チャネルボール

登録日:2018/03/30(金) 11:49:18
更新日:2025/04/26 Sat 04:16:00
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チャネルボールとは、Magic the Gatheringにおけるデッキの一つ。
マジック黎明期に組まれたコンボデッキである。


Channel / チャネル (緑)(緑)
ソーサリー
ターン終了時まで、あなたがマナ能力を起動できるときならばいつでも、あなたは1点のライフを支払ってもよい。そうした場合、あなたのマナ・プールに(◇)を加える。

Fireball / 火の玉 (X)(赤)
ソーサリー
好きな数のプレイヤーかクリーチャー(それらの組み合わせでもよい)を対象とする。火の玉はそれらに、Xを端数を切り捨てて均等に割った点数に等しい点数のダメージを与える。
火の玉を唱えるためのコストは、2つ目以降の対象1つにつき(1)多くなる。


コンボのやり方は非常にシンプル。
《チャネル/Channel》打って、ライフを可能な限りマナにして、X=20程度の《火の玉/Fireball》を相手に打つ。終わり。
Black Lotus》やら《Mox》やらの黎明期特有の凶悪マナ加速を使えば1ターンキルも可能。
(緑)(緑)(赤)+1マナが捻出出来ればいいので《山/Mountain》+《Black Lotus》が最速パターン。
《森/Forest》+《Mox Ruby》+《Mox Emerald》+《Mox》(種類問わず)等でもOK。
今なら《水連の花びら/Lotus Petel》とか《猿人の指導霊/Simian Spirit Guide》とかもある。


と言ってもかなり粗が多いデッキでもあり、弱点も多い。
まず黎明期故にサーチ・ドローが少なくパーツを安定して引き込みにくい。

仮に引き込めてコンボが開始できたとしてもラストの火の玉に《対抗呪文/Counterspell》などのカウンターを打たれたらコンボが瓦解する。
さらにチャネルでライフを削った隙に《稲妻/Lightning Bolt》を打たれたら自分が即死する。

ただ、これらを責めるのはお門違いである。なにしろこのコンボ、リミテッド・エディションのみで完結するのだから。
この条件で他に成立するコンボは【ステイシス】ぐらいしかない。

この為カードプールが増え、実用的なコンボデッキが登場すると徐々にそちらに移行していくプレイヤーが増えていったのだが、そういったコンボデッキの多くでトドメ用にX火力を用いているため、
フィニッシャーとしてのX火力の価値を位置づけたデッキとして今後も名前を残すだろう。

アメリカの大手カードショップであり、マジックの強豪プロプレイヤーチームとしても有名な『Channel Fireball』の名前の由来はこのデッキである。




現在でもチャネルが使えるヴィンテージ環境ではこのギミックを採用するデッキがたまに地雷デッキとして見られる。

Kaervek's Torch / ケアヴェクの火吹き (X)(赤)
ソーサリー
ケアヴェクの火吹きがスタックに積まれているかぎり、それを対象とする呪文はそれを唱えるためのコストが(2)多くなる。
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。ケアヴェクの火吹きはそれにX点のダメージを与える。

Banefire / 苦悩火 (X)(赤)
ソーサリー
クリーチャー1体かプレイヤー1人を対象とする。苦悩火はそれにX点のダメージを与える。
Xが5以上である場合、苦悩火は呪文や能力によっては打ち消されず、そのダメージは軽減されない。

時代が進みX火力の数も増えてきたので、《火の玉/Fireball》の枠がカウンター対策のできるX火力に置き換わっている。
更にサーチ・ドローの種類も増えたため、当時に比べてデッキパワーも上がっている。

それでも安定感に欠けるのに変わりはないのだが、それなりの愛好家がいるのも事実である。

亜種として《死者の鏡/Lich's Mirror》を用いたタイプもあり、『Mirroire Magique』と呼ばれている。

Lich's Mirror / 死者の鏡 (5)
アーティファクト
あなたがこのゲームに敗北する場合、代わりにあなたの手札とあなたの墓地とあなたがオーナーであるすべてのパーマネントをあなたのライブラリーに加えて切り直し、その後カードを7枚引き、あなたのライフの総量を20点にする。

これがある状態だと死んでもほぼ初期状態で蘇る
ただしターンは終わってないので《チャネル/Channel》の効果は引き続き使用可能であり、メインフェイズ中に死んだなら死ぬ前に出したマナも消えない。
その為《チャネル/Channel》でマナを出しつつ自殺してリフレッシュしてを繰り返し、フィニッシャーを持ってくるという動きが可能。
また、《チャネル/Channel》でマナを出す行動はスタックに乗らずその場で解決されるため、サーチやドローをスタックに乗せた状態で自殺し、リフレッシュ後にスタックの効果を解決できる。簡単に言えばライフを払って死ぬ前の手札のカードは結構な数持ち越せる訳であり、一度回りだせば結構安定する。

パーツにアーティファクトが増えたおかげで《修繕/Tinker》を無理なく採用できるのも利点であり、勝てそうにないならアーティファクト・クリーチャーを引っ張ってきて殴り殺すというサブプランも取れる。








余談だが、何でもありなフォーマット「Type0」で、4枚制限すら無視した場合の最強デッキ議論の常連であった。

よく言われるのが《火の玉/Fireball》《チャネル/Channel》《Black Lotus》を各20枚ずつというものである。1キル率は85%。
まず《Black Lotus》を20枚揃えるのが無理ゲーである。最安値ですら50万円のものをホイホイ買えたら苦労しない。
理論上は《Black Lotus》を30枚、《火の玉/Fireball》《チャネル/Channel》を各15枚が最適解らしいが、30枚も《Black Lotus》を手に入れるとかとんだ富豪でもない限り無理である。

黎明期には実際にこんなデッキを組んだ猛者がいたらしいが、真相は闇の中である。


なお現在のType0はカウンター耐性付きの0キル確定のデッキが考案されてしまった上、そちらは《Black Lotus》が必要ないので安く組めるというのもあり、この話も懐かしの話になっている。

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最終更新:2025年04月26日 04:16