四乃森蒼紫

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四乃森蒼紫 - (2021/04/24 (土) 23:57:45) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2011/06/30(木) 04:24:32
更新日:2024/03/31 Sun 20:05:22
所要時間:約 16 分で読めます





…それでも俺は
この闘いに決着をつけねば、
前には進めぬ



四乃森(しのもり)蒼紫(あおし)

るろうに剣心』の登場人物。
CV:安原義人 演:伊勢谷友介
東京出身/嘉永6年(1853年)1月生まれ水瓶座/A型/身長182cm/体重72kg
初登場時・26歳

物語が進むにつれてイメチェンしながら登場する(特に髪型と服装)まさに忍者の鑑というべき御庭番衆の御頭。
抜刀斎時代の緋村剣心以上に無口で無表情で無愛想、何を考えているのかよく分からない人物。
しかしその実は情に厚く仲間想いで、男気溢れる熱血漢だったりする。


■来歴

14歳で抜刀斎として暗躍していた剣心同様、年若くして隠密として暗躍していた。
13歳時点ですでに江戸城の護衛をしており、15歳にして御庭番衆最後の御頭の座を継いだ天才。

しかし、彼が守るべき将軍徳川慶喜は、鳥羽・伏見の戦いの敗北を機に事実上降伏し、大政奉還が成る。
一番の見せ場になった筈の戦に参戦する事がかなわず、更に動乱が終わったことで、彼ら御庭番衆は戦いの場を失ってしまった。

明治政府は御庭番衆の中で彼だけに要職を用意していたが*1、路頭に迷う部下の為にそれを蹴り、暫くは御庭番衆の拠り所となっていた京都の葵屋に転がり込む。
この頃の交流から巻町操から慕われるようになった。
そのうち、部下たちは再就職先を見つけて一人一人去っていき、最後に残ったのは癋見、ひょっとこ、般若、式尉の四人だけだった。
癋見やひょっとこは一芸しかなく、般若は顔を焼き潰したために人前には出られない面相であり、式尉は薩摩藩を裏切った経歴を持つなど、
いずれも戦いしか取り柄がなく、表社会では生きられない身の上であった。
そうして残った四人と共に戦いの中で生きることを決めた蒼紫は、彼らと共に葵屋を去り、戦いを求め裏社会を彷徨うこととなる。


本編での初登場は東京編。
武田観柳の用心棒として活動する中、幕末最強と謳われた人斬り抜刀斎を倒して御庭番衆こそが最強であることを示そうとする。
なお、登場から話が進む度に前髪が増加し、現状の髪型になる。アニメ版では初登場時から原作後期以降のスタイルである。
なお雇い主である観柳に対しての忠誠心など全くなく、それどころか見下してさえいる。アニメ版では「お前のような屑、どうなろうと知った事か」とまさかの職務放棄さえする。破格の給金をもらってるとの事なので流石にそれは仕事人としていかんだろう。

観柳邸での決戦では流水の動きから繰り出される「回天剣舞」で剣心を追いつめるも、見切られ喉に強打を喰らい敗北。
加えて彼らを危険視した観柳に裏切られ(まぁあんな態度してたら当然か)四人の部下を全員喪ってしまい、失意の内に遺体から斬り取った四人の首を手に現場から姿を消した。
このあたりは般若の項目も参照。
ちなみに、逃走の際剣心に対し「俺が倒すまで、誰にも殺されるなよ」というツンデレ丸出しのセリフを残していく。

その後、とある山に四人の首を埋葬した蒼紫は、絶望と孤独に苛まれながら唯一残った「抜刀斎を殺し、部下たちへの花として添える」という目的を果たすべく独り樹海で修練を積むのだった。


そして京都編にて再登場。
コートなどの服をマイナーチェンジし、得物を二刀小太刀に変えた。
この頃になると般若たちの死による絶望、そしてかつての仲間を捨ててでも抜刀斎を殺すことだけを目的とする修羅と化しており、瞳も黒く淀んでいる。
その実力を志々雄真実一派に目をつけられスカウトされるが最初は「俺は誰ともつるむ気はない」と一蹴。抜刀斎の居所を求めて神谷道場や京都の「翁」こと柏崎念至の元を訪ねるもどれも空振りに終わり、それを目撃していた瀬田宗次郎から抜刀斎の情報をちらつかされ、それを目当てに志々雄と同盟を結ぶ。

