ミチバシリ(鳥類)

登録日:2014/03/31 (月) 07:48:58
更新日:2024/05/07 Tue 11:33:55
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ミッミッ!!


ミチバシリとは、カッコウ目・カッコウ科に分類される鳥である。
アメリカ南部やメキシコなどに生息しており、ニューメキシコ州の州鳥。
荒野や低木が密集した薮、平原、開けた森林地帯など乾燥した場所を好み、テキサス州ではほぼ全土に留鳥として生息している。
「オオミチバシリ」と「コミチバシリ」の二種がおり、「コミチバシリ」はメキシコ南部から中央アメリカに分布する。ミッミッ


◆特徴と生態

体長は50-60cmほどで、モジャモジャとした冠羽と、自分の体の長さほどもある長い尾羽が特徴的。
体色は、荒野という生息地域に合わせてカムフラージュできる褐色のまだら模様。

その名の通り走ることが大得意で、地上で生活し、時速20km~40kmの速さで走ることができる。これは飛べる鳥の中では最速である。
首を前に長く伸ばして尾を平行に保ち、いわゆる「前傾走法」で猛スピードで走る姿は実にコミカル。また、体の上下動がほぼないため、無駄のない走りとなる。
この尾羽は、急な方向転換時の舵取りやブレーキの役目に使われる。
食性は主に昆虫やトカゲなどの小動物だが、時には毒蛇やサソリだってペロリと平らげてしまう。要するに、動くものなら何でも食べる。
さらにハチドリさえジャンプして捕獲するという身体能力の高さである。
カッコウの仲間ではあるが託卵はせず、サボテンの茂みの中などに巣を作る。一度に産む卵は3~6個。
孵化して約3週間後には自力で餌を取るようになる。ミッミッ

また、荒野の夜は冷え込むが、ハチドリのように休眠状態で過ごすことで、体温調整に必要なエネルギーを節約できる。
これだと朝がキツそうに見えるが、背中が熱を吸収しやすい黒色なので、日光浴で体温を上げやすくなっている。

◆アメリカ人とミチバシリ

この鳥の和名はミチバシリだが、英名は「ロードランナー」(Roadrunner)といい、和名はそのまま直訳したものであることがわかる。
……ところで、このロードランナーという名前、どこかで聞いたことがいるという方も多いのではないだろうか。

何を隠そう、ルーニー・テューンズでお馴染みのロード・ランナー(学名:コヨーテ・アオリウス)のモデルなのである。ミッミッ



ゲームの方のロードランナーの綴りはLodeRunner(坑道を走る者)なので、お間違えのなきよう。
アニメのロードランナーは青を基調とした派手な色合いだが、冠羽や長い尾羽といった、ミチバシリの特徴をしっかりと持っている。
実際のミチバシリも遠くから見れば、かなりロードランナーと姿形が似ていることが分かる。
また、アニメの方は飛ばないが、ミチバシリは滑空程度とはいえ、きちんと飛ぶことができる。ミッミッ

ルーニー・テューンズのキャラになっているだけあって、アメリカでは非常になじみ深い鳥であり、Lizard Bird(トカゲ鳥)、Snake Killer(蛇殺し)、Countryman(田舎者)、Correcaminos*1など、多くの呼び名が存在する。
特にCountryman(スペイン語:Paisano)という名前には「気の合った同士」と言う意味もある。
人影もない砂漠を歩いていると、この鳥がどこまでも一緒に旅をしてくれるというのが由来という、何とも粋なネーミング。ミッミッ
好奇心旺盛な性格で人里にもよく姿を見せるので現地では大変愛されており、看板によく描かれたり、オブジェにもなったりしているほど。

また、ジョージズアロエベラというアロエ飲料があるが、これを開発したジョージ・ウォーレン氏はある日、アロエの観察をしていると、
ミチバシリが200種以上もあるアロエ株の中から特定のものだけをついばんでいることを発見した。
研究所に戻って、そのアロエの成分を分析した結果、栄養豊富であることが判明した……というエピソードがある。
ミチバシリは本能でこれを知っていたのだ。ミッミッ

ネイティブアメリカンの神話にも登場し、サボテンで四方を囲み、ガラガラ蛇が逃げないようにしてから狩るという伝説がある。
ホピ族の伝承では、悪霊から守ってくる存在であり、メキシコでは、コウノトリのように赤ちゃんを運んでくる鳥と言われている。*2
カチナ(万物に宿る精霊)のマークの意味は「大切なものを素早く運ぶ」。運送会社のマークに使えるのではないだろうか。ミッミッ



