幻の魚(美味しんぼ)

登録日:2020/11/30 (月) 20:05:00
更新日:2020/12/04 Fri 16:11:16
所要時間:約 7 分で読めます







だから味のわからぬ豚や猿だと言うんだッ、鯖の刺身だと、馬鹿も休み休み言え!!




概要


『幻の魚』とは美味しんぼのエピソード。単行本2巻の表題作。

ある魚の意外な生態が描かれた作品。
その魚のインパクトも強いが、その魚を食べたときの海原雄山の態度が特に有名。



あらすじ


有名料亭の新築披露の食事会に招かれた海原雄山および東西新聞社の面々。
山岡が食事の場で一番美味い刺身としてある魚を挙げたことから場は紛糾、
山岡は幻と呼ばれる魚を求めることになる。



主な登場人物


○山岡士郎
本作の主人公。
グータラな新聞記者だが料理のことには詳しく、時に自分以上の知識を持つ海原雄山をへこませることもある。
アニメ版では「火の不始末をしでかして火事になる店は究極のメニューの参考にならない」と暴言を吐いていた。
究極のメニューの完成をせっつかれているが、そんなものは何十巻も先のことである。


○栗田ゆう子
本作のヒロイン。
求める魚が数百匹に1匹しかかからないものだと知り、最初から最後まで不安を隠せなかった。
本エピソードでは功労賞ものの働きをした。


○大原社主
東西新聞社の社主で、究極のメニューの発起人。
究極のメニューについては2年でも3年でも時間をかけてじっくりやればいいと考えている。
究極のメニューは東西新聞社創立100周年の企画として始まったのだが
食事会に出された皿を一目見て気に入るなど感性は確かだが、その作者を聞いて驚いていた。


○谷村部長
文化部の部長。
普段は文化部をリードするよき上司だが、本エピソードでは相槌以上の出番はない。


○山杉盛二
明治から続く由緒ある料亭『初山』の亭主。店が火災で全焼してしまい、今回はその再建祝いの食事会を催した。
初山の伝統と格式はしっかり維持されているらしく、海原雄山から文句が出なかったことを考えても
実力は確かなものと考えられる。
彼が山岡に『一番美味い刺身』の話題を振ったことで食事会の空気が一気に変わってしまうことに。


○海原雄山
「亭主ッ、今日の客の人選は何だ!! 食べ物の味もわからん豚や猿を、私と一緒の席に着かせるのか!!」

初期の海原雄山はこういう人なのである。
今回使われた皿は彼の作であり、山岡いわく「このような冷酷な男が芳醇な作品を作るのが芸術の魔性」
その後の食事会では大人しくしていたが、山岡の挙げた『一番美味い刺身』を聞くと声を荒らげ、
その魚を食べさせてみろと恫喝した。


○大しげ
神奈川県葉山町に居を構える料理店。
店主は山岡の知り合いで、かつて『幻の魚』を振舞ったことがあるのだが
今年はそれが全くかからないと渋い顔をしていた。


○四方
大しげの常連で、葉山でも指折りの釣り師。
『幻の魚』を求める山岡に全面的に協力してくれた。







あらすじ以降のお話の流れ(ネタバレ注意!!)








食事会の場で客の一人が雄山に一番美味しい刺身は何かと話を振った。
雄山は一つには絞れないとしつつも
  • トラフグ
  • 宮古のマグロ
  • 明石のタイ
  • 大島のシマアジ
  • ヒラメの縁側

を挙げた。どれも名品として知られる魚ばかりである。

続いて亭主が山岡に同じ話題を振ると、彼はこう答えた。
「今まで食べた中ではの刺身が一番うまかった…」

この答えに雄山は哄笑した。鯖は刺身としての味は先に挙げた魚たちに劣るとされる。
(酢で締めてしめ鯖にしたなら美味いと付け加えていた)
山岡は「そんなこと言うからには食べたことあるんだろうな」と言うが、
雄山は「そんなものを食べたら食あたりするわ!」と答え、周囲の客も山岡の言葉に不快感を示した。
一見言い過ぎのように見えるが、当該項目に書いてあるとおり、通常の鯖は鮮度が落ちやすく刺身で食べるのは健康上よろしくない。なので「普通の鯖」を示すのであれば彼らの反応は概ね間違っては居ない。

「いい恥さらしだな、自らの貧しい味覚をさらしおって!!」
「恥さらしはそっちの方だ。美食家と偉ぶっておきながら、無知と偏見の故に
本当にうまい物の味を知らないんだからな」
「ではその鯖の刺身を持ってこい!!」

