アイドルホース(競走馬のぬいぐるみ)

登録日:2025/07/19 (土) 14:51:00
更新日:2025/07/19 Sat 19:55:43NEW!
所要時間:約 10 分で読めます





「競馬が好きな私は!」


アイドルホース(競走馬のぬいぐるみ)とは、株式会社中央競馬ピーアール・センター(PRC)が制作し、全国のJRA競馬場やウインズ、ターフィー通販クラブで販売される、競走馬をモデルにしたぬいぐるみの総称である。

「アイドルホース」という言葉は、ハイセイコーやオグリキャップといった競走馬の枠を越えてアイドル的な人気を博した競走馬の称号でもあるが、本項目では上記のぬいぐるみを指すこととする。


+ 目次

【アイドルホースの特徴】

アイドルホースの特徴としては、競走馬の勝利したレースと馬番を記したゼッケンを身に付けて、その時の姿かたちや馬具を再現したうえでデフォルメした外見になっている。

アイドルホースのサイズはSサイズ・Mサイズ・Lサイズの3種類でそれぞれ
  • Sサイズは全長約13cm(頭から尾先まで)×幅約8.5cm×奥行約15cm(脚から尾先まで)+かばん等に付けられるボールチェーン付き
  • Mサイズは全長約21cm(頭から尾先まで)×幅約17cm×奥行約21cm(脚から尾先まで)
  • Lサイズは全長約32cm(頭から尾先まで)×幅約21cm×奥行約27cm(脚から尾先まで)
で統一されており、サイズが同じであればリアル黒王号だったキタサンブラックだろうがちっちゃすぎなメロディーレーンだろうが大きさは同じである。

毛色や顔や脚の白い部分の形や大きさ、メンコやシャドーロール、鼻革、バンテージなどの装着品といった競走馬ごとの個性が忠実に再現されており、1頭1頭異なる毛色をできるだけ再現するため、既成の生地見本に合うものがない場合は、色見本帳で探した色の生地を特別に作られるという徹底ぶりである。
J・GⅠ馬で初のアイドルホース制作となったオジュウチョウサンはトレードマークのチークピーシーズだけでなく、初めての試みとして装着品に大生垣そのものが付けられている。

競走馬によってはGⅠを複数勝利したことでアイドルホースのバージョンも複数制作されることもあり、アーモンドアイは2018年オークス、2018年秋華賞(ティアラ付き)、2018年ジャパンカップ(アイドルホース10周年展タグ付き)、2019年ドバイターフ、2019年天皇賞(秋)、2020年ジャパンカップ(9冠タグ付き)と数多くのバージョンが制作されている。
ゴールドシップが2012年有馬記念と2015年天皇賞(春)で芦毛の毛色が違うのに合わせてそれぞれ毛色を変えて制作されるといった、同じ競走馬でもゼッケン以外の違いを見比べるのも楽しみ方の一つだろう。
アーモンドアイのバージョンによってはティアラやタグが付いているように、ディープインパクトオルフェーヴルジェンティルドンナのアイドルホース10周年記念バージョンには三冠馬三冠牝馬の証である王冠・ティアラや赤マント(着脱可)、イクイノックスには2023年ドバイシーマクラシック2023年ジャパンカップでロンジンワールドベストレースホースランキング1位を記念したプレート*1といった、バージョンによっては記念品として馬具とは別にアイドルホースならではの装飾品が付くこともある。

ゼッケンに記され外見が参照されるレースはその競走馬が勝利したものに限られるのだが、「優駿」今昔名バイプレイヤー特集とのコラボで制作されたナイスネイチャは例外で勝利したレースではなく3年連続3着だった有馬記念のバージョンであり、さらにはSサイズは1回目の1991年第36回、Mサイズは2回目の1992年第37回、Lサイズは3回目の1993年第38回とサイズ毎に馬具やゼッケンが異なる特別仕様となっている。


