SCP-1233

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SCP-1233 - (2020/06/11 (木) 11:15:04) の編集履歴(バックアップ)


登録日:2019/3/11 (月曜日) 10:00:00
更新日:2024/03/05 Tue 10:30:27
所要時間:約5分で読めます






御機嫌よう、お嬢さん。私はムーン・チャンピオン、 (ムーン)闘士(チャンピオン) にして宇宙正義の擁護者、そして邪悪の破壊者である。



SCP-1233は海外のシェアワールド「SCP Foundation」に登場するオブジェクトの一つ。
項目名は「The Lunatic(ルナティック)」 オブジェクトクラスは最も収容難易度の高い「Keter」に分類されている。

説明

こいつが何かというと、EMUタイプ宇宙服を着た人型の実体である。つまりまんま宇宙飛行士。
SCPで宇宙飛行士と聞くと、SCP-1959SCP-2585のようなどことなく正体がはっきりしないイメージがあるが、こいつの場合はそういうのは全くない。
というかむしろ別の意味でわけがわからないのだが。

SCP-1233は普段は地上に存在せず、4~5年の周期で地球にやってくる。この事象は通称「到着イベント」と呼称されている。

まずこいつが遙か上空から流れ星のごとく落下してくる。のっけからおかしい。
そのまま地上に到達してドデカいクレーターを作った後、こいつは最も近くにある人口密集地に向けて移動を始める。
とはいえまっすぐ進むというわけでもなく、
  • 周りにあるものを調べる。
  • バッタや蝶などの虫を追いかけ回す。
  • 動物に話しかける。
  • ただただ突っ立っている。
このような行き当たりばったりの行動を繰り返しながら移動する。
そうして村や町にたどり着くとより多くのものに興味を示し、本格的な活動を開始するわけだ。


まあ見ればわかるだろうが、こいつのしていることはいわゆる惑星調査である。
多少過激な部分もあるが、一見ではそこまで脅威が高くは見えないかもしれない。

・・・しかし、こいつが例の椅子お天道様のような収容不可能なだけのKeterで済むわけがないのはお察しの通りだろう。
確かにこいつ自身は人類に敵対的ではないしむしろ友好的なのだが、それが逆に厄介になってしまうレベルの致命的な問題を抱えているのだ。


ざっくり言うと、SCP-1233は精神的にも物理的にも全くと言って良いほど常識が無いのである。


奇行の数々

まず危険なのがその身体能力。
こいつは一度に60t以上の重量を持ち上げ投げ飛ばすことができる。
更に背中に装着されているジェットパックを使えば時速40500km(音速の30倍以上、というかアポロ宇宙船と同等以上≒月と行き来するに充分)という速度で移動が可能であり、その状態で急加速、急減速もできる。
もちろんどんな無茶な運動をしてもこいつは平気。いくら暴れても全く疲れる様子はないし燃料切れも起こさない。

SCP恒例の超耐久も完備しており、銃弾どころか戦車砲や白リン弾を撃ち込まれても無傷。
マグマ風呂に頭まで浸かってもダメージなしという究極生命体をも凌駕する耐熱性を兼ね備えている。

性格については社交的ではあるものの、話に脈絡がなく口調も大げさで回りくどい。
おまけに拡声器を通してるのにめちゃくちゃ大声で話すので非常にうるさい。別の意味でコミュ障である。
更には好奇心旺盛な上に人間のような常識的感性が完全に欠如しているため、しばしば突拍子もない奇行に走る。

このタチの悪い性格と異常性が合わさった結果、ほとんどの場合SCP-1233がやってきた市街地では甚大な被害が発生するわけだ。
当然警察沙汰にもなるが、クソトカゲばりのチートスペックを持つこいつをどうにかできる奴がいるわけもなく、実質やりたい放題である。

こうして盗んだ自転車を山積みにしたり自動車を縦に積み上げたり消火栓に一騎打ちを挑んで殴り倒したりと暴虐の限りを尽くしたSCP-1233は、数時間経った後に突如ジェットパックをぶっ放して大気圏を脱出し、次の出現サイクルまで姿を消すのである。二度と来るな。
なんとも迷惑極まりない上、普通に死傷者もドカドカ出るので笑い事では済まない。

