みゃくなし(漫画)

登録日:2021/07/26 Mon 02:20:00
更新日:2021/07/31 Sat 11:47:01
所要時間:約 5 分で読めます



 
『みゃくなし』とは週刊少年ジャンプ2020年38号に掲載された読み切り作品である。作者は川口勇貴。
イケメンの男子高校生と、彼に取り憑いている女子高生の幽霊の優しく切ないラブストーリーが15ページに集約されている。


† 登場人物 †

  • 水葉(みずは) 菊一(きくいち)
高校2年生の少年。
顔がめちゃめちゃ良いイケメン(自覚している)であり、毎日出待ちの女子が大勢押し寄せるくらいバカクソにモテる。
ある日女子高生の幽霊である荻原に取り憑かれてしまい、常に彼女に付きまとわれる事に。

  • 荻原(オギワラ)
ギャル風なイマドキ女子高生の幽霊
脚は無いが制服を着ており、頭に三角形のあの布を付けている。
生前の記憶を持っておらず、自分の名前がオギワラなのかハギワラなのかも曖昧。でも何故か菅田将暉と竹内涼真の事は覚えている。
姿と声は菊一にしか認識できず、彼には触れられるようだが、菊一の反応を見る限りとても冷たいらしい。




† ストーリー(ネタバレ注意) †

イケメンの菊一は女子高生の幽霊である萩原に取り憑かれていた。
荻原はいつも菊一の真正面に居座って、授業中に黒板が見えないように妨害したりと楽しそうにしている。
そんな彼女が菊一に取り憑いている理由は、彼の顔だけが唯一ハッキリ見える景色だったから。
何もかもぼんやりとしか見えない世界の中で、まるで田舎の自動販売機洞窟を照らすランタンのようにはっきり見えた菊一の顔が一番落ち着く場所という事で、彼の顔面に取り憑いているのである。*1
そんなわけで、菊一の真正面に浮かび、常に向かい合うように取り憑いているのであった。

そして菊一が紙パックのいちご牛乳を飲んでいたある日、荻原は何故いつも紙パックのジュースを飲むのかを尋ねる。
菊一は、荻原は常に向かい合っているので、ペットボトルだと彼女の顔面にめり込むからだと答える。
そんな世間話をしていたところ、話の流れで荻原は菊一の顔が好きなだけで、菊一の事は特に何とも思っていないと告げる。ツンデレ?
菅田将暉や竹内涼真のようなテレビでみる俳優などと同じように顔が好きなだけ、「付き合いたい」とは別の感情であると主張する荻原。
しかし菅田将暉に告られたら付き合うかもと前言撤回する。
それを聞き、呆れながらも菊一は呟く。


「だったら告白しとけばよかった」


言っちゃった…みたいな顔をしていた菊一は我に返り、ダッシュで教室へと逃げる。
しかし取り憑いている荻原を振り切る事はできず、教室に着く頃には再び向かい合わせになる二人。
沈黙を貫く菊一を前に、自分の生前の知り合いだったのか? 好きな女が目の前にいて何故真顔でいられるのか?と戸惑いつつ思考を巡らせる荻原。
そこで彼女は本当に自分の事が好きなのかを確認してみる事に。

「念のため言っとくけど、脈無いから

「………そりゃ死んでるから、もう心臓は…」

「その脈じゃなくて!」
「あんたの事好きになったりしないってこと!!」

「……そう」

薄い反応しかしない菊一。ドストレートに自分の事が好きなのか聞いても「自惚れるな」と全否定。
さっき呟いていた事や言っちゃった…みたいな顔をしていた事について問い詰めても、「言ってない」「してない」}の一点張りだった。

だがそんな菊一の心の中にはある思いがあった。



菊一は生前の荻原が好きだった。
彼は顔が良すぎるせいで、女子にはしつこく纏わりつかれ、そのせいで男子にも疎まれ、誰にも心を開くことができなかった。
だが荻原だけはただの友達のように、普通に接してくれたのである。そんな彼女にいつしか好意を抱き、恋をするようになっていった。

だが彼女は不幸にも事故に合って命を落としてしまう。
失意の菊一であったが、そんな彼のもとに幽霊となった荻原が現れ、彼の顔面に取り憑いた。
妙な形とはいえ、荻原と再開できた菊一だったが、彼女は生前の記憶を持っておらず、彼女にとって菊一は知らない赤の他人だった。

記憶を失った彼女にとって俺はただの知らない人
そんなやつから好意を伝えられても混乱するだけだ
幽霊(オギワラ)の居場所はここじゃない
彼女の幸せは安らかに成仏し、このぼやけた世界から解放される事



「好きなんだろ!?」

好きだ

「別に……」

「本当に好きじゃないの?」

「好きじゃない」


脈が有ったって無くったって、俺の気持ちは変わらない

この想いは墓場まで持っていく
























「私が好きなのはお前の顔だけ(・・・)だからな!」
「付き合うとか絶対ありえないから!!」

「俺は全部好きだけど……」
…!

「!…お前何なんだよ!?」

「またこうやって話せるの嬉しくて……あ"っ…」




愛は不滅なワケです。




† 余談 †


  • 作者の川口勇貴先生は本作以外にも『綺羅星のメリル』、『レッドフード』などの読み切り作品をジャンプ本誌に掲載した。
    そして『レッドフード』は2020年に開催された第14回金未来杯の優勝作品に選定され、少年ジャンプ2021年30号より連載がスタートした。





追記・修正はうっかり心の声を漏らさないように田舎の自動販売機の明かりの下でお願いします。

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最終更新:2021年07月31日 11:47

*1 彼女曰く「キボウの光に見えた」との事。