登録日:2011/06/15(水) 23:39:57
更新日:2023/02/02 Thu 17:27:28
所要時間:約 23 分で読めます
七瀬君から聞いたんだが、君のおじいさんは有名な探偵だったそうだね
そんな君がこうした事件に出くわしたのも天命かもしれんな…
そう…
きっとこの許しがたい犯罪を暴くために、神が君をこの地に送り込んだのだ…
戦いたまえ! 金田一君!
遠野君の死を むだにしないためにも!
『悲恋湖伝説殺人事件』は、『
金田一少年の事件簿』での事件の1つであり、かつて金田一少年が解決した事件のうちの一件。
単行本第6巻と第7巻に収録されている。全10話。
テレビドラマでは第1シーズン第2話として『悲恋湖殺人事件』と改題されて1995年7月22日に、テレビアニメでは第4話~第6話として1997年4月28日~5月12日にかけて放送された。
アニメ版での容疑者リストは上の段が左から倉田、甲田、九条、聖子で下の段がいつき、小林、遠野、三郎、河西となっておりバックは橙色。
また、このエピソードのみパネルの大きさが全員バラバラになっている。
以下、ネタバレにご注意ください。
【あらすじ】
金田一と美雪は彼女の従兄の橘川に頼まれ、長野県悲恋湖にて建設される予定のリゾート地の会員権を賭けたモニターツアーに参加する。
楽しいハズのツアーだったが、長野の死刑囚を収容する施設から凶悪犯の刀丸猛人が脱走したとのニュースが入った。
そして翌日、第一の犠牲者が出た。その手口は「ジェイソン」こと刀丸の手口と酷似していた…。
【事件関係者】
CV:蓮透(現:眞嶋リョウ)/演:小林賢二
美雪の従兄。大学生。22歳。
美雪からは「強引な人」、「自分ばかり得をしたがる」と評され、尻を触るセクハラ行為もあってあまり好かれていない。
日程が大学の追試と重なったために悲恋湖ツアーに行けなくなり、いとこの美雪に「男と同伴で」代役を頼みに訪れ、断られかけるが、話を聞いていた一がそれを引き受けることになった。
しかし、一と美雪のドジで、代役はあっさりバレてしまうことに…。
CV:中原茂/演:大沢健
不動高校三年で元生徒会長。キリっとした眉毛が特徴の爽やかなイケメン。
美雪と付き合っていたらしいという噂があるが…
実は観月旅行社の社長の息子であり、顧客のイメージ調査のためにツアーに参加していた。
薪拾いで近くにいながら美雪に重傷を負わせてしまったことで責任を感じ、ボートで一人助けを呼びに行くが、翌日戻ってきた彼は顔を潰された惨殺死体と化しており、3人目の犠牲者となる。
CV:
平田広明/演:利重剛
フリーライター。
傲慢な性格で、「この事件をネタに小説を書く」と宣言したほか、「このメンバーが皆殺しにされても自分は生き残る自信がある」と豪語。
刀丸の事件も取材したことがあるらしい。
小林が殺された後、ただ1人アリバイの無かった香山聖子を犯人と決めつけるが、一の推理と美雪の証言で否定される。
その際、「殺人なんてどこかおかしい人間がやるもの。そんな異常なヤローのすることに理屈が通るもんか」という言葉を
逆ギレか自分の推理を否定された腹いせ的に一にぶつけるが、これもあっさり返されてしまった。
しかし、今回の事件の犯人が4人もの人間を殺した経緯を考えるとあながち間違っていなかった。
河西とベッドで一緒だったと言ってのけたが…?
CV:新田三士郎(現:小林通孝)/演:畠山久
観月旅行社ツアーコンダクター。
眼鏡とワカメ頭(似た頭の
真壁と違って、いい人である)がトレードマークのイケメン。
当初はクールな雰囲気の人物だったが、事件以降、やや気の弱い性格が露呈していく。まあ、凄惨な殺人事件を目の当たりにすれば普通の人なら臆病になるものだし、極めて常識人といえる。
CV:熊谷ニーナ
高校生。関西弁の女の子。17歳。パンツはピンクの花柄
一に一目惚れし、盛んにアタックしていたが、一と美雪との深い絆を知り、身を引くことに。
その後はいつきの魔の手に落ちた(?)。
CV:沖田蒼樹(現:蒼木裕心)
ちょっと老け顔の大学生。これでも20歳。常ににやけてる。
最初の犠牲者となり、ジェイソン脱獄のニュースが流れた直後、森の中で立ちション中にジェイソンに斧で脳天をクラッシュされて、顔を潰される。
死体は木の上に置かれ、カラスが纏わりつき、いつきがカラスを追い払うために木を蹴り飛ばした衝撃で死体は落下。楽しい朝食を恐怖の朝に変えた。
「俺の人生なんだったんだぁ~?」…合掌。
CV:松尾銀三/演:三角八朗
不動産会社社長。年齢は恐らく50代。
ちょび髭の似合うナイスミドル。若い頃はよく山歩きをしていたとか。かなりケチだったらしい。
キャンプ場から脱出しようとしていたところを「ジェイソン」に襲われて死亡。2人目の犠牲者となり、死体は顔を潰された後、ロッジの冷蔵庫に入れられた。
