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NARUTO -ナルト- 疾風伝 サニー・サイド・バトル!!!

登録日:2014/09/18 Thu 21:42:41
更新日:2026/03/22 Sun 08:46:46
所要時間:約 5 分で読めます






妥協はしない…!

お前には、完璧な目玉焼きを食べさせてやる!


…そうか…


「NARUTO -ナルト- 疾風伝 サニー・サイド・バトル!!!とは、ジャンプ・スーパーアニメツアー2013で公開された10分程のショートアニメ。
PS3Xbox360のソフト『NARUTO -ナルト- 疾風伝 ナルティメットストームレボリューション』の予約特典として収録されている。

タイトルの『サニー・サイド』は半熟の片面焼きを表す「サニーサイドアップ」が由来か。



【スタッフ】


監督・絵コンテ:拙者五郎
脚本:鈴木やすゆき
演出:渡邊政治
作画監督:甲田正行
演出助手・制作進行:守泰裕

監督は外伝『ロック・リーの青春フルパワー忍伝』で、3クール目以降監督を務めた拙者五郎氏、
脚本は『母ちゃん連合軍!!』『ナルト対メカナルト』等数々の珍エピソードを執筆した鈴木やすゆき氏が務める。
……あのメカナルトの脚本家と同一人物という時点で「もうヤバい」と勘づいた人もいるだろう。
そしてその予感は正しい。


【あらすじ】


一族の皆が戦争で出払っている中、うちは兄弟は静かな朝を迎えていた。
サスケより早く起きたイタチは、弟の為に朝食の目玉焼きを作ろうとするが……。


【登場人物】


うちはイタチ
古くから続く因縁の犠牲となった苦労人。
原作でも屈指の実力者にして、七歳にして火影の様な考えを持ち合わせていたと評される天才だが、完璧主義が祟って目玉焼きに悪戦苦闘する羽目に。

うちはサスケ
ご存じ、イタチの弟。
朝目覚めると、目玉焼き作りに全身全霊を傾ける兄に遭遇する。


【本編】


うちは一族の朝

鶏が鳴き、鳥たちがさえずる朝――。
イタチは台所に入り、ヤカンに水を入れて火に掛ける。隣にフライパンもセットし、トースターにも食パンをセット。
恐ろしいほどリアルなSEが特徴的。

さらに『暁』の衣を羽織り、その上から同じ赤い雲模様の『暁』エプロンをかけ、写輪眼を発動しつつ冷蔵庫を開けるイタチ。
牛乳やバター、ヨーグルト等が見える中から卵のパックを取り出す。
熱したフライパンへゴマ油を引き、十分温まったのを見極めると、一息に片手で卵を割り入れる。
殻を三角コーナーに捨てる→塩を振る→コショウの振りかけを異常なほど手際よく行いつつ、適度に固まったところで少量の水を入れ蓋をし、蒸し焼きに。
神経を研ぎ澄まし、タイミングを見極めて蓋を開ける。

解放され、立ち昇る熱気と油の音。自身の完璧な目玉焼きを見据えるイタチ。
が、


「!」


完璧に見えた手際だったが、目玉焼きの黄身に殻の破片がくっ付いてしまっていたのであった。
その刹那、掛けていたヤカンがけたたましく鳴り響き、トースターからは真っ黒に焦げたトーストがおはようございます。
仕方なく、イタチは焦げたトーストの上に目玉焼きを乗せて台所の隅に置く。
フライパンを丹念に洗い、エプロンをやたらキレのいいSEと動作でかけ直して仕切り直し。二度目の調理に移る。


二度目の調理の朝

あらためてフライパンを火に掛けゴマ油を垂らし、一個減った卵パックから卵を手に取る。やはり割るのは片手な模様。
見事に焼き上がった音。イタチも微かに笑みを見せ、今回こそ完璧に仕上がった……かと思いきや、

