アーム筆入

登録日:2019/06/09 Sun 20:10:31
更新日:2024/06/23 Sun 19:15:46
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アーム筆入とは、サンスター文具が1965年に発売した業界最強の筆入れ(筆箱)である。



概要

上の画像を見ればわかる通り、シンプルなプラボディの箱型筆入。
内部に内蓋が入っており2段構造になっていて、鉛筆なら10本程度収納できる。

……以上。筆入としての性質はこれだけ。
デザイン面で目新しい点があるわけでも、人気キャラクターとかが描かれているわけでも、収納力に特筆すべきものがあるわけでも、子供が喜びそうな派手なギミックが搭載されているわけでもない。

では、なぜこうして個別項目があり、そしてこれが業界最強と呼ばれているかというと……


が踏んでも壊れないから。

が踏んでも壊れないから。



が踏んでも壊れないから。



'' が 踏 ん で も 壊 れ な い か ら で あ る。''



今まで、これほど端的、かつキャッチーに「筆入としての耐久性」を表現したキャッチコピーがあっただろうか?
CMでは百聞は一見に如かず、ということでか 生きた象を連れてきて本当に筆入を踏ませるが、それでも壊れていないことをアッピールする というインパクト抜群の映像をお茶の間に流していたのだ。
ちなみに耐久力は 1.5トン 。象が片足を乗せた程度なら、たわむぐらいで絶対壊れない。

実は単純に筆入としての性質を見ても、シンプルな分余計な機能が無く使い勝手は上々。
というのも当時は「秘密基地ブーム」なるものに乗って「6面展開」だとか「隠し扉」だとかやたらと凝りに凝ったギミック付きの筆入が主流で、かえって使い勝手が悪いものが多かった。
そこに来て「鉛筆と消しゴムとその他細々したものが入ればOK」という、ある意味割り切ったこのシンプルさは大いに受け、耐久性も相まってサンスター文具のヒット商品となったのだった。

現在ではCMこそ放映されていないものの、いまだ現役で生産・販売されており、ベストセラーにしてロングセラー商品である。
ちなみに筆入との付き合いが始まる小学生は何かと物を壊しがちだが、余裕で6年は使える耐久性の高さもあってか、学校指定の文具になっている地域もあるようだ。


逸話

  • 素材はポリカーボネイト。開発部の人が、暴走族が信号機に石を投げているのに信号機が割れない映像を見て、「あの素材で筆入れを作ったら売れるんじゃないか」と思ったのが始まりらしい。

  • 開発当時、サンスター文具上層部からは 「耐久性が高すぎて買い替え需要が無くなるのではないか」 という懸念まで示された。実際はCMもあってヒット商品になったが。

  • CM放映当時、とある国会議員から 「象が踏んでも壊れないなんて嘘に決まっている。過剰宣伝をやめろ」 とクレームが来たらしい。しかし実際に(さすがに象は連れて行けないので) 金槌100本と筆入れ100個 を議員の下に持参して耐久力を見せたところ納得してくれて、逆に 「これは必ず売れるからPTAから推薦をもらいなさい」 とアドバイスをしてくれたとのこと。

  • 「壊れない」と宣伝されれば逆に壊したくなるのが小学生男子という生き物。普通に踏みつけるのは序の口で、 床に置いた筆入に机の上から飛び降りて骨折した というアホな事故まで起きたらしい……。

  • 当時は流行ったためパチモノも大量に出回った(当時は商標関係の意識が良くも悪くも緩かった)。 三十二文(ジャイアント馬場の両足)で踏んでも壊れない 筆入とか。が、パチモノはポリカーボネイトの純度が低くすぐに壊れたそうな。それより当時の小学生にはジャイアント馬場と象がほぼ同じ強さと認識されていたことが衝撃だが。

  • 基本小学生用なので、鉛筆以上の太さのものは物理的に入らない。そのため大人が買って使うには少々使い勝手が悪い。ただ、もったいないが中敷きを取ってしまえば物入としては十分使える。



追記・修正は象が踏んでも壊れないパソコンでお願いします。

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最終更新:2024年06月23日 19:15
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