倒れた際、教皇から直々に局長として任命されたエクソシストです。
　常に厳しい態度と表情で、部下であるエクソシストたちにも、悪魔にも、そのままの態度で接します。
　罪には罰を与え、悔い改めるものには許しを与えるという考えのもと、人外であっても局に受け入れる度量があります。
　一方、その意思のない者に対しては一切の容赦なく、完膚なきまでに殲滅する方針を取っています。
　そういう意味では別け隔てなく平等で、裏表の無い、公明正大な女傑と言えましょう。
　年齢と性別にそぐわない立場であるとの嫉妬も絶えませんが、それを実績で黙らせ続けています。
　本人としては傲慢に振る舞っているつもりもなく、積極的に横の交流を持とうと苦心しているようですが……。
　ちなみにベルナール・ギーは異端審問を体系化した修道士の名で、祓魔局局長が代々襲名する決まりとなっています。
　本名はセシリア・トラステヴェレ。今でも親しいものに限っては、その名で呼ぶことを許しているようです。

◯黒のベルトルト

「聖ジョージの槍の欠片から鋳造した45口径弾、良い品でございますよ。
     なんと言ったってね、神のご加護があるんですから」

• 性別：男　年齢：７２

　黒色火薬を発明した伝説的修道士の名を名乗る、武器商人の老人です。
　武器といっても一般的な銃火器などではなく、悪魔払い用、つまりオカルト専門の武器を扱っています。
　既存の製品を改造したものから、彼独自に設計開発したもの、収集された呪物まで、その商品は多岐に渡ります。
　彼に頼んで手に入らない武器はなく、代金――彼は寄付金と言います――さえあれば何でも揃えると豪語します。
　この小さな老人が、どうしてそれだけのコネや技術力を有しているのかは、誰も知りません。
　かつては祓魔局に所属していただとか、テロリストがキリストと出会って改心したのだとか、噂は様々です。
　もし詳細が知りたければ、本人に聞いてみると良いでしょう。きっと良い値段をつけてくれるはずです。

◯"パット"パトリシア・ペガサス

「SHIT！　義兄さんはまた勝手なことをして……！」

• 性別：女　年齢：１６

　波打った金髪と碧眼、豊満なバストと女神のような美貌を持った、北米系の白人美少女です。
　パンクラチオンで鍛えて引き締まった体つきが魅力的で、ティーンのトップモデルの一人として日本でも知られています。
　しかしパットはペガサス財団総帥の養女、その一人と思われる人物であり、また財団のエージェントでもあります。
　孤児院で育ったパットは、幼い頃からその類まれなる身体能力を発揮し、それ故にペガサス財団にスカウトされました。
　現在は生き別れになった姉の捜索と引き換えに、オリハルコン製強化装甲服を着用して各地で任務に当たっています。
　性格は真面目で気が強く、自分が正しいと思ったら絶対に譲らない、やや頭が固く、かつ生意気な部分があります。
　加えて超常現象を科学的にしか理解しない悪癖もあり、思うようにならない現状に苛立ち……の悪循環に陥っています。
　よって現地で他勢力と衝突する事も多く、また同僚や部下ともお互い付き合うことに辟易しており、単独行動が中心。
　ただ根は善良で優しく、自己犠牲の精神も強いため、きちんと自分で納得すれば協力関係の構築は可能でしょう。
　良くも悪くも、ペガサス財団エージェントの一般的なスタンスを象徴するような少女です。
　そのため独立チーム「KNIGHT」として特殊車両を乗り回す自由奔放な義兄には、常に頭を悩ませているようです。

◯賀茂 篤信（かもの あつのぶ）

「泰平も身の程を知らない愚かな男だ。従順にしていれば、娘も苦労しないで済むだろうに。くくく……」

• 性別：男　年齢：５２

　宮内庁書陵部陵墓課特別室室長を務める賀茂家の当主です。
　陰陽師としての能力は平凡ですが、卓越した政治力によってその地位を維持している男です。
　ある意味で日本中の退魔師の頂点に立つという事は、多くの権力者の秘密を握るという事でもあります。
　各々が誰に恨まれ、誰に呪われ、誰に祟られているのかを、詳細に把握しているわけですから。
　ですがその内心には、自身が退魔師として凡庸である事に対する忸怩たる思いがあります。
　安倍家を従えている事を誇示するように、かの家の者を酷使するのはその鬱憤を晴らすためでしょう。
　程度の差はあれ他の"名家"に対してもそうした面を覗かせるため、あまり人望はありません。
　それだけに息子である相馬が優れた陰陽師として生まれた事は、彼をいたく喜ばせました。
　自分のすべてを受け継ぐ、もう一人の自分といった風に、相馬に大いに期待しているようです。
　血筋だけで妻を選んだ甲斐があったと公言して憚らず、家父長主義の男尊女卑を隠しもしません。
　何にせよ怪異や霊障の脅威度ではなく、政治的な側面だけで判断する、退魔師としては失格の男です。