何故か、キャンプ場にトランクいっぱいの金を持って来ていたが…
ちなみに上記の通り、アニメ版のこの回は容疑者パネルでの顔の大きさがバラバラになっているのだが、この人の顔だけ妙に小さく書かれている。
CV:
折笠愛/演:水島かおり
香山三郎の妻。艶っぽいマダム。喫煙者。
五年前にキャンプ場で知り合い、結婚したとの事。しかし、今は嫌気がさしていたらしい。
異常なまでの水恐怖症で、洗面器の水に顔をつけることすらできないらしい。事件中未亡人となる。
かなりがめつい性格で会員権に一番関心を持っていた為、いつきから犯人の疑いを掛けられてしまう。
CV:
島田敏/演:山崎一
画家。ホームレスみたいな姿の冴えないおっさん。
かつては画壇を騒がせた天才画家だったが、ある時を境に死体の絵ばかり描くようになり、今回の事件でも被害にあった人々の絵を描いていた変態。
それに飽き足らず、負傷したとはいえまだ生きている美雪まで描こうとしたため、一の逆鱗に触れ、「
やめろって言ってんだよ!!この変態ヤロー!!」と、スケッチブックを乱暴に叩き落とされた。
…が、このやりとりで、ボートを描いた絵が落ち、偶然にも湖のボートの存在が明らかになることに…
アニメでは10年前から死体の絵ばかり描くようになったといつきに明言されている。
電気製品の知識もあるらしく、ジェイソンが破壊したラジオを誰も知らないうちにちゃっかり修理していた。その修理したラジオを何度も聞いているうちに、何かに気づいたらしく、たまたまそこに来た一に、翌朝皆の前で話すまで内緒だと告げるが、彼が去った直後、ジェイソンに襲われ、4人目の犠牲者となる。死の直前、犯人の正体に気づき、ダイイングメッセージを残そうとするも、消されてしまう。
しかし、ダイイングメッセージを書いたこと自体が一に犯人がジェイソン(刀丸猛人)ではないことを気付かせることとなった(犯人がジェイソンであれば、そもそもそんな当然のことを死の間際になってまで伝えようとはしない、という理由)。
「もっと殺せ、もっと殺せ」と呟いていたら自分が被害者になってしまった。
CV:
梁田清之/演:峰岸徹
医者。細目の穏やかな中年男性。頭に傷がある。
数年前に「大きな罪」を犯してしまったらしく、その贖罪の為、一つでも多くの無医村に診療所を作るべく奮闘している医者の鑑。
事件中、美雪の治療を通じて一と親しくなり、遠野の死で心が折れかけた彼を励ました。
冒頭の会話は彼と一のもの。
「探偵=死神」のある種の「答え」を示した人物である。
この言葉には、一も救われたのではないだろうか?
【その他】
死刑囚。コンプレックスの強い性格で対人恐怖症の引きこもりであり、25歳時点で
ニート状態であった。
映画マニアで大量のビデオを所有しており、いつしか「自分は映画のキャラだ!」と激しく思い込むようになる。俳優の顔に似せるため杜撰な整形手術を繰り返した結果、顔が崩れ落ちてしまった。
そのショックでジェイソンになりきり、一夜で身内を含む13人もの人間を斧で惨殺した。その後逮捕され、裁判で死刑判決となった。
一たちがキャンプ場に到着した日、ラジオから刀丸の脱獄のニュースが流れ、橋を落として悲恋湖リゾートを孤立させた後、ツアー参加者たちを殺害して回る。
だが、
脱獄してから悲恋湖まで食料を調達できる場所が一切なかったのにキャンプ場で食料を調達していない、
リゾートから外部に通じるルートが他にあるかどうか知らないはずなのにそれが分かっているかのように橋を落とすといった謎がある。
なお、ビデオ収集癖は実在の連続殺人犯・宮崎勤をモデルにしていると思われる。
【レギュラー陣】
毎度おなじみ主人公。
美雪の従兄・橘川茂の代役話を盗み聞きして名乗りを上げ、美雪とともにツアーに参加するが、バッグに「金田一一」の名札を付けたままだった上、橋から落ちかかった時に美雪が「はじめちゃん!!」と呼んでしまったため、あっさりバレてしまった。
甲田の口添えと帰りのバスがないこともあり、そのままツアーには参加させてもらえることになるが、橘川の何かの「権利」は、失われることになった。
今回は河西との(一方的な)ロマンスや遠野と美雪との関係で常にヤキモキ。が、美雪が負傷したのをきっかけにあっさり元のサヤに戻り、さらに美雪の口から遠野と付き合っているという噂がデマだったことを知り、心底安堵していた。
美雪の負傷の際は、その場にいながら目を離した遠野を激しく責めた。その直後に遠野がジェイソンの毒牙に掛かってしまったため、「俺のせいだ」と激しく責めるが、美雪と甲田の励ましで立ち直る。
そして、甲田の上記の言葉で自分の「金田一耕助の孫」としての「使命」に気付く。
毎度おなじみヒロイン。
この事件では左大腿部に矢(棒?)が刺さるという大怪我。傷口の化膿も始まり、発熱や悪寒にも襲われた。
