野生ペット小屋(ドラえもん)

登録日:2019/08/25 (日) 15:50:49
更新日:2019/09/07 Sat 09:41:16
所要時間:約 6 分で読めます




「野生ペット小屋」とは漫画「ドラえもん」のエピソードのひとつであり、そこに登場するひみつ道具。てれびくん1983年1月号に掲載され、単行本第30巻収録。

【あらすじ】


いつもの空き地に集まって、それぞれの家で飼っているペットについて話す静香たち。まずは静香がカナリヤのピー子ちゃんについて話し始める。
ピー子ちゃんがあまりに騒ぐので不思議に思い、室内を調べたところ、ストーブのガス管が外れてガスが漏れていたという。
次にジャイアンが、飼い犬のデカ(ムクのはずだが、設定が忘れられたのだろうか)が剛田家に忍びこもうとした泥棒を捕まえたと話す。
最後にスネ夫が、血統書つきのシャムネコ・アンナがスネ夫のママが失くした一千万円のダイヤを見つけてきたと話し、そのままペットの話題で盛り上がる3人。話に加われないのび太は帰宅すると、何かペットを飼いたいとドラえもんに頼む。(その話の切りだし方は「ぼくも動物を飼って、ガス中毒になりかかって、どろぼうに入りかけられたい」という、事情を知らない人には訳の分からないものだったが)更に、
「どうせ飼うなら、ライオンとかゾウとか、みんなをあっといわせたい」と言うが、むちゃくちゃな頼みにドラえもんは困り果て、ママが動物嫌いなこともあって反対する。だが、諦めずに頼みこむのび太。



ドラえもんなら、なんとかできると思うんだ。ただのロボットじゃないんだから。



この言葉に心を動かされたドラえもんは、「野生ペット小屋」を取り出し、操作しながら道具の説明を始める。スイッチを入れると、何もなかった小屋の奥に穴が開いてトンネルのようになり、そのトンネルをくぐるとどこかの草原に出る。



「どこでもドア」



にてるけど ちょっとちがう。



ドラえもんが説明を続けようとすると、突然ライオンが飛びかかって来る。慌てて部屋へ逃げ帰り、小屋のスイッチを切るふたり。
この小屋はその名のとおり野生動物をペットにするための物であり、部屋と野生動物の生息地の空間をつなげることで、動物を自然の中においたまま飼うことができるのだ。小屋のダイヤルを回し、ペットにする動物を探し始めるのび太。
キリンとカバを見つけるが、それぞれ体が大きすぎること、見た目がかっこ悪いことを理由に却下。もういちどダイヤルを回すと、そこにいたのは…



あかんぼうのゾウだ。これにきめた!



無事にペットが決まったことに喜ぶのび太だが、ドラえもんは、野生のゾウ、それも赤ん坊がたった1頭でいることに疑問を感じる。
普通はゾウというのは常に群れになって行動し、子どもは親や大人たちに守られているはずなのだ。どうやら仲間とはぐれて迷子になり、お腹を空かせているらしかった。その様子を見たのび太はママに牛乳をもらいに行くが、もらえたのは、赤ん坊とはいえゾウに飲ませるには到底足りない量だった。それをドラえもんに指摘されてもういちどママのところへ行くと、バケツいっぱいに牛乳が欲しいと言うが、当然ながら叱られてしまう。
そこで「ビッグライト」で牛乳をビンごと巨大化させて中身を増やすことに。だが、ゾウはそれを飲もうとはしなかった。


ゾウは、ウシの乳なんかのまないのかもしれない。



当たり前だがゾウを飼ったことなどないふたりは育て方やエサについての知識もなく、どうしたら良いかも分からず途方にくれる。そして考えた結果ドラえもんが出したのは「桃太郎印のきびだんご」。どんな動物でも食べるこの団子を牛乳に溶かして飲ませようというのだ。試してみると、ゾウは牛乳を飲んでくれた。それを見て、固い握手をしながら喜ぶドラえもんとのび太。お腹が満たされて元気になったゾウはのび太になつき(きびだんごの効果だけか、エサをもらったからか、本能でのび太は危険な存在ではないと感じたからか、あるいはそのすべてかは分からないが)のび太はゾウに「ハナちゃん」と名前をつけて一緒に遊び始める。
やがて日が沈み、野比家は夕飯の時間になるが、ここでのび太には新たな心配事ができる。
その心配事とはハナちゃんを家に連れ帰る訳にはいかず、かといっておいて帰ったら夜中にどこかへ行ってしまうのでは、という事。しかし、ドラえもんによると小屋のダイヤルをロックしておけば、常にハナちゃんのそばに出口が開くので心配いらないという。
それを聞いて安心するのび太だったが、夜中にハナちゃんの鳴き声で目を覚ます。急いで行ってみると、ハイエナの群れがハナちゃんを取り囲んでいた。幸いハナちゃんに怪我は無かったが、肉食獣に襲われることを心配したのび太は、もう少し成長するまではとハナちゃんを部屋に入れ、朝になったらアフリカ*1に帰すことをドラえもんと約束してハナちゃんと一緒に布団に入る。それからしばらくが経ち…