◯賀茂 相馬（かもの そうま）

「ええ、父さん。僕に任せて頂ければ、万事万端滞り無く処理してみせますよ。……ふふ」

• 性別：男　年齢：１８

　宮内庁書陵部陵墓課特別室室長 賀茂篤信の息子で、彼自身も卓越した陰陽師である美男子です。
　怜悧な容貌、颯爽とした立ち居振る舞い、誰に対しても優しく、退魔業においては強力無比。
　そのため周囲からの人望も篤く、将来有望と囁かれていますが、底が知れないと嫌う者も少数います。
　賀茂家はかつて陰陽道の宗家でしたが、江戸時代に政争に破れ、安倍家にその地位を追われました。
　しかし先の敗戦をきっかけに安倍家が衰退したため、その機に乗じて政府に近づき、再興に成功しました。
　現在の当主である篤信は地位を守る事に固執しており、息子の才覚には安堵を覚えているようです。
　そのため相馬に判断を委ねる事も多く、実質的に特別室のナンバー２といえる立場にあります。
　ですが相馬本人が何を考え、何のために行動しているのかを知る者は、誰もいません。
　父が安倍家の令嬢に圧力をかけるのをフォローする事もありますが、そこには彼女への異様な執着が垣間見えます。
　尚得意としているのは怪異を地中に埋没させて封じる、平安時代以来の秘術だそうです。

◯安倍 泰平（あべの やすひら）

「口惜しい、口惜しい、なぜ篤信に頭を下げねばならぬ……！
     ええい、娘はどこだ！　娘を呼べ！！」

• 性別：男　年齢：６５

　陰陽師の名門、安倍家の末裔にして先代当主である人物です。
　先の敗戦をきっかけに没落した家を再興すべく無茶を繰り返し、退魔師としては再起不能となりました。
　そのため現在はまだ十代の長女に当主の座を譲りましたが、実際は彼女を傀儡として彼が権力を握ったままです。
　幼い頃より両親から華々しい安倍家の歴史を聞いて育った彼にとって、現状は屈辱以外の何物でもありません。
　賀茂家の若造に頭を垂れ、まるで小間使いのようにこき使われるなどあってはならないのです。
　泰平はなんとしても状況を覆すため、とにかく政府に取り入ろうと焦っています。
　無謀な退魔業を請け負っては、娘に無理難題ともいえるその処理を押し付けて、現場へ送り込んでいます。
　彼にとっては自分こそが安倍家を背負う傑物であって、他は安倍家のための道具に過ぎません。
　そしてその姿勢こそが賀茂家に軽んじられる原因だという事にも、気がついてはいません。

◯磯野 広（いその ひろし）

「えぇッ！？　前にも同じ人と会ったッ！？
     もしかしてそれは、こんな顔じゃありませんでした？　なんて、ははは！」

• 性別：男　年齢：３２

　宮内庁書陵部陵墓課特別室の職員です。
　どこにでもいるような平凡な会社員、あるいは良き父親といった、特徴のない風貌をしています。
　実際話してみてもその印象は変わらず、「お互い大変ですね」と笑う、罪なき一般人そのものの人物です。
　主に日本国内で発生した異変や怪事件についての調査や、民間退魔師への依頼などを担当しています。
　それだけならば単なる連絡員といった存在で、事実そうなのですが、ひとつ奇妙な点があります。
　何年経っても姿形が変わらず、異変に巻き込まれて明らかに死んだと思えても、彼はまた現れるのです。
　別人なのか、不死者なのか、あるいは式神か……。尋ねても「そんなわけありません」と笑うばかりです。
　しつこく聞くと「証拠もありますよ」と言って家族写真を見せてくれますが、それも毎回異なるものです。
　妻の実家に婿入りして大家族、妻と長男と長女と白犬が一匹、新妻と幼い娘の三人暮らし……。
　ですが語られる家族自慢は詳細で、とてもでっちあげた架空のものとは思えません。
　何にせよ、彼が現れたという事は何か異変が起こっているか、あなたへの依頼か、あるいはその両方です。
　彼が何者かはさておいて、話を聞いた方が良いのは間違いないでしょう。

◯真上 ガルム（まがみ-）

「こんばんわんわーん！
     頼れるあなたの一の家来、真上ガルムですよーっ♪　がぶがぶー！」

• 性別：女　年齢：十代後半？

　「しろくじ！」に所属する本名不明の配信者、可愛らしい犬耳少女の姿をした歌い手、つまりはアイドルです。
　登録者数も多く、コラボや企業案件にも積極的で、トップランクの配信者と言えます。
　歌の他には廃墟などに赴く心霊配信も行っていますが、ホラーゲームは大の苦手。
　また極端な偏食でも知られ、野菜の類は一切受け付けないのがチャームポイントだそうです。
　直近ではコラボ配信者に「目が笑って無くて怖い」と言われ「美味しそうだったので、つい！」と返した動画が流行りました。
　その正体は「大口真神」、神格化した山犬、人の姿に化身した神狼です。
　神に対して捧げられる人身御供が力の源だったため、近年になって急速に零落。
　幽世にすら暮らせなくなって途方にくれて山を降りたところで、配信という概念に出会いました。
　配信者として活動することでファンを集める事は、信仰を再び取り戻す事に繋がります。
　そして徐々に蘇ってきた力で密かに人を襲って、畏れを取り戻す日々をエンジョイしています。
　ガルムは愛らしい少女の姿をした狼、人の皮を被ったけだものです。
　その倫理観はまったく人と異なり、ただ安全に暮らすため最低限の線引をしているに過ぎません。
　曰く小碓命以来の一族で、吉備津彦命の家臣となってよりお目溢しを頂いていたとのこと。
　好みは年頃の清らかな処女だけれど、より好みせず"食べても良い人"を頂いているようです。

