もぐらのアバンチュール

登録日:2015/10/30 (金) 00:25:00
更新日:2023/09/23 Sat 11:35:48
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もぐらのアバンチュールとは、日本テレビ系列で放送された時間9分ほどの一話完結アニメである。

ストーリー

それはのどかな日差しがいっぱいに輝く午後のお話。冒険好きの子どもモグラのクロちゃんは穴をほって地上に顔を出してみました。
しかしクロちゃんはモグラです。日光を受けたショックで倒れてしまい、そのまま眠り込んでしまいました。
その眠りの中で見たのは、宇宙飛行士になって火星に行くというとても大きな夢!
しかし無事にたどり着いた火星では火星もぐらにいじめられたり火星人に追いかけ回されたり・・・
ついに地球に叩き落とされたクロちゃん!・・・しかしそこで夢からさめました。
「やっぱり地面の中が一番いいな!」と思うクロちゃんでしたとさ。
めでたしめでたし

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一番大事なところを端折るんじゃない!
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もぐらのアバンチュール

監督 鷲角博(わしずみひろし)

音楽 山本直純(やまもとなおずみ)

声 中島そのみ(なかじまそのみ)

製作・放送 1958年


1   9   5   8   年

これは、東京タワーと同じ時代に生まれたパイオニア的作品なのである。

資料的価値

まずなんといってもその古さである。2015年から遡れば57年前の作品なのだ。
そして最初に記述した通りこのアニメは日本テレビで放送された、れっきとしたテレビアニメである。
よって国産のテレビアニメとしてはかなり初期に作られ放送されたものと言える。

というか

仙人部落 1963年9月~
鉄腕アトム 1963年1月~
おとぎまんがカレンダー 1962年6月~
インスタントヒストリー 1961年5月~
新しい動画3つのはなし 1960年1月
もぐらのアバンチュール 1958年7月

一番古いじゃねーかwwwww

そう、この作品は
日本で初めて放送された国産テレビアニメ
なのである。
Wiki籠り諸氏が毎日のように見ている数多のアニメ。その遠い遠い先祖がこの正味9分ほどの作品なのだ。



そして大事なことがもうひとつ。

この作品は、カラーなのだ。


カラーなのだ


     


信じられるだろうか。
東映がようやく国産初の総天然色アニメ映画「白蛇伝」を生み出した頃
一家に一台やっと白黒テレビが置かれ始めた頃
そんな時代にカラーのテレビアニメが放送されたのである。
これは何を意味するかというと
日本で初めてのテレビアニメはカラーアニメだった
ということになるのだ。

本作品はカラーテレビの試験のために放送された謂わば「実験作」であった。
そのため切り絵風の絵柄の中でケバケバしいと思えるほどの色使いや煌びやかな演出が見られ意気込みを感じさせる。
ちなみに完全なアニメでは無く、冒頭の「制 作 N T V」というテロップやロケットの扉が開くところは実写である。
ただ、カラーでのテレビ放送が実験期間中であり、なによりカラーテレビ自体市販されていなかった。
なので放送当時この作品をカラーで見た人は本当にごく僅かだったことだろう。

本作品は1958年7月14日、間を空けて10月15日にも放送された。
そして実験作品としての使命を果たし、長い眠りに就くこととなる。

再び陽の目を浴びるまで

「もぐらのアバンチュール」という作品があったということは、40年ほど前には既に知られていた。
ただ 「作品が作られた」という記録はあったが「放送された」という記録が残ってなかったため、
「あくまでテスト作品であり実際にテレビ放送されることはなかった」
というのがアニメ史を研究する識者たちの共通認識であった。

事態が急変するのは2012年、アニメ研究家原口正宏氏が日本アニメ50周年の記念特番のために情報整理をしている時だった。
彼もまた日本アニメ黎明期に作られた本作品に強い思い入れを持っていたが、他の識者と同じように「放送されなかった幻のアニメ」だと考え、コラムにもそのように記述した。
そんな彼に、書き上げたコラムの推敲を頼んでいた知人から電話が入る。
知人「もぐらのアバンチュールは放送されてますよ。新聞のテレビ欄に載ってました。」
原口氏「えーーーーーーーーーーーっ!?」
知人曰く、海外のテレビ映画の事を調べていたら、テレビ欄にヘンテコなタイトルが載っていたので印象に残ってたという。

かくして本作品は 幻の実験アニメから日本初のテレビアニメにして日本初のカラーアニメというエポックメイキングな作品へと、その認識を改めざるを得なくなった。
そして原口氏は一つの考えに行き着く。

もしかしてフィルムが残ってるんじゃないか?

実験作ならいざ知らず、実際に放送されたのである。もしかしたらテレビ局の倉庫にフィルムが現存してるのではという希望が湧き上がってきた。
原口氏はすぐに日本テレビにフィルムの捜索を依頼する。一度は反故にされたものの諦めず再度(今度は鬼気迫る勢いで)捜索を依頼する。
しかし半世紀以上前の作品、フィルムは貴重で使い回しも行われていた時代である。見つからない可能性のほうが大きいのも事実だった。


「『もぐらのアバンチュール』、あったそうです」


2013年6月、フィルムはあっさり発見された。見つかったのは『水曜ドラマ』『土曜ドラマ』や一部バラエティ番組の収録で使う神奈川県川崎市の日本テレビ生田スタジオ*1の一室。これはCS放送のアニマックスでテレビアニメ50周年を記念した特別番組『TVアニメ50年の金字塔』の制作にあたってのフィルム整理の過程で本作のフィルムの所在が確認されたため。フィルムの状態も良好なまま、本作品は再び陽の目を見たのである。
そして2013年7月21日、アニマックスの特番「TVアニメ50年の金字塔」で再放送がされた。じつに55年ぶりのテレビ放送であった。

その後、2017年にご存知『ぐるぐるナインティナイン』で本作を紹介する際に改めてライブラリの精査を行った結果、本作が実際にテレビ放送された日が1958年7月14日であることが確認された。

本作品は再放送はこの1回きりであり、またDVDなどのソフト化の予定も無い。
しかし原口氏は「この魅力をもっと広く、本当に望んでいる人のもとへ届けたい。個人製作のアニメに興味を持つ人に、本作の存在を知らせる必要があると感じたのだ。」と語っており、今後の再放送やDVD化も期待できる。

視聴自体は日本テレビの動画配信サイト「日テレオンデマンド」で有料公開されており可能である。
またYouTubeやニコニコ動画でも視聴可能なので一度は見てみるといいだろう。
世界中の人気を集め隆盛を極める日本アニメ。
その原点の一つといえる作品の、美しい色彩と演出が、きっとWiki籠りの皆の目に焼き付くことだろう。

ぼくはアニヲタWiki籠り♪
住んでるお部屋は暗いけど♪
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最終更新:2023年09月23日 11:35

*1 生番組や一部バラエティの収録は汐留の本社、多くのバラエティなどの収録は麹町の旧社屋跡地に造られた番町スタジオ、そしてドラマ収録や数は少ないがバラエティ番組の収録は生田スタジオと棲み分けて使っている。