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インビテーショナルカード(MtG)

登録日:2011/07/09(土) 11:17:36
更新日:2026/09/01 Tue 21:40:56
所要時間:約 6 分で読めます




インビテーショナルカードは、Magic the Gathering(以下マジック)のインビテーショナルで優勝したプレイヤーがデザインしたカードである。共通点がある「プレイヤー・スポットライト・カード」についても当項目で説明する。


インビテーショナルとは、マジックにおけるオールスター的な大会で、各公式大会の優勝者や人気投票で選ばれたプレイヤーが参加する。

この大会の優勝者には『ある特権』が与えられる。





なんと、カードを一枚デザインできるのである。







自分の考えたカードをファンたちがネットやら同人やらで盛り上がっていたオリジナルカードが現実になる……これは当時のユーザーたちに衝撃を与えた。

勿論、選ばれた有名プレイヤーも例外ではない。
という訳で、プレイヤーたちが夢を実現させるために、死闘を繰り広げることとなる。




ちなみに、デザインされたカードは軒並み優秀で、環境に多大な影響を与えたものもある。

なお、イラストにはデザインしたご本人のマジック世界での姿が描かれる。そのため一部のカードはモデルとなったプレイヤーの名前がそのまま愛称として用いられている。

以下より、一枚ずつ紹介してゆく。


■なだれ乗り/Avalanche Riders (Darwin Kastle;1998)
なだれ乗り/Avalanche Riders (3)(赤)
クリーチャー ― - 人間・ノーマッド
速攻
エコー(3)(赤)(あなたのアップキープの開始時に、これが直前のあなたのアップキープの開始時よりも後にあなたのコントロール下になっていた場合、そのエコー・コストを支払わないかぎりそれを生け贄に捧げる。)
なだれ乗りが戦場に出たとき、土地1つを対象とし、それを破壊する。
2/2
インビテーショナルカードの一枚目。4マナで速攻持ちの2/2クリーチャーで、なんと戦場に出た時に土地を1枚破壊する。
エコー持ちではあるが、リアニメイトと相性がよくむしろメリットとして働くこともあり、それを利用したコンボデッキも作られた。
土地破壊は言うまでもなく、速攻により打点としても侮れない。ポンザレッドなどにも採用され、大活躍した。
インビテーショナルカードで唯一のアンコモン。


■ルートウォーターの泥棒/Rootwater Thief (Michel Long;1999)
ルートウォーターの泥棒/Rootwater Thief (1)(青)
クリーチャー ― - マーフォーク・ならず者
(青):ターン終了時まで、ルートウォーターの泥棒は飛行を得る。
ルートウォーターの泥棒がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたは(2)を支払ってもよい。そうしたなら、そのプレイヤーのライブラリーからカードを1枚探し、そのカードを追放し、その後そのプレイヤーはライブラリーを切り直す。
1/2
2マナのマーフォーク。
マナを払えば空を飛ぶ上に、戦闘ダメージを与えたら2マナで相手のライブラリーから一枚選んで追放できるコンボデッキキラー。
クリーチャータイプ:マーフォークを活かして部族デッキ(フィッシュ)にも採用されたり、1枚差しが多いコンボデッキの対策として今も使われる。ちなみにデザインした人はマーフォークに襲われてる手前の人。


■翻弄する魔道士/Meddling Mage (Chris Pikula;2000)
翻弄する魔道士/Meddling Mage (白)(青)
クリーチャー ― - 人間・ウィザード
翻弄する魔道士が戦場に出るに際し、土地でないカード名を1つ選ぶ。
選ばれた名前を持つ呪文は唱えられない。
2/2
白青多色のメタクリーチャー。
なんと戦場に出るに対し、選んだカードの使用を禁止する(細かいルールが存在するが、割愛)。
マルチカラーとは言え2マナ2/2とサイズ的にも充分な戦力であり、出ただけで相手の動きを制限できるので、パーミッションには理想のクリーチャーの一体。当時はトリコロールなどにも採用された。
コマンダーでは相手の統率者を咎められるのも強力。

余談だが、基本的にプレイヤーたちがデザインしたカードは強すぎて実現不可能なものがほとんどなのだが、Chris Pikulaがデザインしたカードはあまりに地味すぎて、「こんなの誰も使わねーよ!」となってしまうため、逆に強くデザインさせ直したとか。
ちなみにアラーラで性転換した。


