ヴォイニッチホテル

登録日:2012/01/25(水) 17:16:13
更新日:2025/04/15 Tue 17:18:37
所要時間:約 6 分で読めます




ヴォイニッチホテルは道満晴明がヤングチャンピオン烈で連載していた漫画。単行本は全三巻。


  • あらすじ
太平洋に浮かぶ小国ブレフスキュ島。内戦やマフィアが横行する島だが、常夏でのんびりリゾートができそうな場所である。
その島の非戦闘地域に建つ一件のホテル。従業員は全員どこか不思議で人ならざるもののような感じ。
しかしここに泊まる客も脛に傷のあるような面々。そんな従業員と客が曰くつきの場所で繰り広げるなんでもありのお話。


毎回様々な方面から短いストーリーが描かれるものの、それらは一つの大きな話になっており、連載誌で読むの単行本で読むのとでは印象が変わってくるだろう。


  • ホテルヴォイニッチ
ブレフスキュ島にそそり立つホテル。大きさの割にはオーナーと従業員3人しかいない。もともと地元で神聖な土地だった場所を開拓して作ったため、幽霊が出たりするとの噂もあり、地元民には嫌ったり不気味に思う者もいる。
最上階のスイートルームには、あのチャック=ノリスが泊まったこともあるという。


  • 3人の母
かつてこの島には暗闇の母テネブラルム、嘆きの母サスピリオルム、涙の母ラクリマルムの3姉妹の女神がいた。
ある時この島にスペイン軍が侵略してきたが、母達はこれを迎え撃ち、大地をスペイン軍の血で染め上げた。しかし数万の軍勢には勝てず、暗闇の母は毒矢を受けて戦死、嘆きの母は捕えられて斬首、涙の母は右目を射られて行方不明となった。
一説にはその後3人とも三蔵法師の弟子になっていやらしい旅を続けたとか。
ちなみに2巻にて、見た目こそ南国風の褐色肌女子だったが生まれはロシアという背景が明かされている。

  • 登場人物

クズキタイゾウ
805号室に滞在する主人公の青年。基本的にツッコミ役で性格は優しい。貧乳派。
日本にいた頃は皇龍会の会計をしていたインテリヤクザだったが、慕っていた兄貴を殺されて大金を横領してこの島に逃げてきた。
背中にはコカトリス(攻撃力74)の刺青が彫ってある。明確に彼のことであるとしていないものの、作者曰く「どっちでもいける」らしいまあ回想シーンでね


エレナ
ホテルの従業員。見た目が中学生ぐらいのロリっ娘。
笑顔が可愛くちょっと天然だけど丁寧に仕事をする。血まみれの部屋の後片付けも涼しげにこなすし、性質の悪いクレーマーも二度と現れないようにする。ものすごい怪力。
右目が義眼であり、トラブルの際に落としてしまったが、後にクズキから新しいものをプレゼントされる。背中には大きな「疵」がある。
デートしてからクズキに恋をしており、純情な反応を見せ、焼き餅を妬いたりしている。幼児体型にコンプレックスがあるが、そこがいい。
趣味はネトゲで、性格がかわったように腹黒いプレイヤーになる。アニメや漫画が好きで秋葉原へ行ってみたいらしい。


ベルナ
ホテルの従業員。エレナとは対照的に無表情で淡々と話すが抜群のスタイルを持つ。
仕事はそつなくこなすが、エレナと共に住んでいる101号室は完全なゴミ部屋である。
こちらもものすごい怪力の持ち主。体中にぶった切られたような傷がある。
クズキとエレナの恋を応援しようとするが、いきなり本番に持ち込ませようとするなど節操がない。
なぜかリーダーの探偵団にスカウトされ、団員No7をもらう(コードネーム「メイド」)。
ちなみに携帯の着メロはすさまじくおぞましい。


クロサワ
804号室に滞在する日本人。飄々とした人物でいつもフラっとしている。
暗殺業を行っており、殺し屋ランク4位の凄腕。仕事なら顔見知りでも平気で殺す。そしてホモである。
作者の他の作品にもたまに登場している


ハラキ
402号室に滞在する日本人。売れっ子の漫画家で、「爆裂魔法少女☆メルティちゃん」はアニメ化もしている。
ややロリコン気味。
カリエから麻薬を買い麻薬中毒になり、中毒症状で漫画が書けず書いていた漫画は打ち切りとなった。


タマラ
303号室に滞在する女。部屋で「メルチェロ」という麻薬を栽培して売りさばいている。
育てはしても自分で吸うことはなく、商品に手を出すカリエとミーシャを叱る日々。


ミーシャ
303号室に滞在する女。タマラとカリエと共にメルチェロを売りさばく。
自分でもメルチェロを愛飲している様子。わりと怒りっぽい。
カタギでは無いのでクズキのような普通に見える男がタイプだったが、実はクズキもヤクザと知って自分の見る目の無さにガッカリしていた。