◯大友 若菜（おおとも わかな）

「あら、タイが曲がっていてよ？」

• 性別：女　年齢：１８？

　都内のミッション系学園に通う、艷やかな黒い長髪が特徴的な美しい少女です。
　文武両道才色兼備、奥ゆかしい所作から、後輩女生徒たちに「お姉様」と慕われるほどの人気です。
　しかし彼女が何年何組の生徒で、どこに住んでいて、学外でどう過ごしているかを知る者はいません。
　若菜の正体は数百年を生きる女郎蜘蛛・白縫姫、すなわち人を喰らうあやかしです。
　さる滅亡した戦国大名の遺児である若菜は、死の淵で錦ヶ獄の土蜘蛛と契約を結んだ事で蘇りました。
　ですが壮絶な戦いを経て父の復讐を果たした事で、若菜は多くの退魔師や妖怪に目をつけられてしまいます。
　以来、邪な欲望を抱く者共と繰り返し幾度となく戦い、宿敵との戦いに敗れ、深手を負って学園に流れてきたのです。
　今の彼女は傷を癒やし、精気を啜り、力を蓄えるため、巣を張った蜘蛛のように正体を隠して息を潜めています。
　ですが気まぐれに、自分が気に入った人物には手を差し伸べて助力する事もあるようです。
　また若菜は「花形の鏡」と呼ばれる鏡を、何としても手に入れるべく懸命に探し求めています。
　破邪の力を宿すその鏡は彼女の妖力を封じる致命的な弱点で、このままでは宿敵の手に渡りかねないからです。

◯メフィストフェレス

「心配することはない、お前の運命は犬が握っている。ヘッヘッヘッヘッヘ……」

• 性別：男？　年齢：不明

　夜の闇か影のように黒い一匹の犬です。
　ですが霊的素養のある者には自らを悪魔メフィストフェレスと名乗り、様々な謎めいた助言を与えます。
　が、その意味を深く問いただそうとすれば、今度はただの犬として振る舞うため、要領を得ません。
　与えられた助言が真実であると気づくのは、まさにその状況に直面した瞬間でしょう。
　メフィストフェレスがいかなる目的でそうして助言を与えているのかは、誰にもわかりません。
　いずれ魂を取り立てるつもりなのか、弁舌で人をそそのかし意のままに操っているのか……。
　わかっている事は一つ。
　夜刀神学園の近くで女子高生に大人しく撫で回されている黒犬が、メフィストフェレスだという事だけです。

◯幹 沙織（みき さおり）

「どうぞ、今夜の一杯です。
     ……あちらのお客様からなら、良いお話が聞けるかもしれませんよ」

• 性別：女　年齢：２８

　BAR「マノス」のバーメイドを務める男装の麗人です。
　いつもクールで落ち着いた佇まいで接客することから、彼女目当ての客も多いとか。
　また美貌だけでなく、その日その日の客の気分に合わせて最適な酒を振る舞う技量も見事です。
　そして彼女が振る舞うのは酒だけではなく、情報や依頼、あなたが「マノス」に求めたものです。
　今あなたが必要としているもの、それを提供してくれる誰か、何かとを結びつける「手」。
　それこそが彼女の役割なのです。
　何か助けが欲しい時は彼女に相談すれば、きっと今のあなたに必要なものを教えてくれるでしょう。
　無論、それは一杯の酒を落ち着いてゆっくり飲み干す事かもしれませんが。

◯愛染 蔵人（あいぜん くらんど）

「あぁーッ！？　またかよ……！　もう勘弁してくれぇ……」

• 性別：男　年齢：３５

　夜刀神市在住の中堅ライトノベル作家です。
　代表作『ナイトハンターズ』はマルチメディア展開もされています。
　この作品は超能力者・伊達恭介が仲間たちと怪異に立ち向かう異能伝奇バトル作品です。
　民間伝承やオカルトに関する膨大な知識と取材から、真に迫る内容として評価されています。
　ですが愛染はあくまでもただの一般人で、異能伝奇バトルは現実には起こり得ないと理解しています。
　しかし、どういうわけか新刊が出る度、直後に似たような怪奇事件が発生してしまうのです。
　おかげで何やかやと余計なトラブルに巻き込まれる事が多く、心労が絶えず、辟易しています。
　おまけに夜の世界を一切知らない愛染にとって迷惑なことに、そのせいで各勢力の注目を集めています。
　そのためそうした様々な勢力の思惑でトラブルに巻き込まれる事も、しょっちゅうです。
　愛染にとってこうした状況は、はっきり言って迷惑です。わけがわからん連中よりも小説を書きたいのです。
　しかもどうしたわけか〆切直前か、直後に、必ずといって良いほど厄介事が飛び込んできます。
　そのせいでいつもぐったりしていて、ろくに執筆に集中もできず、おまけに休む暇もないようです。
　ですが金とチヤホヤされる事のために小説を書いている彼は、そんな事で筆を置く気はありません。
　愛染は今日も無理解な編集者と馬鹿な読者を相手に奮闘しています。五、六年は休みたいとぼやきながら。

◯木場 康（きば やすし）

「どうか驚かないで聞いてくれ……
     このままでは人類は滅亡する！！」

• 性別：男　年齢：２５

　大手出版社に勤務している編集者です。
　主にミステリー系のルポタージュを担当していますが、行動力に比例して思い込みの激しい人です。
　様々な取材の結果、まったく関係性のない点と点を結びつけ、存在しない陰謀論をぶち上げます。
　彼にかかれば東京湾にアザラシが現れた事も、気象兵器による世界滅亡の兆候だといえるでしょう。
　ただ一つ問題があるとすれば、彼の見つけてきた証拠そのものは真実だという事です。
　つまり彼が見つけたのはアザラシなどではなく、深海に潜む旧き者どもの尖兵なのです。
　証拠がない時はない時で厄介で、広範なオカルト知識と胡散臭い科学知識から、想像を絶する陰謀を言い当てます。
　そうと知らずに様々な事件に首を突っ込むため、夜の世界を知る者たちとしては気が気ではありません。
　何と言っても、彼は思い込みが激しいだけで、友人思いの罪がない奴なのです。
　彼は自分が常に命の危機に晒され、影の政府の工作員から友人たちが守ってくれた事を理解しています。
　そしてそうした素晴しい人々のために、今日も日夜、世界滅亡の危機に立ち向かっているのです。