【アイドルホースの選定】

PRCによると競走馬の選定に明確なルールは設けていないとのことだが、
  • 日本ダービー、オークス、有馬記念の勝ち馬
  • GⅠを2勝以上した競走馬
  • 後述のアイドルホースオーディションで上位に選出された競走馬
上記のいずれかに該当することが一応の目安となっている。それ以外でも、
  • ジャパンカップの勝ち馬*2
  • GⅠ開催の周年記念*3、競馬場開設の周年記念*4、種牡馬実績を称えたスタリオンシリーズ*5などといった過去の名馬からの選定
といった理由で選定されるケースもある。

他では、日本在来馬であるミカン*6、ゆき*7、サンゴ*8、競走馬として実在はしていないオリジナルキャラクターであるイチゴケーキチャンのアイドルホースも制作されている。

一方で、地方競馬のGⅠ級(いわゆるJpnⅠ)、大井競馬場開催の国際GⅠである東京大賞典、障害競走のJ・GⅠである中山グランドジャンプや中山大障害を合計2勝以上していても、JRA・海外GⅠを勝利していなければアイドルホースに選定されないようであり、これに該当する東京大賞典4連覇のオメガパフューム、J・GⅠ2勝以上のアップトゥデイトなどはアイドルホースが制作されていない。オジュウチョウサンはヒーロー列伝と同じくアイドルホースでもJ・GⅠ馬史上初の選定と相成っており、いかにオジュウチョウサンがJ・GⅠ馬の枠を飛び越えていたかを物語っているといえる。

上記の条件に該当しない場合でも、個人馬主や一口クラブからの特注で制作されて関係者に配布されたり、何かしらのイベントやキャンペーンでのみ制作されたりと、アイドルホースが一般販売されていないが現存はしている競走馬*9もおり、これまで世に出されたアイドルホースが何種類なのかは誰にも把握できないものとなっている。


【アイドルホースオーディション】

2021年に京都競馬場が改修中だった中で、京都競馬場の主催でWeb投票によるアイドルホースオーディションが開催されることになった。
これまで未制作または過去に制作されていても現在販売されていない競走馬を対象として、予選(STEP1)の上位10頭が本戦(STEP2)に進み、本戦(STEP2)の第1位~第5位の5頭がアイドルホース(Mサイズのみ)に選定される。

投票期間中に一般販売されていた競走馬は対象外だった他、斑模様で独特の毛色が特徴的だったブチコはSTEP1で第9位にランクインしたものの毛色の再現が困難ということで残念ながら以降のオーディションも含めて除外となってしまい、現在は立体物のグッズは作れないものの、その埋め合わせか白毛一族の一員としてアイドルホースのイラストがグッズに描かれることはある。母がぬいぐるみになれない分はに頑張ってもらうということで

第3回目となる2023年からは主催が京都競馬場からPRCに変更されたことでオーディションの仕様が変更された。
これまで未制作である競走馬を対象として、現役馬部門と引退馬部門でそれぞれWeb投票を行い、予選(STEP1)から現役馬上位5頭と引退馬上位3頭が本戦(STEP2)に進み、本戦(STEP2)の現役馬第1位・第2位と引退馬第1位の3頭がアイドルホース(Mサイズのみ)に選定される。

過去に一般販売された競走馬や今後に販売予定がある競走馬、毛色の再現が難しい馬実質ブチコ名指しは対象外であり、投票期間中や最終結果発表の時点で競走馬登録を抹消されていても開催当初時点で現役だった場合は現役馬部門として扱われる。

同時並行でMサイズのみ販売されているアイドルホースを対象としてSサイズ選抜オーディションも開催された。このオーディションは本戦のみであり第1位が制作される。

  • オーディションによってアイドルホース制作された競走馬の順位と票数
京都競馬場主催
+ 2021年
第1位 ヨシオ 19434票
第2位 メロディーレーン 14881票
第3位 キセキ 14661票
第4位 ライスシャワー 12898票
第5位 カレンブーケドール 10014票

+ 2022年
第1位 メイケイエール 40903票
第2位 ゴースト 32734票
第3位 ディープボンド 26068票
第4位 ヨカヨカ 25641票
第5位 ステイゴールド 24515票

