Hs129(攻撃機)

登録日:2021/10/16 (土) 21:07:00
更新日:2021/10/22 Fri 00:52:58
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ヘンシェル Hs129とは、第二次世界大戦時にドイツが開発した対地攻撃機。
当時の機体としては破格の装甲と攻撃力を誇り、上空から戦車の砲塔を吹っ飛ばす様から”空飛ぶ缶切り”の異名で呼ばれていた。
重装甲&高火力という後のA-10神にも通ずる機体特性を持つ名機(?)となっている。


性能諸元(B-1型)

全長: 9.75 m
全幅: 14.20 m
全高: 3.25 m
翼面積: 28.9 m2
全備重量: 5,243 kg
エンジン: ノーム・ローン.14M 空冷14気筒 700 hp × 2
最大速度: 407 km/h
航続距離: 880 km
乗員: 1名

武装
MG17 7.92mm機関銃 × 2
MG151 20mm機関砲 × 2
爆弾 250 kg
パック兵装
MK101 30mm機関砲 × 1
BK3.7 37mm機関砲 × 1
BK7.5 75mm対戦車砲 × 1


開発経緯と特徴

第二次大戦当時、敵の戦車や塹壕を上空から攻撃するための攻撃機は各国で盛んに研究されていた。
ご多聞に漏れずナチスドイツでも主に対戦車用として着目され、開発が進められていた。
そして基本コンセプトとして"攻撃を物ともしないガチガチの重装甲、狙われにくい小型の機体、どんな敵も撃滅し得る火力"でオネシャス!とコンペをした結果、ヘンシェル社の設計案に白羽の矢が立った。

完成した機体は小型双発で安定性を確保しつつ各所に6~12mmの装甲を配し、武装は20mm機関砲を装備して戦車もイチコロとドイツ航空省からのオーダーに完璧に応えたものとなった。
加えて胴体下部にはオプションとしてパック兵装の装備が可能であり、攻撃力を増強することも出来る。
…しかしそんな都合のいい機体が簡単にできるわけがなく、諸々の問題点があった。

まず重装甲とした結果、総重量が5t超にもなってしまっている。
重装甲の機体を飛ばすには強力なエンジンが必要だが、本機に用意されたエンジン*1は465馬力。双発機なのでこれを二つ積んでいるが、合計しても1000馬力にも満たない物だった。
これは高性能なエンジンが他の優先度が高い機体に回された為だが、おかげで操縦性や運動性能は劣悪の一言だった。
かの魔王閣下の半身であるJu87Gも遅い重いと言われていたが、それでも「重量約2tで1000馬力級のJumo211Jエンジンを搭載した単発機」と書けばいかに鈍亀か想像がつくだろう。
オマケにテスト時にはなけなしの出力も十全に発揮出来ないというトホホな事態に陥った。

更にコックピット周りも装甲板で覆った結果「居住性?なにそれおいしいの?」と言わんばかりの極狭スペースになってしまった。
パイロットは操縦席にみつしりと詰め込まれ操縦菅を引くのも一苦労、更に風防には分厚い防弾ガラスが嵌め込まれ視界も悪い。
その上装甲を盛り過ぎてコックピット内に照準器や一部計器を配置するスペースもなくなり、外に直付けするというキ〇ガイ設計だった。
このためパイロットからは”空飛ぶ棺桶”と酷評され嫌われたらしい。

特にエンジンの馬力不足は致命的と判断され、本格的な量産にはストップがかかってしまう。
しかし既に戦争も始まっており、新しい機体を開発する時間もないためどうにかしてコイツを使えるようにしなければならなかった。
手っ取り早いのはエンジンの換装だがコイツに回すエンジンは無ぇ!…と思いきや、意外なところから救世主が現れる。
占領したフランスの工場でエンジンの生産ラインを接収した結果、700馬力のエンジンを調達することが可能になったのだ。
鈍重なのは相変わらずだが、どうにか使い物になるレベルになり量産・配備が進められることになった。


実戦での活躍

先ずアフリカ戦線に配備されたが、換装したフランス製エンジンが砂埃に弱かったので稼働率が悪く、戦果もパッとしなかったらしい。

東部戦線に投入された機体はソ連相手に大暴れし、数多くの戦車を粉砕!玉砕!大喝采!した。
綽名である”空飛ぶ缶切り”もこの活躍でつけられたもの。
1943年におけるチタデレ作戦(クルスクの戦い)では、Hs129の一個中隊がソ連の戦車旅団を殲滅したとの記録もある。