◯茅原 絵里（かやはら えり）

「あ、あの、星に興味はありませんか？　て、天文部に入ってくれませんか！？」

• 性別：女　年齢：１７

　夜刀神学園天文部の部長を務めている女子生徒です。
　引っ込み思案で大人しく内気な眼鏡をかけた少女で、いつも星に関する本を読んでいます。
　星に関しては大好きで、星座に纏わる伝説、実際の星の動き、宇宙開発まで詳しい知識を持っています。
　しかし天文部は廃部寸前のため、部員勧誘も頑張っているのですが、どうにも成果が上がっていません。
　彼女自身に関してはただそれだけで、それ以上の何かがあるわけではありません。
　問題となるのは、彼女の血肉が、人外のものにとって想像を絶する美味であるという点です。
　血の一滴ですら天にも昇るような甘露であり、その生き肝を喰らえば超絶した力が手に入るでしょう。
　そのため常に彼女は狙われており、いつ誰に何をされるかわかりません。
　もしこの哀れな娘を守りたいというのであれば、天文部に入るのが一番でしょう。
　事情を知らない彼女は、ただただ純粋に喜ぶだけですけれど。

◯鳥海 翔太（とりうみ しょうた）

「よぉ、親友。今日はどうする？　ゲーセンか、ラーメン……それともナンパでも行くか？」

• 性別：男　年齢：１７歳

　気の良い男子高校生です。明るくて親しみやすく、何くれと友人の世話を焼いてくれます。
　クラスの中のムードメーカーとして、男子女子問わず幅広く、不良から優等生まで交流があります。
　もともとは剣道部だったのですが、故障により退部して、今は帰宅部となっています。
　片思いしていた先輩にもフラれてしまい、現在は彼女募集中だそうです。
　家庭環境も両親が不仲で別居中なのですが、そうした暗い部分をまるで表に出しません。
　そのため周囲も彼を「境遇にめげずに頑張っている良い奴」と認識しています。
　が、その心の奥の深い所には、「自分は主人公ではない」というコンプレックスがあります。
　勉強も運動も恋愛も家のことも、そこそこまでは上手く行きますが、トラブルを乗り越えられません。
　別に怠けたりサボったりしたわけではなく、精一杯やったのですが、解決できなかったのです。
　ですがそうした心理は奥深いところにあるだけで、誰にだって似たようものは抱えているでしょう。
　ただそれだけの話なのです。

◯黒須 伊織（くろす いおり）

「大丈夫、大丈夫です。安心して、私に身も心も委ねてください……」

• 性別：女　年齢：２６

　都内の心療内科に務める精神科医として、患者皆から"伊織先生"と慕われている女性です。
　彼女は医大生時代、あまりにも根を詰めすぎたせいで昏倒し、一時期入院したという過去があります。
　なので自分と同じような目にあう人が現れないよう、患者の心身のケアに奔走しています。
　そのため広範な医療知識を持ち、精神科医の範疇に留まらない治療なども積極的に行っています。
　ですが、真相は違います。
　彼女は医大生時代、大学で"なにか"に遭遇したために正気を打ち砕かれ、心神喪失に陥っていたのです。
　現在、"あれ"は現実ではなく昏睡状態にあった時に見た悪夢に過ぎないと、彼女はそう認識しています。
　ですが何度そう言い聞かせても毎夜悪夢に悩まされ、それは徐々に生々しくなり、もはや彼女は安息とは無縁です。
　そのためひたすら医療知識を勉強し、患者の治療に奔走し、疲労困憊して気を失うように倒れる事で、睡眠を得ています。
　当然の事ながらこうした日々、そして「自分のために誰かを治す」というエゴは、彼女の大きなストレスとなっているようです。
　心優しく献身的な医者であると同時に、極めて危うい正気を辛うじて保っている被害者というのが、"伊織先生"の実情です。

◯"タイガーキャット"千堂 忍（せんどう しのぶ）

「えー、なに、リスナーちゃんも気になっちゃう？　じゃあ今度行ってみよっか！」

• 性別：女　年齢：１８歳

　ここ最近で一気にメンバーシップ登録者数を増やしつつある女性配信者です。
　極めてフットワークが軽く、話題の場所へ流行よりも早く駆けつけて動画を配信する事で知られています。
　またリスナーとの距離感が近いというか、コメントを頻々に拾ったりアイデアを募集したりする事も多いです。
　そのため身近にいるような、まるで友達感覚で視聴する事ができる配信者として評判です。
　最近は都内でも怪談話や心霊体験が増えつつある事から、それらに関する調査がマイブームとのこと。
　近々、行方不明者が多発している曰く付きの廃棄マンションに行く予定を立てているそうです。
　プライベートでは陸上部に所属する女子高生で、アクティブなのはその辺りが理由なのでしょう。

