登録日:2009/09/06(日) 17:44:44
更新日:2024/02/22 Thu 22:45:40
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メアリー・スーとは、二次創作にて使われている用語の一種。
定義は無限に存在する(後述)が、主に「原作ファンによる二次創作の中に登場する、原作の主要キャラクターよりも格段に優秀な、作者の分身であるオリジナルキャラクター」などを指す。
そこから転じて、一次二次問わず
気に入らないキャラクターに対する蔑称
として使われることが多い。
更に転じて「メアリー・スーに
自己投影している作者や読者は幼稚」などとして
気に入らない作品の作者とファンに対する罵倒
として使用されることも。
語源は1973年に出版された同人誌「Menagerie」2号に掲載された、
『スタートレック』の二次創作小説『A Trekkie's Tale』
(和訳するならば、「スタトレオタが書いたよくある話」)に登場するオリジナルヒロイン
「メアリー・スー大尉」。
このメアリー・スー大尉、15歳と艦の中では最年少かつ最優秀、原作に登場するエンタープライズクルーらから尊敬や愛をよせられ、
死ぬときは劇的に死んで全員が悲しみに包まれる等々、とんでもないチートキャラなのである。
ちなみにこの作品、当時のファンジンに氾濫していた「ぼくのかんがえたりそうのオリジナルキャラクター」に対する皮肉であり、
その総ページ数はなんと
半ページ
。「『この手の主人公』の登場する作品は往々にして語るべき内容が何もない」という所まで含めての完全なネタであり、そして痛烈なブラックジョークでもある。
メアリー・スーといえば、このメアリー・スー大尉のようなキャラクターを指す。
例えば、作者の「目立ちたい、ちやほやされたい」という願望が露骨に感情ダダ漏れなまでに反映された、
- 原作のストーリー・世界観・キャラクターなどの設定を根本的に破綻させてしまうオリジナルキャラクター
- 原作のキャラクター、あるいは他のオリジナルキャラクターよりも強く、
優秀で英雄的な活躍をし、自分ひとりであらゆることをやってのけ、なんでも解決し、原作の主要キャラから慕われ、異性と恋愛関係になるようなキャラ
が言われることが多い。
他にも世界観を破綻させずとも、「そのキャラクターの都合のみで世界の全てが回っているようにすら見える状態に陥ったキャラクター」や
「自己愛的で作品を破綻させているオリジナルキャラクター」を揶揄する意味で使うこともあり、
究極的にはメアリー・スーの定義や本質などというものは存在せず、呼ぶ方が好き勝手に言ってるだけといえる。
なので当然「ある読者にとってはメアリー・スーに見えるが、ある読者にとってはそうではない」ということもありえる。
このようにメアリー・スーは負の意味合いが強いので、なんでもかんでもメアリー・スーとして叩くという風潮にはなってはならない……のだが
実際は「メアリー・スーに見える」というのが、完全に
読者の主観でしかない
ため、メアリー・スーを行う作者と同じレベルでの
キャラ叩きや、前述のように「メアリーを書いているのでこの作者やこの作品を好む読者の人格は陳腐で未熟」といった作者叩き・読者叩きの口実に使いたがる
悪質な読者(あるいは読者ですらない人間)が多いのが現状である。
また、「言葉の定義は時代によって変わるのだから、今ではあらゆるものに対してメアリー・スーと呼ぶのは正しい」などとして
メアリー・スー認定の正当性を主張する人間もいるが、これは論点が全くもってズレてしまっている。
例えば他人を「
デブ」とか「
厨房」呼ばわりしている人がいるとしよう。詳しい定義や詳細やモラル等はそれぞれの項目を読んでもらいたいが、
それらを侮蔑を込めて
勝手に認定すれば、定義が正しかろうが
周囲からの「他人を蔑称で呼ぶ人」というそしりは免れないだろう。
本当に正当でありたいなら、安易なメアリー・スー呼ばわりはかえって発言の信頼を失うことになるので、
「言葉は乱暴だが真意をくみ取ってほしい」と他人の忖度や気持ちの推し量りに依存し甘えるのではなく、最初から言葉を選んで発言した方が何倍もマシなのである。
また『A Trekkie's Tale』の作者であるポーラ・スミスは2011年のインタビュー『A conversation with Paula Smith』にて
