バルゴン(ガメラシリーズ)

登録日:2025/08/11 Mon 20:44:09
更新日:2025/09/07 Sun 20:25:08
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もしかして:バラゴン
     :パラゴン



「バルゴン」とは、ガメラシリーズに登場する怪獣。




概要

初登場は昭和シリーズ第2作の『大怪獣決闘 ガメラ対バルゴン』。すなわちシリーズ初の敵怪獣である。今でこそガメラのライバルと言えばギャオスが有名だが、最初のライバルはこのバルゴンだったのだ。
トップバッターながら非常に強力な怪獣であり、一度はガメラに勝利した実力者でもある。


生態・能力

身長 80m
体重 70t

ニューギニアの孤島にある魔境「虹の谷」に隠されていたオパールに似た卵から誕生した、現地で「千年に一度誕生する」と言い伝えられている伝説の怪獣。
本来であれば成長するのに10年かかるらしいが、劇中では医療用の赤外線を浴びた影響で急成長してしまった。
四足歩行の爬虫類、特にトカゲやイグアナを思わせる姿をしており、鼻の先端と背中に角がある。血の色は
外見的にもっとも特徴的なのは目で、狂気的とも間抜け面とも評される独特の目付きをしている。

どこぞのイノシシすらも上回る非常にぶっ飛んだ知覚能力の持ち主で、劇中では大阪から遠く離れた鈴鹿からのミサイル攻撃を、ミサイルが放たれる前に感知している。

冷凍怪獣の異名を持ち、長い舌の先端から超低温の冷凍液を噴射する。この舌は普通に対象を殴るための武器としても使える。
また、体温が低いのかラジオ放送によるとバルゴンがそこにいるだけで周辺の物が凍りついてしまうらしい。
背中に連なる角からは「悪魔の虹」と呼ばれる超遠距離射程の殺人虹光線を発射する。この光線は逆に非常に高熱であらゆるものを破壊・消滅させる*1が、に反射するという性質を持つ。

弱点はまさかの水ヘリコプターを使って発生させた人工雨を浴びた程度で冷凍液を出せなくなり、まともに動けなくなるという有り様で、もし全身が水没した場合は細胞が融解を起こして死亡する。
これ以外にもダイヤモンドの光に引き寄せられるという、これまた謎の生態を持ち、バルゴンを知るニューギニアの部族は巨大なダイヤを用いてバルゴンを湖へと誘導して退治してきたという。
だが、劇中の個体は赤外線の影響による突然変異体であるため、赤外線を使ってダイヤの光を増幅させなければ反応しなかった。
ちなみに「冷凍怪獣なら熱が弱点」と思いがちだが前述の赤外線で誘導されることから分かるように、バルゴンは人間が暑いと感じる程度の熱はむしろ好む。(ガメラの火炎放射ではさすがにダメージを受けたが致命傷に至らず)


劇中での活躍

戦時中に平田一郎が発見し、足を負傷した自分の代わりに、弟の圭介、友人の小野寺と川尻の3人に取りに行かせるも、最終的には小野寺が仲間を見殺しにして回収した、オパールに似たバルゴンの卵が、帰りの船の中で医療用の赤外線を浴びたことで孵化。そのまま急成長するものの生まれたのが船内だったため、神戸港でいきなり死にかけた。
なんとか陸上へと這い上がると八つ当たりとでも言わんばかりに神戸タワーを舌パンチで破壊。そのまま大阪へと向かう。

大阪では自衛隊による迎撃を受けるも、特にダメージはなく冷凍液を使って返り討ちにする。自衛隊は冷凍液の射程距離圏外からの攻撃を試みるが、バルゴンはこれを感知しミサイルが準備されている鈴鹿に向けて殺人虹光線を発射。ミサイルは全て破壊され不発に終わった。
ここで殺人虹光線の高熱に引き寄せられるかたちでガメラが登場、殺人虹光線に当たってしまうがこれでバルゴンを敵と認識したガメラ。ついに怪獣同士の対決が始まる。
だが結果はまさかのガメラ敗北。ガメラの炎はバルゴンの冷凍液に押し負け、ガメラ自身も完全に凍りついて行動不能となってしまった。

その後、現地人に助けられてニューギニアから帰還した圭介と、彼と一緒にやってきた現地人のカレンからバルゴンの情報が自衛隊に知らされ、人工雨で足止めをしつつ、巨大なダイヤを用いて琵琶湖に沈める作戦が取られることに。
バルゴンが赤外線でダイヤの光を増幅させないと反応しないというトラブルこそあったものの、なんとか琵琶湖に誘導することに成功した。
ところが、何を血迷ったのか小野寺がダイヤを強奪するべく圭介たちを襲撃。ダイヤは小野寺ごとバルゴンに食べられることになり、作戦は失敗に終わった。

自衛隊が人工雨でバルゴンを琵琶湖にとどめる傍ら、カレンと一緒に鈴鹿を訪れた圭介は、跡地にバックミラーだけが残っていることからバルゴンの殺人虹光線が鏡に反射することに気付き、バルゴンにあえて殺人虹光線を撃たせ自滅に追い込む「バックミラー作戦」を考案。
作戦は実行に移されバルゴンは大火傷を負うも、自己防衛の本能から絶命とまではいかず殺人虹光線を放つことをやめてしまった。

