SCP-2039

登録日:2019/09/15 Sun 16:03:24
更新日:2019/10/14 Mon 20:27:08
所要時間:約 9 分で読めます






SCP-2039 - Pikes 'n' Wagners(パイク家とワグナー家)



SCP-2039はシェアード・ワールド『SCP Foundation』に登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスはEuclid。



概要

SCP-2039は椅子に座ってた人が飛んでくることでアニヲタ支部職員には一定のコンセンサスを得ているノースカロライナ州の山岳地帯に住む、
2つの家族、パイク家(SCP-2039-P)とワグナー家(SCP-2039-W)のことである。

その暮らしぶりは20世紀初頭としては一般的なアメリカ人の家族のものであり、彼らは川を挟んで対岸に住んでいる。
そして基本的に双方とも相手には非友好的。インタビューにおいて彼らは、この対立は物心ついたときからと主張しているが、
その発言には一貫性がなくあいまいなものだった(ただしSCP-2039-P-01の情報を除く)。

パイク家を実質率いているのはSCP-2039-P-01、ディクシー・メイベル・パイクで、現在はおばあちゃんである。
ミドルネームのメイベルで呼ばれることを好む。
メイベルのもとに36人の家族が、いくつもの小屋で構成される一帯を構成し、ゆるやかな規律の中で暮らしている。
一方のワグナー家を率いているのはSCP-2039-W-01、ブレイン・ランドルフ・ワグナーで、こちらは現在はおじいちゃん。
ファーストネームのブレインで呼ばれることを好む。
ブレインのほうは規律が結構強いらしく、そのリーダーシップのもとにひとつの大きなプランテーションハウスに29人が住んでいる。
で、彼らは基本的に歳を取らない。
おばあちゃんはおばあちゃん、子供は子供でいつまで経っても変わらないのだ。

この両者のうちの誰かが、時折相手家族に自分の家族が痛めつけられたと主張して衝動的な敵意を抱くことがある。
「衝動的な敵意を抱くとどうなるんだ」って?知らんのか。第三次世界大戦だ。
普段の彼らの生活は再度伝えたとおり20世紀初頭のアメリカ人のそれである。
しかしその瞬間彼らはどこからともなく武器を取り出すのだ。得てして時代がずれまくっており、
古代ギリシャのスリングから、MGM-140 ATacMS地対地ミサイル(核弾頭つき)、はてはナパームBの充填された水鉄砲や、
オカルトチックな能力を持つTVアンテナなど、聞いていてよくわからない物が出てくる。
しかも彼らはそれらを、まるで使い方を知っていたかのように、効果的に運用するのだ。

そして一方の家族がもう一方を殺しきるまで戦争は続く。
財団が介入して武装解除を行った場合も、素手で攻撃を続け、相手家族を全員殲滅すると、帰宅して寝る。

そしてそのあと辺り一帯の損害はすべてきれいに元通りになり、全員が行き帰り、戦闘の記憶を失う。


…メイベルとブレインだけはどうやら覚えているようだが…。



メイベルの過去

財団の研究員・ウィルクス博士は社会学者(ソシオロジスト)であると同時に医師免許も持っており、
医師としてSCP-2039実体群の住むこの田舎に定期往診という形で訪れている。

ある日、「今日の定期往診は君で終わりなんだ」とメイベルに、パイク家とワグナー家の確執の起こりを尋ねた。
「長くなる」といいつつも、メイベルは静かに語り始めたのであった。

かつて、メイベルとブレインは仲がよく、二人して村の悪ガキとして名前を馳せていた。
二人はよく近場で盗みを働いており、周りの人たちは手を焼いていたという。
ブレインのことをメイベルは兄のように慕っていた。

しかしそんなメイベルが20になったころ、彼女はルーシーという、ちょっと短気な女の子と出会い、
互いに恋に落ちた。
当時はまだ同性愛というものが市民権を得ていない時代である。
メイベルは、家族はおろか、『兄』ブレインにすら隠れてルーシーとの逢瀬を重ねていた。
そしてルーシーがメイベルをピクニックに誘ったので、彼女は待ち合わせ場所に向かった。

スミス&ウェッソンを構えたブレイン。

血で赤く染まって美しく輝くルーシー。

ポリック家の少年はメイベルとルーシーが会うのを目撃し、なんの気無しにブレインにそれを話していた。
そしてブレインはルーシーに、凶弾をぶちこんだわけである。
ブレインがこうした理由はわからない。メイベルが好きだったのか、
それともメイベルが『同性愛』なんていう『汚れた考え』に染まったのが憎かったのか。

しかしメイベルはもはや、ブレインが何を言おうが許す気はなかった。
毎晩、メイベルはルーシーの、血に染まった美しい顔を思い浮かべるのであった。
パイク家に嫁ぎ、子を沢山なしても、彼女の心は常にルーシーに向けられていた。

とはいえ、周りにそれを打ち明けることもできない。
打ち明けることはすなわち不貞の証明であり、しかもよりによって当時タブーである同性愛である。
そのため、周りは「ブレインがなにかしでかして、メイベルが憤っている」くらいしかわからないのであった。
そんな2つの家族だが、それでもせいぜい罵声合戦くらいしか、互いの家族は対立らしき対立はしていなかった。

そんなある日、メイベルの夫、ウォルターは亡くなった。
ルーシーの代償としての存在すらなくなって、もはやメイベルはブレインにツケを払わせたいとばかり願うようになる。
そんなこんなで数年過ぎたある日、灰色の目をした怪しげな男が、メイベルを訪ねてきた。

その男は、何故かルーシーのことを知っていた。
「ルーシーに起きた本当のことを知っていますか」とまで言ってのけた。
ウィルクス博士に語るのと同様、メイベルはその男にルーシーの話を、ブレインの話をした。


「メイベル、あなたがこの物語を終える手助けをさせてもらいたい」


「あなたが永遠にブレイン・ワグナーを罰するための道具を授けたいのです」


その男は、ただ物語の終わりを与えたいと語った。
『”いつまでもあれこれで暮らしましたとさ”というものを、もしあなたが望むならば』
その言葉に、メイベルは感動して男と握手した。その男と再会することは二度となかった。

数日後、パイク家のひとりが、ワグナー家になにかされたとつぶやくと、パイク家の皆がライフルをもってワグナー家を襲撃しに行った。
ワグナー家のひとりが火達磨になるのを見て、そしていつの間にか倒れていた。
そして目を覚ますと誰もがそんな事を忘れているし、怪我もない。ワグナー家もだ。
メイベルはきっと昨夜は悪い夢を見たんだと思った。──ブレインが錯乱しながらやってくるまでは。


「メイベル、お前は一体何をした? 一体昨日の夜起きたのは何なんだ!?」


そして今度は、ワグナー家が『滑車のついたへんてこな弓』(おそらくコンパウンドボウ)を持って
襲撃してきた。メイベルは確かに殺されたはずだった。
でもまたおんなじことが起きる。

「永遠」。
そうだ、永遠。あの男は永遠と言ったんだ。


いいやB████、永遠に! 永遠にって言ったんだ! あたしは永遠に死に続けなきゃならないんだ! あぁ神様、ルーシー、ごめんよ!


ここでメイベルの孫が登場しウィルクス博士は追い立てられる。
メイベルは聖書の一節を引用し、ウィルクス博士が財団エージェントに救い出されると、
孫たちは標的をワグナー家に変更し…。


ブレインサイド

ブレインはメイベルと異なり、聞いても怒るだけで教えてくれない。
しかし、ブレインは夜驚症に苛まされ、『ルーシー』と『いつまでも』を叫んでいるという。






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