ソマリア

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ソマリア - (2021/08/19 (木) 12:28:18) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/08/01 Mon 11:37:24
更新日:2024/04/30 Tue 23:39:45
所要時間:約 7 分で読めます




危険情報
この地域には日本の外務省から退避を勧告する危険情報が出されています。
詳しい情報は外務省海外安全ホームページにて公開されています。



ソマリアとは、東アフリカにある国。
正式名称はソマリ語で「Soomaaliya」、公式の英語表記は「Somalia」。日本語での表記は「ソマリア」。


◆概要

北はアデン湾、南東はインド洋に面する。インド洋に鋭く突き出たその地形から、「アフリカの角」と呼ばれる。面積は63万7700平方キロメートル、人口は1170万人。
公式国名を「ソマリア民主共和国 (Somali Democratic Republic)」とする場合が多いが、
これはモハメド・シアド・バーレ政権下で「ソマリア民主共和国憲法」が有効であった時期の国名。

昔からDQN国家だったが、1991年に同政権が崩壊し憲法が廃止されて以降、国際的に認められた政府が出てきていないために、ソマリアに公式国名は存在しない。
つまり無政府状態なのだ。

警察や2012年に発足した「ソマリア連邦共和国」政府が存在するものの、全く機能していないのが現状。


日本政府も、現在ソマリアを国家承認しているものの2012年まで政府を認めておらず暫定政府の面子をソマリア「大統領」と鍵括弧つきで呼んでいた。
2013年にようやく日本ソマリア首脳会談が行われている。

1日平均50人が亡くなると言われるが、これは警察が関知している範疇でしかなく実際にはさらに20~30人多いとか。

この国に入国するには、首都から離れた遠くの空港から移動するしかなく車では行くべきではない。*1
船で行こうにも、ソマリアには海賊がいるため極めて危険。

日本でも最も危険な国として退避勧告が出されており死ぬから行くな状態。
決して遊び半分で行っていい場所ではない。


そして何よりこの国は入国検査が無い
つまり、パスポートが無かろうが平気で人を殺せる凶悪犯だろうが何だろうがノーチェックで入国可。
故に、ひとりでは道を歩くどころかホテルから一歩も出られない(そもそもあの国に最低限の安全性が約束されてるホテルがあるかは甚だ疑問だが)ので、まともに活動したいならボディーガード必須。ボディガードといっても自動小銃を構えているボディガードだ。
どんなに治安が悪くとも精々2~3人銃を持った人間が側にいれば十分じゃね?と思うが、この国ではその程度のガードなどあっという間に殲滅されて即拉致られる。10人ぐらい付けてようやく安全。
ちなみにボディーガード料は日本円で24時間9000円らしい。訪れた時の参考にどうぞ。

治安がヤバい都市としてヨハネスブルグが有名だが、あちらは警察が機能してる分数段マシ。ソマリアにはその警察すら無いので、比喩でもなく自分の身は自分で守るしかないのである。男性の3人に1人がレイプや虐待経験者。

外務省の渡航情報で地域もなにも関係なく退避勧告が出されてるのはここだけ。
アフガニスタン、イラク以上
…だったんだが、2016年現在、アフガニスタン・リビア・シリア・イエメンなど全域退避勧告発令対象が増加。
その中でもソマリアは「最低限の渡航時注意情報」が記載されている分だけ、それが不記載のシリア(内戦中)やリビアよりまだ危険度は低いかもしれない。
というか外務省情報で「『国として認知された』ソマリア部分より『自称独立国・自治国』なソマリランド・ブントランドの方がまだ安定している」って記されるソマリアって…。

同じぐらい危険な国・局所的にここ以上に末期状態の国・実態が不明な国なども多いので世界一危険と称するかは大いに議論の余地があるが、
極めて危険な国であることに異論のある人は居ないだろう。


無政府主義者・個人主義者が極まり、「国」が嫌いな人にとってはある意味理想郷。
とは言えフィクションの悪役の常套句である「弱肉強食」を地で行ってる国なので命の保障は無いし、拉致られて人質にされようものなら国も周囲の人も迷惑+税金の浪費などに巻き込むことになるので渡航するだけで非難を浴びることは免れない。
まぁ機関銃や重火器で完全武装した数十人の戦闘員に完全包囲されようと指先一つで一掃出来るようなバトル漫画の強キャラレベルの実力をお持ちなら、連中を屈服させて自分だけの理想郷を築きに行ってみるのもいいんじゃないかな?

