登録日:2012/09/13(木) 17:31:29
更新日:2024/10/25 Fri 00:26:21
所要時間:約 4 分で読めます
真実を知る覚悟はあるか
平均的なコミックは
1冊35ページ コマ数124
1冊1ドルから 14万ドル以上の物も
米国での購読部数は
1日 17万2000部
年間6278万部以上に及ぶ
平均的な収集家は
3312冊所有
すべてを読むのに
人生の1年を費やす
【UNBREAKABLE】
『アンブレイカブル(UNBREAKABLE)』は00年11月に制作・公開された
米国のSFサスペンス映画。
日本での公開は2001年2月10日。
監督は『
シックス・センス』の成功で世界中の注目を集めたM.ナイト・シャマラン。
主演はブルース・ウィリスとサミュエル・L・ジャクソン。
シャマラン作品らしく、
SFを徹底的にリアルに……悪く言えば地味に描いた作品の為に大ヒットとはならなかった様だが、米国に根付いたコミックによるヒーロー文化を語り口として「超人」の意味に踏み込んだ哲学的な内容は視聴を重ねる事でその深さも理解出来るようになるかもしれない。
また、矢張りシャマラン作品らしくラストに大きな「裏切り」が用意されているのも特徴。
本作の場合は内容にハマっていると確実に「鬱」になる事は請け合いである。
【物語】
フィラデルフィアで131人もの乗客がほぼ即死すると云う凄惨な列車脱線事故が発生した。
生き残ったのは転職の面接の為に乗り込んでいたデヴィッドだけ……しかも、デヴィッドは全くの無傷であった。
その日から周囲やマスコミの異様な視線に晒される事になったデヴィッドは、自分に送られた奇妙なメッセージに従い、自分の過去の病欠や事故の記憶を辿るが、いずれも曖昧な物ばかりであった……。
「何故、俺だけが?」
答えを探すデヴィッドはメッセージの贈り主であるコミック専門の美術評論家であるイライジャの画廊を訪れるが、そこでイライジャはデヴィッドこそが自分が求める不滅の存在……UNBREAKABLEかもしれないと云う仮説を示す。
半信半疑のデヴィッドであったが、その日から自らが日常的に感じていた違和感や訳の分からない悲しみの全てが、ある“一つの事実”に集約している事に気づき始めるのだった。
自分を見つめる息子の視線の変化。
偶然とイライジャの作為により変化し始める生活
……果たして、デヴィッドを待つ運命とは?
【登場人物】
※吹替はソフト版・テレビ東京版の順。
■デヴィッド・ダン
演:ブルース・ウィリス/吹替:磯部勉/野沢那智
大学のスタジアムで警備員として働く男。
凄惨な事故現場で、ただ一人だけが無傷で生き残る。
大学時代は花形フットボール選手として活躍していたが、卒業間近に
自動車事故により選手生命を断たれて引退……結婚した後は平凡な人生を歩んで来た筈であった。
無意識に愛する妻子を遠ざけている他、目覚める度に訳の分からない悲しみに襲われる等、孤独な生活を送って来た。
イライジャとの出逢いに、自らの過去を探り始めるが……。
■オードリー・ダン
演:ロビン・ライト・ペン/吹替:佐藤しのぶ/相沢恵子
デヴィッドの妻で、人を癒やす仕事としてリハビリテーションを担当している。
大学時代からの恋人同士だが、デヴィッドとの関係が互いに訳も判らない内に冷え切っていた。
デヴィッドの事故を契機に愛情を確認、彼に結婚生活のやり直しを伝える。
デヴィッドと共に自動車事故に遭っており、その事故が無ければ彼とは結婚していなかったと確信している。
■ジョセフ・ダン
演:スペンサー・トリート・クラーク/吹替:渡辺悠/矢島晶子
デヴィッドの息子。
デヴィッドが無意識に自分を遠ざけようとしていた事情もあって、父親との関係は良好な物では無かったが、矢張り事故を契機にデヴィッドはジョセフとの関係をやり直す事になる。
デヴィッドとイライジャの最初の出逢いの際にその場に居た事から、子供らしい純真な目で父親の正体を信じる。
■イライジャ・プライス
演:サミュエル・L・ジャクソン/吹替:手塚秀彰/山寺宏一
本作のもう一人の主人公で、コミック専門の美術評論家をしている。
生まれつき骨格形成不全症を患っており、誕生直後に両腕と両脚を骨折して生まれて来た。
少年時代の渾名は「Mr.ガラス」であり、母に世の中と戦う為にコミックを与えられた事が現在の彼を生んでいた。
人の歴史はコミックに寓意として顕されていると云うのが持論であり、自分の対極にある存在を探し続けて来た。
■イライジャの母
演:シャーレイン・ウッダード/吹替:一柳みる/土井美加
