SCP-3949

登録日:2019/11/09 (土曜日) 08:04:29
更新日:2019/11/11 Mon 11:57:05
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顔も世代も文化的背景もわからない相手に優しくする義務なんて、ネットにはないのさ。



SCP-3949はシェアード・ワールドSCP Foundationに登場するオブジェクトである。
オブジェクトクラスEuclidからのNeutralized

特別収容プロトコル

ここからでも特に分かりづらい点はないため、こちらから説明する。

財団のウェブクローラが色々なソーシャルメディアを監視しており、「Penumbra W.A.V.E.」およびそのキャラクターに言及する投稿をフラグ付けしている。
当該の投稿はただちに機動部隊オミクロン-5("真のファン")に報告される。
機動部隊はそれがSCP-3949によるものかを判断し、もしそうならSCP-3949の削除までそれに反応する。

以上。ウェブ上に現れて財団がそれを探しているタイプなら、発見次第の削除がよくあるタイプ。
しかしコイツに対しては消すのではなく、付き合ってやるのがプロトコルになっている。というより、消すのは向こうが勝手にやってくれるらしい。
どういうことなのか、性質を見てみよう。

概要

SCP-3949は色々なウェブサイトやフォーラムや掲示板に存在するアカウント群であり、どうやら全て同一の存在によって作られたもののようだ。
SCP-3949の活動は、存在しないアニメである「Penumbra W.A.V.E.」やそのファン・コミュニティについてが中心である。
存在しないので基本的に何を言ってるのかよく分からないが、SCP-3949の投稿からアニメの内容を推測することはできている。
それによるとPenumbra W.A.V.E.はSFアニメであり、第4シーズンまで放送されたがその後は不定期に休止しているとのこと。
この時点ならまあ強めの幻覚を見ているオタクのアカウントだな、で済むがもちろんそうはいかない。

その異常性はSCP-3949の投稿を見たときに約2%の低確率で発生する。
異常性を被った人はPenumbra W.A.V.E.は本当に存在し、少なくともいずれか1話は見たと思うようになってしまう。幻覚を感染させられるわけだ。しかも作品内容の記憶はどんな人においてもほとんど一貫していて、おそらく財団はここからもPenumbra W.A.V.E.という架空の架空作品がどういうものかを学んでいると思われる。
ついでに、SCP-3949の中の人は何者なのかはわかっていないし、見つけることもできなかった。しかしどういう人なのかは、ある程度分かっている。

特筆すべきことに、中の人の性格は非常に憶病と言える。
普通に話している分には問題ないのだろうが、自身の投稿へのネガティブな反応には数回だけ反応したのちアカウント・全投稿を削除する
おそらく、相手に罪悪感を与えたいのだろう。そして9~72日の期間を開けて、別の名前で新しいアカウントが建てられる。
アカウントが消えている間、前述の感染した幻覚は消える。しかしアカウントが復活すると記憶も復活するようだ。

要は、架空の物語の話題を垂れ流し続け、ケチをつけられると垢消ししてはほとぼりが醒めるころに復活する、財団からしたら絶妙にショボい異常性を伴ったクッソめんどくさいヤツである。後述するが、ネガティブな反応というのは別に誹謗中傷とかではなく、単純にSCP-3949側に否があることによって寄せられたものが多い。
何がどうなって存在しないアニメを見て、その幻覚を他人に伝染させる能力を得たのかは分からないが、ネットユーザーとしてもその作品のオタクとしても初級者であることは疑いようもないだろう。

インシデントログ

実験とか遭遇記録ではなく、インシデントの記録である。すなわち、SCP-3949の垢消しの記録と言えよう。
機動部隊は「SCP-3949の削除までそれに反応する」ことが職務になっている。異常性はアカウントが存在している間他人に架空アニメの存在を信じさせることなので、その期間をできるだけ短くするためにも、結果的にはSCP-3949を責めることになる。
悪い言い方をすればネット上でオブジェクトをいじめるのが仕事の機動部隊というのもそうないだろう…しかもその名前が"真のファン"だというのもキツい。実際の所はEN元記事のディスカッションにあった言葉を借りるが、庭に侵入する鳩を追い払い続けるようなものなのだが。
SCP-3949に隙がないならもっと強硬な手段を取ったかもしれないが、残念と言うか幸いと言うかそうではなかった。

・インシデント014
SCP-3949が投稿したのは一枚のデジタル絵。キャラクター二人が抱き合っているものだった。

"真のファン"隊員「こっちのキャラの肌の色が違うぞ」

割と致命的なミスではないだろうか…?絵まで描けるのに、自分の過去の発言からしか作品内容を知らない相手に突っ込まれるポイントとしては重篤である。

・インシデント057
投稿されたのは18章にも及ぶ二次創作小説。一部ストーリーに変更が加えられているほか、マイナーキャラ2名の恋愛要素が追加されている。

"真のファン"隊員「原作にこの二人の恋愛要素は全くなかったんだが。全体的に会話や文章がアレだし、王のキャラが全然違う」

むしろSCP-3949よりこっちの方がPenumbra W.A.V.E.に詳しくなっている。

・インシデント066
投稿されたのは架空の場面を描いた絵。あるキャラが敗北した敵の上で「ストームソード」を振り回している。

"真のファン"隊員「ここまでの戦闘シーンからしてこの敵が負けるはずがないし、このキャラはこの時点ではストームソードを使えないはずだぞ」

まあif展開を描いてる側からしたら「うるせーオレの中ではこうなんだよ」というのが二次創作と言うものだが、SCP-3949がそういう感じで描いたのか単ににわかを晒しただけなのかは不明。どちらにせよ機動部隊はケチをつけるのが仕事なのでこう言うしかないのだが…

・インシデント089
投稿されたのはいわゆるMAD動画で、シーズン1第9話の戦闘シーンにアメリカのバンドFireflightの存在しない曲”My Angel”を合わせたものだった。

"真のファン"隊員「この歌を合わせるなら後のシーズンによりいいシーンがあると思うけど」

存在しないアニメに存在しない曲を合わせたMAD動画ですら作者より高い理解度を示す。まさに真のファンである。SCP-3949ではなくPenumbra W.A.V.E.の。

・インシデント119
投稿されたのは、長い文章だった。
SCP-3949の中の人の個人的な生活・原作を見た経験・原作が人生にどのような影響を与えたかを語る、一万語もの長さのものだった。


"真のファン"隊員「誰も興味ない


これを最後に、SCP-3949は復活しなかった。
1年間の無活動期間ののち、SCP-3949はNeutralizedとなった。

財団は残酷ではないが、冷酷である。
無論、"真のファン"もSCP-3949をいじめたかったわけではない。否定的な発言をすることでSCP-3949を財団が介入しないよりも早く削除させ、その異常性の発現件数を減らすことが任務だったからだ。
119回目の時の彼らも、庭の鳩を追い払った。いつもより少し強めに。そして、その鳩はもう来なくなった。それだけのこと。
機動部隊が居なかったとしても、遅かれ早かれ他の誰かが同じような批判をし、同じようなトドメのセリフを吐いただろう。それがネットというものだ。

財団は仕事だからこそ冷酷だ。
ネットは仕事じゃないからこそ冷酷だ。



SCP-3949


ネットの世界へようこそ



追記・修正はネットに慣れてからお願いします。


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