ローラー(ミニ四駆)

登録日:2010/06/30(水) 18:34:11
更新日:2025/04/25 Fri 10:43:33
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ここでは、ミニ四駆を構成するパーツであるローラーについて解説する。
一般的なローラーといえば、回転軸を持つ円筒形の部品のこと。
車輪もローラーといえばローラーの一種である。
なお、そろばんもよく回るがあれはローラーではない。

◎概要◎

乗り物において、「安定して進路を変える機能」は絶対に欠かせないものである。
いくら速く動けても、フラーっと進むだけではその内脇道に突っ込んでしまうからだ。

レールやステアリングが付いていないミニ四駆の場合も、
マシンが高性能でも…寧ろ強力なマシンなら尚のこと、ローラーがなければすぐにひっくり返ってしまうことだろう。
あれ?アニメには両方とも登zy(ry)
コースの壁にこのローラーが接触することで推力を上手くコースの先へと逸らし、コースを乗り越えたりしないようにしつつ進路を維持したりコーナーに対応するのがこのローラーの役割となる。

レッツ&ゴーで言っていたダウンフォースではないが、現実でもローラーによって減速域を調節しているという点はあちらのミニ四駆におけるそれによく似た役割である。

パーツの中でもかなりのバリエーションが用意されており、似たようなローラー同士でも特色も様々。
その特徴を知り、難コースを走破していくのはまさにミニ四レーサーの腕の見せ所とも言える。

…とは言っても、やはり使いやすさやタイムを追求すると有用なローラーの候補は自ずと絞られてしまう。
だが、あえて好きなローラーを使い続けるロマンに走るのもまた楽しいものである。

スペックごとの違い


  • サイズ(外径)
言うまでもなく、大小いろいろある。
大きいローラーはその分重くなってしまうが、細かい段差を吸収しやすく、コース配置の繋ぎ目などに影響を受けにくい。
小さいローラーは段差の影響を受けやすい代わりに軽量化に繋がる。あと、小さい方が少しだけお財布にも優しい。
長いこと9mm・13mm・19mmに合わせた作例やGUPが主流であったが、ARシャーシ登場のあたりから11mm・17mmにも対応したものが出てきている。

  • ベアリングの有無
回転しやすく作ってある、あのベアリング。ミニ四駆では鉄球を中間材にしたボールベアリングが主流。
すごく小さなものが中央の軸受けに組み込んであるタイプと、ベアリング一つを丸ごとローラーとして使用するタイプがある。

普通のローラーとは比べ物にならないほど回転がスムーズだが、その代わり金属製なので若干重く、精密な部品なのでこれ自体が壊れると修理が難しい(=買い換えるしかなくなる)、初めからグリスが塗ってあるのでこれをどうするか…といった点など、やはり手を加えようとすると奥が深い。
無論、軽さを重視して敢えてベアリングのないローラーを選ぶ手もある。

  • 摩擦力
コースに触れたときにローラーとの間で起こる摩擦の強さ。一部では『エッジが鋭いor鋭くない』とも言われる。
摩擦が強めの場合、コーナーリングの際にローラーがコースにしっかり食い付く=マシンが跳ねにくくコースアウトを防ぎやすいという事である。言い換えるとコースとの抵抗が増えることになるので最高速度という点では不利。
逆に摩擦が強くない=コーナーで抵抗が少ないという事は、最高速が伸びやすいという事であり、デメリットもマシンがコースに乗り上げやすいというこれまた真逆の理由。
コースやマシンの相性に合わせて摩擦が強すぎず弱すぎず、最適なバランスを考えてローラーをセッティングする必要があるというわけだ。

2017年まではマシン一台につきローラー6個までと制限されていたが、2018年から無制限になった。これによりスキッドにしたりスタビを付けていた部分をプラローラーにしたりといったことが可能になった。


現行の主なローラー


ローラー用ボールベアリング系

ベアリングを丸ごとローラーとして取り付ける方式。
ローラーになるベアリングなので「ローラー用」ベアリング。つまりベアリングローラーとは別物である。
といっても、そのままでは付かないので付属のワッシャーも使用するが。
中心付近は固定されて外側だけが回っていると言えばわかりやすいだろうか?
スチール製のベアリングで直接受けるので耐久性もお墨付き。ほぼ空洞とはいえやはり重さが難点か。


  • 9mmボールベアリング
ポピュラーで手に入りやすく、安定した性能故に初心者〜上級者まで広く愛されているローラー。
エッジが鋭く食い付くらしいので、フロント用に推奨される場合が多いが、バランスが良いので迷ったら全てこのローラーで統一しても悪くない程の安定性を持つ。
因みにローラーの内側に520ベアリングを追加で嵌め込めるので、更に回転力を強化出来てしまう素敵仕様。重くなるけど。
長らく真鍮製の大型ベアリングワッシャーが付属していたが、仕様が変わりやや小さめのアルミ製に切り替わった。

