ドラえもんの歌(ドラえもん)

登録日:2017/03/05 Sun 14:55:00
更新日:2021/09/23 Thu 18:11:52
所要時間:約 5 分で読めます




概要

『ドラえもんの歌』とは、ドラえもんのエピソードの一つ。主題歌の記事だと思った?そっちは「ドラえもんの『うた』」だ

てんとう虫コミックス未収録作品のひとつ。
昭和時代には中央公論社から発売された『FFランド』版「ドラえもん」第1巻に収録され、現在では藤子・F・不二雄大全集版「ドラえもん」1巻に収録されている。

記念すべきジャイアンリサイタルであるが、そのジャイアンを上回る災厄が登場したせいで影は薄い。

ストーリー

ある日、のび太の家にやって来たジャイアンは、

「のびたくうん。そろそろ始めるからいらっしゃいよう。」

と呼び出す。
のび太は居留守を使おうとするが、ママに叱られてしまう(2回目は恐怖のディナーショーの後日談でもある)。

のび太が嫌がる理由は、ジャイアンが「どく唱会」(=独唱会。要はリサイタル)を開くからであった。
それを聞いたドラえもん

「歌ぐらいきいておだててやればいいじゃないか」

となだめるが、のび太から

「すごいなんてもんじゃない。おんちの怪獣がばけてでたような声だぞ」
「寒けがして気がとおくなるんだ。熱をだしてねこんだやつもいる」

と教えられる。
ジャイアンの歌の恐ろしさを初めて知ったドラえもんは何やらひみつ道具を出そうとするが、その肝心の道具が出てこず(慌てるとダメな奴の法則)、ジャイアンに急かされたのび太は結局そのまま行く羽目に。

かくして地獄のリサイタルは始まり、「ボエ~ オエエ~ ギア~」なる凄まじい擬音が空き地を響かせる。
7コマに渡り、苦悶の表情でリサイタルを聞くのび太達。
そしてやっと終わったと思ったら、スネ夫が心にもないおべっかを使ってしまったせいで、
ジャイアンは気を良くしてしまいアンコールでもう一曲歌うことに(当然スネ夫は周りから睨まれる)。

一方ようやくその道具であるマイクを見つけたドラえもんは、急いでリサイタル会場へ向かう。
ジャイアンの音にぶつからないよう這って進む(アクションゲームかよ。アニメ版では音圧に変更)が、その時口の中に何かが入ったことに気づく。
そしてドラえもんはジャイアンにマイクを渡すのだが、それは音の消えるマイク(なおかつ歌っている本人には分からないもの)だったため、そのまま無事に終わることが出来た。

ドラえもん「あんな歌を聞かせたがるなんてほんとにはた迷惑だね。」

そう言って家に帰るドラえもん&のび太であった。


追記・修正お願いします。


































すると突然立ち止まってふらふらするドラえもん。
「なんだか歌が歌いたくなった」と言うので、聞いてあげることにしたのび太。

しかしその歌声は、「ホゲ〜〜」というとてつもなく下手なものだった。
ドラえもん本人は「なんというきれいな声!!」と自画自賛するが、あまりの酷さに思わずひっくり返ったのび太は
「ジャイアンよりひどいぞっ。二度と聞かせてくれるな」と怒る。

ドラえもんは「そうかなあ!?」と逆ギレすると、今度はジャイアンの元を訪れ「きみなら芸術がわかるだろ」と歌を聞かせることにした。
やはり酷い歌声で、流石のジャイアンもひっくり返って「や、やめろ! むねが悪くなった。」と憤慨する。

しかし、ここからドラえもんは目の焦点が合わなくなりだし、突如…

ジャイアンをギッタギタのメッタメタに叩きのめすのであった。

ボロボロになったジャイアンを踏みつけながら吐き捨てるドラえもん。


ドラえもん「芸術のわからんやつは人間じゃないっ。」
ジャイアン「か、かんどうした。歌手になれる。」


それを聞いたドラえもんは「わかる人にはわかるんだなあ」と勝手に満足して剛田家を後にした。
この後ドラえもんは「もっとだれかに聞かせたい」とつぶやき、しずかちゃんとスネ夫にもその歌を披露するが、やはりあまりの酷さに二人は白目を剥いて倒れてしまう

二人が「じつにもう……。ひどいというかなんというか。」と正直なことを言おうとすると、
ドラえもんは目の焦点が合っていないまま唸りだし、いよいよ様子がおかしい。
そんなドラえもんを刺激しない方がいいと感じたのか、二人は心にもないおべっかを吹き込んだ。

皆に無理やり歌を聞かせ、暴力と狂気で褒めさせたことで「自信ついた」と勘違いしたドラえもん。のび太の部屋に帰ってくると、「ウソばっかり!」と信じないのび太を睨みつけ、

「今夜独唱会をひらく」

と、とんでもないことを言い出す。

当然、

「それだけはやめろ! 世の中のためにならない

と必死で止めるのび太だが…

「ガウ」

ドラニコフの如くドラえもんは牙を剥かせてのび太を一喝。そして


みんな 聞きに来ると言ってた。君は?


