ロッキートビバッタ

登録日:2011/11/12 Sat 15:11:49
更新日:2025/02/08 Sat 18:51:00
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  • 名称
ロッキートビバッタ
  • 分類
昆虫綱バッタ目バッタ科Melanoplus属
  • 学名
Melanoplus spretus
(仮名転写:メラノプルス・スプレトゥス)

●目次

〇概要

ロッキートビバッタは北米大陸に生息していたバッタの一種。19世紀まではアメリカやカナダで普通に見られていたごく一般的なバッタの一つだった。

本種の特徴は他のバッタ同様大規模な群れを作る事だが、ロッキートビバッタに関して特筆するべきはその規模の大きさであろう。
1818~1820年、1864~1867年にも大発生しているが、1873~1877年がピークと言われている。

「東京ドームくらい?」「いやいや規模がデカいってんだから北海道くらいはあるんじゃないか?」と思ったwiki籠りの諸君…甘い

1874年に行われた調査によると、数字は以下の通り。



範囲:51万k㎡
総重量:2750万トン
推定数:12兆5000億匹


つまり日本(約38万k㎡)を覆い尽くしてもまだ足りない、タイやスペインの総面積と同程度の群れという事である。同じ絶滅種であるリョコウバトもびっくり。
当然、最大の昆虫の群れとして余裕でギネスブック入りを果たすこととなった。

この被害によりコロラド州やネブラスカ州等を中心に当時の金額で総計2億ドルの損害が発生…が、
この出来事を機にロッキートビバッタは徐々に数を減らし、1902年に小さな個体が発見されたのを最後に一切姿を見せなくなった。


〇絶滅までの経緯

本種は、他の絶滅動物の項目とは違い、はっきりと「人間のせいで絶滅した」とは言いきれない

確かに人間の農業が機械化により大きな進歩を遂げ、産卵地である砂漠を農地に変えた一面はある。
「耕作した所にバッタの卵が何千個もあった」なんていう証言も存在する。
しかし、僅かな森林や島嶼部にしか生息していないようなバッタならともかく、これほど広く繁殖したバッタを絶滅させるなど、故意に絶滅させようとしたとしても難しいだろう。

一方、「ロッキートビバッタは絶滅した訳ではなく、相変異(生活密度が変わり、外見が大きく変化する事)により別の外見になっただけ」という説もあるが、
  • 他のバッタが相変異してもロッキートビバッタのような外見にならない
  • ロッキートビバッタと同じDNAのバッタが見つからない
という理由で決め手に欠ける説となっている。


〇氷漬け

また上記の通り生きた個体は見つかっていないものの、モンタナ州にある高地3300メートルの氷河の中からおびただしい量の死骸が見つかっている。
ジェット気流に巻き上げられそこで凍死したと考えられているが、その量たるや氷河の大半がバッタの死骸で構成されているほど。
その場所に付けられた名前はズバリ「グラスホッパー*1氷河」。想像するだけで色々と恐ろしい。
一方、ここで死骸の標本が簡単に手に入るため、研究環境には恵まれており、今でもロッキートビバッタは調査研究がされている*2
……逆に言えば、そんな恵まれた研究環境があるのに絶滅原因が明らかになっていないということなのだが。

〇余談

アメリカの小説『プラム・クリークの土手で』*3では、作者にして主人公ローラ・インガルス・ワイルダーの少女時代の記憶として、この恐るべきロッキートビバッタの群が登場。
大きな森や大草原を渡り歩きミネソタ州に引っ越したインガルス家の生活や周辺の社会を、畑への壮絶な被害や土地への産卵からお父さんが遠くに手稼ぎに出、日帰り出来る距離にある近くの街の学校すら閉鎖され礼拝にもろくに行けなくなる程無茶苦茶にし、
同作エンディングではやっと回復傾向が見えるもその後も蝗害が続いた結果、次作『シルバー・レイクの岸辺で』で一家がサウスダコタ州に移住する遠因となっている。



追記・修正はバッタの被害にあった方によろしくお願いします。



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最終更新:2025年02月08日 18:51

*1 英語におけるバッタの総称

*2 絶滅動物の場合、死骸の標本が貴重すぎて踏み込んだ研究ができず、絶滅前の記録などを頼りに断片的な研究しかできないことは多い。

*3 『大草原の小さな家』シリーズの一つ