雄心〜ウィルトゥース〜

登録日:2013/12/25 Wed 09:46:39
更新日:2024/01/25 Thu 22:02:38
所要時間:約 4 分で読めます




"Gloria virtutem tamqam umbra sequitur.“
「栄光はあたかも影の如く徳(ウィルトゥーテム)に従う」

田亀源五郎のゲイ漫画。
『激男』(古川書房)で連載され諸事情により未完に終わっていたがオークラ出版からの単行本化に伴い新規書き下ろしを加えて完結した。
ウィルトゥースとはラテン語で「男らしさ」を意味し、古代ローマにおいて美徳とされていた概念のこと。

あらすじ
古代ローマ時代。奴隷剣闘士にされるため訓練所に連れて来られた主人公ガイウスは希望のない境遇に生きる力を失っていた。
そんなある日ガイウスは人気剣闘士・クレスケンスに目をつけられ強姦されてしまう。
「悔しければ強くなれ」と捨て台詞を吐くクレスケンス。
ガイウスはクレスケンスを殺すため剣闘士として生きることを決意するが……

<登場人物>
  • ガイウス
主人公。黒髪短髪のガッチリ系兄ちゃん。
クレスケンスへの復讐を誓い屈辱に耐えながら戦い抜き力をつけていくが、クレスケンスの秘めた想いを知らされ葛藤する。
職種は剣と盾を武器とする挑戦剣闘士(プローウォカートル)で本来なら投網剣闘士(レーティアーリウス)のクレスケンスと直接対決する機会はないかと思われたが、運命の悪戯が二人を対決へと導くことになる。

「俺を…助けるために?クレスケンスが俺に…生きる力を与えた?認めないぞ!そんなことは俺は絶対に認めないぞクレスケンス!」

  • クレスケンス
最高の戦士(プリーマーリウム・ペッラトーレム)の名声をほしいままにする天才剣闘士。
金髪の美男子で網(レーテ)と三叉槍(ファスキナ)を武器とする花形職種・投網剣闘士として戦う。
ローマ軍人とゲルマン人奴隷の母の間に生まれ、過酷な少年時代の経験から憎悪こそが生きる力になるという信念を持つ。


「今日俺は『愛する者』の手にかかって死ぬかもしれない どうだこんな最高の死に方はないと思わないか?」

  • アエリア
貴族の奥方でクレスケンスのパトロン。
金と権力にあかせてクレスケンスと肉体関係を結び身柄の買い取りまで持ちかけるが手ひどく拒絶される。
クレスケンスのガイウスへ向ける想いに感づき、二人の試合を組むことでクレスケンスを屈服させようと企む。

「あなたも覚えておいてちょうだい 愛を拒まれた女は幾らでも残酷になれるのよ」

  • 訓練士(ドクトル)
剣闘士上がりの訓練教官。クレスケンスの我儘に手を焼く。
強くなりたいという望みに応じてガイウスをしごき鍛え上げる。

「剣闘士に生き方を選ぶ自由はない 許される自由は相手を殺して自分が生き延びることだけだ」

<総評>
掲載誌の方針のためかプレーはかなりマイルドでBLといっても通る内容。しかし歴史劇を得意とする田亀先生だけにストーリー面の読み応えは十分、田亀ワールド入門編としてオススメできる作品である。
残念ながら単行本はすでに絶版となっており、中古での入手は可能だがまず間違いなく定価以上の値段が付いている。
復刊ドッ○コムで投票して、どうぞ(ステマ)


人気は上々…天気は上々…だ どうだ死ぬには最高の舞台だと思わないか?

…死の話ばかりだなクレスケンス 生のことを考えたことはないのか?

生きる?あいつらのように?与えられるパンと見世物(サーカス)を貪り食い 金と地位で肉欲を満たし
俺たちの流す血までてんかんの妙薬だと手に入れたがる そんな奴らのように生きるのか?
まるで家畜だ
そんなただ生きているだけの連中よりも 刹那の命を賭けて戦う俺たちの方がよほど人間らしく生きていると思わないか?

そう…かもしれない だが…

お喋りは終わりだ!行くぞガイウス!


この項目が面白かったなら……\ポチッと/

+ タグ編集
  • タグ:
  • 田亀源五郎
  • ゲイ漫画
  • 漫画
  • グラディエーター
  • 純愛
  • ホモ
  • 涙腺崩壊
  • ソード&サンダル
  • ゲイ術
  • 剣闘士
  • 古代ローマ
最終更新:2024年01月25日 22:02