親子喧嘩がこうやってヒートアップするのはいつものことである。


かくして山岡と栗田は神奈川県葉山町の料理店『大しげ』にやってきた。
サバの項目に有名な産地として松輪を挙げているが、葉山はその近くである。
しかし幻の鯖は全くかからないという。普段は二百匹に一匹はそれがかかるというのだが。
「本当に幻になってしまったのか……」
その場に居合わせ、話を聞いていた四方の勧めで船を出して一本釣りしてみようということに。
網にかからずとも、沖の根には何匹か潜んでいるだろうということだ。

漁船に乗せてもらった山岡は見事な鯛を一本釣りしたのだが、「欲しいのはこれじゃない」と、その鯛を放してしまう。
三日もその調子なので、船主はたまらず通りかかった四方に「この人引き取ってくれよっ!」と懇願していた。
船主を酒で釣っていれば最後まで付き合ってくれたかもしれないが

山岡と栗田を乗せた四方は餌を贅沢にしてみようと、ヒコイワシのフカセ釣りを提案した。
面白そうだという山岡に対し、四方は釣りは遊び心が大事だと答える。
先ほどまでの山岡は雄山への敵愾心しか頭になく、釣りの心を忘れてしまっていた。

餌のおかげか今夜のおかずに困らない程釣れたが、幻の魚は幻に終わりそうだ……そう思ったそのとき。
栗田の竿に魚がかかった。左右に大きく振れる、鯖の横走りと呼ばれる動きだ。
「きゃーっ、あたし魚釣るの初めてなんですゥ!!」
栗田は初めて竿を扱う経験に戸惑っているようである。
かくして釣れた魚は金色のお腹をしていた。見たことない魚の名を尋ねるが、これこそが……

「やりましたねとうとう!」
「しかもこれほどの上物とは! お嬢ちゃん、君は釣りの天才だ!」
幻の鯖を釣り上げた喜びに栗田は舞い上がった。


葉山の根つきの鯖が振舞われる。初山の主人も「こんなすごい鯖は見たことがない」と驚愕した。
その味は先日味わったマグロをはるかに凌ぐもので、一同驚愕した。
鮮烈で深みのある味わい、そして鯖特有の脂っぽさがない。

なぜ下魚のはずの鯖がこんなに美味しいのか。その秘密は育ち方にある。
鯖は本来回遊魚であり、ニュージーランド沖まで行って秋に脂をのせて返ってくる。
ところが中にはトボケた鯖がいて、ずっと葉山あたりに残っているのだ。
そうした鯖はなぜか、本来の鯖とは比べ物にならないほど美味しくなっている。

この鯖にはどんな上質な魚も敵わないと一同はうなった。
しかし雄山は……


「士郎、何だこの器はっ!! よくもこんな器をこの海原雄山の前に出したなっ!!

こんな器で料理が食えるか、不愉快だっ!!」



と、その場を去ってしまった。
鯖の美味しさを認められないが故の言いがかりである。
「葉山の海の勝利と言うところか、こんな鯖を育てたんだからな」
「釣ったあたしの腕も忘れないでね」
店内は穏やかな空気に包まれた。

後日、「大しげ」の店主から電話がかかってきた。
あの後、雄山からまな板皿が送られてきたのだが、あまりにも見事な一品なのでうろたえてしまっているのだという。

山岡にとっては聞きたくない話だったのか、すぐに電話を切ってしまった。






余談


このエピソードについて語られるとき、まず話題になるのが鯖を食べたときの海原雄山の態度である。
アニメ版でこのシーンをよく見てみると、せっかくの幻の魚を残している。そこまでして認めたくなかったのか……

本エピソードで釣りが初体験だったという栗田だが、この回以降で釣りをするエピソードでは
栗田が本命の魚を釣り上げるのが恒例となり、本人も釣りの天才を自称するようになる。

ちなみの葉山の根つきの鯖は将太の寿司にも登場する。
敵の妨害工作によって冷蔵庫の電源が切られてしまうのだが(将太の寿司ではよくあるどころか、むしろ軽い方である)
将太の用意した鯖は腐らずに鮮度を保っていたので勝利した、というエピソードである。
鯖の体内の酵素が有害なヒスタミンを発生させるのだが、黄金の鯖にはその酵素がないため長持ちするのである。
実際のところどの程度もつのかは不明だが、将太いわく少なくとも半日は平気とのこと。









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最終更新:2020年12月04日 16:11