学校の先輩である遠野がツアーに参加することを知り、彼と親し気にして、一に嫉妬させていた。元々、遠野と付き合っているという噂があり、それを知る一は余計にヤキモキするが、後述の通り、噂がデマだったことが彼女自身の口から語られ、一を安堵させることになる。美雪にとっては、遠野は単純に信用できる人物の1人に過ぎなかったらしい。
【以下、事件の真相。更なるネタバレにご注意ください。】
今回のツアー参加者たちには、2つの共通点があった。
3年前にオリエンタル号の処女航海に乗り合わせており、沈没事故の当事者となっていたこと。
そして、本名のイニシャルが「S.K」であること。
橘川の代役として参加した一と美雪以外で、イニシャルが「S.K」にならないのは、ただ1人……
3人目の犠牲者で死亡したとされていたが、発見された死体は実は橘川であり、彼こそがこの事件の犯人「ジェイソン」。
事件の動機は、数年前に起こったオリエンタル号沈没事故の時、船に乗っていた最愛の女性である小泉螢子を見殺しにした人物に対する復讐だった。
そもそも沈没した事の方が問題だろ?。
螢子の手には、「S・K」のイニシャルが入ったプレートが握られていたが、個人の特定まではできなかった。
更に螢子を見殺しにした人物は、「自分自身も死に掛けているような状況では他人を死に追いやってしまったとしても罪にはならない」という主旨の決まりである「緊急避難」(刑法37条1項)によって法律では罪に問われない。
そこで彼は螢子の仇を討つため、オリエンタル号に乗っていた「S・K」の人物を全てピックアップしたが、誰が螢子を見殺しにした奴なのかが分からずに困った彼は、なんとピックアップした連中を全員殺すというとんでもない計画を立てたのだった……
犯人としては、憎むべき相手を狙って殺しているため、全くの、動機の無い快楽殺人犯とは言い切れない部分もあるものの、もし螢子の持っていた「S・K」のプレートがただの漂流物などで、該当者全員が彼女の死とは全く関係のない人物だったらどうする気だったのだろうか?無関係な人間にとってははた迷惑どころの話ではないだろう。
蛍子を見殺しにしてしまった人物もまた等しく苦しんでいたことに思いを馳せることなく復讐に走ってしまったその近視眼的な思考や態度、そして復讐のためには無関係な人間を巻き添えにしても構わないという短絡的かつ身勝手で自己中心的な態度は、金田一にも非難されている。
しかも、反省するどころか逆ギレし、爆弾の存在を示唆して全員の命を盾にし、その場にいたメンバーの中では復讐と最も無関係の一に甲田への殺人を強要すると言う外道ぶりを披露している。
美雪に関しては、一ともども本来の標的である橘川の代役であることから、殺しの対象ではなかった。森の中の罠も、メンバーの逃走防止のためだったと思われるが、それにかかったのが、よりによって全く無関係な美雪だったのは、遠野にとっても全く予想外の出来事だった。しかし、機転を利かせてそれを利用し「近くにいながら防げなかった責任をとって自分がボートで助けを呼びに行く」という話に持って行く、かなり頭の回転は良かった様子。
また、本来遠野が罪を逃れるつもりであれば、遠野が「死んだ」ことを知っている人間は、誰であっても1人も生かして帰すわけにはいかないはずだった。
にもかかわらず、負傷していて襲撃が最も容易だったはずの美雪を、なぜか彼は殺そうとしなかった。その理由について、一は、
1:捕まることを恐れていない
2:最初から復讐を果たしたら死ぬ気でいた
のどちらかだ、と推測していた。
さらに、事件後、遠野のことを調べたいつきは、美雪が遠野の最愛の女性・小泉瑩子と瓜二つだったために殺せなかったのではないかと推測している。
そもそも、予定外に参加した無関係者である一と美雪については、他の全員を殺し終えたとしても、その後どうするつもりだったかさえ謎である。
後の事件の
犯人も、彼と同じ様に標的がわからないままメンバーを集めているが、こちらはちゃんと幾つかの手段を用いて、その中から標的を炙り出して殺害を実行している。
ジェイソンの犯行に見せかける為にステレオで偽のニュースを流し、途中で呼び出した橘川を殺して自分に見立てることで「遠野は死んだ」と思わせて行動の自由を獲得。ロッジに仕掛けた盗聴器で標的の様子を伺っていたが、ステレオを直していた小林を殺害した事で一に盗聴器の存在を知られ、それを逆手に取られて捕まってしまう。
小林については、予想外にもステレオを直されてしまったことで慌てて殺したため、他の被害者のように顔を潰すことはできなかった。しかも、ロッジ全体を荒らす時間が無く、小林が直したステレオを再び壊すにとどまったため、逆にステレオを際立たせる結果となってしまった。
正体を暴かれるも、ロッジに仕掛けたという爆弾を盾に、命と引き換えに甲田を殺すよう一に要求するが、その場に現れ「どうしてこんな酷いことするの?」と涙ながらに訴えた美雪に蛍子の姿がだぶってしまい、動揺してその場から逃走。
