どくさいスイッチ

登録日:2011/01/11(火) 03:39:22
更新日:2022/04/26 Tue 12:38:44
所要時間:約 9 分で読めます








「じゃまものは消してしまえ。すみごこちのいい世界にしようじゃないか。」





どくさいスイッチとは、『ドラえもん』の1エピソード。てんとう虫コミックス15巻に収録。また、その話に登場するひみつ道具の一つ。
色々な意味で強烈な内容からドラえもんにおける「みんなのトラウマ」としてよく名前が挙げられるが、一方でその深いメッセージ性から好きな話の一つとしてもよく選ばれるドラ屈指の名作である。





ジャイアンに草野球で負けたことを全て自分のせいにされ、バットで殴られたりグラウンドを走らされたりしたのび太が、

「ジャイアンさえいなかったらこんな目に……。」

と呟いた事に対し、ドラえもん
「……そんな風に考えるの?そういうことならやってみる?」と言って渡した道具である。


この道具は未来の独裁者が使うもので、誰であろうと邪魔者は「消す」ことができるという。
さすがに躊躇したのび太だったが、再び殴りかかってきたジャイアンを反射的にスイッチを押したことで消してしまう。


ここでいう「消す」とは、確かに対象をこの世からいなくするという意味ではあるのだが、その恐ろしさは行方不明なんて生易しいモンじゃ済まされない。


なんとその者が存在したという事実さえも消えてしまうのだ。
つまり「どくさいスイッチ」で消された人間はこの世界に最初からいないということになるのである。


なので、消した人間(ジャイアン)についてしずかちゃんに聞いても
「ジャイアン…?知らないわ、そんな人クラスにいたかしら……?」
担任の先生に聞いても
「剛田武ぃ?ウチのクラスにそんな子はいないんじゃないか?未だかつてそんな名の子は受け持ったことはないよ?」
はてには産みの親に聞いたとしても
「たけしぃ?ウチにはそんな子いないよ。ウチにはジャイ子しかいないの知ってるでしょ?」
となり、覚えているのは自分(とドラえもん)だけとなるのだ。


しかもこの道具の影響はこれだけでは終わらない。
なんとジャイアンのいない世界では、スネ夫がジャイアンの代わりにジャイアンズの監督になって殴ってくるのである。

そう、一人消すと別の人間が消した者の行動を引き継いでしまうのだ。

(大山版で2回目にアニメ化された際には、行動だけでなく体格も引き継ぐらしく、スネ夫の身体が一回り大きくなっていた)


そして今度はスネ夫まで消してしまい、さらに二人分の行動を引き継いだ安雄ら三人に追いかけ回され途方にくれるのび太。
ドラえもんに消えた2人を戻してくれるように頼むも、


「二人が消えてせいせいしたでしょ。これで君の思い通りになったでしょ?」


外道過ぎる…。
結局心身ともに疲労したのび太は昼寝をすることに。
しかし夢の中で友人、親、果てにはドラえもんにまでバカにされてしまい……


「みんなでよってたかってぼくのことを。
「だれもかれも消えちまえ。



カチッ



……あっという間に人類最後の一人という悲劇のシチュエーションの完成である。


しかし、しばらくは開き直って
「この地球がまるごとぼくのものになったんだ。ぼくは独裁者だ、ばんざい!」

と世界に一人だけのバカは目一杯孤独を満喫することに。
誰もいないスーパーで好きなものをたらふく食べたり、好きな本やゲームを好きなだけやったり。
アイスを食べて体が冷えたのか、ラーメン屋を訪れるも当然ながら誰もいない。
食料を一人で自宅まで運びながら「ドラえもん一人ぐらい残しておけばよかった…」と嘆く。
夜になり、町中の電気が消える等もあってことの重大さにようやく気づいたのび太。


「ひとりでなんて…、生きていけないよ…。」


無人島で10年過ごした人間とは思えない弱音をはくも、消してしまった人間達は帰ってくることなく、のび太は一人寂しく孤独な死を迎えましたとさ…。


追記修正は、世界中の人間を消去して、孤独死してからお願いします。



























……ってなったらもはや小学生向けの漫画・アニメではなくなるだろう。


メソメソ泣いているところへドラえもんがやってきて、

「ひとりでなんて…、生きていけないよ…。」

「気に入らないからってつぎつぎに消していけば、きりのないことになるんだよ。わかった?」

「うん、わかった。」





「ドラえもん!」

「実はこれ、独裁者をこらしめるための発明だったんだ。もとへもどそう。」

と言い、消した人間達のいるもとの世界へ戻してくれましたとさ。


もとの世界でのび太とドラえもんはいつもの空き地でキャッチボールをしている所にジャイアンとスネ夫が現れる。

「やあ、ヘタクソが練習してる。」

「今度は殴られないようにがんばれよヘタクソ!」


「周りがうるさいってことは楽しいことだね。」

…。

要するに他人を除けたところでたいして意味はなく、また似たような者が現れる。
他を変えるのではなく変わるべきは自分なのだということを解らせる教材用の道具なのである。
決して兵器として使われる代物ではない


なお、この道具による消滅の原理等がはっきりとわかっていない。
夢や幻覚の類だったのか、はたまたもしもボックスのようにパラレルワールドへと移動するのか。
まあなんにしてもこれほど喜怒哀楽や戦慄、恐怖、責任、後悔を体感する道具もなかなかないだろう。



誰かに「消えろ」と言ったことがある方、悔い改めて追記修正お願いします。

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最終更新:2022年04月26日 12:38