概要

ルクフェルの戦いとは、ザールック3331年3月から9月にかけて行われた、アーズ国と、アトレティア国の最大の激戦である。
様々な策謀、局地戦が行われたが、最後の決戦となったルクフェルの地から、「ルクフェルの戦い」と総括されている。


戦闘に至るまでの背景


▲3331年前後の勢力図

アトレティア内乱ガザデルーの勝利で終わったが、この内乱は予想以上にアトレティア国を疲弊させ、更にガザデルーの露骨な独裁政権に不満を抱える者も多かった。
そして、この空白時間を無駄にするアーズ国ではなく、内乱勃発中、軍師サルファーを中心に各地に様々な外交交渉と工作を行っていたアーズ国は、ついにそれらのトラップを一斉に発動させる時期がきたことを悟る。

サウラアリンが、隠密の様に各地を奔走し、セロナバルス国の復興とアーズ国との再同盟に尽力。他にも、アトレティア国においての反ガザデルー派と連絡を取る為、アトレティア国に潜伏したり、リグライナ帝国、ヴィッツ国にまで出没したという伝説もあるが、これらの作戦は極秘裏に行われた為、正式な資料は残っておらず、「後世の創作」「別人が行ったことがサウラ達の伝説になった」等、真偽のわからないものが多い。


これらの準備は整い、アーズ国はついにリゼルバより北へ出陣する決意を固めた。
アーズ国が北上すれば、フレイミストヴェスタロンダイアといったアトレティア陣営が東西からリゼルバを攻め落とし、遠征軍の退路を断つ可能性もあった。
これに対してサルファーは、ビーストバリアセロナバルス国に牽制を依頼、そして神器衆トウリョを密かに派遣して、ポルスから徴収した巨大魔導砲デュアル・ムーン」の奪取を画策した。
一連の作戦は「ロストムーン」という作戦名が与えられたが、これは月光を動力とするダルスバードが、月を食らう船と皮肉られたことを逆手にとり、「月を食らい尽くすまで激しい戦いになる」という覚悟の表れであった。


ロストムーン作戦始動

サルファーは、レンゲを甲板に乗せたダルスバード艦数隻を、ヴェスタ国国境に派遣した。
これを見たヴェスタ国は、「フレイミスト国王の妹がアーズ国の艦にいる(レンゲ出奔の事実をフレイミスト国は公表していなかった)、これはフレイミスト国がアーズ国陣営に帰参した証拠だ」と判断。
事実、帝戟門の戦いにおいて、フレイミスト国は鬼龍軍を打ち破っている。これは、フレイミスト国に、飛び領地であった鬼龍軍アトレティア国軍の一部という実感がなかったことと、内乱という情勢では仕方がなかったことではあるが、それを利用したサルファーの策により、ヴェスタ国はフレイミスト国を警戒するため戦力をそちらに割き、アーズ国の進軍を許すこととなる。

ロンダイア国は、フェイノア国と同じく、ロザンドの軍事力に屈して強引にアトレティア陣営に組み込まれていたこともあり、セロナバルス国が動いたとしると、それを口実に撤兵する。(ただし、アトレティア国が勝利した時の保険をかけて、露骨に旗色を変えることはしなかった)

こうして後顧の憂いを断ったアーズ国軍は、全艦隊を動員した戦いを始めた。
アトレティア国軍は、アーズ国軍の進軍ルートから外れた数箇所の砦にのみ防衛軍を残して、他の軍をケシティア国に集結させた。
軍勢の分散を避けると共に、機会があれば後方から襲い掛かるつもりであったが、アーズ国軍にその隙はなく、ケシティアアトレティア国軍はアーズ国軍の攻撃により崩壊、損害を出さずにすばやく撤退してアトレティアの本隊と合流した。
アーズ国軍の侵攻はとまらず、ついにアトレティア国軍首都へと迫り、これに対してガザデルーも決戦に赴くべく、自ら全軍を率いて出陣する。

一方、「デュアル・ムーン」奪取に向かったトウリョは、満身創痍となりながら砲台を奪取。
集結中のガザデルー艦隊にその直撃を食らわせた。しかし、既に奪還部隊に包囲されていた為、そのまま砲台もろとも自爆する。
この一撃によって、ガザデルー艦隊は多大な損害を出し、戦わずしてルクフェルにまで後退、そこを決戦の地と定めて再布陣をはじめた。
その際、シゴラの説得により、ガザデルーは自らが隠居させたセルカティーナを呼び戻す。
プライドの高い彼がそこまでしなければならないほど、情勢は危急を告げていた。


