登録日:2018/04/02 (月曜日) 11:56:45
更新日:2024/11/12 Tue 08:09:22
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マイケル・キスクとはドイツ、ハンブルグ出身のボーカリストである。
メロディックスピードメタルバンドHelloweenのボーカリストとして有名。
透き通った力強いハイトーンボーカルが特徴で、後の多くのメロスピ/メロパワバンドのボーカリストに多大な影響を与えた。
概要
1968年1月24日にハンブルグにて誕生。
1986年に
カイ・ハンセンに代わるボーカリストを探していたHelloweenのギタリスト、マイケル・ヴァイカート(以下ヴァイキー)に声をかけられたが、キスク本人は
エルヴィス・プレスリーなどのロックンロール、ロカビリーといった方向性の音楽を好んでいたため、はっきりとした返事を返すことはなかった。
その後しばらく目指す方向性の違いからバンドに参加するか迷っていたキスクだが、一度リハーサルでHelloweenの演奏を聞き、
バンドに参加することを決定した。
実はこの時までILL proohecyと言うバンドに所属していたがライブ経験はなかった。ヴァイキーよく見つけてきたな・・・。
バンド加入後「Keeper of the seven keys part1」(邦題:守護神伝 第一章)のレコーディングに参加し、圧倒的な歌唱力を披露する。
1987年の3月に西ドイツツアーを敢行。これがキスクの初ステージとなる。
1988年には前作の続編となり後のメタル史に名盤として名を遺す「keeper of the seven keys part2」(邦題:守護神伝 第二章)をリリース。
Helloweenの代表曲となる「Eagle fly free」でキスクはメタルボーカリストとして代表的な存在となる。
バンド加入時は18歳、Eagle fly freeを歌っていたのが19歳という若さでスターダムを一気に駆け上がって行った。
が、この栄光も長くは続かなかった。
ライブの多さや当時のレーベルの待遇、体調不良から「keeper of the seven keys part2」のレコーディング中にカイが脱退したい旨をメンバーに伝え、
ツアー終了後脱退。それからというものバンド内での発言力がキスクに渡ると彼の意思がアルバムにより強く反映される様になり、その後にリリースされた「Pink bubbles go ape」、「Chameleon」では
従来のメロディアスかつスピーディーな曲調は鳴りを潜めコミカルでポップな作品となってしまう。
マイケルキスク名義でリリースしたなら分かるが、従来のHelloweenの音楽性を求めていたファンからは酷評であった。
(別に作品が悪いわけではない。2作ともメタル要素を求めていないなら十分いい作品)
その後、メンバーとの確執も高まり何かとバンドのバランスが不安定になっていた頃、ギタリストのヴァイキーから衝撃的なアナウンスがされることになる。
メンバー間の不仲、そしてそれぞれの方向性の違いにより、ついにキスクを解雇することになったのである。
ファンは愕然としたが、「Helloweenから抜けてもまた違うバンドで
ヘヴィメタルを歌ってくれるだろう」と多くのファンは信じていた。
しかし、前述のヴァイキーの発言を上回る衝撃的な発言がキスクの口から飛び出すことになる。
上記したように元々メタル以外の音楽を志していたキスクにとって「ヘヴィメタルを歌わなければならない」という環境は精神的に負荷が掛かるもので、この発言はその感情が限界に達した為のものであった。
Helloweenを脱退後は自身の名義でメタル色がほぼないAOR寄りな作品をリリースしていった。
一応、数曲はメタル寄りな曲があったり、カイの所属するGammarayにゲスト参加していたが、本格的にメタル界に戻ることはなかった。
彼はそれでよかったのかもしれないが、ファンは二度と彼の歌うHelloweenの曲を聴くことが出来ないのかと悲しみに暮れた。
それから時は過ぎ、すっかりキスクがメタルの世界から忘れられていたころ、現代のジャーマンメタル筆頭バンドであるEDGUYのボーカリスト、トビアス・サメットが考案したメタル界のスターを集めたメタルプロジェクトAvantasiaの中に「アーニー」というボーカリストがいた。アーニーが歌った曲を聴くとそこには懐かしい力強いハイトーンボイスがあった。