◯破琴 無道（はごん むどう）

「ううむ、不吉じゃ……！　この館からは悪霊の気配が匂い立っておるわい！」

• 性別：男　年齢：５４

　近年メディアで人気を博している「最強霊能者」として知られる僧侶です。
　いかにもといった厳しい顔つきに、鋭い眼光、押し出しのいい体躯、堂々たる態度。
　番組に出演しては数々の相談者を悪霊から救い、廃墟や建物に潜む怪異を払う。
　危険を顧みず数々の霊障と対決する無道の姿は、まさに正義の味方といって良いでしょう。
　ただし、無道本人には一切の霊能力はありません。
　彼はどこぞの寺で修行しただけのただの常人で、悪霊など祓えませんし、そもそも視えません。
　無道はただ威勢よく真言を叫んで「喝！」と決めることで、依頼者をその気にさせているだけの人物です。
　一方で、それは無道が霊感商法などを行う悪人、詐欺師の類であることを意味していません。
　彼は本当に、心の底から、自分は最強の霊能力者であり、その力に伴う責任があると思っているのです。
　若き能力者たちにも先達としての指導と助力も惜しまず、戦いとなれば自分が引き受ける覚悟があります。
　問題はそのアドバイスも覚悟も、あんまり役に立たないというか、ありがた迷惑というか……なだけで。
　……まあ場数だけは踏んでいるのと、豊富なコネはあるので、その辺りでは頼りになるかもしれません。

◯片桐 一平（かたぎり いっぺい）

「よし、誓えよ！　ヘビとカエルにトカゲのシッポ、ぼくらは絶対に仲間を裏切らない！」

• 性別：男　年齢：１０歳

　夜刀神防衛隊の隊長を自認している小学生です。
　ごくごく普通の少年だった彼は、しかし弟が事故死した事で街に潜む"何か"に気が付きました。
　大人にいっても誰も真剣に聞いてくれない。それならぼくらの手で街を守ろう！
　友達とそう誓いあった彼は、バットを片手に、リュックに道具を詰めて、街を走り回っています。
　もちろん、大人たちは子供たちの真意には気づいていません。毎日遊び回ってと呆れています。
　ですが彼は真剣です。だってちょっと目を凝らせば、わかってしまうのです。
　放課後の旧校舎、雑木林の奥の小さな祠、公園の橋の下、近所の忘れられた廃屋……。
　そこに潜んでいる暗い影、自分たちを狙っている"何か"がいるという事を。
　だから今日も、夜刀神防衛隊のささやかな戦いは続いているのです。

◯内原 輝子（ないはら てるこ）

「あなたにはあなたの、彼には彼の良さがあるでしょ？
     仲良く力を合わせればきっと面白いのにって、先生は思うな」

• 性別：女　年齢：秘密です♪

　夜刀神学園で教師を務める黒髪赤目の若い女性です。
　担当教科は数学（算数）で、いつも難解な高等数学の数式を解いている姿を見かけます。
　優しくも厳しく、生徒思いで頑張り屋、授業はわかりやすく、いつも話を聞いてくれて、何より可愛い。
　まさに絵に描いたように理想的で、完璧といった印象を与える「先生」です。
　そんな彼女ですが怪奇な事件が身近で起こる事が多いものの、巻き込まれる事はめったにありません。
　学園で何か奇妙な出来事があった、噂を聞いた事があっても、気のせいだろうと済ませてしまいます。
　もちろん生徒たちが何かこそこそ隠れながら走り回っていても、心配こそすれ、核心には気づきません。
　ですがそれは、ある意味で彼女なりの優しさや気遣い、応援なのかもしれません。
　何しろ「都合良く見て見ぬふりをしてくれる身内の大人」は、何よりもありがたい存在といえますからね。
　ちなみに結構な猫舌ですが、猫は苦手なのだそうです。

◯羽佐間 真司（はざま しんじ）

「なにが幽霊退治だ、インチキな詐欺師どもめ！　絶対に貴様らのイカサマを暴いてやるからな！！」

• 性別：男　年齢：３５

　国税庁の調査査察部に所属するエリート官僚です。
　幼少期からの過酷な受験戦争に勝ち抜き名門大学を出て、見事この職をつかみ取りました。
　これまで順風満帆の人生を過ごしていて、見た目にも活力あふれる美男子、有能な人材です。
　プライベートでも様々な趣味に積極的に参加し、善良な納税者に対しては紳士的で、女性人気も高いです。
　近年は配信者だとか、そういった新しい職種も出てきていますから、そういった勉強にも余念がありません。
　極めて優秀で真面目で誠実、正義感が強く、矜持と信念を兼ね備え持った、善良な人間です。
　それだけに彼は、心霊商法だので小金を儲けては納税しない連中を、蛇蝎のごとく嫌悪しています。
　どうにかしてその真相を突き止めてイカサマであることを暴露し、公正に税を取り立てようと決意しています。
　そのため退魔師の活動にもしょっちゅう口を出してきてイチャモン（ではないのですが）をつける、厄介な人物です。
　とはいえ、証拠がなければ引き下がるしかありません。煮え湯を飲まされつつ、公私混同は決してしません。
　頭の硬い厄介ものではありますが、つまるところ、彼は守られるべき善良な市民だという事なのです。

◯いでの

「守り人としての使命、忘れたわけではあるまいな。――ゆけ、そして敵を討て！」

• 性別：女　年齢：１６（外見）

　街の意思が具現化した精霊であり、死者を導く白猫の化身です。正しくは井出野童子というそうです。
　普段は白猫として行動し、契約を交わした守り人の前、あるいは使命を果たす時のみ人の姿を取ります。
　その姿は髪を白く染めた今どきの女子高生といった風貌で、寡黙で、どこか浮世離れした雰囲気を漂わせています。
　無念の死を遂げた強き魂を掬い上げ、契約を交わすことで街の守り人として蘇らせる力を有しています。
　そして街を守ること、街の意志を代行することを重要視し、蘇らせた魂にもそれに殉ずる事を求めます。
　一見して非人間的なシステムのような存在に見えますが、こうした態度は強い使命感あってのことです。
　街とそこに暮らす人々、そして守り人の事を愛していなければ、共に在ろうなどとはしないものですから。
　ちなみに、好物はさつまいものようです。それが全ての街のいでのに共通するかはわかりませんが。