2008年10月には日本人女医が捕まり安否が心配されたが、2009年1月無事解放された。


ONE PIECE』のイメージもあって「今の時代に海賊がいるのか」と思う人もいそうだが、笑い事ではない*2

現代の海賊は、大仰な海賊旗を掲げてサーベルや大砲を持って威嚇してくる訳ではない。
安価で気付かれにくく機動性の高い小型ボートで接近し、サブマシンガンやロケットランチャーで武装した連中が強奪や誘拐行為を働く。
しかも船舶は近代化と人件費削減のために少人数化が進んだため、大型船(特にタンカーや貨物船など)だからと言って安心できない世の中になっていった。
海賊だって時代と共に変化していくのは当然である。

余談だがここ以外にも海賊がよく出没する海域はアジアにもある…というか2000年代初頭ではソマリアよりインドネシア周辺海域の方が被害が多かった。
色々と努力やら何やらがあってこちらは現在減少傾向にあり、そもそも一般人は被害に遭うことは少ないと思われるが注意が必要である。


「でもさぁ、こんなにヤバい国なら国連が黙っちゃいないだろ?」




もちろん黙ってなかったし、鎮圧に赴いた。
しかし、国連はボロ負けして撤退した。

しかも国連軍の中心は驚くなかれ世界最強のアメリカ軍である(撤退の端緒は映画ブラックホーク・ダウンでおなじみ)。

You Tubeで"mogadishu"で検索して出てくる動画を見ると、Tシャツを着た兄ちゃんがバズーカ砲やマシンガンを持って街を歩いていて、あちこちから銃声が聞こえると言う平和ボケした我々には信じられない光景を拝むことができる。
…冗談抜きで、バトル漫画の主力キャラでない限り鎮圧できないのかもしれない。

◆独立前後からの歴史(なんでこの国がこうなったか)

元々ソマリア一帯はソマリ族が住んでおり、近代に入ると北部をイギリスが、南部をイタリアが植民地としていた。
第二次世界大戦でそれぞれ取ったり取られたりしたが戦後もこの構図は変わらず、ただ近い将来の独立を目指してゆく方向が決まる。
かくして1960年に南北の植民地が独立し合併する。

……が、ソマリ人社会は6つの部族の影響が強く、しかもそれぞれの部族はさらに細分化された氏族を有しており、民主制を敷いてみたら諸勢力の乱立が発生。
南部が北部の部族をハブったのを皮切りに、縁故人事や利益誘導が頻発するわと政治は混乱状態に陥る。

そこに軍の有力者のバーレがクーデターを起こし、親ソ路線で社会主義的な体制を構築。バーレは社会改革により部族の力を削ぐ事を目論む……も急進的過ぎてあっさり失敗。
政情不安からの暗殺未遂も起き、結局バーレも部族と縁故に頼ることとなる。

これに加え、独立時からしばしば取りざたされていた「全てのソマリ族とその土地をひとつの国家にまとめる」*3大ソマリ主義をバーレは推し進めた結果、東部で分離独立運動を起こされたエチオピアとのオガデン戦争が勃発。
友好国同士の戦争を望まないソ連は結局エチオピアに付くも、替わりに西側諸国や中国がソマリアを支援する。
そして案の定戦争は長期化した末にソマリアの敗北で終わった。ソマリアは国力を消耗し、また難民化したエチオピア国内のソマリ人がソマリアに流入する。

かくしてバーレの権威は失墜し、他の部族は軍閥を相次いで結成し蜂起。ソマリアは内戦に突入し、首都も軍閥に奪われたバーレは追放される。
しかし首都を手に入れた軍閥も内部抗争が発生。これを収めようとしたアメリカ以下国連も前述のモガディシオの戦いで叩き出される。
北部の部族が南部を見放し、ソマリランドを「建国」するのもこの頃のこと。

残ったモガディシオ以下中南部はたいした支持を得られない暫定政府と反政府勢力の内戦が続く……も、2006年には暫定政府とそれを支持するエチオピアがソマリランドを除く全土制圧に動いたり、2012年からはとりあえず正式な政府が樹立し暫定政府から委譲されたりと、徐々に安定に向かっている……のか?

この項目を見てソマリアを訪れた際に何が起きても一切の責任は取りかねるので悪しからず。


◆余談

なぜか「ゼルダの伝説 神々のトライフォース」にて「ソマリアの杖」なるアイテムが登場した。
別にソマリアを連想させる要素はない。

更に余談だがアメリカのテレビアニメ「サウスパーク」のシーズン13第7話(fatbeard)でカートマン達が海賊になる為にソマリアに行く話がある。
子供だけで行ってしかも、現地の人と仲良くなれるというかなりカオスな内容。



追記・修正は興味本位で行かない人だけお願いします。

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