そう、このアーニーがキスク本人なのである。
トビアス・サメットの熱いオファーの末、キスクが参加することになったのである。
これを切っ掛けにEDGUYの楽曲にゲスト参加、Place vendomeでの参加と少しずつメタルシーンに復活し始めた。
2012年にはUnisonicをカイと共に結成。キスクがカイと再びメタルをやる事に彼のファンは大いに喜んだ。Unisonicのライブではバンドの曲はもちろんのことHelloween時代のI want outやmarch of timeも披露された。
そして2013年のAvantasiaツアーで、バックステージにいたキスクはここである人物とばったり会うことになる。
その人物とは当日同じステージにHelloweenとして参加していたヴァイキーだった。そしてヴァイキーからこのような言葉が発せられる。
「なぁ、お前が俺の許せないところってなんだよ?」
するとキスクは
「僕はもうずっと前から許しているよ」
後にキスクはこの時の件について「時間とかいろんな要素が働いて、それまでずっとあったわだかまりが消えていたことに気が付いたんだ。
なんだか凄くいい感じだった」と発言している。
この瞬間、約20年前から続いた確執がついに解消されたのだ。
このころから周りの動きとしてにわかにキスクのHelloween復帰という動きが見え始めた。
そしてついに2017年にキスクは1年限定という期限付きだが、Helloweenに電撃復帰しワールドツアーに参加することが決定し、古くからのファンは20数年ぶりにHelloweenとしての彼の歌声を聴くことが出来た。
期間限定の復活ということになっているが、インタビューでは「ツアーが終わって暇になったらレコーディングもするかも」という発言をしている。その発言通り2021年発売のアルバム「HELLOWEEN」にアンディと共にリードボーカルとして参加。
年齢を重ねてもその力強いハイトーンボーカルは健在である。
特徴
彼の歌声の特徴といえばやはりハイトーンボーカルであろう。彼以前にももちろんメタル界にはハイトーンを駆使したボーカリストは存在していたが
彼はその中でも声の伸びが凄まじい。また攻撃的ハイトーンなボーカリストが多い中(例としては大英帝国の猿ことブルース・ディッキンソンやロブ・ハルフォード、HELLOWEENとしては前任者となるカイ・ハンセンなど)彼の声はどちらかというと優しめな声で、それでありながら力強い声である。
またビブラートも多用し、このハイトーン+ビブラートはメロディックスピードメタル界の雛形となっている。
ハイトーンボーカルによく注目されるが、本来の彼の声はどちらかというと低めで、それを活かした優しい歌声を披露する楽曲も存在する。そちらも素晴らしい出来なので
ハイトーン好きな方も一聴してみてはどうだろうか。(「Shit and lobster」や「Windmill」などがおすすめ)
余談
- 若かりし頃の彼はブロンドのロングヘアーのイケメンであったが、時は残酷なもので今はスキンヘッドである。このことについて彼は2019年発売のライブアルバム「United Alive in Madrid」にて「昔はプレスリーを目指してたけど今はすっかりロブ・ハルフォードみたいになっちゃった」と話している。
- 喉を酷使する関係上歌声の変化が激しいメタル界では珍しく、キスクの歌声は余り変化していない。(神は彼から髪の毛を奪ったが声は残してくれた)とはいえやはり10・20代の頃の曲をキーを変えず歌うのは辛いらしく原音キーで歌っているときの表情はまさに全力を込めて歌っているように見える。(全力になると顔が真っ赤になり、男梅みたいに見える)
- 雑誌などでは「マイケル・キスク」とされているが、ドイツ語の発音的には「ミヒャエル・キスケ」の方が近い。(同じドイツ人で後任ボーカルのアンディ・デリスは英語で話してる時でもこの発音で呼んでいる)
僕は君が追記修正することを許すよ
- ギルティギアのカイの名前の元ネタのひとつだっけ -- 名無しさん (2021-08-09 21:05:54)
- バスタードの呪文にもなってるな -- 名無しさん (2022-02-07 12:36:42)
最終更新:2024年11月12日 08:09