だがしかし、他の項目でも解説されているように攻撃機が活躍できるのは味方が制空権を確保していることが前提条件となる。
活躍したクルスクの戦いも結局は負け戦になり、以降はじりじりと戦局が悪化していく中で本機の運用も制限されることになってしまった。

また重い機体を双発で飛ばすため燃料タンクが肥大化し、防御力の低下を招いたことも問題視された。
勿論タンクにも防弾装甲は施されているが、防御力には限度がある以上当たり判定は大きくなってしまい、対空砲火の餌食になることもままあった。
事態を重く見たドイツ航空省は代替機として陳腐化していたJu87を改造し対地攻撃用に転用した。これこそがJu87G”カノーネンフォーゲル“である。
ただ此方も2門搭載した37mmを左右同時発射しないとバランスを崩して墜落するわ、射撃の反動で後ろに飛んでくわの問題児だったので、完全な代替とはならず本機も継続して運用された。
まあ最終的に対地攻撃の主役はFw190になるんですけどね。

エンジン換装や武装強化プランも検討されていたが、元々開発の優先度が低い上にフランスが解放されエンジンの調達ができなくなったことも手伝い棚上げとなってしまう。
それでもパイロット達は数少なくなった機体を駆り、首都ベルリンに迫るソ連戦車隊を相手に終戦まで奮戦を続けたのだった…


バリエーション

  • Hs 129A-0
最初の試作機で競争試作に参加し合格した。
その後7機が完成し量産検討が進められたが、エンジンの馬力不足から量産はされなかった。

  • Hs 129B-0,B-1
B-0はエンジンをフランス製ノーム・ローン14Mに乗せ換え、各部を改修した型。
出力向上などで幾分かマシになりどうにか使えると判断され、B-1型として正式に量産されることになった。

  • Hs 129B-1/R2
固定武装の20mm機関砲では攻撃力がイマイチであったため、オプションとして開発されていた30mm機関砲を標準装備にした。
口径が1.5倍で貫通力は2倍、更にタングステン弾芯を使用した徹甲弾を用いて重戦車にも大ダメージを与えることが出来た。

  • Hs129B-2
B-1の細かな点を改良したタイプ。
パック兵装も改良され、Ju87Gと同型の37mm機関砲が装備可能となっている。
搭載数は1門だが、携行弾数は増加しており同軸射撃もしやすい。一発当たれば威力は十二分だし。

  • Hs 129B-3
ご立派様な75 mm対戦車砲を生やした仕様。
流石に少佐も大好きなアハトアハトには負けるが、パンターの主砲と同等と考えればその凄まじさがわかるだろう。(ちなみにチハたんのイチモツは57mm)
砲の重量は700 kgにもなり鈍重な運動性がさらに悪化したが、その破壊力は絶大でIS-2すら一撃で葬る威力があったらしい。
オプションとはいえ装備するには大がかりな改造が必要で、携行弾数はリボルバー式弾装で12発が限界だった。
その為か配備されたのは25機程度と少ない。


主なパイロット

本機を駆り戦果を上げたパイロットもちゃんといる。
フランツ・オスヴァルトは約300回の作戦飛行と50両の戦車撃破により騎士鉄十字章を受賞している。
尚、結構な頻度で撃墜や負傷をしているが、幸か不幸かその都度生還している。
また、対地攻撃の名手であるルドルフ=ハインツ・ルッファーは戦車80両撃破を誇るが、そのスコアはほぼHs129で上げている。

…二人共閣下に比べて撃破数が控えめ?いやこれでも相当なものなんですってば。


外部出演など

どちらかと言えばマイナーな機体であるため、創作等で出てもモブ役が精々である。
ゲームの出演も多くないが、大抵は当たれば強いが鈍いというポジションになっている。

メガドラ版アドバンスド大戦略ではB-3は登場せず、B-1は装備が貧弱、B-2はゲーム全体として航空機の37mmの評価が抑え目なことから全体にぱっとしない機体。
なのだが、強力なAr234系列を使うためにはこの機体から進化させるしかないという、中々厳しい立ち位置にある。

立体物ではタミヤやハセガワでプラモ化されている。
最高峰の物としては造形村のSWSがあり、緻密なディティールで各部を徹底再現しているが他と比べかなりお高い。

書籍では世界の傑作機No.169で特集されているので、興味のある方はチェックしてもよいだろう。
これが傑作機なのかどうかは微妙に判断に困る気がするが…


追記・修正はソ連で戦車を吹っ飛ばしてからお願いします。

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最終更新:2021年10月22日 00:52

*1 アスグル社製As410