爆弾仕掛けのボートに乗って逃げ出したと思われたが、原因不明の爆発により爆死。
遺体は見つからなかったという…。
尚、偽ニュースを伝えるニュースキャスターに関しては、アニメ版では、遠野役の中原茂が充てていたことから、遠野の自作自演色が、より強くなっている。
犯人たちの事件簿でもその解釈で描かれたが、そのためにアナ学へ通ってアナウンス技術を身に付けるというぶっ飛んだ展開になった。
橘川の死体を自分に見せかけた際、腕時計を付けなかったことで、一に死体が別人と気づかれるきっかけになったのだが、これには、
1:橘川の手首が遠野より太くてベルト穴が合わなかった。
2:大切な蛍子の遺品だけは、たとえ復讐のためでも手放すわけにはいかなかった。
という理由があった。
ただし、原作では一に1の理由を指摘された上で遠野が「それだけじゃないさ」と語り2の理由を明かしたが、アニメでは指摘された1の理由を「それは違うな」と否定して2の理由を明かす流れになっている。
なお、ロッジに爆弾を仕掛けたというのは、その後の警察の捜査により、実は咄嗟のハッタリで実際は何も仕掛けられていなかったことが判明した。
…確かに悲劇的な背景を持ち、後に一も彼を「異常ともいえる殺人者だったけど、それなりの動機はあった」と評しているが、後に明かされた
オリエンタル号沈没事故の真相のせいで極めて短絡的な復讐計画を企ててしまった印象が強くなってしまった。
彼が本当に殺すべきだったのは、オリエンタル号沈没の原因となった人物達(
鷹森、若王子、そして水崎。加納は隠蔽しただけで沈没の原因を作った訳ではないし、彼の殺害対象にはならないだろう)だったのである。
…とはいうものの、オリエンタル号沈没の真相はその張本人達によって事故で死んだ相手方の船長(仮に生きていたら「事故を起こした奴」という誤解で遠野の標的になっていただろう。しかもこの人もイニシャルが「S・K」)に押し付けられるという形で隠蔽されていたため、遠野が気付けなかったのも当然であった。
また、蛍子の直接の死因が「S・K」であることも確かであるため、万が一、真相に気づいたとしても、どの道「S・K」達と事故の関係者達の両方に牙を向けていたに違いないだろう。
ジェイソンと幽霊船長は気が合うかもしれない
なお、彼が美雪と付き合っていたという噂については、実は完全なデマ。以前、三ツ矢という美雪の先輩が、遠野に告白して振られたのだが、「好きな人がいる(瑩子のことだろう)」という遠野の言葉から、彼女はその相手が当時委員などで遠野の手伝いをしていた美雪のことだと勝手に勘違いして、誤った噂を流したのだった。実に迷惑な先輩である。
とはいえ、蛍子の容姿が美雪と瓜二つということを考えると、例え遠野と蛍子のツーショットが目撃されても勘違いされていただろう。
イニシャルが「S・K」だったというだけで殺されてしまった可哀想な人たち。
倉田はすぐに殺害された為、性格は不明だが、キャラとしては存在が薄い為かアニメでは「命が惜しけりゃさっさと帰るんだな」「あれだけ脅かせば、人が減って会員権が手に入りやすくなる」と脅していた為、アニメに限れば、良い性格ではない様子。
ちなみに倉田の死体がぶら下がっていた木を最初に蹴ったのは遠野である。
小林が死体の絵しか描かなくなってしまったのはオリエンタル号の事件からであり、未だにトラウマを引きずっていることが伺える。
彼が自分で直したラジオを聞いていて気付いたことというのは、おそらくジェイソン脱獄のニュースがウソだということだろう。ただ、襲われた後犯人を見て驚いていたことから、自分以外の生存しているツアーメンバーの中に犯人がいると思っていて、入れ替えによる遠野生存は予期していなかったものと思われる。(「何であんたが!? …生きているんだ?」と言いたかったのかもしれない。よく見ると書きかけのダイイングメッセージも「遠野」の「と」の字である)
もしくは、一度も面識のなかった遠野に自分が殺されるとは思っていなかったのかもしれない。
そして、推測であるが、香山社長が本当に大事にしていたのはお金ではなくルイ・ヴィトンのバッグの方であったのかもしれない…
(いつきさんと同じ経験をしたとしてもなにも不思議はない)
しかし、最後までツアー旅行に大金を持ってきた事は謎のままだったが、これは今回の事件の動機とミスリードさせる為だったかもしれない。
イニシャルが「S・K」だったというだけで遠野の標的にされかけた無関係な人達。
しかしオリエンタル号沈没事件や今回の事件では(特に河西は“死体の絵しか描かない”小林に描かれるという死亡フラグを立てられながらも)無事生還している。
いかにも悪女っぽい印象ではあったが、特に悪い事はしていない為、ぶっちゃけ相対的に見て普通の人。