◯茨木童子（いばらきどうじ）

「ええい、おのれ三度ならず四度までも！　覚えておれよ！
     わしが腕を取り戻した暁には貴様らなんぞ、こうだぞ、こう……！」

• 性別：女　年齢：１４（外見）

　源頼光率いる四天王と戦った、大江山酒呑童子、その副官を務めていた恐るべき鬼です。
　膂力こそ若干主君に劣るものの、その妖術の冴えは凄まじく、まさに怪力乱神といえるでしょう。
　様々な権謀術数を巡らせて人界を惑わし、人を襲って血肉を喰らう、恐るべき怪物です。
　が、どうにも調子に乗りやすいところがあり、その企みは平安時代から此方、成功した試しがありません。
　副官としてトップを補佐するのは向いているのですが、酒呑童子亡き後は負け続けです。
　そして当人は酒呑童子以外を主君と仰ぐ気はないため、まるで上手くいっていないようです。
　しかし決して侮ってはいけません。この鬼の何よりも優れている点は、そのしぶとさと生命力です。
　源頼光ですら、渡辺綱ですら、茨木童子を殺すことはおろか、捕らえることさえできなかったのです。
　何度倒そうと茨木童子は必ずや再び現れて、あなた目掛けて牙を剥くことでしょう。

◯弟切 定宗（おとぎり さだむね）

「良い目をしているな、貴様。……斬りたくなった。悪く思うな」

• 性別：なし　年齢：推定８００歳

　鎌倉時代に定宗なる刀鍛冶が鍛え上げた古刀、妖刀です。
　自分の秘伝を盗んで北条家に取り入った弟を殺すためだけに造られ、本懐を遂げた定宗は自害。
　もはや世に遺った定宗作の刀はこの一振りだけだと言われている、幻の名刀とされます。
　その後の来歴は不明ですが、再び世に現れたときには、所有者を操る妖刀と化していました。
　老若男女人種問わずその手に弟切定宗を握る人物は、みな定宗の人鞘、傀儡に過ぎません。
　ある時は剣の高みを目指さんとする老人、ある時は化け物への復讐を誓った少女……。
　担い手の斬りたいものを斬るが刀の本懐。その役目を果たした以上は、己の斬りたいものを斬る。
　一殺と引き換えに主の肉体を奪う定宗は、今や興が乗ったら何でも斬る、恐るべき存在です。
　人魔神仏善悪問わず、今や定宗の刃の前に斬れぬものは無いと言って良いでしょう。
　一方、気が向かねば何も斬らないため、定宗を「使いこなす」事は難しいかもしれませんが。

◯不知火 検校（しらぬい けんぎょう）

「さあ、何でもお話になって。
     わたくしでよろしければ、いつでもアナタにお力添え致しますから……ね？」

• 性別：女　年齢：２０（外見）

　近年日本の経済界で、急速にアドバイザーとしてその勢力を拡大しつつある美女です。
　白絹の小袖に緋袴という和装をした、見目麗しい西洋人の女性として知られています。
　彼女の美しくたおやかな所作と声音に触れた者は、男女問わず一目で彼女の虜となってしまうそうです。
　また美貌だけでなく、彼女のもたらす助言は実に的確で、それに従えば膨大な利益を手に入れられます。
　その正体は数百年を生きる吸血鬼――それもかのドラキュラから吸血という寵愛を受けた、正当なる"娘"です。
　ヘルシング教授によって父祖ともども滅ぼされたはずが、彼女一人だけが生き延び、長じたのでしょう。
　モニカ、ミカエラ、フロリナの三姉妹いずれかだと思われますが、彼女が自らの本名を口にする事はありません。
　かつての戦いの経験を踏まえて、ドラキュラの娘は用意周到かつ極めて用心深い吸血鬼へと成長を遂げたのです。
　都内だけでも数十個もの拠点を保有し、その全てに棺を隠匿している彼女を滅ぼす事は容易ではありません。
　その彼女がなぜ来日したのかについては、様々な憶測が闇の世界では飛び交っています。
　ハーカー夫妻の子孫に報復するため、あるいはドラキュラの復活のため、いや既にドラキュラは転生している……。
　いずれにせよ、この恐るべき女吸血鬼は自らの目的を明かしません。彼女は極めて、用心深いのです。

◯張 果老（チャン グォ ロウ）

「ヒョッヒョッヒョッヒョッ……智人能知智如蛇知蛇足ヨ、お若いかた。
     何事にも抜け道はあるという事ネ」

• 性別：男　年齢：不明

　孫娘と共に古びた薬屋『魚鼓堂』を営む老人。如何にも好々爺といった風貌で、子供たちには駄菓子を売る事で慕われています。
　扱っているのは主に漢方薬と古道具だが、薬は覿面に効くし、掘り出し物もあるとして店の評判も上々。
　しかし「見える」者が見れば、そこに並ぶものの何割かが正真正銘の「本物」である事に気づくでしょう。
　その正体は渾沌と共に現れた白蝙蝠だとも、自らの屍を用いて仙人となった尸解仙とも囁かれる、強力な仙人です。
　仙人となっても現世の欲を好む張果老は、それを満たすため善悪問わず、様々な勢力と取引を行っています。
　好漢に手を貸すこともあれば、悪漢に助力することもあり、いずれにせよ私腹を肥やすために法外な報酬を要求します。
　人々を嘲弄し、死体を弄び、間抜けな者を骨の髄までしゃぶりつくし、愚か者は利用してあっさりと使い潰す。
　決して良仙ではなく、どちらかといえば悪仙と呼ぶべき人物だが、一線というものは保っています。
　つまり「世界が滅んでは楽しむも何もない」という一点です。
　断じて気を許してはいけない相手だが、そこさえ理解していれば、取引をする事自体は可能でしょう。

