ミラクルとミステリーの扉

登録日:2015/01/16 Fri 13:15:01
更新日:2025/01/08 Wed 18:57:54
所要時間:約 3 分で読めます













善なる神は秩序を守るために、新たなる世界の創造を望んだ。






《ミラクルとミステリーの扉》は、デュエル・マスターズの呪文。

概要

DM-26で登場した呪文。

ミラクルとミステリーの扉 水/自然文明 (5)
呪文
マナゾーンに置く時、このカードはタップして置く。
S・トリガー
自分の山札の上から4枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中から進化クリーチャー以外のクリーチャーを1体相手に選ばせ、バトルゾーンに出す。残りを好きな順序で自分の山札の一番下に戻す。

コモンで収録されたカードで、相手に自分のクリーチャーを選ばせてそいつを踏み倒す呪文。

一応山札の上を操作してしまえば狙ったクリーチャーが出せるのだが、自身のコストが5とそれなりには重く、
かといって操作しなければ狙ったクリーチャーが出せないこともあって、当時から《大河聖霊エル・ドラード》などそれなりに
相性のいいクリーチャーはいたものの、注目度は低かった。
多くのプレイヤーがこれを引き当てるなり、「面白い効果だけどハズレだな」という感想であった。

とはいえ、ちょっとおもしろい効果であることは間違いなく、《龍仙ロマネスク》を踏み倒す【扉ロマネ】、
《緑神龍ザールベルグ》などを踏み倒しながらランデスしていく【扉ランデス】、
サイキックの登場からデッキ内クリーチャー比率を下げることで実現した【ミラミス転生】など
やや強めのファンデッキのようなそこそこのガチデッキが研究されるなどした。

それでもトップメタに上がってこなかった理由として、「このカード一枚でゲームを変えること」が不可能だったことが挙げられる。
理由は二つ。
一つはカードゲームの通説である「相手に選択権があるカードは弱い」の例に漏れず、「4枚の中からだすんなら一番弱いの出すよね」ってことで本領を発揮しづらいクセがあること。
そのクセを解消するために「だったら4枚全部出せる強いクリーチャーだけにする状況を作る!」という手法を取ろうにも、出ただけで勝てるクリーチャーが圧倒的に少なかったことが、
このカードをハズレたらしめている原因だった。


と言うかかつては4枚中1枚とかケチな事言わずに3体確実に踏み倒せる怪物がいた時点で、
「大型踏み倒したいならそっち使うよね」だったし……
(ちなみに1枚では不発弾でも数体の組み合わせてで出たら核爆起こすクリーチャーは当時も沢山いた。)




エピソード1で暴れまわった怪物は去ったが、危ないポテンシャルを秘めていたこのカードは生き延びた。
時は世紀末。…じゃなくてエピソード2
豪快な能力を持ったクリーチャーが続々登場したことで人気を博したシリーズではあったが、同時にそれは
勝利宣言 鬼丸「覇」》や《偽りの王 ヴィルヘルム》など「一枚で敵を制圧できるカード」がたくさんあふれたことも意味していた。

そしてカードプールの拡大により、《ミラクルとミステリーの扉》自体のサポートも拡充してしまった。
まず有名ドコロでは《ポジトロン・サイン》。

ポジトロン・サイン 光文明 (5)
呪文
S・トリガー
自分の山札の上から4枚を見る。その中から「S・トリガー」付きの呪文を1枚選んでもよい。残りを好きな順序で山札の一番下に戻し、選んだ呪文があればコストを支払わずに唱える。

同じくミラミスサーチ要員として《ドンドン吸い込むナウ》。

ドンドン吸い込むナウ 水文明 (4)
呪文
S・トリガー
自分の山札の上から5枚を見る。そのうちの1枚を相手に見せて手札に加え、残りを好きな順序で山札の一番下に置く。このようにして見せたカードが火または自然のカードであれば、バトルゾーンにあるクリーチャーを1体選び、持ち主の手札に戻してもよい。

この二種を得たミラミスは、新生デッキ【ミラミスホーガン】として生まれ変わる。
ミラミスと同じ難点を抱えていた《ホーガン・ブラスター》ともども、ハズレカードから一気にトップメタにのしあがったのである。