「ハッ…!」

完成直前で黄身が割れてしまうという不幸に見舞われる。だらしない黄身ですまない……
イタチとしても痛恨の極みだったようで、それも皿に盛って一個目の隣へ置いた後憤慨し唸りながらフライパンを洗浄。
ガス台にカァン!!とフライパンを叩き付けて三度目の調理へ。*1


三度目の調理の朝

三度目の正直。いきなり油を引き忘れつつも卵を落とし、やはり手際よく塩を振りかける。
続けてコショウを掛けようとした瞬間、なんと自分の顔から噴き出した汗がフライパンに飛び散ってしまう。
熱したフライパンで弾ける汗、自身の醜態に目を見開き固まるイタチ。ちなみに一度目の冷蔵庫を開けるところからここまでずっと写輪眼。

けたたましく鳴り響くヤカンの音を聞きながら、イタチはフライパンの底でガス台を叩いた。


繰り返される調理の朝

その後も調理を続けるが、満足のいくものが仕上がったと思ったら皿に盛る際に白身が破けてしまう、フライパンに卵を割り入れる時点で黄身が潰れてしまう、目玉焼きがフライパンから剥がれなくなってしまうと散々。
ついにはスクランブルエッグオムレツ、鍋を変えて中華鍋でチャーハンまで作り始める。こちらの調理風景もやたら手際が良い。
少なくともチャーハンはまずまずの出来に仕上がったようで、皿に盛った見事な黄金チャーハンを眺めてイタチも満足気に微笑んだ……が、即座に(これは違う)とばかりに首を横に振る。

そして幾度目とも知れない目玉焼き調理に取り掛かり……。


うちは兄弟の朝

鶏が鳴く朝――。
起床したサスケが台所に入ると、そこには目玉焼きの盛られた皿が足の踏み場も無いほどに床を埋め尽くしている光景が広がっていた。

「サスケか」

「ああ」

いつもと変わらない調子でしげしげと辺りの目玉焼きを見回すサスケ。

「目玉焼き、食べるだろ?」

「そうだな、……じゃあ……」

そう言い、サスケは自分の足元にあった皿に手を伸ばそうとするが、

「触るな!!」

「!」


「妥協はしない…! お前には完璧な目玉焼きを食べさせてやる!!」


「…そうか…」

写輪眼を見開いてサスケを恫喝するイタチ。洗い終わったフライパンをガス台に置き、

「フライパンを熱して油を注ぐ。そう、そこまでは…」

調理手順を呟くイタチの後ろで、サスケはイタチの万華鏡写輪眼の気配を感じとる。しかしイタチは調理に掛かり切りでサスケの方は見ていない。
サスケは周囲を見回し、やがて床に並べられた目玉焼きの皿に目を止めた。
床中の目玉焼きの黄身全てに浮かび上がっていくイタチの万華鏡写輪眼。
サスケの視界と画面も赤く歪んでいく。

「(詠唱)」*2

手順を確認するため、呪文を唱えるかのように手順を呟き続けるイタチ。サスケが視線を送ってもイタチは振り向かず、床の目玉焼きを見ても歪みは消えない。
と、油の弾ける音がしてサスケは我に返った。ここで画面は正常に戻る。
が、何故か目玉焼きの万華鏡は消えない。

フライパンが温まり、傍らの卵パックに手を伸ばすイタチ。しかしパックへと伸ばしたイタチの手が空を切る。
とうとう卵が無くなってしまったのだ。
冷蔵庫を開けて確認し、野菜室まで調べてもストックはない。ついでによく見るとコンロの火をつけっぱなし

「不覚」

卵が無ければどうしようもなく、さすがのイタチもここまでか……。

\コケコッコー/

「!」

鳴き声に気づき、台所から庭に駆けだすイタチ。
柱の陰から、先ほど鳴いたと思しき雄鶏をじっと見つめる。

\コケッ?/

ひとり残され、目玉焼きだらけの床に腰を下ろしてイタチを待つサスケ。勿論万華鏡写輪眼の模様は消えていない。
よく見るとサスケがコンロの火を消しておいてくれている

「静かだ……」(鶏が全力でイタチから逃げつつ)