完全に焦点が外れた目つきで睨みながら田舎のヤンキーのように首をのび太に近づけ、脅迫するのであった。

のび太「おかしい。人が変わったみたいだ。」
ドラえもんはロボットです。

ドラえもんの豹変ぶりを訝しむのび太をよそに、リサイタルまで歌の練習をすることにしたドラえもん。
「ボエ~」「ゲボ~」と凄まじい歌声で窓ガラスは砕け散り、家の中は物が次々と倒れたり落ちたりするので、ママが叱ろうとするも、刺激させない方が良いと制止するのび太。

そこでのび太がとった行動は…



地の文「いよいよ運命の夜が来た…(※原文ママ)



実にノリのよいナレーションと共に、悪魔の狂宴は幕を切って落とした。
居留守を使おうとしたジャイアンをはじめとした皆を、ラジコンのコントローラーのような謎のひみつ道具で操って無理やり家から出させるドラえもん。
シルエットだけでもはっきりわかる程の狂気を携えた目で生贄観衆を導きながら、ドラえもんは「たっぷりと一晩じゅう歌ってあげるよ」と宣言する。
子供たちは「そんなに聞かされたら死んじゃう」と恐れおののいた。
スネ夫はおまわりさんを呼ぼうと提案するが、おまわりさんも謎のひみつ道具の餌食になってしまう。
そこへのび太だけがいないことに気づいた皆は、自分だけ上手く逃げ出したのではないかと思い憤慨する。


\パンパカパーン/

ドラえもん「では皆様お待ちかねのドラえもんリサイタルを開きます。」


そしてついに恐怖のリサイタルが始まってしまった。
ナムアミダブツ…」と念仏を唱える声まであがり、観衆はこのままドラえもんの歌で命を落としてしまうのか?と思われたその時...



のび太「君のくれたロボットだぞ。早く直してよ。」



実はのび太は逃げ出したのではなく、ドラえもんの暴走を止めるべくタイムマシンで未来から子孫のセワシを呼びに行っていたのであった。
リサイタル中のドラえもんをセワシは、ビーム砲で気絶させることに(わさドラ版1回目では空き地の土管の懐から尻尾を引いて機能停止にした)。
(ちなみにその際のび太は、129.3kgあるはずのドラえもんを普通におんぶして運んだ。
最初期のエピソードであることから、まだ体重設定が固まっていなかったためと思われる。)*1


セワシがドラえもんを分解してみると、開いた背中からなんとマツムシが飛び出す。
実は昼のジャイアンリサイタルの時にドラえもんの口に入ったもので、それがドラえもんの電子頭脳を狂わせていたのであった。

事件が一件落着した後、家の庭でマツムシの鳴き声に感銘を受ける3人であった…。


余談

上述の通り「ジャイアンの歌=音痴」という設定が初めて出た回だが、
見開きのタイトル場面でイッちゃった表情で歌うドラえもん(&その歌声から逃げ出す皆)からいきなりの出オチであり、この後のカオスな展開を予想させる。
てんとう虫コミックスに未収録だったのは、ドラえもんの狂気&暴走ぶりがまずかったせいだろうか…。

大山ドラ版でも放送されなかったが、その後何とわさドラ版で放送された。しかも2回。
(1回目のアニメ化ではジャイアンへの暴力がなくなったり、最後ドラえもんをスイッチオフで止める等、描写は若干マイルドになったが、2回目ではそれらも原作に近くなった。さらに狂気度もアップした
またアニメ版ではジャイアンの唄はちゃんと台詞のある「歌」として、ドラえもんの唄はアニメ1回目では単なるメロディー付き唸り声だが、2回目では『踊れ・どれ・ドラ ドラえもん音頭』の一節を「ドォ~リラ~ン、パァ~リラァ~ン!」と熱唱(?)していた。

なお、ドラえもんは「歌って飲んでバイオ花見」の話でも音痴だとされているが、この時は周りは普通に聞いているため、
今回の場合はマツムシの混入による暴走によってジャイアン以上の殺人的音痴になったと思われる。

余談だが『ザ☆ドラえもんズ スペシャル』ではロボット養成学校で生徒たちがバンドコンクールに出るエピソードがあるのだが、
この時の黄色いドラえもんもギターを弾けば近隣住民から水を浴びせられ、ドラムは一回叩いただけで全壊、
キーボードに至っては虫や動物まで逃げ出すという天才的なマルチ音痴ぶりを発揮し、
マタドーラからは「お前のできる楽器はもうこれしかない。」と録音されたテープレコーダーを渡されるという始末であった。
やっぱりネジが抜けてる奴はだめだな。


「みんな 追記・修正すると言ってた。君は?」

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2021年09月23日 18:11

*1 このほかにも、TC+4巻の『ドラえもんとドラミちゃん』でも気絶したドラえもんをのび太がオンブするシーンがある。