三郎とは当初は財産目当てではなく本当に恋愛結婚だったようだが、いざ結婚してみると三郎は「ケチが服着て歩いてるような男」「みみっちいヤツ」だったらしく、オリエンタル号の事件もあって現在では夫婦仲はほとんど冷え切っていた。
また、夫の死後に「せいせいしたわ、あのスケベジジイ…いい年こいて毎晩毎晩…」と呟いていたことから、夫側から強引気味に性生活をリード(今で言うモラハラやDVに近い扱い)されてたようである。
まあ、冷めていた割に夫にもそれを隠していたり、殺人が起きて逃げようとする夫の提案を会員権欲しさに拒否したあたり、がめつさは本人のほうが強そうなものだが。単独で行動するのが危険な状況だったので結果的に夫の提案を拒んだのは正解だったが、語る理由がまず身の安全よりもお金の事。殺人現場に巻き込まれしかも逃げ道が閉ざされているという状況で大した胆力である。
会員権は結局パァになったが、殺された夫の遺産は相続できたと思うので、何だかんだこの人が一番得をしたかもしれない。
だがその代わりに、結局水恐怖症を克服できたわけでもなく、一度犯人にされかけたり、危うく遠野に殺されかけたり(しかも殺される理由は何もない)など散々な目に遭っており、もう二度と旅行ができなくなる程のトラウマになっただろう
ドラマ版では金田一がアリバイを聴きに来た時に足を組み替えて色気を振りまき、誘惑するような素振りを見せるも、それぐらいしか目立つ改変がないので、まだ悪女とは程遠いキャラだった。
上記の名前ははペンネームで、本名は樹村信介(きむらしんすけ)。
一は彼の本名を知ったことで、この事件の関係者全員のイニシャルが同じという共通点に気づくことが出来た。
後に面倒見のいい兄貴肌となる彼だが、本作では身内を殺された被害者にインタビューまがいのことをして小説を書くと言い出すなど、この頃は正論こそ言うものの非常にイヤなヤツだった。
とはいえ事件後に一達と会った時、偽善者ぶるつもりは毛頭無いと言いつつも、事件の裏を調べた結果「世間の好奇の目に晒してはいけない」と考えて小説化を止めた事から、この頃においても少なくとも人の道に外れたことはしない性格だったと思われる。
そのため、「河西とベッドを共にしたという話も冗談で、本当は彼女の傍にいてやっただけだった」「性格が後の描写とあまりに違うのは最上葉月と喧嘩別れした直後でムシャクシャしていた為」という可能性もある。
メタ的な見方をすれば、明智警視同様、レギュラー化にあたって初期とその後の性格描写に差が生じただけということもありうるが。
後に準レギュラーとなり、現在は
とある事件の犯人となり死亡した知人の一人娘を引き取り、育てている。
因みに彼の水へのトラウマの設定は、
後の事件のある描写から形骸化したと思われていたが、
最近の事件でもこの設定を元にした描写がなされており、今もトラウマ設定が残っている事が分かる。
本事件のミスリード要員。
最大の手がかりであるイニシャルは本編開始時点から確認出来るが、彼がペンネーム使用者だと明かされ本名がイニシャルS・Kだと分かるのは解決編直前。そのため、イニシャルにいち早く気づいた読者は彼を犯人候補として疑う仕組みになっている。
(同じくイニシャルが違う遠野は特別な参加者と打ち明けた上で死亡するため、これも疑いやすさを助長している)
それ以外にも
- やたら周りに悪態をつく
- 死体発見時、真っ先にジェイソンの解説をする
- 関係ない人間を容疑者に仕立てようとする
- ダイイングメッセージを見るなり「どうせジェイソンに決まっている」と言いかける
など、悉く犯人にしか見えないような言動を繰り返しており、作者が露骨に疑いの目を仕向けようとしているのが確認できる。
しかも、アニメの彼の声優は
アニメ版の一番最初事件の犯人と同じ人であった。
逆に、上記の態度の悪さから「コイツは被害者になるんじゃないか?」と思っていた読者もいた。
ちなみに名字表記が「木村」ではないのは、当時の担当編集者で後に原作者の一人「天樹征丸」となった樹林伸氏からと思われ、担当声優の平田氏は後にアニメ版『GTO』にて樹林氏モデルな『
MMR マガジンミステリー調査班』のキバヤシ役でゲスト出演した。
実は沈没事故の際、溺れて助けを求める螢子に手を掴まれたもののその手を振り払い見殺しにした張本人。
ただし、甲田の乗っていたボートは既に定員オーバーで、螢子を助けようとしてボートのバランスが崩れれば転覆して大勢の人間が死にかねないという状況であり、苦渋の決断であった(ドラマ版では更に「みんなを殺す気か!!」と罵声を浴びせた者がいたという。緊急時なので、一概にその人物を非難することはできないだろうが…)。
助かりながらも幼い少女を見殺しにしてしまった罪の意識に苛まれ続け、償いのため、無医村治療にその身を捧げてきた。このツアーに参加したのも、会員権で無医村治療のための資金を手にすることが目的だった。
