ネイサン・グレーブズ(悪魔城ドラキュラ Circle of the Moon)

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ネイサン・グレーブズ(悪魔城ドラキュラ Circle of the Moon) - (2014/09/16 (火) 19:55:18) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2014/09/16 (火) 10:52:57
更新日:2023/08/08 Tue 12:22:42
所要時間:約 10 分で読めます





そのときには、また俺達がいる。…安心して消えるがいい





ネイサン・グレーブズはGBA専用ソフト『悪魔城ドラキュラ Circle of the Moon』(以下『月輪』)の登場人物。



✝概要✝

本作の主人公。1830年(*1)、オーストリア郊外の古城で執り行われようとしていた魔王ドラキュラ復活の儀式を阻止すべく、
師・モーリス・ボールドウィンとその実子である兄弟子・ヒューと共に駆け付けた
ヴァンパイアキラー(この作品においては鞭ではなく吸血鬼を狩る戦士の意)の青年。

物語が始まる10年前(1820年)、魔王ドラキュラを封印した戦いにおいて同じくヴァンパイアキラーだった両親を亡くしており、
両親の同志であったモーリスに引き取られ彼の下で育った。自身もヴァンパイアキラーとしての道を志し、
モーリスの下でヒューと共に修行した末にその後継者としての称号とハンターの鞭を継承している。

間一髪でドラキュラの復活をいつもの如く許してしまい、
ネイサンはヒューと共に奈落の底に落とされ、モーリスも敵の手に落ちてしまう。
絶望的な状況下で、彼は独り(ヒューはさっさと先に行っちゃった)囚われた師を救い、
ドラキュラを再び封印するため闇の牙城へと挑むのだった。

『悪魔城ドラキュラ 月下の夜想曲』に続く探索型アクション作品にして、
GBAにおける悪魔城シリーズでは最初の主人公。ベルモンド家では無いが基本武器は鞭を使う他、
後述のDSSによる多彩なスキルを使用可能。この基本アクション+固有システムによるバラエティ豊かな能力という構成は
『白夜の協奏曲』スペルフュージョン来須蒼真を主人公とするシリーズの『ソウル』、
『奪われた刻印』グリフといった形で後続作品にも定着することになる。

テーマBGMは『AWAKE』。カード使い『覚醒』だからって小錦LOVEは関係ない。
基本的に月輪のBGMは過去作の名曲のアレンジをそのまま流用してくるという
やる気の無い懐かしさ重点の構成なのだが、これは新規のうえ良曲としてプレイヤーからの評価も高い。


✝人物像✝

アニメ絵風と劇画調の中間的なビジュアルをしており、やや童顔だが身体はマッチョ(首とかすごい)。
固めに尖った銀髪ツンツン頭緑の眼を持ち、悪魔城シリーズの主人公には珍しくややタレ目気味。
ビリジアンの半袖シャツの上に寸の短いレザーベストを身に着けている他、
下半身の片側を覆う長い腰布に膝から下を覆い尽くした爆芯靴みたいなゴツいメタルブーツが特徴。
鞭も含めて装備の硬質と思しき部分がセラミックのような白色で表現されており、かなり近代的な印象がある。

ゲーム内ではシンプルながらきちんとしたキャラクター性を打ち出されている。
ただし、合成音の掛け声程度ならあるが、CVはいない。ハァッ!ポォゥッ!!アッー!

性格は誠実で正義感の強い王道主人公タイプ。
目的意識の強い前向きなタフガイで、予期せぬアクシデントで奈落の底から始まる冒険に対しても
不安や逡巡は微塵も見せず、終始『師匠を助ける』・『ドラキュラを倒す』という考えを軸に冒険を完遂した。
ネイサン「『両方』やらなくっちゃならないってのが弟子のつらいところだな 覚悟はいいか?オレはできてる」

心に陰りが無い反面、他者の悪感情に鈍感なところがあり、
兄弟子のヒューがハンターの鞭を受け継いだ自分に対して嫉妬を募らせていることにも
ドラキュラの呪縛で操られていたヒューが敗れたことで正気に戻り、自ら告白するまで全く気付いていなかった。

童話の『正直者の末の弟』的な良いヤツである。


✝能力✝

★DSS

ネイサンの骨子たる能力。詳細はこちらで。
…………長いよ?