「みんな戦争に出てるからな。ここには誰もいない」

鶏を抱えながら答えるイタチ。

「そうだったな」

「静かなのも悪くないが……少し物足りないんじゃないのか、サスケ?」

「何の話だ」

一際甲高い鶏の鳴き声。
なぜか暗部時代の服装で台所に戻ってきたイタチは左手の卵を妙に陽気な持ち方でサスケに見せ、

「まっ、俺に出来るのは、目玉焼きを作る事だけだ」

「…………」

微妙に言いたいことがありそうなサスケの反応をよそにエプロンを付け直し、コンロを着火。左手にはクナイを構え、ついにイタチ本人も万華鏡写輪眼を発動。
正真正銘、最後の調理に入る。


うちは兄弟の朝食

すさまじくアクロバティックなモーションで手に入れたばかりの卵を片手で割るイタチ。
殻から二玉の黄身の卵が零れ落ちるが、白身部分には割れた殻が数枚付着してしまっている……
しかし、卵がフライパンに落ちる前にクナイで瞬時に取り除く早業で処理。黄身が崩れることもなく無事フライパンの上に着陸。
飛び散った汗も息で素早く吹き飛ばして対処。手早く塩コショウを振りかけ、蓋をする。
そして……。


息を吐き、満足気に小さく微笑むイタチ。
とうとう、完璧な目玉焼きが完成したのだった。
……あれ? 水を入れ忘れてるような……


「お前のために作った。食べてもらうぞ」

「イタチ…」

台所に置かれた食卓に着き、サスケに朝食を差し出すイタチ。地味にちゃんとトーストも出している。
醤油で線を描き、それぞれ左に「うずまき」、右に「うちは」の模様があしらわれた二玉の目玉焼き。
サスケはそれを容赦なくナイフで二つに断裁し、うずまきをあしらった方を口へと運ぶ。
そしてサスケの評価は、


「いまいち…」


……そんなサスケに、イタチは不意に手を伸ばし、サスケの額を小突く。

「ふっ」

口は映らないが、思わず笑いがこぼれるサスケ。

「フッ……」

そして、良い笑顔で微笑み返すイタチ――。


うちは兄弟の……

場面は移り変わり、岩陰で眠っていたサスケの額を誰かが小突く。というよりデコピンに近いか。

「…夢?」

「起きたか、サスケ」

そこにいたのはナルトだった。二人は砂漠のような場所にいる。

「ナルトッ!?」

「行くぞ、俺たちの戦場へ。サクラちゃんも待ってる」

「どういう事だ?」

「イタチの意志でもあるんだってばよ」

そう言って駆け出すナルト。それを追ってサスケも岩陰から足を踏み出す。

「おい、ナルト…!」

……が、何歩も歩かない内に、何かを焼くような音が辺りから聞こえてくる。
サスケの足元の砂が弾力のある卵の黄身へと変わっていき、


サスケは、さながら釈迦如来の手の上にいる孫悟空の様に、自分が目玉焼きを作っているイタチのフライパンの上にいる事に気付く。
そしてフライパンの外側? から滅茶苦茶巨大な暁エプロンのイタチがサスケを見ている。
この目玉焼きも二玉であり、もう片方の黄身の上に立っているのはナルト。


「これも…夢なのか…?」

呆然とするフライパンの中の、もしくは目玉焼きの黄身の上のサスケに、正しく釈迦如来のような穏やかな笑みをサスケに向けるイタチ。

その笑みを見たサスケは、イタチの意志を読み取ったかのように口角を上げて頷くのだった。


【解説】


どういう事だってばよ……。




追記・修正は朝食に目玉焼きを作ってからお願いします。


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最終更新:2026年03月22日 08:46

*1 ちなみにこの際、コンロの火が失敗を嘲笑うドクロのように立ち昇っている

*2 英訳の字幕ではこの場面のイタチのセリフが「incantation(呪文、詠唱)」と翻訳されている