しかし、あの時の悪夢を見ない日はなく…
結局、私の心はまだあの時の暗い海を漂っているんだよ―――
螢子を見殺しにした結果として今回の事件が起き、結果的にこの事件の元凶になったも同然との思いから、
過去の事件と無関係の人間たちの助命と引き換えに甲田の殺害を強要された金田一に手を汚させないようにするため、凶器の斧を手に自ら命を絶とうとする。
しかし最終的には、彼が自殺を決行する寸前に半狂乱になった犯人の自爆によって事件は終幕。甲田も生存したまま悲恋湖を脱出した。
彼は(「金田一少年」の世界では問題児が多いとされる)医療関係者の中では(
結城先生と同じく)まともな人間ということもあり、このページ冒頭の言葉も相まって
一にとっては人生の恩人ともいうべき人である。何とか幸せになってもらいたいものである・・・。
なお、彼は小泉螢子という彼女のフルネームを知っていた。
しかし事故当時の回想から見るに、二人は船上やそれ以前に知り合っていた様子はなくあの時が最初で最後の対面であったと考えられる。という事は甲田は顔しか知らなかった少女の名前を事故後に調べた事になる。
当時の新聞やニュースを見れば調べる事自体は可能だろうがそれでも簡単ではないし、彼女とは別に事故そのものに対するトラウマをも呼び起こす筈である。
逆を言えばそこまでして彼女の名前を知ろうとしたという事は、螢子を見殺しにしてしまった事実から甲田は目を逸らさずに向き合ってきたのだと言える。
なお、「カルネアデスの板」とは緊急避難のいわれとなった古代ギリシア時代の論説である。
ギリシャの学者カルネアデスが
「船が難破し、浮力が人間一人分の板にAがつかまっていた。
他に難破して浮いていたBがその板につかまろうとした。
AはBがこの板につかまれば自分も沈んでしまうと考えてBを突き飛ばし、Bは溺れて死んでしまった。
Aは殺人の罪に問われるべきか」
と出した問で、緊急避難について学ぶにあたっては必ず出てくる言葉である。
刑法をある程度知っている読者の場合、「カルネアデスの板」の言葉だけで特に検索しなくても背景事情に察しがついた人もいたかもしれない。
実は劇中における遠野の死体の正体は彼であり、ツアー参加者たちがリゾートに着いた後、遠野からの電話に応じ、指定された場所で会う約束をするも、
ボートで助けを呼びに行くふりをして悲恋湖を一旦離れた遠野に殺害される。
ジェイソンが被害者の顔を潰していたことから、遠野の服を着せられた上で顔をズタズタにされ、遠野の死体の偽装工作という形で悲恋湖に現れた。
原作では、一の説明で語られたのみだったが、アニメ版とドラマ版では、遠野に殺害されるシーンが明確に描かれている。アニメでは日が出ている時間(朝か昼頃)に殺害されたが、ドラマでは夜に殺害されている。
彼の最大の悲劇は、仮にも美雪の従兄なのに、その死を彼女に一切悲しんでもらえなかったことであろう。
尚、遠野が橘川を誘き寄せた内容に関しては、一は「来れなかった人のためのプレゼントが用意してある等の嘘を言った」と推測した。
『事件の舞台に現れないヤツまで殺される』という、ある意味快挙を成し遂げた人物。
ちなみに、小林を除く犠牲者が皆顔を潰されていたのは、橘川だけ顔を潰すと目立ってしまい、入れ替わりトリックに気づかれる恐れがあるため。それで全員の顔を潰した。ある意味「木の葉を隠すなら森の中」の発想(小林も、前述の通り、時間的にできなかっただけで、本来なら顔を潰されていたはずだった)
遠野とのツーショット写真を見て、美雪でさえ自分と見間違えるほど、彼女に瓜二つな少女。遠野と同じ孤児院で寄り添いながら育った仲だった。
彼女に会うことこそ良く思われなかったとはいえ、裕福な家庭で養父母から大切に育てられた遠野と違い、もらわれた小泉家ではメイドのような存在としてこき使われるという扱いを受けていた。
そんな彼女を慰める意味で遠野はオリエンタル号処女航海旅行のチケットをプレゼントする(遠野の方はもしかしたら彼女との駆け落ちも計画していたのかもしれない)が、遠野は直前に養母に見つかり行けなくなったために彼女一人で旅行をする事になり、オリエンタル号沈没の悲劇に見舞われる。
救命ボートに乗った甲田の手を掴みすがりつくも、無情にも振り払われてしまう…
……だが、甲田が彼女の手を振り払った理由を考えると、仮に乗れたとしても、ボートの転覆で結局(他のボートの乗客と共に)死んでしまっていた可能性も高い。
彼女の死を実感させられた遠野は、亡骸と化した彼女の唇を奪い、復讐鬼「ジェイソン」と化したのである。彼女が着けていた腕時計は遠野が彼女の形見として身に付けており、事件解決の糸口になった。
なお、
その後の事件①(ただしこれはアニメ版のみ)と
その後の事件②で、またも美雪のそっくりさんが登場………どんだけそっくりさんいるんだ?
