からし蓮根

登録日:2012/01/22(日) 22:26:17
更新日:2023/08/14 Mon 16:20:51
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からし蓮根とは熊本県の名産品の1つ。
和辛子で味付けした味噌を蓮根の穴の部分につめて小麦粉をまぶし、油で揚げた料理である。

起源はかつての熊本藩の藩主、細川忠利が禅僧から振る舞われた料理とされる。
病弱だった彼のため、禅僧は造血作用のある蓮根に食欲増進効果のある辛子で味付けした蓮根を薦めたところ、彼は喜んで食べたと言う。

また、蓮根を切った断面が細川家の家紋に似ている事から細川家ではこれを門外不出の食べ物としたが、明治になって維新が成りこの食べ物は庶民の間にも広まった。


■現代の辛子蓮根


現代においても熊本県にて名産品として売られており、居酒屋や小料理屋のメニューや真空パックの袋詰め品が多く出回っている。

蓮根のさっくり感と味噌の旨さ。
遅れてやってくる辛子様の辛味がツーンと鼻に抜けて絶妙のアクセントとなる。
ご飯にしようか、お酒にしようか。どちらも捨てがたく実に悩ましい。


◆ご飯で


さっぱりとしているのに旨味たっぷりで、なおかつ辛子が味噌の旨味を膨らませる辛子蓮根はご飯にもピッタリ。
辛子が鼻を突き抜けた所をががっとご飯をかきこむのが醍醐味。
味噌の旨味、米の旨さ、辛子。それぞれが相まってたまらない。


◆お酒で


ビールや日本酒もいいが、やはりここは名産の球磨焼酎で。

初心者は水割りやロックが無難だが、真の辛味蓮根好きはお湯割りかストレート。更に上級者は軽くお燗したストレートで味わおう。
辛子蓮根を頬張り辛子様が鼻を抜けた後に熱いアルコールをあおると鼻に抜ける辛味が増幅し、まるで顔面をぶん殴られるかのような刺激に襲われる。
ぶっ倒れる程痛いが病み付きになれば快感である。

また、元来辛子様を多めに聞かせるのが本当だが、辛味を押さえたものも近年は販売されている。
それはそれで美味しいので好みで選ぼう。









さて、実に不本意だが辛子蓮根を語る上で避けられない話題がある。
それは食中毒だ。

1984年、真空パックされた辛子蓮根を食べた36名がボツリヌス菌の毒素に冒され11名が帰らぬ人となった。
これにより風評被害が広まり、多くの辛子蓮根業者が廃業した。

原因は特定の工場から入荷した生からし粉である。
菌数自体は少なかったものの不幸であったのは製品が真空パックだった事だ。
ボツリヌス菌は空気を嫌う嫌気性の細菌で、真空状態は絶好の繁殖条件だったのだ。
他の菌が真空で死滅したため辛子の殺菌能力も追い付かず、この自然界最凶レベルの毒素を持つ菌が大量に繁殖してしまったのだ。

更に辛子の殺菌能力を過信し過ぎた業者のずさんな管理体制もあらわとなった。


だが、現在はその反省を踏まえかなり厳重な管理体制で製品は作られているので安心して良い。
更に真空パックされた辛子蓮根も100度以上で10分、80度以上で30分加熱をすればボツリヌス毒素は失活する(菌は熱に耐える)。
ただし、くれぐれも常温で長時間放置された真空パックの辛子蓮根を加熱もせずに食べない事。


ちなみに、真空パックされた商品や真空容器となった弁当箱でもこれは起こりうる。
蜂蜜の入った製品を真空弁当箱に詰めたければ必ず確認しましょう。

説明書に記載が義務付けられているので面倒くさがらずに読むこと。
ボツリヌス菌の毒素は加熱によって完全に死滅できるので、加熱前提の調理ならばボツリヌス菌中毒は起こり得ない。

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最終更新:2023年08月14日 16:20