■影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator (Jon Finkel;2001)
影魔道士の浸透者/Shadowmage Infiltrator (1)(青)(黒)
クリーチャー ― - 人間・ウィザード
畏怖(このクリーチャーは、黒でもアーティファクトでもないクリーチャーによってはブロックされない。)
影魔道士の浸透者がプレイヤーに戦闘ダメージを与えるたび、あなたはカードを1枚引いてもよい。
1/3
多色になった知恵の蛇。通称フィンケル。
3マナで畏怖持ち。オリジナル同様、ダメージ与えるとカードが引ける。
言うまでもなく、黒を含まない相手、特にコントロール系には相当なアドバンテージを与える化物で、当時トップレアとして雑誌でも紹介された。

……が、誰も気づかなかった青黒のサイカトグが環境に襲来、同時期に色変更可能な野生の雑種犬も全盛期。
浸透者を止められるクリーチャーが多すぎる環境に合わず、出番はほとんど無かった。

だが、時のらせんにてタイムシフトで登場。環境にもマッチして評価が大幅にアップした。

ちなみに元々はタダで撃てる神の怒りをデザインしたが、さすがに却下されたらしい。当たり前である。


■森を護る者/Sylvan Safekeeper(Olle Rade;1997)
森を護る者/Sylvan Safekeeper (緑)
クリーチャー ― - 人間・ウィザード
土地を1つ生け贄に捧げる:あなたがコントロールするクリーチャー1体を対象とする。それはターン終了時まで被覆を得る。(それは呪文や能力の対象にならない。)
1/1
森を護るくせに森を壊すクリーチャー。
正確には土地を生け贄にして、クリーチャーに被覆を与える。様々なデッキでクリーチャーの援護や対策に使われた。
簡単に対象を取れることも特徴で、後世ではナドゥと組んでコンボしたりもした。

イラストがエルフっぽいのにクリーチャータイプは人間。

なお、優勝者の年代が前後しているが、これは氏が優勝した当時はまだこの特権ができていなかったため。急遽作られることになったカード。


■非凡な虚空魔道士/Voidmage Prodigy(Kai Budde;2002)
非凡な虚空魔道士/Voidmage Prodigy (青)(青)
クリーチャー ― - 人間・ウィザード
(青)(青),ウィザードを1体生け贄に捧げる:呪文1つを対象とし、それを打ち消す。
変異(青)(あなたはこのカードを、(3)で2/2クリーチャーとして裏向きに唱えてもよい。これの変異コストで、これをいつでも表向きにしてもよい。)
2/1
ドイツが生んだ天才プレイヤーがデザインしたカード。だがイラストがあまりにカッコ悪すぎて大不評だった*1
ウィザードをコストに対抗呪文が何度も撃てるナイスガイ。自身もウィザードなので一回は必ず打ち消せる(マナがあれば)。


■真面目な身代わり/Solemn Simulacrum (Jens Thoren;2003)
真面目な身代わり/Solemn Simulacrum (4)
アーティファクト・クリーチャー ― - ゴーレム
真面目な身代わりが戦場に出たとき、あなたは「あなたのライブラリーから基本土地・カード1枚を探し、タップ状態で戦場に出す。その後、ライブラリーを切り直す。」を選んでもよい。
真面目な身代わりが死亡したとき、あなたはカード1枚を引いてもよい。
2/2
通称ソーレン。SolemnではなくThorenの方が由来。
アーティファクトクリーチャーで、出た時に基本土地を戦場に出し、墓地に落ちると1枚ドロー。
「非常に似ている」イラスト共々優秀な一枚。
こいつがSolemn(厳粛な)を「真面目な」と訳してしまったせいで後々ソリンの肩書きが面白いことになった。

この度基本セット2012で再録されたが、イラストが変更された。


■闇の腹心/Dark Confidant(Bob Maher;2004)
闇の腹心/Dark Confidant (1)(黒)
クリーチャー ― - 人間・ウィザード
あなたのアップキープの開始時に、あなたのライブラリーの一番上にあるカード1枚を公開し、あなたの手札に加える。それのマナ総量に等しい点数のライフを失う。
2/1
ライフと引き換えに毎ターンカードが引ける軽量クリーチャー。通称「ボブ」
土地(正確には0マナならなんでも)ならライフを失わないので、「ボブで土地がめくれたら宇宙」なる謎のワードを生み出した。
非常に強力で、コンボからウィニーまで環境を問わず採用されている。墓生まれの詩神に謝れ。
元デザインは緑1マナでプレイヤー1人に毒カウンターを9個置く、だった…。