カリエ
303号室に滞在する女。元々DEA(アメリカ合衆国の麻薬取締局)の潜入捜査員だったが、潜入しているうちにメルチェロにハマってしまい、今では相当の薬物中毒者である。


メルチェロ
数式を書き上げる前に死んだ過去の人。麻薬と同じ名前の人物。ロリっ娘。
ハラキに薬物をやめるよう忠告しに化けて出てくる。ハラキの漫画が好きらしい。
数式を書き上げ、満足したと言って成仏したかに思えたが、別にそんなことはなかった。


カンドレイ=ウメダ
ホテルヴォイニッチの日系人オーナー。現役のプロレスラーでがっしりとした肉体を持ち、いつも覆面をしている。
素性の知れないエレナとベルナを何も聞かず雇う懐の深さがあり、20年以上前にチャック=ノリスとエキシビションマッチを行い、前歯をへし折ったらしい。ありゃ噂だけだな


エミリア
ホテルヴォイニッチのコック。
常に死にたがっているが、一人で死ぬのは寂しいので誰かを道連れにしようとする(食事に殺鼠剤を混入するなど)。
小さい頃両親と弟を地雷で亡くし、拒食症になったが、テレビでカンドレイの活躍を見て憧れて生きる勇気をもらうようになる。
めんどくさい処女。そして実は年増


ゼベス
金鉱に住む変わり者の老人。直せないものはないといわれる伝説の二級ボイラー技士。ヤク中。


リーダー
島に住む少年。探偵団のリーダー。冒険心に溢れているがわりと鈍感。
友達が踏んだ地雷の巻き添えを喰らったため、顔に大きな傷があるが、勲章だと言い張っている。
島を食いものにして荒らしておいて、戦争が始まった途端撤退した日本人を憎んでいる。
家はお金持ちらしい。


オイロケ
探偵団のメンバーである少女。自身を性具として扱ってほしいらしいが、周りからオテンバと呼ばれている。リーダーのことが好きらしいが、気づいてもらえない。


ハカセ
探偵団のメンバーである少年。車椅子に乗っており、眼鏡をかけている大人しめの少年。しかし「3人の母」の話になると目を輝かせて話し出すほどのマニア。
とある事情でコードネームがイカレポンチになりかけた。
そこに絡む終盤の彼の恋物語は必見


フトッチョ
探偵団のメンバーである少年。大食いに情熱を注ぐ体型通りの人物ではあるものの、一番の常識人で他のメンバーのツッコミ役。


スナーク
島に住む女性。お嬢様っぽい話し方をする。体が弱くたまに発作をおこす。
レストランを経営しており、トルテは絶品のお味。島で噂の殺し屋と同じ名前だが…。


アリス
スナークの妹。常にウサギの被りものをしている。探偵団のメンバー。昔心を閉ざしていた時期があったが、被りものをすることで人と接することができるようになった。ピーマンが嫌い。


間宮姉妹
殺しの仕事をする姉妹。殺し屋ランク11位。すぐ人を殺しだす姉とわがままな妹のコンビ。クロサワとは顔見知りのようである。姉は握手でカンドレイの骨を折るくらいの握力があるようである。


オリガ
島に住む刑事。島の殺し屋スナークの事件を追う。キカイ田のツッコミ役だが、キカイ田の手相占いによると性のバケモノらしい。


キカイ田
オリガに仕えるアンドロイド刑事。
石ノ森漫画のキャラみたい。
IQ106の頭脳と4馬力のパワーを誇る。インテル入ってる。
手には指紋がビッシリで、陸戦モードも搭載。下半身にはしっかりイチモツがついている。
殺人現場では盛大に吐く。

+ 以下、ネタバレに付き注意
テネブラルム
ホテルの地下ボイラー室に密かに存在する伝承の「暗闇の母」本人。かつて毒矢に撃たれ肉体的には死ぬも、今もなお腐りかけた状態で「生きて」いる。
ほぼゾンビなので見た目こそかつての美しさを保つも中身は重度のボケ老人に近く、稀に過去の記憶を思い出せればいい方というレベルの記憶障害を抱えている。
ひょんなことから探偵団と出会い、その出会いを機に多少意識が戻るが魔女としての記憶は殆ど無くしているので見た目はアレだがただの女の子状態。
そして、魔女マニアというか魔女好きだったハカセから思慕の念を寄せられるようになり、そんな経験が無かった彼女も頑張って応えようとするが……。


  • 短編集『メランコリア』での登場人物

マルタ
エレナが最終話で日本へ行っている間に雇われたメイド。
小説『ナイトビジリア』の執筆中に亡くなってしまったボグダノヴィッチの部屋へうっかり入り出られなくなってしまった。
部屋から解放されるため仕方なく執筆を始めるが、とんでもない文才があったようで、半吸血鬼のピートとメイド少女の禁断の恋の物語は次々と壮大になっていき、発行部数は全世界で1000万部を突破したという。
エレナだけでなく、あの猫田ニャア先生も絶賛だとか。


追記・修正はホテルヴォイニッチにお任せ下さい。

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最終更新:2025年04月15日 17:18