PRC主催
+ 2023年
現役馬部門第1位 アフリカンゴールド 30,545票
現役馬部門第2位 ジャックドール 19,824票

引退馬部門第1位 リフレイム 19,797票

Sサイズ選抜第1位 メロディーレーン 6,865票

+ 2024年
現役馬部門第1位 マイネルファンロン 13,469票
現役馬部門第2位 ハヤヤッコ*10 10,215票

引退馬部門第1位 シルヴァーソニック 23,457票

Sサイズ選抜第1位 メイケイエール 3,975票


【余談・競馬が好きな私は!】

アイドルホースをはじめ競馬ファン向けのグッズを販売するターフィー通販クラブはアニメによるCMを制作している。
内容としては、「競馬ファンの成人女性がグッズをお供に応援を行う」というものなのだが…


\競馬が好きな私は!/
画像出典:ターフィー通販クラブYouTubeチャンネル「ターフィー通販クラブCM」

アニメの絵柄こそファンシーな感じであるが、その実「競馬ファン女性が自宅や現場のみならず、競馬場に向かう電車の中で堂々とアイドルホースを膝に抱えて席に座るという極まった上級者っぷりを見せつける」という内容だったために、CMを見た競馬ファンは衝撃を受け「この女は『やべー女』」だとネタにし、最終的にそのままこの女性の通称が「やべー女」と化した。
なお、電車内で見せびらかされているアイドルホースはオルフェーヴルだったため、この女性が「オルフェーヴルの熱心なファンの代表」としても扱われることもあるという。なんという風評被害。
ちなみに公式での彼女の名称は「競馬が好きな私」となっている。
アイドルスターホース2023記念としてアクリルスタンド・アクリルフォトフレームグッズになったこともある。


アニヲタwikiが好きな私は!アイドルホースと一緒に追記・修正する!

この項目が面白かったなら……\ポチッと/

最終更新:2025年07月19日 19:55
添付ファイル

*1 2023年ドバイシーマクラシックのバージョンは初回生産分のみ

*2 ヴェラアズールは2022年ジャパンカップでGⅠ初勝利となった時点でアイドルホース制作が決定したためかその半年後にはアイドルホースの一般発売が実現している。シュヴァルグランはアイドルホース10周年展を記念してジャパンカップ勝ち馬としてアーモンドアイ、エピファネイアと並んで10周年展タグ付きのアイドルホースが制作された。

*3 2013年第80回日本ダービーの記念としてトウカイテイオーのアイドルホースが制作された。10年後の2023年第90回日本ダービーでトウカイテイオーのアイドルホースがリニューアル制作されたタイミングで、トウカイテイオーの父であるシンボリルドルフのアイドルホースが初めて制作された。

*4 中京競馬場開設70周年を記念してキングヘイローのアイドルホースが制作された。

*5 第一弾としてキングカメハメハ>キングカメハメハ(競走馬)]]とハーツクライ、第二弾としてドゥラメンテ、第三弾としてクロフネのアイドルホースが制作された。

*6 愛媛県今治市の指定文化財となっている日本在来馬の一種「野間馬」に分類される。野間馬はポニーに分類される小型で毛色は主に栗毛と鹿毛。

*7 北海道を中心に飼育されている日本在来馬の一種「北海道和種(道産子)」に分類される。北海道和種は日本在来馬の中では比較的大型(それでもサラブレッドよりは小型だが)で丈夫な体質と豊富な毛色が特徴。

*8 与那国町の天然記念物に指定されている日本在来種の一種「与那国馬」に分類される。与那国馬はポニーに分類される小型で毛色は主に鹿毛。

*9 2021年中山HEROウェブ抽選会ではイベント当選品として中山GⅠを勝利した6頭のアイドルホースが制作された。エフフォーリアは2021年皐月賞こそこの当選品のみだが2021年天皇賞(秋)や2021年有馬記念のアイドルホースは一般販売されているのに対して、メイショウダッサイ、ピクシーナイトのアイドルホースは一般販売されていないため現存するのはこの当選品だけである。

*10 本オーディション終了時点ですでに重賞2勝していたが、その後年内11月に行われたアルゼンチン共和国杯を勝利して重賞3勝目になったことで、「開発途中の嬉しい仕様変更」としてアルゼンチン共和国杯の仕様でアイドルホースが制作されることになった。