もはや打つ手無しか…と圭介たちが絶望する中、自然解凍するまで大阪で完全に放置されていたガメラがついに復活し、バルゴンにリベンジを挑む。
畜生の浅知恵という奴で「人間と違ってガメラは殺人虹光線を反射できない」ことには気がつかず封印状態で戦うバルゴン(仮に気が付いても熱耐性のあるガメラには相性が悪い技だが)
ガメラに特効な冷凍液は人工雨を喰らって出せなくなっており、更にこの人工雨で体が鈍り、殺人虹光線反射による自滅もあって大ダメージとと圧倒的不利な状況のバルゴンがガメラに敵うはずもなく、
バルゴンはガメラに首筋を噛みつかれて琵琶湖に引きずり込まれてしまう。
断末魔の代わりに最後の殺人虹光線を放ち、バルゴンはついに絶命したのであった。


その後のバルゴン

大怪獣空中戦 ガメラ対ギャオス』『ガメラ対大魔獣ジャイガー
前者はエンディングで、後者はオープニングで『大怪獣決闘』でのシーンが流用されたため顔出しで登場。

『ガメラ対宇宙怪獣バイラス』
ガメラの記憶を映し出すシーンで、『対ギャオス』と共に『大怪獣決闘』での戦闘シーンが流用されて登場する。

宇宙怪獣ガメラ
ザノンが送り込んだ怪獣の最後の一体として登場。神戸と大阪を襲撃するが、ガメラがやってきた時点で冷凍液を出せなくなっており、やっぱり湖に引きずり込まれて死亡した。

『大怪獣激闘ガメラ対バルゴン-COMIC VERSION-』
平成三部作の外伝となる漫画作品。『ガメラ2 レギオン襲来』と『ガメラ3 邪神〈イリス〉覚醒』の間に出現したということになっている。
ガメラギャオスと同じく古代文明が産み出した怪獣で、担当するのは「青龍」。そのためか姿が全身に結晶が生えた四足歩行のドラゴンのような姿に変更されている。
やはり冷凍液や虹色光線などを武器としている他、映画には無かった特殊能力として一種の催眠術のようなものがあり、目を合わせた人間が欲望を刺激され暴走したり、操って人質的に利用するなどしていた。

恐るべきことにこれでもまた成長途上とされており、最終的には幸いその段階でガメラに敗れたものの
「バルゴンの魂」なる宝石を取り込んで完全体となってしまうとガメラの勝機は薄いとのこと。

『聖獣戦記 白い影』
平成三部作と似たような世界観を持つ小説作品。だが舞台はなんと鎌倉時代。当のバルゴンは勾玉でコントロールされているとは言え善玉怪獣扱いで活躍するというトンデモ展開を迎える。
ちなみに戦った相手は白虎に相当するジャイガー。

小さき勇者たち~ガメラ~
ノベライズ版に、ギャオスの死骸を食べたことで怪獣化した動物の一体として「Gバルゴン」が登場。バルゴンの方が先輩なのに…。

GAMERA -Rebirth-
約17年ぶりの新作にて、他の昭和組がリファインされて再登場していった中、なんとバルゴンのみがアニメ本編では未登場というまさかの扱いを受けている。
ギャオスは2回も登場しているのに!宇宙ギャオスのぶんなのか!?

これに関しては『Rebirth』の主役は子供たちであり、『バルゴン』にはガメラ作品で唯一子供が登場していない、あるいはジャイガーギロンといった四足歩行の怪獣とかぶる等といった様々な憶測がなされている。
ただし、設定上は存在しており、他の怪獣と同じく10万年前に栄えた超古代文明によって開発された生体兵器の一体。ジャイガーとはそれぞれ分岐・派生種の関係にあるとされる。

瀬下寛之監督はいつか続編制作の構想も匂わせており、「その時が来たらバルゴンも出したい」みたいな事をいっていたが、今の所『Rebirth』の続編に関する情報は無い。


余談

『大怪獣決闘』においては「故郷から引っ張りだされ、本来とは違うかたちで成長し、異郷の地で死を迎える」という扱いであり、バルゴンもまた小野寺の被害者と言える立場である。

水に弱いバルゴンがニューギニアで生活できていた理由としては、「水に直接触れないように周辺を凍らせ、更に虹光線で雨雲を散らせていた」という考察があるが真相は不明。

『熱帯出身の冷凍怪獣』という稀有な個性のバルゴンだが、コオリミミズという「真水に弱いが氷は平気」な生態の生物は実在するのでもしかするとバルゴンもそういった体質なのかもしれない。
上記コミックでは水が弱点という設定はないが、本作ラストの展開から水面を凍らせて這い上がり最終決戦を迎えている。

上記の通りよく似た名前の別の怪獣が二体もいる。なんの因果か全員四足歩行である*2


追記・修正はオパールとバルゴンの卵を見分けてからお願いします。

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最終更新:2025年09月07日 20:25

*1 ただし、熱に強いガメラはダメージは受けたものの耐えている。

*2 バラゴンは二足歩行もできる。