★アクション

城内各所にある特殊アイテムを入手することで行動パターンが増えていき、最終的には

  • スライディング
  • ダッシュ移動
  • 2段ジャンプ
  • タックルによる障害物破壊
  • 壁を蹴っての三角跳び
  • 特定の重い箱を押して動かす
  • ハイジャンプ

と多彩なアクションで上に落ちる変態の仲間入り城内を縦横無尽に飛び回れるようになる。
なお、タックルには攻撃判定があり、一度で倒せなければ被ダメージ確定だが
同じ高さにある燭台を手軽に壊せるという利点もある。



★ハンターの鞭

ネイサンが師より継承した退魔の力を持つ鞭。
ベルモンド家が代々受け継ぐ『ヴァンパイアキラー』とは無関係であり、劇中でもそう呼ばれることは無い。
白いグリップと鋭く尖った先端部が黒いケーブルでつながれたようなデザインをしており、
そのシャープな意匠はちょっと縄跳びのロープっぽいSF的ですらある。

本来はネイサンの家系でなくボールドウィン家の所有物だが、
血筋による世襲では無く持つべき資格のある者に適宜伝承されていくものである
(あるいはモーリスが個人的に下した決断という可能性もあるが)。

普通に相手を打ち据える他、手首のスナップを使って高速旋回させることで全方位から来る飛来物を払い落とせる。
また、魔力との相性が非常に良いらしく、作中ではDSSによって多彩な属性を付加することが可能。
鞭を通して接触した相手に魔力を流し込んだり先端から様々な属性の魔力弾を発射するなど、
優秀な武具であると同時にこれ自体が魔力を伝達・発現させるためのツールであるとも解釈できる。



★サブウェポン

シリーズ伝統のサブウェポンナイフ・斧・聖水・十字架・時計の5種が使える。
これらはDSSによるステータス変化や属性の影響を受けず、鞭のダメージを基本に与ダメージが計算される。
攻撃手段が豊富すぎて、過去作ほどの有難味がないのがなんとも言えないが、逆に鞭とこれらだけでもクリア自体は可能である。
プルートー+サラマンダーの組み合わせでハートを通常より多く消費して強力な攻撃を放つアイテムクラッシュが可能になる。
演出・性能ともに『悪魔城ドラキュラX』シリーズがベースになっているっぽい。



ナイフ
前方に一直線に飛んでいく。速度は速いが威力が低く、ボス戦などには不向き。
斧や十字架と違い、壁を貫通することはできず、一回敵に当たるとその時点で消滅する。
威力は鞭の20%。シューターモードではホーミング機能が付加される。
アイテムクラッシュは大量のナイフを連続して投げつける。方向キー左右で振り向き。ジャンプでキャンセルできる。



上方に放物線を描くように飛ぶ。
下から上の段にいる敵を狙ったり、飛んでいる敵に対して使いやすい。
ほぼ単発でしかダメージを与えられないが、ハート消費量が少なく意外にもコストパフォーマンスは良い。
敵や壁を貫通できるため、上手くやれば複数の敵にダメージを与えられる。威力は鞭の80%。
アイテムクラッシュは空中に浮遊した状態から 斧を8方向に飛ばす。


聖水
目の前の地面に投げつけ、聖なる炎でダメージを与える(属性は無いが)。
接触した相手には多段ヒットして大ダメージを与えられるが、対空性能が無い。
鈍い敵・身体の大きな敵に有効。ジャンプして投げると着弾地点が延びる。威力は鞭の40%。
アイテムクラッシュは画面全体に聖水の雨を降らせる。全画面の敵に連続してダメージが与えられるうえに、
一度出したあとは自由に行動可能。発生中は違うマップに入って画面が切り替わっても雨が降り続けるので、
攻撃チャンスに乏しいレアモンスターを始末するのに役立つ。



十字架
前方にまっすぐ飛んでいき、一定距離で折り返して戻ってくる。
折り返し地点に敵を重ねることで多段ヒットさせることができる強力なサブウェポン。
ハート消費量が多いが敵を貫通し、壁の影響も受けないうえ、最強の威力を誇る。威力は鞭の120%。
アイテムクラッシュはネイサンを中心に十字架が飛び交う。


時計
月輪の時計はかなり効果持続時間が長く、約10秒間も敵の動きを止める(または遅くする)ことができる。
リヒターが承太郎ならネイサンはDIOである。
ただし当然ながら殺傷力は無く、特定の敵やボス敵には効かない。ハート消費量も飛び抜けて多い(1度で20消費)ため、
使える場面は限られる。アイテムクラッシュはさらに長く時を止めていられるほか、誘導弾で敵を攻撃する。