実は遠野とは生き別れになった実の兄妹。螢子の方は知らなかった可能性もあるが、遠野は「決して報われない愛だと分かっていた、あの悲恋湖の伝説のように…」と言ったことから間違いなく知っていた。つまり、遠野は実の妹に恋愛感情を抱いていたという事になる。
ドラマ版ではさすがに倫理的にマズいと判断されたのか、当初は実の兄妹だと知らないで交際していたことになっている。
劇中には登場していないが、観月旅行社の親会社を経営しており、かつて施設に預けられていた遠野を引き取った。遠野が螢子と会うことを快く思ってはおらず、また彼が実の妹に恋愛感情を抱いていたことを知っていたかは不明だが、もし知っていたのであれば、酷いように見えるのは確かではあるものの、反応としては当然だといえる。
しかし、結果として養子が殺人事件を起こし、しかもその殺人計画である旅行ツアーの作成に知らず知らずのうちに加担することとなり、事件後には会社の資金繰りが悪化したことで悲恋湖リゾートの建設無期延期という憂き目に遭うという、なんとも可哀想な末路をたどってしまった。
大怪我を負うも、幸運にもメンバーの中に医師の甲田がいたおかげで最低限の治療を受けることができ、大事には至らずに済んだ。
事件後はまだ松葉杖を突いていたが、退院はしていた。
事件そのものには関わらなかったものの、事件後に刀丸の死刑が執行されていたことを一に伝えた。
原作では未登場で一の台詞から名前が出てくるだけだったが、アニメとドラマでは正式に登場した。
実はこの話の前年に死刑が執行されており、既にこの世にはいなかった。事件後、一が剣持から事実を知らされた。
当然ながら名前を悪用されていただけでこの事件とは全くの無関係である。
誰かがその事実を知っていたら犯行に大きな支障をきたす内容だが、登場人物全員が偶然それを認識していなかった様子。
連載当時の頃は現在と異なり、死刑執行がマスコミに必ずしも通達されることがなかったため、死刑になった事が即座には一般に伝えられなかった死刑囚もいる。
ただ他の連中はともかく、ルポライターであり、そして刀丸猛人の事件の取材を実際に行ったことがあり、解説役も務まるくらい良く知っていた筈のいつきが、死刑については知らなかったというのは犯人にとってはかなりの幸運だったといえる。
アニメでは死刑が執行されていたことに触れられていない。
名前の元ネタはどう考えても担当編集者の都丸尚史(『MMR マガジンミステリー調査班』のトマルのモデル)。カワイソス。
【悲恋湖について】
かつて深く愛し合いながらも、結ばれることが叶わぬ一組の男女が来世で結ばれることを夢見て湖に身を投げた。
それ以来、「毎日特定の時間に湖面が真っ赤に染まる」という自然現象が起こる様になったという。
その一件が由来となり、2人が身を投げた湖は『悲恋湖』と名付けられたのである。
序盤では悲恋の原因自体が明かされておらず、タイトルの割には事件の主役をジェイソンに取られてしまっていた事もあり微妙に影が薄く、
凄惨な事件と遠野の身に起きた悲劇の陰に隠れる格好となっていた。
しかし事件のクライマックスで、遠野の乗ったボートが爆発した際、明らかに特定の時間でないのに湖面が真っ赤に染まった。
それは偶然であったのか、遠野の血であったのか、それとも遠野の境遇を憐れんだ一組の男女の想いが見せた奇跡か…。
さらに事件解決後にいつきの口から明かされた悲恋の原因と、それ絡みの余りにも哀しい偶然の一致が読者の心にも強い悲しみをもたらすこととなる。
…心中した男女もまた、実の兄妹だったのだ。
なお、シリーズには「○○伝説」とタイトルに付くエピソードは多いが、その殆どが事件の装飾という形で○○伝説が使われているパターンであり、
この様に犯人の素性に伝説の内容が深く関わっているという形で○○伝説が使われているパターンは非常に珍しい。
【謎解きについて】
ミステリーとしては簡単な部類であり、本事件の「犯人当てクイズ」は、応募者数・正解者数共にダントツの歴代最高記録を示している(公式ガイドブックに公表されている「
天草財宝伝説殺人事件」以前の事件に限る)。
具体的に書くと、普段の事件は5000-10000通ほどハガキが届きそのうち10%程度が正解を示すのに対し、今回は4万通ものハガキが届いた上7000人近くが正解した(正解率17%程)。それぞれ、二番目に多かった事件のダブルスコアを記録している。
そもそも「顔の判別できない死体が出てきたら入れ替わりを疑え」というのはミステリーの王道。
金田一少年がミステリー初体験という人もイニシャルから犯人を容易に導き出せる為、大胆な引っ掛けに反して難易度はかなり低かったと言える。
初代連続ドラマ版およびアニメ版で2話目のエピソードに抜擢されたのは、そんな敷居の低さも見込んでの事かもしれない。
【余談】
後の事件はこの事件を連想させる設定がいくつかある。詳しくは以下の通り。
- 高遠が使った偽名。
- メインキャスト以外の登場人物の共通のトラウマ。
- 事件の前段階で真犯人がターゲットを絞り切れていない。
- 離れ離れの兄妹。(高遠&ジゼル、佐久羅&白樹の2組。特に後者は事件後にそれが明らかになる点も同じ。)
- 事件のきっかけとなった多くの死者を出した事故。
- 真犯人の最終手段が爆弾。
と、こんな感じである。
◇原作との相違点
●ドラマ版
- タイトルを「悲恋湖殺人事件」に変更。時期も秋から夏に変更。
- 倉田壮一と河西さゆりは登場しない。
- 橘川茂は一達の同級生。教室で代役を捜していた。
- バス停で九条が点呼を取るシーンが追加。
- 一達が悲恋湖が赤く染まるのを目撃するのがキャンプ場に着く前。また悲恋湖伝説について説明する人物を九条に変更。
- 一が橘川の代理人とバレるシーンは、リゾートに着く前に置き忘れた一のバッグを九条が見つけ、それに付いたネームプレートを読まれてしまう、という展開に変更。一は橘川じゃないことを確認されても全く悪びれることなく、バツが悪そうな様子さえ見せずに「ええ、代理で」と言い、それを聞いた聖子は原作より強い口調で「代理!?ねえ、代理に権利は無いわよね!?」と九条に詰め寄っている。
- 香山三郎の遺体発見場所は冷蔵庫の中から棚の中に変更。戸に挟まっていたものも一万円札からハンカチに変更。
- いつきが香山聖子に三郎が殺された心境を聞くシーンはカット。
- 香山三郎の死体が発見された後、美雪達が外に出る理由が薪探しから森からの抜け道を探すに変更。
- 美雪に怪我を負わせた罠がボーガンから斧に変更。そっちの方が酷くないか…?
