アーケードゲーム筐体

登録日:2009/05/28(木) 04:51:30
更新日:2020/04/01 Wed 03:57:58
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アーケードゲーム筐体(読み:きょうたい)とは、ゲームセンターに設置されている「ゲームをプレイする台」のことである。

画像出典:栃木県佐野市さくらんぼ(閉店済)より

筐体の種類

アーケードゲームはコインを投入し、プレイを行うものである。
そのために家庭用ゲームハードとは大きく異なり、さまざまな機器がセットになっている。
ここでは筐体の種類を二つに分類/記述する。

  • 大型筐体
他のゲームタイトルへの使い回しが出来ず(もしくは特定のタイトル間のみの入れ替えだけに対応する)、事実上特定のタイトル専用の筐体が分類される。
ドライブゲーム、ガンシューティングゲーム、メダルゲーム、音楽ゲーム、体感ゲーム…といった、実に様々なタイトルがこれに該当し、ゲームセンターの華となっている。

画像出典画像出典:リッジレーサー オペレータ販促POPより「リッジレーサー 3M」より NBGI

ドライブゲームであればハンドルとペダル類は不可欠であるし、ガンシューティングゲームであれば光線銃デバイスが必要となる…といった具合に、筐体の専用設計性が求められ、それと同時に大型であるのも特徴。特殊性が強い。

迫力や臨場感にあふれるプレイを得やすく、また基本的に移植が難しいのと、専用設計された操作デバイスやそこから得られるプレイ感覚から、稼働はほぼゲームセンターのみに限られるアドヴァンテージがある。

ゲームタイトルがバージョンアップする際などに「筐体を新しく変えることなく、ゲームの入れ替えだけで済む」ようにされているものが多く、「バージョンアップではなく同メーカーの関連作品は入れ替えや改修のみで稼働ができる」というものも存在する。


  • 汎用筐体
ゲームセンターにて広く用いられている、様々なゲームタイトルに入れ替えて稼働させることのできる筐体。本項目冒頭の画像で稼働している筐体「ブラストシティ」はこの分類に属する。


◯テーブル筐体(カクテル筐体)

1970年代末のインベーダーブームによって日本各地にスペースインベーダーがプレイできる店舗が爆発的に増加し、汎用筐体が広く普及することになった。
しかし現在主流のモニターと相対してプレイを行うアップライト型ではなく、モニターを覗き込むような「テーブル筐体」と呼ばれる筐体が当時主流であった。

画像出典:「1/12 スペースインベーダー筐体プラスチックモデルキット」HELMETS ONLINE SHOPより

平たいテーブルのような外見をしており、テーブルの板面にモニターが埋め込まれており、テーブル前に椅子をおいて座ってプレイするスタイルである。
カクテルグラスを水平に置くことができることから、別名「カクテル筐体」という名称でも呼ばれる。
コントロールパネルはテーブル側面に取り付けられており、その隣にコイン投入口が用意されていることが多い。表面のガラス面にはインストラクションカードなどをはさむことができる。

2人プレイを行う場合は、向かい側に2Pコントロールパネルが取り付けられているものが多く、筐体を挟んで相向かいになるように座ってプレイを行う。*1
のちに、コントロールパネルが拡張されて後年の汎用筐体で見られるような2人が横並びに座ってコントロールパネルに手を置くスタイルのものも販売された。

プレイアビリティとしては、慣れも要るところはあるが基本的に高くはない。
コントロールパネルに手を置く都合上前傾姿勢を強いられる*2ため、長時間のプレイで疲労が溜まりやすい。
特に画面が水平方向に設置されている都合上、ブラウン管モニターの歪曲によって画面上部の視認性が著しく落ちる懸念がある。またモニターが天井を向いているということは、光による映り込みの影響を受けやすいということでもある。筐体のサイズの制約と、電源装置やコインシューターやコントロールパネル部などの組み込みの関係から、モニターのサイズを大型化することが難しく、アップライト型と比較すると小さめのサイズが用いられる傾向が強い。

しかしながら筐体自体は比較的小さめで、なおかつ重量が軽く、取り回しもよい。
運搬も非常に楽で、狭い出入り口でも成人男性2人もいれば運ぶことができる。
またそのレトロ・ノスタルジック感はほぼ唯一無二のもので、70~80年代のタイトル稼働時にこの上なくマッチングする。

後年でも製造されており、液晶モニターを用いたり画面に角度をつけることでプレイアビリティの問題を緩和したモデルが用意されている。それらは重量が非常に軽く、取り回し性の向上につながっている。