ホーガン・ブラスター 水文明 (5)
呪文
S・トリガー
自分の山札をシャッフルし、上から1枚目をすべてのプレイヤーに見せる。そのカードがクリーチャーであれば、バトルゾーンに出してもよい。呪文であれば、コストを支払わずに唱えてもよい。
これがまた強力で、5マナ域に到達していれば、あとは何を踏み倒してもミラミスデッキは勝てることから、
《ホーガン・ブラスター》でも役割を完遂することができてしまったのである。
そして《ホーガン・ブラスター》は呪文も撃てるので、
《ホーガン・ブラスター》→《ポジトロン・サイン》でプレイor《ドンドン吸い込むナウ》のサーチ→《ミラクルとミステリーの扉》なんて芸当も可能。
…というか、ひどい場合ホーガン・ブラスターから直接ミラミスが撃てる。

こうして【ミラミスホーガン】はデュエル・マスターズ史上でも例を見ない、ビートダウンに対して強いコンボデッキとして登場してしまった。
コンボの成立は運次第…のはずだが大抵決まるので問題はなく、トリガーだらけでビートダウン、コントロールを制圧可能という始末。
かつてハズレカードだった《セブンス・タワー》や使いづらいと言われていた《獰猛なる大地》、
優秀だが忘れ去られていた《クリスタル・メモリー》に加え、
同型対策とばかりに積まれる《悠久を統べる者 フォーエバー・プリンセス》や《偽りの王 ナンバーナイン》と
古過ぎるカードと最新の強カードを惜しげもなく投入するため(「覇」も高額)、
気がつけば資産デッキの頂点にも君臨していた。

金さえつめばデュエマに勝てる

そんな風潮すら生み出し始めた。

それでも多種多様なデッキが周りにいたのはデュエマが既にぶっ壊れでぶっ壊れと拮抗してバランスを取るゲームになっていたことがある意味幸いしたか。
といっても「ゲーム性の完全否定」はどのデッキよりも問題になる部分であった。
そのため、関連カードである《ミラクルとミステリーの扉》自身を含め、多くのカードが規制されていった。
中には「覇」を殿堂入りさせたくないばっかりにミラミスに入っていたために規制されたとばっちりなカードもあったが…。

だがデュエル・マスターズ公式は何を思ったか、エピソード3ではこのようなカードを生み出した。

ミステリー・キューブ 自然文明 (5)
呪文
S・トリガー
自分の山札をシャッフルする。その後、上から1枚目をすべてのすべてのプレイヤーに見せる。それがクリーチャーであれば、バトルゾーンに出してもよい。クリーチャーでなければ、自分のマナゾーンに置く。
初期設定では《ミラクルとミステリーの箱》とも呼ばれていた、「ミステリー」の名前をついだ《ホーガン・ブラスター》の調整版。
このカードを《ミラクルとミステリーの扉》の枠に埋めることで簡単にリペアがきいた上、まさかの自然文明としての登場から
色が合う【連ドラ】との相性がいいとされ、「覇」やヴィルヘルムなど共通パーツも多いことから規制された《セブンス・タワー》などで
コンボを決めづらくなっていた【ミラミスホーガン】は、連ドラのマナブーストと連ドラのフィニッシャーを悪用した
【キューブ連ドラ】として再興を遂げる。

その後《ミラクルとミステリーの扉》はプレミアム殿堂として規制されたが、未だ殿堂入りに《ホーガン・ブラスター》は居残り、
キューブにいたっては規制一つされていなかったこともあってミラミスの系譜は続いた。
環境を退いた後もデッキタイプに影響を残す点はボルバルやアクアンに似ていると言えなくもない。

なおコモンでは初のプレミアム殿堂。
その後キューブも後を追うように殿堂入りになった。



そして時は流れ2019年、E3当時には無かった軽量踏み倒しメタが増加した事で立ち位置が悪くなったのか、キューブの殿堂解除がついに施行された。
そして3年半後にはミラミスも殿堂に降格。現在もビマナ系統の一員として活躍している。

