快楽ヒストリエ

登録日:2018/11/27 Tue 20:24:17
更新日:2025/01/25 Sat 02:37:33
所要時間:約9分で読めます




『快楽ヒストリエ』とはお小水や尿管結石など、泌尿器関係に何かと縁のある作家である火鳥氏によって編纂されたギャグマン…もとい歴史書の事である。
屈強な男達が「アララララーーーイ」する作品とはなんの関係もない。
「快楽」の名を冠する通り、人類の性生活を取り扱ったモノであり、八千万年以上の歴史を持つ由緒正しき成人雑誌である『COMIC快楽天BEAST』にて氏の漫画形式の論文が約二年半に渡り掲載、その後晴れて書物化した。

「八千万年の歴史を持つ成人雑誌!?ば~~~っかじゃねえの?」と思ったソコの貴方、ようこそ新しい歴史の世界へ。
実はこの書物によると、「今世紀初頭アメリカにて快楽天の原稿の化石が発見され、少なくとも八千万年前の人類には既にエロ本購読の習慣があった事が確認された」らしいのだ!
その新事実を元に氏が世界中の「史実」を再検討。結果、現在「正史」とされている諸々が抱える疑問点・問題点を克服した新たな「性史」が産まれたというわけだ。

あまりにもセンセーショナルな内容から、その信憑性を疑問視する声が上がっているが、早くも「これは脚色のない史実のみを記した秘史である。」と太鼓判を押す団体も現れはじめている。
すくなくともkindleはそういっている。

以下にその内容を一部ご紹介しよう。






某風林火山がしたためた「男子との不義密通に対する言い訳」や某浮世絵師の「異種姦春画」などを取り上げて、
「日本人は先祖代々HENTAIの血筋であった」なんて良く聞く話だが、一度この書を読み解いたなら、「それは何も日本人に限ったことではない」と実感することが出来るだろう。
「エロを通せば人類はやはり一つなのだ」という教訓を残してくれる、なかなか心憎い歴史書である。そのエロが引き金でバベルの塔崩壊しちゃうけど。





以下ネタバレ
















ただ、ひじょーに惜しいことに本書には致命的な欠陥が一つある。
この書物、 頁のどこも探してもエロがエロ足る所以である「局部の描写」が一切見当たらないのだ。
史料として当時のエロ本濡れ場は掲載されているにも拘らず、である。
え?「あくまで史料として」だから別にいいじゃないかって? そういう問題ではない。

嗚呼、エロの歴史を紐解く書物が、この世で最もエロい所をヴェールで隠してしまうとはなんたる皮肉か!

これでは我々は、嬉しさのあまり街中を裸で走り回ったとされるアルキメデスの様に


「ヘウレーカ!!」(乳首を見つけたぞ!!)


と叫ぶことすら出来ないではないか!!

寧ろムスコの悲劇(掛詞)に見舞われた将軍、ハルパゴスの如く


「ば~~~~~っかじゃねえの!?」


と言いたくもなってくる。

「まだだ、まだ本は売り切れぬ。」
「エロい、エロくないは問題ではないのだ。私はなんだか、もっと恐ろしく大きい歴史の真実の為に走るのだ。」
とセリヌンティウスの親友みたいな清廉な建前を吐きながら書店にダッシュした青少年なんかは、

メロス(仮)は
「よくもだましたアアアア!!だましてくれたアアアア!!」
と激怒した。
メロス(仮)は歴史がわからぬ。
けれどもメロス(カリ)は性に対しては人一倍敏感であった。

と、怒りのあまり性ではなく文学に目覚めてしまうかもしれない。



この「局部がない」不自然さは

「史料の選別に恣意的なものを感じる。」

「これは証拠の捏造だ!」

という批判を産み、残念ながら本書は現在トンデモ本の域を出ず、「エロ雑誌掲載なのにエロくないギャグマンガ」の烙印を押されてしまっている。

しかし「歴史」なんていうものは突き詰めてしまえば「推論の積み重ね」である。
世間がどれだけ否定しようとも、我々個人がロマンを抱き続けることには何の罪もない筈である。
なので最後はこのような言葉をもって、本項を締めくくらせて頂きたい。

この書物が偽物だと「信じる」も、いつか氏が局部を携えて決定的証拠を持って来ると「信じる」も、すべて「自由」ぞ!我がムスコよ!


【余談】

  • 女の子は普通に(見た目は)可愛い
  • おっさんも普通に(見た目は)かっこいい。
  • 「女アーサー王…不思議と…人気が出そうな気がしてきた……!!」→その後女体化したアーサー王は明らかにあの腹ペコ

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最終更新:2025年01月25日 02:37

*1 氏はこのオカズという言葉の由来からこの説を組み立てているが、学のない我々でもちょっと考えれば直ぐにわかる事である。「貢」という漢字は「工(にぎるところのある鑿=要はアレ)」と「貝(つまりアレ)」が”結合”する瞬間を表した文字であり、詰まるところ「挿入」のメタファーである。(貝)「そんなおっきい”にぎるところのある鑿”なんて入らないよぉ…。」ところで「頁(ページ)」という漢字、「貢」にひじょーに似ている。最早「貢」の代替品といってもよい。つまりこれは「挿入を司る年貢の代替品が”頁”で、それがエロ本だった事がこれを”ページ”と読ませるに至った。」という事実を示している。Q.E.D(因みに”頁”は”貢”に比べて”工”が”貝”に埋もれている。この事から、当時は「断面図のコマ送り」の様な”入って行く過程を静画で表現する技術”に乏しく、恐らく”直前”と”直後”でのみ挿入の瞬間を描写していたと推察される)