◯蘭 凛怜（ラン リンレイ）

「アイヤー、ボクそーゆー難しい事はわかんないアルねー！」

• 性別；女　年齢：享年１８

　『魚鼓堂』の看板娘、張果老の孫娘、明るく元気で能天気で人好きのする中華服姿の美少女。
　……というのはあくまでも表向きであり、その正体は屍人形、いわゆるキョンシーというものです。
　張果老があらゆる美女、美少女の死体からよりすぐりの部位を組み合わせて作り上げた、彼の傑作の一つ。
　距離感が近く誰にでもフレンドリーなその立ち居振る舞いも、すべて張果老の組んだ術式によるものに過ぎません。
　そこに人間的な感情はなく、すべて機械的に制御された、極めて精巧な自動人形といった方が正しい理解といえます。
　そのため命令一つでどんなに親しい相手だろうと惨殺するし、どんなに嫌悪に値する相手でも交わって愛を囁く。
　彼女のどこまでもふざけた名前や言動、仕草などは、全て張果老の歪んだユーモアが発揮された結果です。
　そんな彼女ですが、しかし時折、張果老の意図していない予想外の反応を示す事があります。
　はたしてそれは術式の不具合によるものなのか、あるいは本当に彼女に魂が宿りつつあるのか……。
　張果老はそうした予想外の反応を面白がって、凛怜の行動を興味深く観察しているようです。
　戯れに彼女を自由に行動させたり、あるいは痛めつけるような過酷で危険な指示を出したりもしているらしいです。
　もっとも興醒めするような結果になれば、張果老はいともあっさりと彼女を解体して廃棄してしまうだろうけれど。

◯"不在の竜"ツィルニトラ

「よい、よい。人の子とは己が目で見たものしか信じられぬ、哀れなものだ。
     その無知蒙昧さを許そうぞ」

• 性別：不明　年齢：不明

　大陸の政変に見切りをつけて日本へと移ってきた、黒き鱗の旧き竜です。
　その名は「魔力を持つもの」を意味し、神にも匹敵する恐るべき魔導を操る存在です。
　膨大な暴力、魔力、知力、財力を兼ね備えた竜の中の竜として、その欲望と退屈を満足させるために生きています。
　この恐るべき竜の逆鱗に触れれば、その者に待つのは破滅的な末路だけです。
　万一気に入られたとしても、その行く手には想像も絶する波乱の運命が待っている事でしょう。
　だが誰に助けを求めたところで、「ツィルニトラなどという竜はいない」として相手にもされません。
　大陸においてツィルニトラの実在を示す証拠は全て捏造されたものだとされています。
　ツィルニトラを描いた旗も、記録された文献も、造られた像も、すべて偽物だと結論が出ています。
　故にツィルニトラの実在を証明する事は誰にもできない。ツィルニトラは存在しない。
　――つまりツィルニトラは、決して滅ぼすことができない、"不在の竜"なのです。

◯黒母（デーヴィ）

「あの方々は死んでなどおりません。ただ、幸いを得ただけ。
     食も、富も、歌に舞、女も、命も――すべて望むまま……」

• 性別：女？　年齢：不明

　黒母教団の指導者、あるいは主神と目されている存在です。
　その詳細については謎に包まれており、実際に教団の幹部ですら滅多に謁見はできないとされます。
　死は幸いであり、死によってその者は幸いを得る事ができるのだと信徒に教えを説いています。
　信者たちは皆、彼女への供物として殺人を行い、それによって犠牲者も救われるのだと信じているようです。
　黒母にお目通りが許された者は、「黒母の欠片」という祭具を与えられると言われています。
　鹵獲できたケースがほとんど無いため詳細は不明ですが、何らかの虫の卵のようであったとの証言があります。
　またあまり知られていませんがかつて日本に現れた事もあり、その時はオオウベノオオと名乗っていたようです。

◯アードネス・アンドリューズ

「私はほら、シリアルキラーというわけではないから。泣き叫ばれると、心が痛むんだよ。本当に」

• 性別：男　年齢：３４

　黒母教団に所属する、極めて強力な念動力（サイコキネシス）を持つ超能力者です。
　幼少期に小枝を折った事で物を折る感触に魅了されたアードネスは、次々に物を折っていきました。
　鉛筆、定規、スプーン、友達の玩具、母親の編み棒……そして母親の首。
　アードネスは「物を折る」「首を折る」という行為に取り憑かれ、結果的にそれが人の「死」に繋がる事を深く嘆いています。
　彼は別に人を殺したいわけではないのです。ただ首を折りたいだけなのです。
　だから黒母教団との出会いはアードネスにとって救いでした。以来、アードネスは敬虔な黒母教団の信者です。
　友達の玩具を折った時に教室で問題になった事で、隠蔽の重要性を学びましたが、アードネスは派手好きです。
　手品師、超能力者として活動しているアードネスは、自身のショーの観客を一挙に殺害する事を好みます。