伝説の中には、あのアニメからは信じがたい話だが、何とコヨーテが(第三者への手助けという形とはいえ)ミチバシリに勝つという話がある。*3
もっとも、実際の足の速さでは時速50km~65kmと、コヨーテの圧勝だったりするが。
とはいえ、飛行能力に加え小回りや対暑性で優っているので、一方的にやられているわけでもない。


◆ネイティブアメリカンのお話

むかしむかし、

ある日の夜、コヨーテが歩いていると、一匹の年老いた亀が沈んだ面持ちで頭を抱えているのを見つけました。

「おい亀さん、どうしたんだい?」
「実は昼、ミチバシリに足がのろいことをバカにされて、ついカッとなって〝本気を出せばお前にだって勝てる!〟って言ってしまったんだ。おかげで明日駆け比べをすることになってしまった。ああ、どうしよう……どうあがいても勝てっこないのに……(´;ω;`)」
すっかり涙目の亀に、コヨーテは言いました。
「なんなら、助けてあげよっか?どこからどこまで走るんだい?」
「この岩から、高いアリ塚と大サボテンのそばを通って、あの古い切り株までだ」
「よーし、きみの仲間にもこのことを教えよう。君たちの一族をバカにされたんだ。みんなで力を合わせて仕返しだ!」

この提案に、他に3匹の亀が協力すると言いました。
コヨーテは集まった4匹のうち3匹に、
「この道のどこかに穴を掘るんだ。そして、その穴の数メートル手前で待つ。あいつが見えたら、穴まで全力で走って、その中に隠れるんだ」
4匹目のカメには、
「きみの仕事はもっとずっと簡単だ。ゴールの切り株で待つ。それだけでいいんだ」
と教えました。

次の日、ミチバシリは元気にやってきました。もちろん、この後に起きることなど露知らず……
いよいよ駆け比べの始まりです。

「よーい、ドン!」コヨーテが言いました。
ミチバシリは猛然と駆け出し、予想通り亀をあっという間に追い抜きました。
その間に、1匹目の亀は昨日自分で掘った穴の中に隠れました。

アリ塚についたミチバシリは仰天しました。
なんと、信じられないことに、亀が自分の前方を一歩一歩歩いているではありませんか!
目の前の亀はのろのろとしか歩いてないのに、追い抜かれている……
ミチバシリは 何がなんだかわかりませんでしたが、全力で走って、再び亀を追い抜きました。
ミチバシリの姿が見えなくなったのを確認すると、2匹目の亀は自分が掘った穴の中に隠れました。

ミチバシリは、「いくらなんでも、これ以上追い抜くのは無理だろ」と思いながら走り続けました。
ところが 大サボテンのところまでくると、なんとまたもや前方に亀がいるではありませんか!
「おい、どうなってんだ?」
ミチバシリはもう訳がわからなくなっていましたが、今度も亀を追い抜いていきました。
この3匹目の亀もまた同じように、自分で掘っておいた穴に身を隠しました。

これで絶対に勝ちだと、ミチバシリは全力でゴールの切り株を目指しました。
すると……そこには4匹目の亀が心地よさそうに座って、ミチバシリを待っていたのでした!
おかげでミチバシリはすっかりポルナレフ状態になってしまいましたとさ。


  |l、{   j) /,,ィ//|     / ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
  i|:!ヾ、_ノ/ u {:)//ヘ     | あ…ありのまま 今 起こった事を話すぜ!
  |リ u' |  ,ノ _,!V,ハ |     < 『おれは亀を追い抜いたと
  fト、_{ル{,ィ'eラ , タ人.    |  思ったらいつのまにか追い抜かれていた』
 ヾ|宀| {´,)⌒`/ |<ヽトiゝ   |  催眠術だとか瞬間移動だとか
  ヽ iLレ  u' | | ヾlトハ〉.   | そんなチャチなもんじゃあ 断じてねえ
   ハ !ニ⊇ '/:)  V:::::ヽ. │ もっと恐ろしいものの片鱗を味わったぜ…
  /:::丶'T'' /u' __ /:::::::/`ヽ \____________________


追記・修正は、コヨーテと追いかけっこをしてからお願いします。






















ここまでミッミッ言い続けてきたわけだが、実際のミチバシリは「クークー」と、鳩のような声で鳴く。

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最終更新:2024年05月07日 11:33

*1 中南米の文学でも最高峰の名作とされる『ペドロ・パラモ』でもその単語が登場するが、岩波文庫版では「雉子」と訳されている

*2 http://en.wikipedia.org/wiki/Greater_roadrunner

*3 出典:長崎出版 2012年 リー・ペック作 ヴァージニア・リー・バートン絵 安藤紀子訳 『コヨーテのおはなし』P18-P22