剣心の居場所を教えない念至らの拠点である葵屋の夜襲を了承するも失敗、彼からの挑戦状を受けて直接対決、念至を全く寄せ付けない実力と庭番式小太刀二刀流奥義「回天剣舞・六連」を放ち半死半生の重傷を負わせ、居合わせた操に志々雄のアジトで抜刀斎を待つと言伝を残す。
だが本来なら十分に殺せていたはずの念至が生きていたことで剣心は蒼紫が完全な修羅にはなりきっていないことを看破した。

その後志々雄のアジトにて、剣心と再戦。剣を抜くよう求めるが「(操に)連れて帰ると約束し、再戦を誓ったのは『四乃森蒼紫』であり、修羅であるお前ではない」と拒否する剣心の言葉を詭弁と一蹴し猛攻を仕掛けて無理矢理抜刀させ、そのうえで倒そうとする。
しかし蒼紫の命を捨てて決闘に挑む態度に激怒し、本気を出した剣心の「生きようとする意志」の前に徐々に押され始める。
さらに、剣心から「四人の部下のためでなく、四人の部下のせいにして凶剣を振るっている」と自分の無念からの意地が部下達を悪霊にしている事実を指摘されて動揺し、ムキになって一方的に剣心を攻撃するが、
操が蒼紫の代わりに御庭番衆御頭を名乗って懸命に御庭番衆を守ろうとしていること、そして剣心が蒼紫を連れて帰ると約束した時に涙を流したことを告げられ、失ったかつての誇りを取り戻すよう鼓舞され、
葛藤の末に観柳の用心棒に流れつく以前……かつて操が憧れ、般若たちが頭として慕った、本来の「御庭番衆御頭・四乃森蒼紫」としての誇りを…瞳の輝きを取り戻した。

そして晴れてお互い全力で奥義を撃ち合い、“分厚い”紙一重を感じながら剣心に敗北。しかしその顔は、どこか清々しいものだった。

剣心との戦いに敗れた後、斎藤と再会しアジトの見取り図を渡され、彼の胸中を知って過去に縛られていた己の在り方を悔やみ「戦うべき時は今」という決断を下す。そして志々雄と剣心の最終決戦場まで赴き、一度は志々雄の技の前に倒れた剣心のために時間稼ぎをする。しかし剣心との闘いで満身創痍だった為志々雄には全く歯が立たなかったが、彼が稼いだ時間によって剣心は再び立ち上がる事が出来た。
志々雄との決着がついた後は傷を癒し、禅寺で座禅を組む日々を送る。いつか酒を交わそうという剣心の誘いを「俺は下戸だ」と断り一度は落胆させるが、かわりに「茶の湯ならばいずれ付き合おう」と述べ、
東京に帰る剣心たちと別れる。やはりツンデレの気があるのかもしれない。酔いつぶれて操に食べられる薄い本の執筆が待たれる

ちなみにその剣心との茶は、原作では人誅編ラスト、アニメ版ではオリジナルエピソードで実現する。
アニメ版の茶席では剣心は足を痺れさせ、胡坐をかいた姿勢のままひっくりかえってしまった。


余談だが、京都編で蒼紫が後半まで敵だったのは、読者から「どうせ蒼紫はなんだかんだ言って味方になるんでしょ~?」と言われて、
「だったら敵にしてやる!」と作者がマジになっちゃったせいである。
つまり作者的はツンデレではないらしい(ツンツンツンツンデレくらいかもしれないが)。
ただし、「おかげで馬鹿長い京都編がさらに長くなった」と後悔したとか。
ちなみに蒼紫に限らず、和月作品のライバルキャラは目的が一致すれば共闘してくれるが、基本的に相手との決着を諦めないパターンが多いため、
作者自身そう簡単にデレるようなライバルを好んでいないように思える。