障害を抱えるイライジャに障害に負けないように強く生きる力と意志を持たせる為にコミックスを敢えて遠くに置き、読みたければ歩いて取りに行くようにと指導してきた。
イライジャを「自慢の息子」と呼び、デヴィッドが新しい友人になってくれたことを喜んでいた。
【真相とネタバレ】
……イライジャから掛けられた“疑問”に自分でもあやふやなままに自分自身の過去に対峙する中で、デヴィッドは自分が子供時代に溺れかけた時以外には本当に病気も怪我もしていない事実に気づく。
そして、父親が“ヒーローかもしれない”と思い始めたジョセフの好奇心により自分が常人では有り得ない程の怪力を持つことにも。
一度は、自分が過去に溺れかけて死んだ事実や、自分の不死性を証明する為にジョセフが銃を持ち出して自分を撃とうとしたことにショックを受けてイライジャを拒絶しようとしたのだが、その後で再び接触してきたイライジャに示された“ヒント”により衝撃を受けるデヴィッド。
フットボール選手となることを諦めた、あの大学卒業間近の交通事故━━あの時も傷ついたのはオードリーだけで、自分は彼女を有り得ない状況から救い出したのだということ。
そして、何故だかその記憶を自ら封印していたのだということを。
自分が本当に“超人”なのかもしれないと初めて確信したデヴィッドはイライジャのアドバイスを得てから街へ。
そして、初めて他人を恐れずに心を解放することで人々の考えていることが映像として脳内に流れ込むように。
その中で、ある邪悪なヴィジョンを垣間見たデヴィッドは、そのイメージの持ち主の住処へ。
そこは、噂の少女誘拐犯人の家だった。
途中で唯一の弱点である水により窮地に陥りかけるも━━見事に少女を救い出したデヴィッド。
翌朝の新聞には名も無き英雄の存在が報道され、デヴィッドはジョセフとアイコンタクトを交わすのだった。
自分の運命を受け入れることで、これまで理由もなく感じていた“哀しみ”から解放されたデヴィッドはイライジャに会いに。
デヴィッドの様子に、イライジャは満面の笑みで初めて握手を求める。
━━それに快く応えたデヴィッドだったが、それと同時に流れ込んでくる過去のイライジャの凶行の記憶。
この街で起きた3つの重大事故……旅客機墜落、大ホテルの火災、デヴィッドが巻き込まれた特急列車の脱線事故━━その全てはイライジャが自分と対立する真の超人・破壊不能者を見つける為にわざと起こしたものだったのだ。
ショックを受けたデヴィッドはイライジャに背を向けて警察へ━━その背中にイライジャの悲痛な叫びが刺さる。
「仕方がないだろう、私はミスター・ガラスなんだ!」
……捕らえられたイライジャが、重度の精神異常犯が収監される施設に入れられたことを伝えるメッセージと共に映画は終わる。
【余談】
※シャマラン作品のファンなら周知であるが、本作にも監督が顔出し出演している。
※イライジャ役のサミュエル・L・ジャクソンは、自身も本物のコミック収集家である。
※ヒーロー映画と言うよりヒーローの意味を解く映画であり、ソフト版の特典映像では伝説的な作家であるウィル・アイズナーから、現在を代表するアーティストであるフランク・ミラーやアレックス・ロスらによるアメコミに於けるヒーロー学の在り方を見る事が出来る(特に本映画も影響下にある作品として『ダークナイト・リターンズ』や『
ウォッチメン』の衝撃が引き合いに出されている)。
追記修正は自分のなすべき事を見つけてからお願いします。
- イライジャのお母さんは、ある意味作中最大の被害者且つ元凶。 -- 趾川 (2016-01-18 17:53:22)
- ヒーローは1番救うべき人間を救えなかったということだね。 -- 名無しさん (2016-02-09 17:18:43)
- 息子ェ・・・・・・・・・。 -- 名無しさん (2016-03-13 15:46:39)
- ↑2正確にはヒーローは最初から負けてた、だね。印象は地味だが完成度が高くて好きな映画だ。 -- 名無しさん (2016-03-13 17:13:50)
- 水が苦手とは・・・・・・、悪◯の実の能力者かよ。 -- SN (2016-03-18 20:35:39)
- 「悪人」の境遇や苦悩に同情や理解は出来ても、犯した罪を許すことは出来ないな・・・・・・。 -- ざれ (2016-03-26 00:08:31)
- 息子に銃を向けられるシーンとか単に胸糞悪かったな。 -- 名無しさん (2016-07-26 15:38:41)
- 一応シリーズ名としては『イーストレイル117トリロジー』という名称が(非公式だが)本国だと定着しているらしい -- 名無しさん (2024-10-25 00:26:21)
最終更新:2024年10月25日 00:26