  • 11mmボールベアリング
い、要らない子なんかじゃないもんっ!
スキッドローラーが復活すると大径マシンのスキッドにちょうどいいので最近になってちょっと需要が出来た。

  • 13mmボールベアリング
悪くはないのだが、9mmに比べるとやや重いのでどうしても最終的には使いづらいローラー。
エッジはあまり鋭くないらしいので、リヤーに適してはいる。
決して悪いローラーではないので使えない訳ではない、実際使う人はいる。…昔使ってた人が補正愛で、という場合も多いが。
一昔前には内部のベアリングが透けて見えるゴムシールだったが、今はより強度を高めたアルミでくるむような形で作られているため、内部の改造が出来なくなってしまった。*1

  • 850ボールベアリング
AOパーツ*2と呼ばれる種類なので、やや入手が面倒くさい。扱うお店ならいいが無い場合は取り寄せしてもらうか、田宮に直接注文になる。

9mmを小さくしたような感じなのでそのまま使っても良いが、それだと幅の問題等が出てくる。…要するにそこまでして必要か?というローラー。
ただし、一番エッジが鋭く、スタビローラーとしては価値がある。下記の二段アルミローラーにはない特徴で、フロントに使うと効果絶大。その役割上外径が割れやすいのでそこには注意。

ほどよくサビれた「模型店(店主がおじいちゃんだと直良し)」にゴロゴロ転がっている。場合によっては、在庫一掃の為にトンデモない安値(百円ぐらい)で売られてたり。
ただ、同じくAOの520ベアリングを搭載できるため、小さいながら可能性はあるローラーである。

  • 830ボールベアリング
こちらもAOパーツ。上記の13mmを小さくしたようなローラーで、回りは最高クラスにいい。
エッジが鋭くないのも手伝い、最高速を求めるなら間違いなく候補のトップに上がるだろう。

ただ問題なのは850と同じく車軸の幅。
9mm装着時と比べると0.7mm短くなってしまう。車軸は広ければ広い程安定しスピードが出るので、公認ギリギリまで広げるのが通例。
つまりこのローラーを使うにはFRPプレートを加工したり計算して組み立てる技術が必要である。

ローラーの耐久性は同じく最高速を目指す際に使われる19mmプラリングローラーよりも断然高いので、最終的にはこっちにシフトしたくはあるかもしれない(経済的に)

最近になって内径と外径の厚みが変わり、やや回転時のブレが押さえられている。


アルミベアリングローラー系

名の通りアルミで作られたローラー。
軸部分に小さな520ベアリングが内蔵されている。
アルミの軽さと柔軟性にベアリングの回転力を持ち合わせた、まさに最新鋭のローラー。
裏を返すとローラー用ベアリングよりは華奢で、造りが込んだ分お財布には厳しい。


  • ゴムリング付きアルミベアリングローラー各種
ゴム特有の食い付きとベアリングの回転の良さを併せ持ったローラー。二次ブーム時にお世話になったものも多いはず。
アルミなので軽量、しかもローラー幅がセッティングしやすいので今でも初心者にはオススメ。

だが中級以上のスピードやテクを持ち出すとゴムリンに頼らずともコースアウトを防ぐ手段が身に付いてくるので、最高速に乗れないこの種類は扱い辛くなっていく…
更にアルミなので脆く、潰れやすいのでコストも非常に悪い。

復帰後にこれを使っていると大人の上級者は「昔使ってたなぁ〜懐かしい…」と微笑ましく思ってくれるが、その子供達は速いマシンの作り方しか教わっていないので思い出補正など当然ない。

「そんな遅いローラー使うとかwwwダセぇwww」
とか言ってくるクソg(ryちびっこがリアルにいるので注意が必要である…。
難コースでどうしてもコースアウトしてしまう時に1〜2個リヤーに使う、というのは有かもしれない…。
特にフジヤマチェンジャーとか大きな高低差のあるレーンチェンジやバンクでは片側上部だけ搭載というピンポイントで付けて解決という方法もある。
スピードを殺しすぎずに攻略したいなら一考の余地あり。

  • プラリング付きアルミベアリングローラー
ゴムではなく、プラスチック素材で覆ったアルミローラー。つまり抵抗力が全くない!しかも軽いのでよく回る!
ベアリングの回転力+抵抗力極小なので、初心者でも簡単に最高速に出来る素晴らしいローラー。一般パーツなので入手もかなり楽。
その外見から「カラーゴムリン‥グ?」と商品写真を見て思う人が多いと思われる。実際に立て主はそうだったw
上級者でも当然使用率はかなり高い。

ただ欠点もやはり存在。

まず、アルミ故に脆く壊れ易い。下手したら一回飛んだだけであぼんする。700円がパーになった瞬間である…。
急に飛ぶようになったらローラーを指で回してみよう。揺らぐようならその子は逝ってしまっている…。

