犯罪の忘れ形見(名探偵コナン)

登録日:2020/02/24(月) 23:08:00
更新日:2020/02/25 Tue 23:08:54
所要時間:約 12 分で読めます





出月さんは何も知らずに観てたんだ…
最後の映画を…

それが、護田さんが企てた残酷なストーリーになっているとは…
微塵も気づかずに…


『犯罪の忘れ形見』とは、『名探偵コナン』において江戸川コナンが解決した事件の名称である。
単行本第33巻に収録。テレビアニメでは第269話・第270話として、2002年2月18日・3月4日に放送された。


以下、ネタバレにご注意ください。


【あらすじ】
バレンタインから数日後、少年探偵団と阿笠は蘭が作ったチョコを食べに探偵事務所を訪れていた。
するとそこへ、護田秀男と名乗る男性が小五郎に依頼をしに来た。
だが、護田の依頼は自宅のマンションで無くしてしまった妻の形見である腕時計探しだったことから、小五郎は激怒して依頼を断る。その代わりに阿笠と少年探偵団が護田の依頼を受け、護田のマンションで腕時計を探すことに。
途中、同じマンションの住民である出月映子が借金の取立てに来たが、護田から見たかった映画のビデオを渡されたため、彼のオーディオルームを借りて視聴することにした。
その後、洗濯機の中から腕時計が見つかり依頼が完了したと思われたが、突然何かが割れる音と誰かが走り去る音が聞こえてくる。
嫌な予感がしたコナンが部屋を出てオーディオルームを覗くと、そこで花瓶で撲殺された出月の遺体を発見することとなる。

一見外部犯による犯行に見えたが、コナンは手巻き式腕時計の状態から犯人が護田であると推測していた。
だが、コナン達は2、3分おきに護田がキッチンにいたことと、オーディオルームに行ったり遺体発見後に怪しい動きなども一切していなかったことを確認していた。
はたして、護田はどうやってオーディオルームに近寄らずに出月を殺害したのか……?


【事件関係者】
※名前の元ネタは「ビデオ」関連。

  • 護田秀男(もりた ひでお)
CV:福田信昭
小五郎の依頼人。49歳。
三週間前に交通事故で妻を亡くしており、その後で妻に送った手巻き式の腕時計を自宅内で無くしてしまい、小五郎に探して欲しいと依頼をしようとしていた。
小五郎に断られてしまい帰ろうとしたところ、少年探偵団が無償でいいと言ってきたため改めて時計探しを依頼している。
家はマンションの一室であり、部屋の中には様々なオーディオ機器や大きなテレビ、大量のビデオテープや映画のパンフレットなどがあるオーディオルームがある。
また、隣町で喫茶店を営んでおり、探してもらっているお礼として少年探偵団にクラブハウスサンドを振る舞っていた。
実は出月に2000万円の借金があるようで、今日は500万円だけ返しているが、残りは部屋を売って工面しようと考えている。
また、出月が観たがっていた「桜三十郎」のビデオを探し出しており、観終わったら駅前のビデオ店の店長に返しに行ってもらうように頼んでいる。
だが、一見出月に愛想よく接しているように見えて、彼女のいないところでは憎々し気な顔もしている。

その後、コナンの推理から洗濯機の中から腕時計を見つけてもらっているが、直後に事件が発生。
出月に借金をしていたことから最初は目暮に疑われていたが、護田はオーディオルームに近寄っておらず、しかも2、3分おきにコナン達がキッチンで護田を確認しており、死体を見つける時までコナン達と一緒にいたため容疑から外れている。
だが、コナンは護田が探していた腕時計の継続可動時間が通常50時間しかないのに、三週間前に無くしていたにもかかわらず発見時に腕時計が動いていたことから、腕時計探しはアリバイ作りのための口実だと推測。
そのため、コナンは護田のアリバイを証言しながらも、護田が犯人だと確信している。
名前の由来は「モニター」と「ビデオ」から。

  • 出月映子(いでつき えいこ)
CV:高橋ひろ子
護田が住むマンションの住人。46歳。
コナン達が護田の家で腕時計を探している最中に借金の取り立てに来ている。
護田から500万円のみ返してもらっており、代わりに彼女が観たがっていた「桜三十郎」のビデオを護田が見つけてきたため、護田の部屋のオーディオルームを借りて大音量で視聴している。