+ 究極のアイテムクラッシュ?
サブウェポンを一切装備していない状態でアイテムクラッシュを使用すると、
宙に浮かんだ状態のネイサンから無数の輝きが放出されるという隠し技が使用可能。

・一発の威力はムチと同等
・大量に発射される(恐らく100発前後)
・敵の無敵時間が2フレーム前後(つまり延々と攻撃を喰らい続ける)
・ホーミング性能付き

…と驚異的な威力を誇り、巨大なボスなどは至近距離でこれを使うだけで瞬殺可能。
ただし、1度の使用につきハート消費は100とかなりのハイコストがかかり、
なおかつ1度でもサブウェポンを取るとサブウェポンの欄を2度と空欄に戻せないため、
絶対にサブウェポンをとってはいけないという制約が発生する。




✝華麗なるジョブチェンジ?✝

月輪のおまけ要素として、クリア後のデータを使ってニューゲームを選ぶ際、
最初の名前登録画面に特殊なコードを入力することによって
ネイサンのDSSカードやサブウェポン・ステータスなど能力(職業)が変化した状態でまた新たに最初からプレイできる。
1つのモードでクリアするごとに新しいモードが解禁され、ノーマルの『ヴァンパイアキラー』以外に
マジシャン、ファイター、シューター、シーフの4つのモードがある。


★マジシャン
通常モード(ヴァンパイアキラー)でクリア後、新しいファイルのネームを「FIREBALL」にして開始する。
最初からすべてのDSSカードを所持しているが、MPとINT(知性。MPの自然回復スピードを司る数値)以外のステータスが軒並み低い。
DSS使い放題で楽しいけれど、苦労して手に入れたわけでもないのでちょっと後ろめたい。


★ファイター
マジシャンでクリア後、新しいファイルのネームを「GRADIUS」にして開始する。
HP、STR(力。攻撃力を決定する数値)、DEF(防御力)が2倍だが、DSSカードが一切出現しない。
つまりガチガチの脳筋モード。一番悪魔城らしいかも。実は単にクリアするだけならこのモードが一番ラク。
…しかし、GRADIUS(剣)って入れておいてDSS使用不可だから剣を装備できないっていうのはなんなのだろう。


★シューター
ファイターでクリア後、新しいファイルのネームを「CROSSBOW」にして開始する。
ハートの最大値が増え、サブウェポン使用時のハート消費量が通常の1/2になる。
また、通常サブウェポンはDSSによるステータス変化や属性の影響を受けないが、
このモード時のみサブウェポンの威力がSTR依存に変更し、各種装備による底上げが容易となる。
ナイフを所持時、連続使用することでホーミングナイフ投げることが可能になる。
ただし、ステータス自体は軒並み低め。


★シーフ
シューターでクリア後、新しいファイルのネームを「DAGGER」にして開始する。
全般的なステータスは低いが、LCK(運。ドロップアイテムの出現確率を司る数値)だけが異常に高い。
アイテムを有効活用しなければクリアは難しい。



✝余談✝

★プロローグイベントでの落下イベントでざっと目測して縦200mはある穴に落下しておいて
普通にスタッと着地⇒「…どうやら怪我は無い様だ」で済ませるあたり、
フィジカルが人間じゃない。その靴がいいのか?


★DSSがカードを使ったシステムになったのは、当時(2001年)人気が高まっていたTCGの流行に乗ってのこと。
ただし、Systemと銘打たれているようにこれはあくまでゲームのシステムとしての呼称であり、
実際にストーリー内でネイサンがカードを媒体にした魔術を用いる修行を云々といった説明が出てくるわけでは無く、
カードがストーリー上重要な役割を果たすというようなことも全く無い。

何の前振りも無く敵(それも単なるザコ)の落としたカードを拾って組み合わせたら特殊効果発動というDSSの扱いは
悪魔精錬士である主人公の能力がドラキュラ打倒の鍵になっている『闇の呪印』や、
主人公しか扱えない究極のグリフを追うことが当初の目的である『奪われた刻印』などの後続作品に比べると
ややキャラとの一体感に欠け、ストーリーの流れからも浮きすぎている感がしないでもない。
その辺りがなんとも過渡期の作品らしくもある。

「俺だって、良項目を建てたい気持ちは誰にも負けちゃいない!」

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(*1)『月輪』は『悪魔城ドラキュラ黙示録』シリーズと同じ
コナミコンピュータエンタテインメント神戸の開発作品であり、
ベルモンド一族とドラキュラの闘争を描いた本家シリーズとは世界観や歴史が異なる。