エル・ファシルの奇跡

登録日:2012/05/22(火) 21:05:17
更新日:2022/08/06 Sat 08:41:30
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エル・ファシルの奇跡とは、大河SF小説『銀河英雄伝説』作中で起こった、架空の出来事である。
宇宙歴788年(帝国歴479年)自由惑星同盟領内の惑星エル・ファシルで起こった、自由惑星同盟と銀河帝国の間で発生した戦いとその後に発生した。

この戦い自体は小規模なものであったが、自由惑星同盟の守備部隊司令官のアーサー・リンチ少将が帝国軍の戦術を見誤り、背後から攻撃される形となった。

パニックに陥ったリンチは、味方を見捨て真っ先に敗走。
指揮官の敗走による混乱で多くの軍艦の損失を出した同盟軍は惑星エル・ファシルへと潰走、帝国軍はすぐに追撃せずに増援を送った。

目前に迫る帝国軍に怯えたエル・ファシル住民は、脱出と保護を軍に頼んだが、潰走の混乱から回復できていない軍は対処できず、暴動に発展していた。

そこでリンチは幕僚のヤン・ウェンリー中尉(21歳)に脱出と保護の任務を命令。
年齢的にも若く、階級的にも低いヤンを見て住民側は不安になったが、ヤンは手配と準備を整えた。

そんな中、リンチは部下数名だけを引き連れ逃亡。
将兵だけでなく、惑星の住民を置き去りにしたその行為に住民の感情がついに爆発するところだったが、



大丈夫です、あれは囮です。リンチ少将は我々の囮になってくれたのです。


と、ヤンはリンチの思惑を見抜きそれを逆に利用したのだった。

その結果、リンチは帝国軍の捕虜となったのだが、ヤン率いるエル・ファシルの住民300万人一人も損なう事なく、無事に脱出できた(帝国軍はレーダーに映った複数の機影を隕石群と誤解した為。その事を知った帝国軍将校は勝利の美酒を叩き割った、と言われている)。
この功績により、ヤンは、

宇宙歴788年9月19日10時25分…中尉から大尉に昇進

宇宙歴788年9月19日16時30分…大尉から少佐に昇進

と、『生者に2階級特進なし』という不文律がもたらした処置ではあったが、大尉の在任期間2万1900秒は自身、いや同盟の最短記録でもある(ちなみに、長い在任期間は少佐の時で3年10ヶ月である)。

さらに、リンチの失態を取り繕う必要もあったので「エル・ファシルの英雄」として大々的に報じられる事となる。

リンチ少将はこの醜態で同盟軍における信頼を完全に失うこととなり、Die Neue Theseではヤンとは真逆に「エル・ファシルの卑怯者」と終始侮蔑され、その醜態は表面上とはいえ同盟を国家と認めず、叛乱勢力と見做している帝国軍にすら侮蔑された挙げ句に収容所で当時の部下や後に捕虜となった同盟軍の将兵からも蔑まれるはめになった。後年捕虜交換により帰還するも、帝国軍ラインハルト・フォン・ローエングラム元帥の密命によりクーデターを画策する事となる

夫人は官舎を引き払い、子供と共に実家に身を寄せ人前には出なくなっていった。


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最終更新:2022年08月06日 08:41