■ラクドスの穴開け魔道士/Rakdos Augermage (Terry Soh;2005)
ラクドスの穴開け魔道士/Rakdos Augermage (黒)(黒)(赤)
クリーチャー ― - 人間・ウィザード
先制攻撃
(T):対戦相手1人を対象とする。あなたの手札を公開し、そのプレイヤーが選んだカードを1枚捨てる。その後そのプレイヤーは自分の手札を公開し、あなたが選んだカードを1枚捨てる。起動はソーサリーとしてのみ行う。
3/2
お互いに手札から1枚ずつ捨てさせる強迫持ちのクリーチャー。
ウィザード初の先制攻撃持ちで3マナ3/2と優秀。


■宝石の洞窟/Gemstone Caverns(藤田剛史;2005)
宝石の洞窟/Gemstone Caverns
伝説の土地
宝石の洞窟があなたのゲーム開始時の手札にあり、かつあなたが開始プレイヤーでないなら、あなたはそれが運勢カウンターを1個置いて戦場に出ている状態でゲームを開始してもよい。そうしたなら、あなたの手札にあるカード1枚を追放する。
(T):(◇)を加える。宝石の洞窟に運勢カウンターが置かれているなら、代わりに好きな色1色のマナ1点を加える。
日本人初のインビテーショナルカード。
後攻だと開始前から好きマナを出せる状態で戦場に出しておけるため、コンボデッキには重宝される。
ただ伝説の土地であったりと制約も多いため、使い処が難しい。
ちなみにこのカードはデザインしたカードの中から人気投票で選ばれてカード化されたため、イラストに本人は登場していない。


■イーオスのレインジャー/Ranger of Eos(Antoine Ruel;2006)
イーオスのレインジャー/Ranger of Eos (3)(白)
クリーチャー ― - 人間・兵士
イーオスのレインジャーが戦場に出たとき、あなたはあなたのライブラリーからマナ総量が1以下のクリーチャー・カード最大2枚を探してもよい。そうしたなら、それらを公開してあなたの手札に加え、その後ライブラリーを切り直す。
3/2
白のクリーチャーでありながら、戦場に出ると1マナ以下のクリーチャーを2枚まで手札に持ってくる運び屋。
1マナ以下とは言え、そのマナ圏には優秀なクリーチャーが多いため、トーナメントでもよく姿を見かけられた。
後にイーオスのレインジャー長としてリメイクされ、そちらも活躍している。


瞬唱の魔道士/Snapcaster Mage (1)(青)
クリーチャー ― - 人間・ウィザード
瞬速
瞬唱の魔道士が戦場に出たとき、あなたの墓地にありインスタントかソーサリーであるカード1枚を対象とする。ターン終了時まで、それはフラッシュバックを得る。そのフラッシュバック・コストは、それのマナ・コストに等しい。(あなたはあなたの墓地から、そのカードをそれのフラッシュバック・コストで唱えてもよい。その後、それを追放する。)
2/1
青2マナ2/1に瞬速と墓地のインスタントorソーサリー再利用能力が付いており、様々な環境でブイブイ言わしている。
元デザインはカウンター能力持ち土地だったが、強すぎるためボツに。
ゴシックホラーの世界のカードなのにアジア系な出で立ちで違和感バリバリ。
その後ジャッジ褒賞でブラジルのサッカー選手みたいになったりモダンマスターズ2017で青く光ったりした。


ちなみにカードのデザインは大会前に提出するのだが、日本プレイヤーの藤田剛史氏は北斗神拳伝承者を再現したカードを提出したことがある。残念ながらその時は優勝を逃したが、カード化されていたらあべしな環境になっていた事だろう。

…残念ながら、インビテーショナルカードの企画はもう終了してしまっている…。




そして時は流れ2019年。インビテーショナルカード同様に実在のプレイヤーをイラストに登場させる新システム「プレイヤー・スポットライト・カード」が登場した。カードをデザインするまではいかないが、今後発売予定のカードを見て、その中から自分を登場させるカードを選べるという特権が世界選手権の優勝者に与えられた。