のび太、このごろ楽しそうだな。




スネ夫の言葉に
「かわいいハナちゃんがまっているんだもの」と、笑顔で言うのび太。ハナちゃんと過ごすようになってから、のび太の表情や雰囲気は、目に見えて明るく楽しそうなものになっていた。更にハナちゃんと遊ぶために、のび太にしては奇跡的な早さで宿題を済ませたり、日に焼けながら外で遊んだりと、ハナちゃんの存在によってのび太の生活は良い方向に変化していく。いつ見ても部屋にいないことをママに怪しまれることもあったが、パパがとりなしてくれた。
一方、赤ん坊だったハナちゃんは乳離れを始め、腕相撲(ハナちゃんは腕の代わりに鼻を使う)でのび太を負かしたり、のび太を背中に乗せて歩けるほどに力も強くなっていく。そんなある日…
ハナちゃんと一緒に散歩していたドラえもんとのび太は、ゾウの群れに遭遇。その中の一頭がこちらをじっと見つめ、ものすごい勢いで迫ってきた。急いでハナちゃんを連れて部屋に戻るふたりだが、小屋の向こうから激しくぶつかるような音が鳴り響き、小屋が大きく揺れ動く。どうやら、先ほどのゾウが体当たりしているらしい。その必死な様子から、ドラえもんはある可能性に行き着く。



ひょっとして、ハナちゃんのママじゃないか?



そう、母ゾウがはぐれてしまった我が子を見つけて駆け寄ってきたのだ。だが、のび太にはもう、ハナちゃんを手放すことなどできなかった。



いまさらかってだよ!!小屋をしまってくれ。二度とアフリカへはつれていかない。



ドラえもんにそう言うと「スモールライト」でハナちゃんをネズミほどの大きさにし、ずっと一緒に暮らすことを決めてしまう。ママに返してやってはどうかとドラえもんは言うが、のび太の気持ちは揺るがない。
しかし、ある夜…



ドラえもん!ハナちゃんがぐったりしてる!!



故郷のアフリカと比べて寒すぎる日本の気候に耐えられず、ハナちゃんは風邪をひいてしまう。力無く横たわるハナちゃんを見ながら
「ハナちゃんのママ、まだあそこにいるかな」と呟くのび太。ドラえもんが小屋を取り出して確かめてみると…



いるぞ!!こっちをむいて、じっとたってる。



それを聞いたのび太は、元の大きさに戻したハナちゃんを母親の前へ連れて行き、優しく話しかける。



はやくいきな。わすれたの?あれはきみのママだよ。


するとハナちゃんも思い出したらしく、母親と一緒に群れへ戻って行く。


そしてラストシーン。



ほっとしたような、さびしいような…………。


机に向かって窓の外を眺めながら言うのび太に、両手に湯呑みとどら焼きを持ち、穏やかな表情を浮かべてドラえもんはこたえる。



きっとアフリカでしあわせにくらしているさ。



【初登場のひみつ道具】


〇野生ペット小屋
奥行きの狭い犬小屋のような形のひみつ道具。
スイッチを入れると草原や山奥など野生動物の生息地につながり、野生動物を生息地にいる状態で飼うことができる。ダイヤルを回すことでいろいろな動物のところへ移動し、飼いたい動物を探すことが可能。ダイヤルをロックすると、ペットがどこへ移動しても、出口がペットのそばに開くようになる。
もちろんなんとかして飼い慣らすまでは襲われる危険があるので、注意が必要。

F先生監修の『ひみつ道具完全大辞典』では、ゴリラを探していて何故かジャイアンを発見し、本人に怒られるというネタがある。

【アニメ版】

2019年現在、大山版とわさドラ版で1回ずつアニメ化されている。いずれの作品も、ジャイアンの犬の名前は「ムク」になっている。

◇大山版「子象のハナちゃん」
1983年3月30日放送。映像ソフトでは「子ゾウのハナちゃん」に改題されている。

「ドラえもんコレクションスペシャル特大号」秋の3に収録されている。

◇わさドラ版「さよならハナちゃん」
2008年7月25日放送。
本作のみ、スネ夫のネコの名前が「チルチル」になっている。

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