人誅編にて、の日記を持ってくる操の付き添いとして、衣装を変えて再々登場。
この頃になると、初登場時と比べると別人にしか思えないほどデザインが変わっている(作者の画力の向上にもよるが)。
神谷道場の決戦には間に合わなかったため、と剣心の初戦には立ち会わなかった。
また薫の死にも直面せず人から聞いただけだったので、「薫を剣心の目の前で殺すのが一番剣心の心にダメージを与える事が出来るはずなのに、
何故剣心はおろか仲間の誰一人にも殺害の瞬間を見せなかったのか」という疑問点に気付き、
さらに御頭を引き継いだ際に読破した書物に屍人形に関するものがあった事を覚えていたため、薫の死体は屍人形であったという可能性を提示。とんだ名探偵が近くにいたものである
そして墓地から死体を掘り起こして体を抉り、明らかに人体にはあり得ない部品を取り出して屍人形である事を証明し、一行に一縷の希望をもたらした。やり方はこの上なくドス黒い外道だったけど。

その後屍人形を回収しにきた外印と交戦。
多くの読者の夢を粉々に砕いた後に「御庭番衆の最後を締めくくる御頭として外法の悪党は外法の力を以て葬る」という信念のもと、外印を殺害。
味方キャラの中では唯一、敵とはいえ人を殺している(斎藤を含めれば二人目)。
なお、この件については蒼紫個人の信念として、剣心も認めている(あまり殺し過ぎるな、とは言っているが)。
一方で「帰りを待っている者(操)がいる」とあくまで生きて帰ろうとする前向きな発言をするなど、改めて修羅となっていた頃との違いを見せたりもしている。
ちなみに外印からは「志々雄のアジトで見た時とまるで別人、これが奴の真の実力ということか」と言われており、京都編の時より強くなっているらしい
剣心が「生きようとする意志は何よりも強い」という境地に至り、「抜刀斎を越えた緋村剣心」となったように、
蒼紫もまた同様の境地に至り、「修羅を越えた四乃森蒼紫」となったのであろう。

縁のアジトがある孤島の浜辺では朱雀と対戦。奥義である回天剣舞・六連まで完全にコピーされ、小太刀を弾き飛ばされて絶体絶命のところまで追い詰められるも、
拳法で顔に一蹴り入れ、更に「模倣は極めようと所詮は模倣 独自の柔軟な工夫を前にはたやすく地金を晒す」「自分の剣故に太刀筋は百も承知」といって(考えてみりゃそりゃそうだ)朱雀の武器を破壊、見事撃ち破る。「殺すにまるで値しない」とあえて命は見逃した。

剣心と縁との決着がついた後は剣心との茶の約束を果たし、東京編で亡くした仲間たちを改めて埋葬するため、「みんな」と一緒に京都へと帰っていった。
「安息」の地と、愛でるべき本当の「花」と共に…。

明治16年時点では、外印との戦いの中でも漏らしたように、戦いから身を引き葵屋の主になっていた……が、
北海道編時点では御庭番衆内部で何らかの不祥事が起きたらしく、それに始末をつけるべく葵屋を離れており、現状剣心の支援要請に応えられない状況にある。





モデルとなった人物は新選組鬼副長・土方歳三であり(蒼紫が下戸な設定もここから)宗次郎や左之助の例に漏れず本編に描かれた土方は蒼紫のそっくりさんである。
いくら作者の遊び心と言え、死んだ仲間に似た人物がこれだけいて発狂しなかった斎藤一は流石としか言いようがない。
ちなみにトレードマークのロングコートだがモチーフはX-MENのガンビット*2である。これは作者がアメコミ好きのため。
初登場時は中央の前髪がなく、額が丸出しだったが、その後登場する度に左右の前髪が閉じて行き、剣心との初戦時にはほとんどメカクレに近いほど長い前髪になっていた。
作者曰く、描き直そうかとも思ったが、笑えるのでそのままにした、とのこと。 


■戦闘力

御庭番衆の中でも天才と称されるだけあって剣心や斎藤らに匹敵する戦闘能力を持つ。
防御に向く小太刀を用いた剣術を得意とする。また、般若の師であるため拳法・体術にも長けており、素手で刀剣を叩き折るなど、得物が無くても高い攻撃力を持つ。
取り回しの利く小太刀で鉄壁の防御を布き、拳法で攻撃するのが基本スタイル。剣心レベルの猛者であってもその守りを崩す事は容易ではない。

再登場後には先代御頭と同じ「御庭番式小太刀二刀流」を独学で習得していた(念至の見立てではその技は既に先代を超えている)。
ちなみに二刀小太刀は一本の鞘の両端に納め、一本の長刀に見えるよう偽装している。