結論としてメアリー・スーの心理的な意味は「突然力を見つけた10代の少女の代表」「(作家あるいは読者側の)思春期の女性的魅力の発露」と位置付け、
そして「ジェームズ・ボンド」「スーパーマン」「ドック・サヴェジの映画」などを男性サイドのメアリー・スーの例としても出している。
このインタビューでは、どちらかと言えば上記の作品を総じて「女性と向き合えない思春期の若い男性」が作る作品、あるいはそれら向けに作られた物だからこそ男性版のメアリー・スーであるとポーラ・スミス氏は定義しており、
つまるところ氏の見解においてはメアリー・スーとは決して二次創作に限定された概念でもなければいわゆる『チートキャラ』であることが主軸でもなく、文化と性差と思春期の概念の方が強く絡む
というような、是非はともかく色々と相当ショッキングな内容の提唱をしている。
更に言うと男性的なメアリー・スーは読者や視聴者から気付かれにくいんだとか。
だがしかし、メアリー・スーを創り出した当事者が言っていることとはいえ、これらの言葉が100%、完全な正論であるかどうかは、また意見の分かれるところだろう。
正直なところ、アメリカなどの国々で広まったメアリー・スーの用法と、日本で広まったメアリー・スーの用法とはだいぶ食い違った側面や変遷も多く、どの国のどの解釈が新しく何が正しいのかと一概に言えない複雑な形となっているのが現状と言える。
■主なメアリー・スー
▽メアリー・スー
二次作品に登場する、作者自身を都合よく理想化させたかのような「ぼくのかんがえたりそうのオリジナルキャラクター」。
原作のどのキャラより強くて優秀、原作主人公の活躍を殆ど奪って人気のヒロインとカップリング・ハーレムさせる…という、見る人によっては非常にアイタタ...なキャラ。
これが登場する場合原作主人公はオリキャラの引きたて役になる事が殆どであり、場合によっては小悪党めいたライバル、酷い場合は登場すらしない事も少なくない。
二次小説投稿所で「オリキャラ最強系」といった説明がなされている作品はこれが登場することが多い。
これが『A Trekkie's Tale』にて書かれたメアリー・スー大尉に近いものだが、何をもって「メアリー・スーっぽい」とするかは解釈が分かれ、
「一次創作のキャラクターはメアリー・スーではないのでは?」「自己投影キャラでも、原作キャラを引き立てる控えめなキャラならセーフ?」
「メアリー・スーでも面白ければいいんじゃないの?」「面白くないキャラだけをメアリー・スーと呼ぶのでは?」などと議論の的になり、明確な定義は存在しない。
▽原作改変メアリー
オリキャラではないものの、原作の登場人物の人物像が作者に都合よく改変されるタイプ。
原作の好きなキャラを上記の「メアリースー」化させ、自己理想投影を満たしつつ「オリキャラじゃないよ!」という言い訳に使われる。
また「メアリー化」させたキャラの都合のいいように他のキャラをも改変する事も少なくない。
原作の世界とは別の異世界で活躍したり、黒化・ヤンデレ化のように原作と違う性格になったり、生活環境や人間関係が原作と違う状況に置かれたりする。
改変されたキャラを原作と比較すると「同じ姿をしているだけの別人」な状態になっていることが多い。
また、作者及びメアリー・スーの恋愛対象として既存の登場人物が理想化される場合もある。
改変されたキャラの原作設定を考えると明らかに好みじゃない相手に惚れることも。
▽作者登場
作者本人が作品に登場するパターン。推理小説系作品などに多い。
ギャグ系の版権作品でたまに見られる「ナレーションと登場人物の掛け合い」を模倣したパターンもあるが、
形式を猿真似しただけだと極めてサムく作品のテンポを悪くするだけで終わる。
メアリー・スーの極端で露骨な例。
▽アンチ・メアリー
本来のメアリー・スー(という言い方も変だが)とは逆に、醜かったり原作の主人公達から嫌われていたりするパターン。
つまりギャグの一種だが、上記のパターンと真逆の方向性になっただけで結局原作の世界観や雰囲気を壊している場合も少なくない。
虐げられるアンチ・メアリーに作者が自分を投影する、「私ってなんて可哀想!」な自己憐憫タイプの場合もある。
後述の「メアリー・スーパロディの敵キャラ」もメアリー・スーへのアンチという意味でアンチ・メアリーと呼ぶことがある。
▽原作メアリー