以下、同様に1枚ずつ紹介していく。

□熱烈な勇者/Fervent Champion(Javier Domínguez;2018)
熱烈な勇者/Fervent Champion (赤)
クリーチャー ― - 人間・騎士
先制攻撃、速攻
熱烈な勇者が攻撃するたび、あなたがコントロールしていて攻撃している他の騎士1体を対象とする。ターン終了時まで、それは+1/+0の修整を受ける。
あなたが熱烈な勇者を対象として装備能力を起動するためのコストは(3)少なくなる。
1/1
赤の1マナ1/1に速攻・先制攻撃・他の騎士の強化・自身への装備コスト低下とこれでもかと詰め込んだ、まさにエルドレインというべきパワーカード。
1ターン目にこいつ→2ターン目にこいつ2体というブン回りはもはや投了もの。

□精鋭呪文縛り/Elite Spellbinder(Paulo Vitor Damo da Rosa;2019)
精鋭呪文縛り/Elite Spellbinder (2)(白)
クリーチャー ― - 人間・クレリック
飛行
精鋭呪文縛りが戦場に出たとき、対戦相手1人を対象とする。そのプレイヤーの手札を見る。あなたはその中から土地でないカード1枚を追放してもよい。そのカードが追放され続けているかぎり、それのオーナーはそれをプレイしてもよい。これにより呪文を唱えるためのコストは(2)多くなる。
3/1
白にあるまじき手札破壊能力を持ったクリーチャー。
捨てるのではなく2マナ重くしているだけだが、素早い白単アグロが使うと永久追放も同義になりかねない。
マジックにおいてPVと言ったら大抵はプロモーションビデオでなくこちらを示す。
本人希望で本物より痩せて描かれている。

□フェアリーの黒幕/Faerie Mastermind(高橋優太;2021)
フェアリーの黒幕/Faerie Mastermind (1)(青)
クリーチャー ― - フェアリー・ならず者
瞬速
飛行
対戦相手1人が各ターン内の自分の2枚目のカードを引くたび、あなたはカード1枚を引く。
(3)(青):各プレイヤーはそれぞれカード1枚を引く。
2/1
初の日本人優勝者によるカード*2
飛行と瞬速に加え、相手が各ターン2枚目のカードを引くたび自分も便乗して1枚引けるというクロック・パーミッション戦略に合致した一枚。
全プレイヤーにそれぞれ1枚引かせる起動型能力も持つ。
なお、インビテーショナルカード時代と同様モデルとなった高橋氏自身もこのカードのデザインに関わっており、完成に至るまでのエピソードを記したコラムがWebで無料公開されている。

「下環境でも活躍できるよう2コスト以下の単色」「意志の力のコストにできる青」「愛用する【青黒フェアリー】【ディミーアローグ】で採用できるフェアリー・ならず者」「自身の異名「フェアリーマスター」を含むカード名」などが採用されており、結構細かくデザインに意見を出せるようだ。

□精神の決闘者/Duelist of the Mind(Nathan Steuer;2022)
精神の決闘者/Duelist of the Mind (1)(青)
クリーチャー ― - 人間・アドバイザー
飛行、警戒
精神の決闘者のパワーは、あなたがこのターンに引いたカードの枚数に等しい。
あなたが悪事を働くたび、カード1枚を引いてもよい。そうしたなら、カード1枚を捨てる。この能力は、毎ターン1回しか誘発しない。
⋆/3
カードを引くたび強化され、さらに「何かを対象にとる」たびルーティングするクリーチャー。
基本スペックが2/1/3飛行警戒と優秀であるが、性能が丸すぎて採用される事は稀。

□並外れた語り部/Formidable Speaker(Jean-Emmanuel Depraz;2023)
並外れた語り部/Formidable Speaker (2)(緑)
クリーチャー ― - エルフ・ドルイド
このクリーチャーが戦場に出たとき、カード1枚を捨ててもよい。そうしたなら、あなたのライブラリーからクリーチャー・カード1枚を探し、公開し、あなたの手札に加える。その後、ライブラリーを切り直す。
(1),(T):これでないパーマネント1つを対象とする。それをアンタップする。
2/4
戦場に出たとき手札1枚をクリーチャー・カードに入れ替えるエルフ・ドルイド。
リアニメイトクリーチャーとは全体的に相性が良く、スタンダードでは《スーペリア・スパイダーマン/Superior Spider-Man》、パイオニアでは《大牙勢団の総長、脂牙/Greasefang, Okiba Boss》等と組んで活躍した。


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最終更新:2026年09月01日 21:40

*1 元々出来ていた絵に顔を雑コラしたようなイラスト。フォイル版で別イラストに差し替えられ、タイムシフトでも再録された

*2 2005年の宝石の洞窟は、参加者の「インビテーショナルカード案」の中から最も完成度が高かったものを一般投票で決める形式だったため、優勝はしていない