だが、コナンが腕時計を見つけていた時に、オーディオルーム内で後ろから花瓶で撲殺されている。
凶器は玄関に飾ってあった花瓶であり、コナン達がオーディオルームに駆けつけた時には花瓶が無くなっていることが確認されている。
左手にはビデオテープ、右手にはビデオのリモコンを持っており、ビデオデッキからテープを抜き取ろうとした時に撲殺されたと推測されている。
コナン達が部屋の奥にいた時に花瓶が割れる音と何者かが走り去る音、そして玄関の扉が閉まる音も聞こえたため、目暮は外部犯の線で捜査を進めようとしていた。

出月はマンション内の他の住人にも金を貸していて、返済が遅れると貸した相手が持っている高価な品を利子としてせしめていたため、評判の芳しくない人物だった。
また、出月はよく護田のオーディオルームで、大音響でビデオを見ていたため、出月がこの部屋にいたことをマンションの住人も知っていたという。
そのため、目暮は借金をしているマンションの他の住人を重点的に調べさせている。
名前の由来は「デッキ」と「映像」から。


【レギュラー陣】

ご存知主人公。
前回のバレンタインの時、蘭にお礼を言えなかったことを少し引きずっているようである。
だが、下手なことを言って蘭が会いたくなってしまっても、新一としての姿を見せることができず、蘭を余計悲しませてしまうとの胸の内を灰原に話した。
また、高木から小五郎のことを調べている人物がいることを聞き、狙われているのは小五郎ではなく自分なのではないかと警戒している。

ご存知哀ちゃん。
口には出さないが、コナンを観察しながら彼が危うい立場にいると考えている。

ご存知天才発明家。
小五郎の代わりに、無償で護田の探し物の依頼を引き受けている。

ご存知少年探偵団。
コナン達と共に腕時計探しの手伝いをしている。
探し物の途中で元太がお腹をすかしてしまい、護田にクラブハウスサンドを作ってもらっている。
後に、クラブハウスサンドがきっかけに今回のトリックの一つが解明されている。

ご存知警部殿。
事件の捜査中、小五郎に確認したいことがあったが伝えることができなかった。
年代的に出月が見ていた「桜三十郎」の映画を知っており、三十郎の決め台詞を披露していた。

ご存知高木君。
事件の捜査中、コナンに小五郎の事を密かに調べている人間がいる可能性があることを話している。
その人物は、小五郎が探偵として手掛けた都内の事件の調書を盗んでいたが、昨夜になってまとめて送り返してきたという。
なお、調書が盗まれた日はバスジャックがあった日だと話している。

ご存知千葉君。
マンション内の聞き込みを行っており、出月の評判等を目暮に報告している。

ご存知蘭姉ちゃん。
阿笠や少年探偵団に自作のチョコをふるまっている。
その後、コナンが探偵事務所へ電話を掛けた時には不在のようだが…

ご存知迷探偵。
競馬情報を聞くほど暇していたが、自宅内での探し物を依頼してきた護田の依頼を断っている。
少年探偵団に陰口を叩かれ改めて依頼を聞こうとするも、その前に護田に依頼を取り下げられている。
その後、コナンが探偵事務所へ電話を掛けた時には蘭と同様に不在のようだが…


【その他の人物】

  • 護田の妻
3週間前に交通事故で亡くなった護田の妻。本名不明。
彼女が家事を行っていたせいか、護田は洗濯機の操作が難しくていじれなかったという。
護田が捜している腕時計も彼女の物であり、護田が言うには無くして以降、夜な夜な夢枕に立っては今何時かを聞いてくるらしい。

謎のニット帽の男。
バスジャックの話から、コナンは彼の姿を思い浮かべている。



【以下、事件の真相…さらなるネタバレに注意】






















妻を殺したあの女の花なんて

枯れようが燃えようが知ったこっちゃ…


  • 護田秀男
この事件の真犯人。
出月の行動を予測し、その場にいなくても自動的に出月を殺害して外部犯による犯行だと見せかけるトリックを使用した。

出月が再生していた一番下のデッキと棚の上のデッキが同じリモコンで作動するように仕掛けていた。
棚の上のデッキには予めビデオテープを入れておき、そのデッキの前に花と水が入った花瓶を置いてカーテンを閉めて隠してあったのである。
また、花瓶は倒れやすいようにビデオテープを下敷きにしており、ちょっとの衝撃でも落ちる仕掛けとなっていた。
後は、出月が見たがっていたビデオをエサにオーディオルームに招き入れ、ビデオテープをビデオ店まで返してほしいと伝えておく。
そして、出月が映画を観終わった後にリモコンでビデオテープの取り出しボタンを押せば棚の上のデッキからもビデオテープが出て、花瓶がビデオテープに押されてバランスを崩し落下。
下のデッキからビデオテープを抜き取ろうとした出月の頭に直撃して殺害する仕掛けになっていたのだ。
出月はよくこの部屋でビデオを観ていたため、彼女の仕草を把握していればタイミングよく花瓶を落下させられるという寸法だった。

