実は最初から鬼ではなく、元々は亭主を持つ人間の女性であった。
お稲荷御殿と皆から呼ばれた、古い社の物語
子供ができない不憫な女房が、百と一日願掛けて
社の前で思わず拾った、摩訶不思議な赤ん坊
それから女房はツキにツキ富くじ一等合わせて三回
しかしこいつが
落とし穴、その先に待つは地獄坂⋯⋯
赤子を拾った女房の亭主、こいつがこれまたダメ男
借金残して金を持ち逃げ、若い女と逃避行
それに気づいた女房は、再びお稲荷御殿の中へ
赤い鳥居に荒縄かけて、首をくくってあの世行き⋯⋯
ひとり残った赤子はどこへ? 誰に聞いても行方や知れず
⋯⋯要は
黄川人を拾って育てた恩により、
超能力で幸運をもたらされるも、それが裏目に出て不幸になった末、自ら首を吊って死んじゃった可哀想な人。
しかしこの世への未練や恨みが強すぎたためか成仏できず、自害した現場である鳥居千万宮の鬼に転生してしまったという、とことん運の悪い人。
生前は黄川人を実の子のように思いながら育てていたらしく、自分の勝手で心中に巻き込んだことを詫びていた。
ちなみにモチーフは傾国の妖怪である九尾の狐。
名前の九尾吊りお紺は、死因である『首吊り』と、首に残った縄の『痕』と、『狐の鳴き声』を、それぞれ変換して当てはめたもの。