◯アップライト筐体

椅子に座り、机に向かうようなスタイルの筐体。張り出したコントロールパネル部分に、やや傾き角度をつけたモニターが取り付けられたデザインとなっている。

画像出典:セガメカトロ研究開発部より

コントロールパネル周辺にコイン投入口が用意されており、インストラクションカードはモニター上部やコントロールパネル付近に掲示スペースがあることが多い。*3

80年代初頭から広く用いられ始め、長らくゲームセンターでは「汎用筐体が隣り合って横一列に並んでいる」光景が広く見られた。
机の上に手を置くようなかたちで自然なプレイ姿勢が取りやすく、モニターが目の前にあるため視認性が非常に良い。モニター自体もテーブル筐体よりも大型のものが用いられていることが多い。
コントロールパネルがテーブル筐体と比較して広く、改造拡張にも適している。
2人プレイ時は横に並んで座る形式か、もう一台の汎用筐体とリンクさせて「1人1台」の形式(主に対戦台方式)で行うかの2種類となった。

従来のテーブル筐体と比較すると圧倒的なプレイアビリティを誇る。
反面、筐体が大型化したため重量が増し、運搬は難しくなったことと、後述のモニターの入れ替えや整備が困難になったことがデメリット。

海外ではロケーションやスタイルの都合か、立った状態でプレイし椅子を使わないアップライト筐体が広く用いられていた。


筐体の構造

大型筐体、アーケードゲーム筐体ともにさまざまな部位で構成されている。但し必ずしも全てが該当するわけではない。

  • モニター
ゲーム画面を映し出すためのもの。かつてはブラウン管が主流であり、15インチから29インチ前後のものが広く用いられた。筐体によって差が大きい。
筐体内部にモニター基板が取り付けられており、基板上の調整ボタンやボリュームなどで映像の大きさ、上下左右位置、歪み、色合いを調整する。

タイトルによって、用いるモニターの向きに指定があり、横画面のものと縦画面のものが存在し、稼働させたいタイトルによってモニターの向きを入れ替える必要がある。
基本的には横画面のタイトルが9割以上を占めているが、70~80年代の作品や縦スクロールシューティングゲームは縦画面の作品が多い。

2000年半ば頃より液晶モニターに切り替わりが進み、現在ではこちらが主流となった。
ブラウン管はその重量のほかに取り回しが難しいこと、製造やサービスが終了しメンテナンスが難しいこと、高電圧を帯びた部分が露出していて危険なこと*4などから数を大きく減らしているが、画面表示遅延がないことのほかに、独特のスキャンラインや雰囲気などからコアなプレイヤーをはじめとしてブラウン管を好む層も存在する。

筐体によってはプロジェクターモニターを用いるもの*5、スクリーン投影型のものなどがあるほか*6、複数の画面を使用するタイトルや、鏡の反射を利用するタイトルなどがある。*7

メダルゲームにはその性質上、7セグメントディスプレイなどが主流だったためにモニターが存在しないものもあったが、近年の作品ではモニターが用意されたものが多い。

  • ハーネスと電源装置
筐体内には基板と接続するためのハーネス(接続コード)と、基板とモニターの他にさまざまな操作デバイスやスピーカーなどに電源を供給するための電源装置が用意されている。
もともとハーネスは、各メーカーによって配線が大きく異なり、共通で使用できるハーネスというものは殆どなかった。これを受けてJAMMA(日本アミューズメントマシン工業協会)が統一規格を打ち出した。これはJAMMAハーネスと呼ばれ、統一規格が登場した1986年からはハーネスの形状や配線がある程度統一されることとなった。*8

  • コインシューターと金庫
コイン投入を認識し、基板にクレジット入力をさせるもの。これをコインシューターと呼ぶ。
該当の金額(10円、50円、100円)かどうかを判別するワイヤークリップとスプリングが内蔵されており、これが規定重量以内であればクレジット入力が発生し、投入されたコインは金庫に収められる。

正規の該当金額を投入しているにも関わらずクレジットの入りが悪い場合はコインの通過するレーンの汚れや、ワイヤークリップもしくはスプリングの劣化が原因の場合が多く、これは機械的なものであり同時に振動などの影響を受けやすいことから、ゆっくり投入したりコインを入れた状態で筐体を揺らすなどすると認識することがあるのはこのためである。

該当の金額以外やゲームコインを投入した場合はクレジット入力が発生せず、リターンシャッターに返却される。

  • 操作デバイス
ゲームに入力を行うためのもの。コントロールパネルと記述した場合はジョイスティックを指す場合が多い。
ドライブゲームであればハンドルやペダル、シフトレバー、視点変更スイッチやスタートボタンなどがこれに該当し、ガンシューティングゲームであればガンコントローラーが操作デバイスである。音楽ゲームでは各ボタンやアナログ入力装置などが該当する。