まあ財団世界にはこの手の人類と価値観がかけ離れている連中は山のようにいるので、こいつは話が通じるだけマシな方かもしれない・・・。
いや、マシだから良いという話ではないが。


当然こんなの収容できるわけないので、財団はこいつの出現を監視して機動部隊を送り、こいつが去った後に隠蔽措置をするという手段を取っている。
後手になってしまう気もするが、下手に介入するより野放しにしていた方が後々の処理も手こずらないのだろう。
というか一般人ではなく財団職員が接触を禁止されていることから察するに何かあったみたいだし。


ただしこれだけの被害を出していても、先述の通りあくまでSCP-1233自身は人類に友好的ではある。それだけが救いだろう。
これであいつとかこいつみたいな敵対性まで持っていたらマジで手が付けられない。


YOUは何しに地球へ?

そもそもSCP-1233はなぜ地球調査をしているのか?
上記の暴挙を見るとただふざけているだけな気がするが、どうも明確な目的があって来ているらしい。
2009年の出現において、一般人であるボブ・パーソンズ氏(32歳、パン屋)の会話からその詳細を聞くことができた。


その目的とはズバリ「月面戦争の協力者を募るため」である。
・・・お前は何を言っているんだ


もう少し詳しく書くと、曰く「月面には月人が住んでおり『月王国』という国もある」らしい。
そこで国を脅かす『月怪獣』という悪い敵と戦っているのだが押されており、一番近くにある地球に援助を求めに来たのだとか。

ちなみにこれは『月王国』の君主である『月王』の意志だとのこと。あと冒頭の台詞の通り、SCP-1233は自分を『ムーン・チャンピオン』と名乗る。
どいつもこいつもネーミングセンスがルボット以下じゃねぇか!!

この話を聞いていたパーソンズ氏も「協力してくれない?」と頼まれたのだが、「俺は地球の食料源を管理してるからここを離れられない」という感じで答え上手く回避している。
どうやら彼はムーン・チャンピオン(笑)を新手のアメリカンジョークだと思っていたらしく、大笑いした挙句クッキーを手渡して気さくに話しかけていた。肝が据わりすぎである。

ちなみに別の出現事例では皮肉を込めて
「おお、勿論だとも、イカレ野郎。今すぐでも構わねぇよ、歯ブラシやら何やら全部持ってるからな。飛ぼうぜ、宇宙男」
などと答えた通行人Aがいたが、SCP-1233はこれを真に受け「星々の間で歯を磨こう!!」などと支離滅裂な思考、発言をした挙句、その通行人を抱いたまま時速25,000kmで大気圏を離脱。
離脱の瞬間を観測できなかったので一応生死不明とはなっているが、十中八九木原クンのような美しい流れ星となったのは想像に難くない。

なお財団が調査したところ、SCP-1233の主張を裏付けるような証拠は何も見つからなかった。
確かに脱出後のこいつは毎回月へ向かっているが、月面サイトの財団職員は『月王国』も『月人』も発見していない。
それどころか地球からはSCP-1233が見えるのに、月面サイトは近づいてくるはずのこいつを探知すらできず、地球から要請が届くまで存在すら把握していなかった。

結局、こいつの話す目的は良くて無謀、悪くて戯言に過ぎないと考えられている様子である。
どちらにせよ人類にとっては迷惑極まりないが。

余談

実はSCP-1233が執筆されたのは2018年の7月であり、1000番台の記事としては非常に新しい記事である。
日本支部における翻訳文では非常に秀逸な言い回しが用いられているため、ぜひ本記事を読んでもらいたい。



追記、修正は月面戦争に参加する方にお願いします。

CC BY-SA 3.0に基づく表示

SCP-1233 - The Lunatic
by CadaverCommander
http://www.scp-wiki.net/scp-1233
http://ja.scp-wiki.net/scp-1233

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