「メアリー・スー」という語句は二次創作において使われることが多いが、以下のようなパターンで使用されることがある。
- 原作者のお気に入りが行き過ぎた、あるいは原作者の価値観に基づいて「このキャラ(性別・年齢世代等々)はこうあるべき」というフォーマットを押し付けるキャラ。
要は「舞台裏の作者の意図として規範を示しているキャラ」のこと。特にメアリー・スーで指す場合元ネタのメアリー・スーの設定から「(大人側の考える大人に都合の良い)理想のティーン世代のステロタイプキャラ」を指している場合が多い。
- 公式作品において登場するキャラに、「作者の思想を代弁している」「スタッフのお気に入りで展開上贔屓されている」「新作から出た新キャラなのに活躍しすぎ」など
なんらかの理由をつけて使う。発言者によって意味合いが千差万別であるため特定の定義はない。- なお、メアリー・スーの発祥元と言えるスタートレックのTVドラマ2作目にもここに該当する(と指摘されることのある)キャラクターがいる。
その他、ただ単純に気に入らないキャラを叩く口実の為、便利な言葉としてメアリー・スーと呼ぶ人の存在のせいで、無限に「これがメアリーっぽい」という定義がある。
メアリー・スーに含まれる要素というのは創作物においてはある程度混じらざるをえないので、なんでもメアリーと呼ばれる可能性がある。
上で挙げたほかに「メアリー・スーである事そのものをギャグ要素や物語の前提条件として扱う」ケースもあるが、ストーリー上の必要性があるため、含めるかは疑問が残る。
■読み手の皆様へ
嫌いなものをメアリースー呼ばわりするのをあなたの自由ですし、メアリースー呼ばわりを嫌うのもまたあなたの自由です。
■書き手の皆様へ
正直メアリースーかどうかなんてどうでもいいですよ。
あなたが好きなものを書けばいいです。
■メアリー・スーを題材にしたキャラクター(個別)
メアリー・スーは知名度が高くインパクトもあるため、一次二次問わず物語の題材にされることが多くある。
特に、「メアリー・スーをイメージした敵キャラ」は悪役として一定の類型がある。
小説家になろうおよびウェブ小説全般では、二次創作の「アンチ・ヘイトもの」の流れから、
「よくあるメアリー・スー」を出して、それにヘイト(読者の憎しみ)を集めて倒すことが慣例・テンプレとなっている。
このキャラは俗に「かませ勇者」「踏み台転生者」などと呼ばれ、ヘイトキャラが惨めに負けるパターンは「ざまあ展開」などと呼称される。
かませ犬の項目も参照。
こうした「メアリー・スーパロディの敵キャラ」の特徴は、以下のようなものが挙げられる。
- 神に与えられたチート、たまたま発現した超能力など、「自分のものではない凄い力」を持っている。
年齢は若者。「1000歳以上」などの設定でも、外見と思考は若者。
- 主人公を見下したりヒロインにちょっかいを出す、レベル上げと称して無害な魔物を虐殺する、
正義の名の元に味方や非武装の市民を殺す、異能を犯罪に悪用するなど、読者のヘイトや嘲笑を集める行動をする。
- とてつもないマヌケで、思考が幼稚。特に、「チートを持つ自分は神に選ばれた主人公だ」などの根拠のない万能感に満ちている。
力に精神を汚染されていたり、黒幕に洗脳されていいように利用されていることも。
- 行動が極端。感情的で行き当たりばったりか、柔軟性がない教条主義者。深く考えることをせず、説得は通じないが挑発や策には簡単に乗る。
- こんな愚物なのに社会からは力だけで「選ばれし存在」とされ、周囲に称えられたり異性にモテる。
- 作中で精神的に成長せず、いいところのないまま最後は無残に死ぬ。読者に「ざまあ」される
簡潔にまとめると「運よくパワーを得ただけで知能も経験も何もかも足りてない子供」である。
こうしたパロディキャラの属性が「普通の敵キャラでもよくある属性」と被る部分が多いのは、メアリー・スーの属性とされるものが通常の主人公の属性とも類似していることと同様である。
また、実際のオリキャラ(メアリー・スー)としては「パワーは弱いが観察眼のある策士」「
古武術などを極めた実戦経験豊富な大人」
「高い組織力を持つオリジナル大組織の一員や長」「社会的には評価されていないが格上食いの力を秘めている人間」など、
チートを派手に振り回す子供とは真逆の、いわゆる
異能者と戦える一般人的なものも厚い人気があるが、
これらはメアリー・スーパロディの敵キャラの属性としては付加されず、「メアリー・スーを倒す側」の属性として採用されることが多い。