両軍の戦力

攻撃側 守備側

アーズ国軍
軍勢
アトレティア国軍
総兵力68000 兵力 総兵力71000
サルファー 総指揮 ガザデルー
軍師
主要参戦者

サルファー

サウラ

ゴルドバ

アリン

ゲルジュ

ガザデルー

バリナ

マリミア

シゴラ

シャラ

トウマ

ガル

ジャル

カラ

ファルケ

ロスティ

セルカティーナ

ファリミス

キリィ


戦闘経緯


ガザデルー艦隊は、デュエル・ムーンにより大損害を受けたが、それでもアーズ国に匹敵する艦隊を、決戦の地ルクフェルにて布陣させている。
そして、ガザデルーの呼び寄せにより、セルカティーナは再び武器を手に戦場へと駆けつけた。
彼女にとって、この戦いに参戦する意味はなにもなかった、それでもサウラと再戦することだけを無理やり自分の参戦理由とすることで、納得させるしかなかった。

アーズ国軍は、正面からアトレティア国軍と対峙する陣形をとりつつ、サウラに自由な行動権を与えた。
本来なら仲間の陣形をかき乱す恐れもあるが、前回のリゼルバの戦いでの実績を踏まえ、サウラの天性の動物的勘にサルファーは賭けたのだ。
そして、サウラもそれに答えて各戦線で不利な戦況の仲間を助け、これ以上は助けなくてもいけると判断すると、素早く次の戦場へ向かった。


各地で戦いが行われる中、特に激しかったのはシゴラガルシャラトウママリミアゴルドバの戦線であった。
ガザデルーの部下達は、戦士としては神器衆と並ぶ勇士揃いであったが、将としてはやや攻勢にのみ傾き、守勢を知らない傾向があった。
過去の戦いと、様々なルートから手に入れた情報からその事に既に気づいていたアーズ国軍は、サルファーが、艦隊戦を行いながら、上空から地上部隊の動きを把握、相手の動きにあわせて陣形を変えさせ、痺れを切らして突撃してくる敵を受け流しつつ迎撃した。
局地戦においては小さなきっかけに過ぎないが、それらを各地で積み重ねる事でアーズ国軍は全体的な優位性を保とうとしていたが、ガザデルー軍の攻勢の強さは彼らの想像以上であり、判っていても食い止められないという戦線が各地に現れ始めた。
そうなると、逆にアーズ国軍が少しでも瓦解すれば、攻勢に強いガザデルー軍は、一気にアーズ国軍をたたみ掛ける事ができる。それを考えれば、いまだ決戦は互角の戦局と言ってよかった。

戦いは激しさを増し、アトレティア国軍のバリナシゴラアーズ国軍のゴルドバが次々と戦死する。
ゴルドバを破ったマリミアは、そのまま勢いに乗ってアーズ国軍を突き崩すが、これを食い止めるべく、サウラも自ら戦場に突撃し、マリミアを討ち取る。
また、ファルケジャルトウマは互いに連携を取り合い、三角形の陣形を維持してアトレティア国軍を撃破、この反撃によりシャラが戦死、ロスティは降伏、アーズ国軍が盛り返して、徐々と敵陣を占拠していく。


セルカティーナサウラの動きを察知し、次に現れる戦局を先読みすると、ゲルジュを討ち取り、一気にサウラ部隊に襲い掛かり、サウラの足を止めた。

ガザデルーは、同郷の仲間が全員戦死したことを知ると、敗北を認め、全軍に撤退命令を下すと、自らは特攻を仕掛けて戦場に散った。
アトレティア国軍は散り散りになって退却、ある者は首都へ、ある者はその途中の砦へ逃げ込み、またある者は降伏していく。
アーズ国軍は、軍勢を再編成させると、アトレティア国軍のもはや主なき首都へと向かって出撃した。


セルカティーナ

首都へ向かう最中、サウラは、セルカティーナが立てこもった砦に立ち寄った。
共もつれず、単身でセルカティーナの元へ向かうサウラ、そんな彼を出迎えたセルカティーナは、それまでの互いの思い出話をした後、部下と兵士達の保護を約束すると、サウラの目の前で自決した。
サウラは当然彼女も助けるつもりだったが、決意の固さを知ると、これ以上の説得は逆に相手に失礼と考え、その最期を看取った。
この二人の敵対する陣営にいながら、互いに惹かれていた物語は、後世の創作ではなく、サウラの回想録、セルカティーナ生前の日記にしっかりと記録が残っている。


戦いの結末

同じ頃、トリスの戦いにて、ビーストバリアフレイミスト国を破った。ここに、アトレティア国陣営は瓦解した。
アーズ国は、捕虜となったロスティの口から、六界の存在を知らされる。そして、ロスティの個人的な意見をラスブロスの考えととらえてしまい、後にルーイガルド侵攻作戦へと繋がっていくこととなる。


最終更新:2024年08月10日 16:17