□技

  • 流水の動き
流水の如く緩急自在の動きで敵の攻撃を避けつつ視覚を惑わせる独自の体術。剣心も捉える事が出来ず、破るには攻撃に移る際の一瞬の変化を見切らねばならない。

  • 回天剣舞(かいてんけんぶ)
流水の動きから敵の隙を見切り、高速回転しつつ一瞬の内に三度斬撃を繰り出す。
初登場時の必殺技であり、その威力は鉄拵えの鞘をあっさりと輪切りにしてしまうほど。江戸城警備の頃にはこの技で刺客を悉く葬ったらしい。
勘違いしやすいが回剣舞ではない。

  • 陰陽交叉(おんみょうこうさ)
小太刀二刀流の技。斬り付けた片方の小太刀の峰にもう一方の小太刀を垂直に撃ち込み対象を一気に両断する。
作中では念至の鋼鉄製トンファーを両断するほどの威力を見せた。

  • 陰陽撥止(おんみょうはっし)
小太刀二刀流の技。小太刀の柄尻にもう一方の小太刀の切っ先を当てて撃ちだし対象を射抜く飛龍閃と同系統の技。
一本目の小太刀の後ろに全く同じ軌道で二本目の小太刀が隠れているため防御が難しく、たとえ二本とも回避しても無防備になったところに蒼紫の体術による追撃が待っている。
また、二本とも交差して刺さる(抜きづらくなる)ように撃つ事も可能。これと小太刀に結び付けた鋼線のコンボで逃げようとした外印を捕まえて事実上トドメを刺した。

  • 呉鉤十字(ごこうじゅうじ)
小太刀二刀流の技。二刀を交差させ鋏のように斬り付け対象の頸動脈を切断する。

  • 回天剣舞・六連(かいてんけんぶ・ろくれん)
御庭番式小太刀二刀流奥義。名前の通り回天剣舞の強化版であり、回転の方向を左右どちらにもすることが可能になったことで攻撃の起点を見切らせないようになっている。
威力自体も凄まじく、本棚や樹木を一瞬で細切れにし、無意識の手加減が働いていた状態でも翁を半死半生に追い込むほどの重傷を負わせた。
回天剣舞に比べると作中での使用頻度は高い反面、翁戦以外では決め技になったことが無くイマイチ凄さが伝わりにくいが、喰らった後の翁のあの状態を見れば
気軽に対人戦でヒットしたらマズイ事はお分かりになると思われる。




■再筆*3では


もしかして:アシュヒト・リヒター

という状態になっている。再筆でもイメチェンですか……ちなみに土方の方はデザインはあまり変わってない。
正確には再筆版蒼紫の方が先で、このデザインがアシュヒトに流用されたのだが。
設定に大きな変更点はない。
アシュヒトそっくりな事に目が行きがちだが、よく見ると左胸に核金にしか見えない胸当てを付けている
…まさかあの核金が二刀小太刀になるとでもいうのだろうか…



■実写版

二作目「京都大火編」から登場。
演者は伊勢谷友介。
原作通りロングコートを着ているが、最初から二刀小太刀を使用。
また、左之助を素手でボコボコにしたりするなど、身体能力は化け物じみたものになっている*4
「倒幕時に部下を喪って以来、御庭番衆に最強の名を取り戻すことだけを目的に抜刀斎を探し彷徨っていた」という設定になり、原作よりも不気味な雰囲気に。

京都大火編では剣心を追い東京から京都へと向かい、京都大火の最中葵屋で翁と交戦。
最終的には勝利するものの原作以上に苦戦し、剣心が薫を追って市街を離れたため挑戦は空振りに終わる。

そして「伝説の最期編」の中盤でようやく剣心本人と対面し勝負を挑むが修行を終えた剣心に敵わず敗北を喫する。
なお、この時剣心は途中で鞘を手放しており、原作と違い天翔龍閃ではなく九頭龍閃で倒されている。
その後は葵屋で介抱され、翁を死に追いやった自分に生きるよう告げる操の言葉によって考えを改め、終盤煉獄での志々雄戦に乱入し剣心を助けた。

原作に比べより「修羅」に堕ちたイメージで描かれているが、剣心本人との因縁や志々雄一派との絡みなどが無くなったことで、原作とはかなり異なる立ち位置になっている。



ならばせめて「追記・修正」というあでやかな華を項目に添えて、良項目に換えてやりたかった。

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