- 一達がボートの存在に気付くシーンで、原作にあった小林の描いたボートの絵がなく、九条がわざとらしく「ボートがあるかもしれない」と叫んで存在を示す、というものになっている。また、その時一に「なんで今まで黙ってたんだよ」と怒りの声で突っ込まれて、バツが悪そうに「私、水恐怖症で、乗れないから」と言い、呆れられている。
- ジェイソンの服装は原作では首から下は全身黒い服装だったが、ドラマ版では迷彩服になっている。
- 一が事情聴取するのが小林殺害前になっており、豪華客船沈没事件を最初に話すのが香山聖子から九条に変更。聖子は「いつきが犯人だ」と主張するシーンがある。
- いつきの本名が解る道具を名前入りのタオルからイニシャル入りのペンダントに変更。
- 刀丸猛人の設定を映画マニアから己の容姿に絶望して顔を焼いた人物という設定に変更。流石に宮崎勤モチーフは不味かったかためか。また、刀丸が大量殺人を起こした村の所在を埼玉県から北海道に変更。
- 遠野がコテージに忍び込む時間帯を早朝に変更。
- 遠野を取り押さえる罠を仕掛ける際、原作では盗聴器ごと一以外の全員がロッジからコテージに移動した後一人残っていた一が後からコテージに移動していたが、ドラマ版ではいつきが先にコテージに移動し後から全員が盗聴器ごとロッジからコテージに移動する。
- 遠野を取り押さえ謎解きする場所をコテージの外に変更。
- 螢子がオリエンタル号に乗ることになった経緯はカット。
- 遠野が甲田に重傷を負わせた。また、ボートに乗るために逃亡する際、原作では美雪の横を通り抜けているが、ドラマでは完全に突き飛ばしていて、余計に一の怒りを買っている。
- 遠野が一に甲田を殺すよう命じるシーン、爆弾の存在を示唆し脅しをかけるシーンはカット。
- 遠野と螢子が実の兄妹だったという事を伝えたのは剣持警部に変更。
●アニメ版
- 原作での季節は秋だが、アニメ版では放送日に合わせてゴールデンウィークの話になっている。
- 序盤での一の行動が異なる。原作では学校で友人と会話していたが、アニメでは下校途中で剣持と会話している。
- 下校時、美雪が遠野と会うシーンが追加。
- 橘川が美雪にセクハラ行為をするシーンがカット。
- 一が美雪の部屋に侵入した際、原作では窓からだったが、アニメではいつの間にかクローゼットの中にいた。
- 吊り橋に落ちそうになった一を助ける人物が遠野から九条に変更。
- 一達が会員権の事を知るのは吊り橋で橘川の代理人である事がバレた時になっている。
- 香山に「カップル誕生だな」と冷やかされる人物が原作の一と河西から美雪と遠野に変更。
- 倉田が会員権の事を話したり、ニュースの後で「命が惜しかったら会員権を放棄して帰れ」と言うシーンが追加。
- 倉田の死体が置かれた木を最初に蹴る人物を遠野から一に変更。
- 刀丸の背景をカット。
- アニメ版による規制のため、被害者の潰された顔は見えないようになっている。
- 甲田が携帯電話を所持していたが、キャンプ場が圏外であった為、連絡が取れなかった、というシーンが追加。
- 香山は「バツイチで子供がいる(聖子は後妻)」「三郎の遺産は前妻との間に生まれた子供に相続される予定」という設定になっている。
- 三郎が「勝手にしろ!」と立ち去るのがメインロッジにいる時になっている。また、バッグの中身が札束だと明かされるのが三郎殺害後になっている。
- 一と美雪が互いに嫉妬するシーンが追加されているが、最終的に和解している。
- 美雪が森に入った理由は薪探しから一の後を追うに変更。
- 小林殺害時のアリバイ証言で河西は「一人ぼっちだと怖かったからいつきのそばにいた」と証言している。
- 遠野がコテージから逃亡するとき、原作では美雪の横を通り抜け、コテージの出入り口から外へ出ているが、アニメでは窓を破ってコテージの外へ出ている。
- 事件後、リゾート開発が中止されたことや、刀丸が既に死刑執行されていたことを剣持に教えてもらった一が美雪にも教えるシーンはカット。
「その時、俺は思った。だったらあの時の項目を全部追記・修正すりゃ良いじゃねぇかと。」
最終更新:2023年02月02日 17:27