登録日:2011/09/01 Thu 20:40:54
更新日:2024/07/22 Mon 23:27:09
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助長とは、中国で生まれた言葉。
良い所をより伸ばすという意味。
追記・修正を助長しよう。
助長とは、中国の「孟子(公孫丑章)」を出典とすることわざの1つ。
その意味は悪い素養や状態を更に悪い方向に伸びるように助ける事。
つまり最初の説明は間違い。
主な使用例
「そのような条例を敷いても犯罪を助長させるだけだ」
意味合いとしては「(犯罪を抑制するつもりで規制するような)条例を敷いても、その内容じゃ却って犯罪を増やしちゃうよ?」といったところだろうか。
歴史上で該当するような法律を挙げると、「酒こそが諸悪の根源!酒を禁止すればこの世は良くなる!」と飲酒を全面禁止したら、非合法となった酒の売買をマフィアが牛耳って却って
ヒャッハーに歯止めが利かなくなったアメリカの禁酒法が特に有名だろう。
閑話休題。
なので、この「助長」は全く違う2つの意味を持っている言葉となった。
これもまた、時代の流れか……。
「助ける」と「長い(伸ばす)」という漢字からポジティブな意味を連想しがちだが、伸ばすのはネガティブな方向なので気をつけよう。
誤った追記・修正を助長しないようにしよう。
実は、先に紹介した2つとも元来の意味とは異なっている。
元々の意味は 良かれと思ってやった力添えによって、却って相手の邪魔をしたり害を与えること。
類語を挙げるなら「余計なお世話」や「贔屓の引き倒し」等が近い。
良い方向であれ悪い方向であれ、そもそも伸ばすのではなく伸びるのを阻害するのが、この「助長」である。
では、先の2つは間違いなのかと言うと、少なくとも現代ではそうとは言い切れない。
というのも、「良いところをより良い方向に伸ばす」と「悪いところを更に悪い方向に伸ばす」のどちらの意味も、単なる誤用として片づけるにはあまりにも浸透しきっているからだ。
意味が二重に追加されてしまった結果、むしろ元々の意味で使用される機会が一番無くなってしまっている始末である。
まあ、それもむべなるかな。
由来がどうであれ「助けて長くする」という字面なのだから、それがポジティブな方向であれネガティブな方向であれ、「何かを伸ばす手助けをする」という意味に捉えられるのは、むしろ当然だろう。
これらの字を当てた時点でこういう変遷を辿るのは必然だったと言える。
原典
元となった話は、「孟子(公孫丑章)」に書かれたもの。
簡単に紹介……と言っても、すごく短いエピソードなので、ぶっちゃけこれでほぼ全部と言っていい。
昔、宋の国に農業を営むせっかちな男がいたそうな。
その男は一生懸命に田の面倒をみていたが、苗は一向に育つ気配を見せない。
そこである日のこと、男は苗の成長を助けてあげようと、田に植わった苗を少しずつ手で引いて伸ばした。
そして、少し伸びた苗を見て満足した男は家に帰り、
「いやあ今年は凶作でしたね。でももう大丈夫。僕がちょっとずつこの手で引き伸ばして成長を助けて来ましたから。(ドヤッ」
それを聞いた息子は慌てて家を飛び出し、田に向かったが……。
時すでに遅し。
せっかく根付いたところを引き延ばされてしまった苗たちは栄養が行き渡らなくなって萎れており、やがて枯れてしまいましたとさ……。
おしまい。
余談
宋の国の人が出てくる寓話が元になった故事成語は、この「助長」の他も「宋襄の仁」や、「守株」等、ロクな意味のエピソードが無い。
きっと編纂者が皆揃って宋が嫌いだったんだろう……。
歴史的な話をすると宋は殷の紂王の兄・微子啓が周に降参して封じられた土地。亡国の遺民の国である。
そのため古臭い、頑迷といった悪いイメージがあったようだ。
追記・修正を助長させちゃいけないぞ!
何もせず、項目が忘れられる事を助長させるのもダメだ!
皆様、この項目が良記事になるよう助長をお願いします。
最終更新:2024年07月22日 23:27