ミラミスホーガンの系譜

  • 【ミラミスホーガン】…初期型。重量級でゲームエンド級のクリーチャーを搭載しつつ、《ポジトロン・サイン》などでワンチャンを狙っていく。
  • 【獰猛ブラスター】…ミラミスの殿堂でホーガン・ブラスターをメインにしたタイプ。《獰猛なる大地》の殿堂入りをアシストした。
  • 【ミラミスホーガンリペア】…ホーガン・ブラスターも殿堂入りを果たしたため、ミラミス・ホーガンと共にキューブを採用したタイプ。
  • 【キューブ連ドラ】…ミラミスのプレミアム殿堂以後のデッキ。連ドラのギミックを悪用することでよりデッキとしての強さと構築費用の増大を招く。
  • 【サイクリカキューブ】…《龍素記号Sr スペルサイクリカ》という悪友を得てますます手がつけられなくなったキューブ連ドラ。

なおキューブをメインとしない《龍素記号Sr スペルサイクリカ》単独のデッキも「ミラミス(呪文)+踏み倒す対象(クリーチャー)」を
「サイクリカ(クリーチャー)+踏み倒す対象(呪文)」としただけで構築自体は似通っている部分はあり、
ミラミスの系譜をつぐもうひとつのカードであるとして噂されている。

また、スペルサイクリカの関連カードにはこんなものがある。

龍素記号Mm スペルサイケデリカ 水文明 (7)
クリーチャー:クリスタル・コマンド・ドラゴン 7000
このクリーチャーまたは自分の他のコマンド・ドラゴンを召喚してバトルゾーンに出した時、自分の山札の上から4枚をすべてのプレイヤーに見せる。その中から呪文を1枚相手に選ばせ、残りを自分が好きな順序で山札の一番下に置く。その後、その呪文をコストを支払わずに唱える。
W・ブレイカー

案外今現在ミラミスが生き残っていたら、サイケデリカと共に大暴れしたのかもしれない。
というかミラミスがいないからこそこのようなミラミスの逆のようなカードを作ったんだろうけど。

問題点

一応、呪文をメインとするミラミスの系譜は呪文をメタられると弱い。
そのためキクチ登場以後は若干鈍ったようである。

しかし、キューブが連ドラを利用することで連ドラのギミックを利用してメタカードをメタり返したり、
運ゲーを続けやすくなったことからこの難点はほぼ無いもの扱いされている。
そしてキクチが登場したのはミラミス自体が末期のころ。なのですぐにキューブ系統に移行したこのデッキの系譜は
そこまでキクチに苦しめられていたわけではない。

「ミラミスの系譜」の一番の難点は「基本運ゲー」でプレイングとされるものが少ない部分だろうか。
一応プレイングにコツは必要なデッキだが、ある程度回しなれていれば他のデッキほど苦労せず回せる。
ある意味、「初心者でも金を積めば勝てる」。無論、初心者がいきなり金を積むはずはないのだが。
そのため、他デッキ使いからはゲーム性の否定としてヘイトを稼ぎ続けるデッキである。
同じように踏み倒しに運要素の強い「連ドラ」も一見同じ類に見えるが、なんだかんだで踏み倒し連打の状況作る過程で必要な実直なマナチャージの存在と、踏み倒し以後の逆転されるリスクなどもあって
良評価になるのにたいし、こちらはリスクも何も割ったらトリガーで再展開されかねないのでどうしようもない。

だが、この系譜がトップメタには入っても、メタを染め上げることはなかった。
運だよりであるため他のデッキのほうが早いと対応もままならず敗北、という難点もあるからである。
つってもそれ良いかと言われると、それはつまり「5マナ貯められる前に準備を終えて上からぶっ叩いてしまおうぜ」とか「貯められる前にキーカードを除去してなにも出来なくしようぜ」という
これはこれで「相手が動く前に殺す前提」の駆け引き要素全否定のことだったりするんだけどね…

今後もこの系譜はプレイヤーの間で、仮想敵のひとつとして、構築の際に意識され続けるのだろう。

ちなみに殿堂ゼロではこのデッキ、キクチパトロールでさくっと死ぬ。
殿堂ゼロ環境はやっぱり魔境だったよ…。
むろん、ミラミス系統もキクチをミツルギで焼くなどして頑張って対応するんだけどね。



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最終更新:2025年01月08日 18:57