角田軌道

登録日:2012/10/26(金) 00:02:09
更新日:2024/01/06 Sat 20:34:43
所要時間:約 3 分で読めます





角田(かくだ)軌道(きどう)とは、かつて宮城県に存在していた鉄道路線である。
線路の幅は762mm、いわゆる軽便鉄道である。


★歴史

現在の東北本線は、仙台地区ではかつての奥州街道に沿って線路が延びている。
そこから角田盆地への連絡のため、1899年にまず「角田馬車鉄道」として開業、翌年には路線延長が行われた。

だが、経営が好調だった時期はいきなり終わってしまい、開業から数年後には不景気や沿線の凶作を受けて旅客数や貨物量が大幅に減ってしまう。
それを受け、定時運転の確保やの餌代の節約のために蒸気機関車を投入する事になった。
1916年に社名を「角田軌道」とし、翌年以降から途中路線まで蒸気機関車による運転に切り替える事になった。
残りの路線は採算の問題から馬車による運行が続けられ、その後乗合自動車(現在で言う小型バス)に置き換えられて廃止となった。
しかし、それでも経営は改善する兆しを見えず、地元からの支援があったにもかかわらず保守もままならない状態になってしまった。
自治体から軌道を買収する提案もあったが実現する事は無かった。
その後、1929年に営業が停止し、翌年正式な廃止許可が下りた。

宮城県の鉄道会社は、鉄道廃止後もバスの経営に関わる事になったり別の鉄道会社に合併されたりと何かしらの形で現在まで歴史が続いているものが多いが、
この角田軌道は路線廃止を持って解散してしまい、そこで歴史が途絶えてしまっている。
そのためか、後述のように資料があまり残っていないと言う。


★車両

さきほどまで説明した通り、当初は馬車鉄道として開業したこの鉄道。
1918年以降は蒸気機関車が投入され、最後まで活躍していた。

…が、それとは別に、現在に至るまでやたら有名になっている車両がある。

1928年、バスなどに押されて経営が悪化する中、その対策としてガソリン気動車が投入される事になったのだが、
この車両は実は手持ちの客車を改造したという品である。
当時、このように 客車を気動車に改造する という例は各地の鉄道で見受けられる光景だったのだが、問題はその改造の方法である。

一言で表すと、 中古のトラックの前面を客車につけただけ の外見である。
しかも、ボンネットのエンジンの重さのせいで運転席が前の方向に傾いていた
そのうち取れて落ちそうなほどである。

嫌でも印象に残る外見のせいか、鉄道模型まで発売されている。
正直、模型の方がしっかりとした出来だったりする。
そのため画像はこちらでは掲載しない。
ぜひ皆様で検索して珍妙な外見を見て頂きたい。

…ただ、この車両、その強烈な外見以外何も分かっていない謎の車両でもある。
実はこの改造は当局の無認可で行われ、公式の設計図すら残っていないのだ。
そのために車両のスペックはおろかエンジンやブレーキの構造すら一切不明である。
また、その運用についても詳細は判明していないが、片方にしか運転台がないことから何かしらの方法で方向転換をしていたのではないかと思われている。
ただ、蒸気機関車に比べてかなりの運転時間の短縮にはなっていたらしい。

ちなみにこれ以外にも貨車にエンジンを付けるという「貨物気動車」計画もあったようだがこちらがどうなったのかは不明。


追記・修正は赤字対策をしてからお願いします。

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 宮城県
  • 廃線
  • 軽便鉄道
  • 魔改造
  • 鉄道
  • 角田軌道

このサイトはreCAPTCHAによって保護されており、Googleの プライバシーポリシー利用規約 が適用されます。

最終更新:2024年01月06日 20:34