◯ナイ神父

「互いに矛盾するからこその混沌……。
     ええ、汝は汝の成したいように。望むままに振る舞いなさい」

• 性別：不明　年齢：不明

　星の智慧派教会と呼ばれる信仰集団の幹部、あるいは教祖として知られる人物です。
　その詳細な来歴や能力は不明ですが、極めて階梯の高い魔術師ではないかと推測されています。
　またかなりの博学で、あらゆる学問、微生物から原子力にまで精通しています。
　平素は教会で慈悲深く信者たちを導いていますが、裏では多くのテロを采配しているとされます。
　一方で呪的災害を防ぐために暗躍し、情報提供者や、時には依頼人となる事さえあります。
　その行動には一貫性がなく、彼が何を考えているのか、その思惑は謎に包まれています。
　なおその姿は現れる度に異なっており、共通のコードネームを持った別人という噂も囁かれています。
　ある時は白い肌に銀髪赤目の女性、ある時はスペードのエースのような黒い肌の男性……。
　いずれにせよ共通しているのは、「完璧」という印象を抱かせるその美貌と佇まい、声でしょう。
　ナイ神父に囁かれれば、たちまちのうちに警戒心など消えてしまうに違いありません。

◯ガタノトーア

「哀れで愚かな我が妹よ。息苦しい地上に何の未練があろう。
     無為に抗わず、我がものとなれば楽になるというに」

• 性別：男　年齢：不明

　海の底の都ルルイエの王、クトゥルフの長子たる邪神です。
　その姿を見たものを息ながらにして岩に変え、その精気を未来永劫に渡って啜り続ける邪悪な存在です。
　長らく玉座にありながらも行動を起こさない父を見限り、配下のロイガー族を率いて謀反を起こし、王位を簒奪。
　そしてはるか昔に古きものとの戦いに敗れて追い払われた、地上への侵攻を開始しました。
　傲慢で無慈悲、残酷な暴君ですが、地球支配という宿願を実行に移した事で、ロイガー族からの信は篤いです。
　また大半の深きものどもを掌握しており、今やダゴン秘密教団はガタノトーアの尖兵となっています。
　現在、ガタノトーアは地上侵攻と共に、末妹クティーラの行方を執拗に探っています。
　クティーラは「孕んだ子が次代の王となる」予言の姫として捨てられましたが、地上で生き延びているというのです。
　ガタノトーアはなんとしてもクティーラを囚えて殺すか、その胎を掌に収めんと目論んでいます。

◯オトゥーム

「御意。ご下命、如何にしても果たしましょうぞ」

• 性別：男　年齢：不明

　北極圏の異界「ゲル=ホー」に君臨するクトゥルフ族の騎士です。
　数万年前の大戦でも多くの古きもの、ショゴスを屠ってきた文字通りの大英雄です。
　武人であり忠臣ですが、その心は「ルルイエの主」に向けられたもので、ガタノトーアに従うことに疑念はありません。
　また弱者に対してはなんら興味もなく無慈悲に殺害しますが、強者であると認めれば堂々と戦う姿勢を見せ、評価します。
　そういった意味では、裏表が無い人物といえるでしょう。
　現在は地上侵攻の傍ら、ガタノトーアの命令でクティーラ姫の捜索を行っています。
　その目的は主君の命令もありますが、「王を孕むに相応しい胎か」、その実力を試すためでもあるようです。

◯ヒミコ

「呪われよ、大和の民よ。貴様らが地の底に追いやった妾たちまつろわぬ者の恨み、思い知るが良いわえ！」

• 性別：女　年齢：１８（外見）

　根の国の女王、根の国の民を率いる巫女姫、黄泉の国の主です。
　須佐之男、そして小碓命と二度に渡って敗れた彼女は今、三度目の戦いを挑まんとしています。
　八岐大蛇を復活させ、そして最大の英雄である熊襲武を蘇らせ、大和を滅ぼし地上を我が手に。
　故郷も民も神も愛さえも奪われた今、彼女に残っているのは怨念と怒りのみなのですから。
　ただ、ヒミコがなぜ今こうして地上に現れたのかという点については、真相は不明です。
　たんに封印が解かれて目覚めたのか、怨念が少女退魔師に憑依したのか……。
　あるいは女子大生に転生して、たまに自我が覚醒して配下に指示を出しているだけなのか。
　いずれにせよヒミコの居場所を突き止めてその野望を挫かねば、遠からず日本は全滅する事でしょう。

◯"大尉（キャプテン）"

「全ては大義のため、我らが理想郷のため。ゴールデンサークルに栄光あれ！」

• 性別：男　年齢：３１歳

　魔術結社ゴールデンサークルの指導者と見られる男です。
　大量の金塊を携えてどこからともなく現れ、忘れ去られていたこの組織を瞬く間に蘇らせました。
　その手腕は見事なもので、魔術と近代軍事知識を掛け合わせたゲリラ戦術は恐ろしいの一言です。
　数々の呪的災害、テロ攻撃を成功に導き、着々と野望に向けてその勢力を拡大しつつあります。
　白人至上主義の差別主義者で、有色人種を蔑視し、奴隷としか思っていない下劣な男です。
　が、一方で彼の価値観に合致した人物に対しては懐が広く、理想的な指導者に感じられるでしょう。
　当人自身も恐るべき魔術師ではあるのですが、しかし本拠地からは動かず、部下に指示を出す事が多いです。
　というのも彼には幾つか、まるで時が止まったかのように癒えない銃創があり、出血が絶えないのです。