そしてこれはどのアルミベアリングローラーにも共通だが、『内蔵している520ベアリングに外れがかなり多い!』…という事。
実はベアリングには出来の良し悪しがあり、かなり回るもの、全く回らないものが存在する。
買わなければ当然判らないので、これを嫌い830にする上級者は多い。
但しそこまでしなくともレースに勝つマシンは十分作れるので、気にしなくてもよいだろう(大外れは流石に不味いが…)
タイムを気にするレベルに達した場合は選別してもいいだろう。

因みに余談だが、あまりタイムばかり気にするレーサーはフラットレーサーと呼ばれ、嫌煙されてしまうので注意。
2ちゃんでも「フラットは凍んどけよ」と書き込まれるので、カツイのも程々にしましょう。

  • 11mmアルミベアリングローラー パッシングタイプ
ダンガンレーサー時代のパーツで、全体がお椀型をしているのが特徴。
取り付ける向きによって食いつきが変わり、裏返すと強く食いつく。
ネジ頭が隠れる形状をしているためコースに優しい。これもフロントの下段スタビに向くか。
ダンガンのパーツなので現在は入手難易度が高い。

  • 2段アルミローラー
かつて限定品としてのみ発売されていたローラーが常設パーツにも登場。
ボビン…もといタイヤのホイールを思わせる、厳ついフォルムのオールアルミ製ローラー。520ベアリングは上下で2つ自分で取り付けて使用する。
ベアリングの回転とアルミの滑りやすさをあわせたいいとこ取りのローラー。
しかし見た目通りに値が張る、重いという問題がある。
通常(12~13mm)、上段がゴムリングつきのもの、小型版(8~9mm)、軽量版(肉抜き済)が存在するのでお好み、もしくはセッティングに合わせてどうぞ。
レーンチェンジャーなどでのリフト対策に、これを逆さまに吊り下げて2段で食いつかせるセッティングも存在する。

  • オールアルミベアリングローラー
強度が欲しい?でも回転はスムーズがいい?
それならばオールアルミ製のこのローラーを使うべし。
13、17、19ミリがあり、当然ながら強度はトップクラス。
多少のダメージなら壊れないだろう。
ただ、全て金属製ゆえ重いのが欠点。(しかし回れば良く回る)。マシンバランスは計画的に。
穴開き加工が施された軽量タイプも存在する。穴開きプラリングと通常オールアルミの中間のような感じで、主にリアに使える。(エッジを立てればフロントでも使える)
最近になってすり鉢状のテーパータイプが登場。より重くなってしまうが、フェンスに引っ掛かった際に復帰しやすいのが利点。
こちらも19ミリに加え、17、13ミリも発売される。ただローラー径を合わせるなどしない限りはなるべく19mmを選ぶべし。


プラスチックローラー系

ベアリングが入っていないプラスチック製のローラー。ほぼ標準パーツなので誰もがお世話になったはず。
何と言っても軽い。そしてとってもお財布に優しい。
当然強度や回転力は他のローラーに劣るが、それを補って余りある位のお手軽さを誇る。

  • 低摩擦プラローラー
ミニ四駆PROが登場してからすぐに発売された新素材プラローラー。
手ごろな値段にそこそこのすべりのよさが最大の売りであるが、所詮ベアリングにはかなわないので使われることは無い……
一部で行われるベアリング禁止ルールでは、最強ローラーといわれる。
ローラー数無制限化に伴い、スタビローラーとして一回り小さいものを採用するレーサーが少なからず存在する。

  • 二段プラローラー(12~13mm)
前述の二段アルミローラーのプラバージョン。
専用の段つきビスを使うが、軽くも安定しやすい。
こちらもベアリング禁止ルールでは重宝する。
最近になってベアリングを仕込めるタイプが登場。二段アルミローラーのさらに軽量版といった感じで、リアでは安定感とスムーズさ、さらに軽さからまた違った走りを生み、選択肢を増やす形となった。
なお、強度はあまりよろしくなく、フロントには推奨されてない。


メディアミックスにおけるローラー

漫画『ダッシュ!四駆郎』の主人公であるダッシュ軍団はオリジナルシャーシを用いているのだが、
バンパーの内部にボールが埋め込まれているだけでローラーを使用していない。
ダッシュ軍団の作戦が読めなくて困った対戦相手からその意図を直接尋ねられる回まであり、
四駆郎は「カッコ悪い。レーシングマシンらしくない」とミニ四駆をホビーではなく「レーシングマシンの模型」と認識している事を回答している。*3

追記、修正があればローラーを弾いてからお願いします

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最終更新:2025年04月25日 10:43

*1 一度外すとアルミが変形して元に戻せない

*2 敢えて用途を決めていない、自作向けの汎用部品シリーズ。

*3 あくまでローラーの効果自体は認めていて他人が付けることまでは否定していない。