また、上のデッキに入っていたビデオテープには、前もって誰かが走り去る音や玄関の扉が閉まる音を録音していた。
上のデッキには取り出されたビデオテープが何か障害物がぶつかると引っ込む機能が付いており、ビデオテープの爪を折っておけば、花瓶にぶつかって引っ込んだビデオテープは自動的に再生され、外部犯の仕業に見せかけることができたのである。
なお、一番下のデッキにしたのは花瓶の落下距離を稼ぐためであり、棚の上のデッキの電源がタイマーで切れるようになっていたのは、警察にカーテンを開けられても怪しまれないようにするためだった。

なお、コナン達が来た時に玄関に飾ってあった花瓶は、穴の開いたドンブリと普通のドンブリを重ね合わせた物だった。
これをサンドイッチの様にくっつけておけば、花瓶に見えるようになっていたのである。
あとは、クラブハウスサンドを作っている時に玄関からキッチンにこっそり運び、バラしてドンブリの間に隠していた。
そして花瓶に生けてあった花を電子レンジで枯らしてゴミ箱に捨てて証拠を隠そうとしたのである。

コナンは真相に気付き、目暮達に協力してもらい現場検証として護田をオーディオルームに呼び寄せた。
護田も罠だと気付かずにオーディオルームに入るが、棚の上のデッキに電源が入っていることに気付く。
また、鑑識によってビデオの取り出し口の前にビデオテープが置かれていて、出月の行動を再現するとビデオテープが落ちてくることに気付いた。
気付かれないように、現場検証の出月役を買って出て、リモコンを使わずにデッキから直接ビデオテープを出そうとする。
そこへ、コナンがリモコンでビデオテープの取り出しボタンを押してしまい、上に積まれていたビデオテープが落ちてくると身構えてしまいボロを出してしまった。
棚の上のデッキのコード番号は予め変更され、ビデオテープが落ちないように細工が施されていたのだ。
その後、今回仕掛けたトリックを全部暴かれてしまい、最後に犯行を認めている。

動機は妻の事故死。
実は彼女の死因は事故ではなく自殺。出月の勧めで護田に内緒で株取引をしていたが、失敗し多額の借金を負わされた末に…。その前日に護田に借金のことを話し、その後腕時計と手紙を遺していた。
その手紙には「腕時計は壊したくないから」と書かれており、妻を自殺に追い込んだ出月に復讐するために犯行に及んだという。

なお、花瓶に生けてある花は、妻の葬式の時に出月が買って来た場違いな花だったという。
そのため、この花が枯れようが燃えようが知ったことではないと涙ながらに話し、警察に連行されていった。
だが、花には何の罪もないため、歩美は綺麗に咲いていたのに無理やり枯らしてしまい可哀そうだと話しており、灰原もその意見に同調していた。

  • 出月映子
護田の妻に株取引を勧め多額の借金を負わせた張本人。
他の住人に同じ手口を使っていたかは不明だが、高価な品を利子としてせしめていた件もあるため、同情の余地があまりない被害者である。


【その後】
事件解決後、探偵事務所に電話しても繋がらないため、コナンは急ぎ探偵事務所へ戻って行った。
だが、TVはつけっぱなし、キッチンも夕飯が作りかけになっていて誰もいなかった。
高木が密かに小五郎の事を調べまわっている人間がいるという話から、最悪な結末を思い浮かべるコナンだったが…


だーれだ?

コナンの後ろから手で目を覆い隠して、いたずらしたのは蘭だった。
彼女の話では小五郎が競馬で大穴を当てたため「今夜はステーキだ!!肉と酒買ってこーい」と言われたのだという。
そのため、蘭は夕食の支度を放って買い物に行っており、小五郎も近所の人たちに自慢しに出かけていただけだった。
前回の吹渡山荘の事件の時に、蘭が黒いニット帽の男を知っているかもしれないという口にしていた事から、コナンは蘭に赤井秀一の事を何か知っているか聞こうとしたが、知るわけがないとすぐに思い直し、いつもの日常へと戻って行ったのだった。

一方、赤井秀一は探偵事務所の目の前で見張る様に佇んでいた。
バスジャックの事件以降、度々姿を現しているが、はたして赤井の目的は…


【余談】
出月映子が見ていたビデオの「桜三十郎」は、青山剛昌短編集の一つである『プレイ イット アゲイン』の主人公である。



追記・修正は、株取引を勧めない方にお願いします。

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