汎用筐体の場合、タイトルによって必要となるボタン数が異なることが多い。
1990年のストリートファイターII以降、最もよく見られるコントロールパネルはレバー1本、ボタン6個の「1L6B*9」であり、これ以上の入力を必要とする汎用筐体のタイトルは極めて稀である。
使用しないボタンがある場合はそのままにしておくか*10、ブランクボタンキャップに変えることで容易に対応ができる。

メダルゲームはエレメカの要素が強く、プレイヤーが可動させることのできる遊動コインレールなどが一応操作デバイスにあたるが、上記の分類とは大きく異なる。

  • スピーカー
ゲームのサウンドを出力するために取り付けられている。8~10cm前後の口径のものが主流。
筐体によってはBOSE社のスピーカーや多チャンネルのサラウンドシステムが用意されていたり、ウーファーを備えたものもある。


筐体の取り扱いについて

運搬時は無理して一人で行わず、2人以上の人数で行ったほうが望ましい。液晶モニターが用いられるようになった近年の汎用筐体は比較的軽量ではあるが、それでもフレーム部分は耐久性と信頼性を高めるため鉄が用いられており、70~80kg近い重量があることがほとんどである。

キャスターが取り付けられているものはなるべくそれを利用し、持ち上げ等は内部の基板やモニターなどを外してから行うのが絶対条件である。*11

プレイ面においては、丁寧に扱ったほうが筐体の寿命が伸びるのはもちろんではあるものの、操作デバイスは頻繁に入力を受け付ける可動部である以上一定の損耗はどうしても避けられない。
それらの部分にはメンテナンスが必須であり、レバーやボタンの交換をはじめとして、アナログ入力デバイスの感度やあそび部分調整、ガンコントローラーの照準調整、I/Oテストの確認などを行う必要が出てくる。

ただし台パンは全く別の問題であり、損耗や劣化ではなく破壊である。筐体の寿命も縮めるが、それ以前に人間としてのマナーとモラルが問われる。


コラム

さまざまな筐体が存在するが、特に大型筐体はその特殊性と互換性のある部品が少ない。同時に損耗も激しくなる傾向が強く、メンテナンスが難しいものが少なくないため、長期に渡っての維持は難しい傾向にある。

古い大型筐体のタイトルが希少とされる理由はこのためで、ゲーム基板自体が残っていても操作デバイスの代替が何かの手段でできればまだ良いほうで、本来の筐体の操作デバイスが極めて独特な場合はプレイ可能な状態にするのが困難なケースもある。

汎用筐体であれば全てAC100Vで稼働するため、搬入条件に問題がなければ汎用筐体を入手して自宅に設置することもできる。好事家の中には自宅をゲームセンターのように作り変えたりする者もいる。


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*1 但しテーブル筐体が主流だった頃は、2人「同時」プレイができるタイトルは極めて少なく、交代制のプレイ作品が多かった。その場合、基板の画面設定でカクテルモードをONにしてあればプレイヤー交代の際に画面が上下反転するようになっていた。

*2 セパレートハンドルのスーパースポーツバイクの乗車姿勢によく似ている体勢。

*3 初期のアップライト筐体にはそのスペースがないものも多い。

*4 モニター背部にアノードキャップと呼ばれる超高圧電流の流れる部分があり、電源を切っても帯電した状態が長期間持続する。この場所に触れてしまった場合、最悪死亡することも考えられる。

*5 セガのグランドマスター50、メガロ410、メガロ50などが代表的。

*6 ギャラクシアン3 シアター6、リッジレーサー フルスケールなどは三管式プロジェクターを用いてスクリーンに投影する。機動戦士ガンダム 戦場の絆はドーム型筐体で、プレイヤー前面部分の全域が凹面スクリーンとなっており上部プロジェクターから投影する。

*7 ブラウン管モニターのガンシューティングは鏡で映像を反射させて目の前に映し出したものが非常に多かった。また凹面鏡を用いるスターブレードや、ハーフミラーによって映像を擬似的に重ねるワイバーンF-0、つなぎ合わせるダライアスなどが該当する

*8 もちろんその後も専用ハーネスは存在する。またアナログ入力が必要なもの、JAMMAハーネスが対応していない3ボタン以上のボタン入力が必要となるタイトルなどは追加ハーネスが必要となる場合があるなど。

*9 2人プレイ可能なコントロールパネルの場合は2L12B

*10 タイトルによっては動作確認用の入力や、他のボタンと同じ入力となる割り当てになっている場合があり、プレイに支障をきたすこともある。例として、達人王の3ボタン目を押すと高速スクロールが発生する。

*11 重量を軽くするほか、基板やモニターに加わる衝撃での破損を防ぐため。