このようにメアリー・スーを敵としてヘイトを集めて攻撃する内容こそ、
「メアリー・スーだらけの創作界隈」を皮肉りたい、批判して称賛を浴びたい作者の願望が強く現れたキャラクターが、
都合のいい悪役として歪められたメアリー・スーをやっつけて周囲から称えられる物語…すなわち“メアリー・スーそのもの”になる危険性を孕んでいるのは、なんとも皮肉なことではある。
もちろんメアリー・スーがそうであるように、メアリー・スーのパロディも要素そのものや作者の願望などは重要ではなく、面白くなるかは物語次第ではあるのだが。
サイズ:2 / 打撃力:2 / 攻撃力:4000 / 防御力:3000
クラン:マジックW 属性:魔術師
■【コールコスト】ゲージ2を払う。
■“無敵の奇跡”このカードが登場した時、君のデッキから魔法1枚までを手札に加え、デッキをシャッフルする。
【何でもできると皆は言うけど、恋は一人じゃできないわ。】
マジックWにはゲージ1でカードを2枚ドローするナイスワン!(最高だぜ!)やノーコストでゲージを2枚増やせるソロモンの書 上巻、
次の相手ターンをスキップするというチート魔法、
大魔法グランドファーザーズ・クロックなどの優秀な魔法カードが存在するためマジックWを組むなら是非4枚投入しておきたい優秀なユニットであるが、
その分レアリティも価格もお高めで、どこの店でも平均1枚2000円前後はする模様。
同じくほぼ必須カードでありながらレアリティが高くほとんどのカードショップで1枚2000円を越える魔王アスモダイと合わせて、
『マジックWは拝金クラン』と呼ばれる原因となっている。
ちなみに魔法カードであればクランがジェネリックでもサーチできる。
こちらも条件はあるがほぼノーコストでゲージを2枚増やせるバディチャージや、
ゲージ3とコストは重いもののカードを2枚ドローできるバディヘルプなどの優秀なカードが存在するため、
ジェネリックとの混色デッキにするならば有用な働きをしてくれるだろう。
色々と曰くのあるこの名前を
商業、それも子供向けコンテンツで使ったことについてはそれなりに反響があったらしく、
当時原作者だったコマンダーIは
「意外とみんな知ってるなー。つまり黒歴史を持つ者が多いという事か…安心しろ。物語を作った事がある人は、多分誰しも心あたりがある。」と意味深なコメントを残している。
メアリー・スーの怪物。
自分がメアリー・スーになれるように世界や人の精神を作り変える。
詳しくは項目参照。
幼女戦記のキャラクター。
いわゆる「かませ勇者」の系譜である。詳しくは当該項目を参照。
激突のヘクセンナハトのキャラクター。
生まれた世界の作者の姉(主人公)の教え子にして、彼女の「罪」を糾弾する滅びた世界の生き残り。
名前の由来が本名「メア氏族のリース」と、「海外ドラマの2次創作最強キャラメアリー・スー」(2巻カバー裏SS)から来たものという「メアリー・スー」語源のオマージュになっている。
■類語、関連用語
▼デウス・エクス・マキナ
古来より演劇で用いられてきた、展開が錯綜するなどして複雑化した物語を「絶対的な力を持つ存在(神)」によって収束させる技法、及びその登場人物のこと。
「機械仕掛けの神」という意味合いだが、これは概ね解決役である神を演じる役者が舞台装置に乗って「天から降りてくる」登場をすることが由来らしい。
(なお、味方側・ハッピーエンド型だと「デウス」だが、悪役側・バッドエンド側だと「ディアボルス・エクス・マキナ」とも言う)
「解決困難な状況を絶対的な力で解決する登場人物」という意味合いでは、チートじみた能力で難局を乗り越えるメアリー・スーと似通ったものがあるかもしれない。
ちなみにこういう物語の収束法は、その技法が生み出された古代ギリシアの時代で既に「褒められたやり口ではない」と批判されていたりする。
▼
主人公補正、俺TUEEEE
一次創作において「主人公が強い、活躍する」ことを揶揄する用語。
▼最低SS
二次創作用語の一種。最低系とも。
厳密な定義は難しいのだが、「メアリー・スーが出てくるSS」は最低SSの一種とされることが多い。
▼
チートキャラ
当wikiの定義においては公式設定の時点で人智を超えたスペックを持つキャラのこと。詳しくは項目を参照。
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