PLANET OF THE APES/猿の惑星

登録日:2021/11/11 (木曜日) 8:42:10
更新日:2024/05/06 Mon 10:51:20
所要時間:約 6 分で読めます





未知の衝撃に備えよ!

概要


原題はそのままタイトル通り『Planet of the apes』で猿の惑星。2001年に公開されたアメリカのSF映画。
原作はオリジナルと同様にピエール・ブール原作の小説『猿の惑星』。

監督にティム・バートン、脚本にはウィリアム・ブロイルス・ジュニア、ローレンス・コナー、マク・ローゼンタールと三人もの脚本家により執筆された。
1968年のSF映画の金字塔『猿の惑星』のリメイク。
元々企画が何年も浮いたままになっていた所、バートンにお鉢が回ってきたという感じだったらしい。
「古典をリメイクしようとするな。何かリメイクしようと思ったら出来の悪い作品を選べ。そうすれば前よりマシなのができる」の言葉通り、彼自身も「一番危険な企画だったかも」と振り返る。
それでいながら引き受けたのは、やはりオリジナル版の素材が素晴らしかったためであろう。
「関わるべきでないのに試したくなるような、邪悪な魅力があった」と語るように……

本作は厳密にはリメイクでなくリ・イマジネーション映画とされている。
旧作では馬に乗り銃を使用していた猿を本作では馬に乗るのは同様ながら鎧を着て剣を振るう中世の騎士を思わせる存在とし、また旧作との決定的な違いとして惑星の人間達も普通に知性があり、話すことが可能という決定的な違いがある。
戦闘シーンでは流血も無く殺害シーンも直接は映らないようにするなど、旧作と違い年少者への配慮がうかがえる。
猿の特殊メイクはその筋の巨匠であるリック・ベイカーが担当し、旧作以上にリアルな本物そっくりな猿メイクを見る事ができる。

またファンサービスとしてオリジナル版の主演であるチャールトン・ヘストンがカメオ出演。セード将軍の父親であるチンパンジーのゼイウスを特殊メイクで演じた。
また、オリジナル版のヒロインのノヴァを演じたリンダ・ハリソンも人間の奴隷役で出演した。

バートンの映画として注目を集め、各種アクションフィギュアにボトルキャップやメイキングブックも発売され大いに期待された本作であったが、話題性に反して批評的に振るわなかった。
一応アメリカでは1億8千万ドル、世界中で約3億6千万ドルの総利益を上げているので、酷評されたイメージと裏腹に、実際はバートン作品でもかなりの稼ぎ頭だったりするのだが……
さらにヒロインのデイナ役のエステラ・ウォーレンとゼイウス役のチャールトン・ヘストンがゴールデンラズベリー賞を受賞してしまう。
ラストでは続編の可能性を匂わせていたが、本作に対する批判が強すぎたためか、バートンは「神に誓って言うけど、続編をやるくらいなら窓から飛び降りたほうがマシだよ」と宣言した。*1
しかし本作の猿の描写である本物の類人猿のようにチンパンジーが凶暴、ゴリラは普段は温厚で理性的、オランウータンは怒らなければ温和という表現やそのアクションや特殊メイクなどは高く評価され、オリジナル版と違い差別的な表現が無い為放送しやすく、地上波で放送されるのはこちらがほとんど。
ストーリーの展開も原作小説に近いのはこちらの方である。

猿の惑星

レオが不時着した未知の惑星。セモスの直系であるセード将軍を中心にチンパンジー、ゴリラ、オランウータンのサル類が支配している。
地球と似ているが猿の居住地以外はジャングルに囲まれており、禁断の地は砂漠の果てにある。

そして、太陽が二つある。

あらすじ


時は近未来の西暦2029年。
土星周回軌道付近の宇宙空間を探査任務中の米海軍所属の巨大宇宙探索基地であり宇宙船のオベロン号には、乗務員とさらには遺伝子操作により知能を向上された類人猿らが実験動物として共に乗艦していた。

さらにオベロン号では宇宙飛行士訓練を受け宇宙飛行士となったチンパンジーまでも誕生していた。
近くの宇宙空間で磁気嵐が確認され、人間の宇宙飛行士は危険であるとし人身御供に訓練された雄のチンパンジーであるペリグリーズが宇宙ポッドで調査に向かう。
しかしポッドは磁気嵐に飲み込まれてしまい、ペリグリーズと密かに友情を育んでいた宇宙飛行士のレオ・デウィッドソン大尉は上官命令を無視し、一人ペリグリーズを救出しようと磁気嵐に飛び込む。

そしてポッドは未知の惑星の湖に墜落し、命からがら脱出したレオの前に原始人美女デイナとカルービ親子らと、その仲間の人間達を追う馬に乗って喋る「猿」達に襲われる。

登場人物


レオ・デヴィッドソン大尉
演:マーク・ウォルバーグ/ 日本語吹替:横堀悦夫(映像ソフト版)、森川智之(日本テレビ版)

アメリカ空軍所属の大尉で猿顔のイケメン。みんなの前ではペリグリーズに冷たい態度を取っていたが実はツンデレでペリグリーズとは密かに友情を育んでいた。
非常に勇敢で上官の命令を無視して一人だけペリグリーズを助けようとするなど、人間にも猿にも優しく奴隷となった人間も救おうと行動する。
中盤でポッドから回収したレーザーガンを武器にしていたが残念ながらクラルに破壊され、セードとの対決ではペリクリーズが所持していた拳銃を使用した。

「みんなが死んだのは僕のせいなんだ」

デイナ
演:エステラ・ウォーレン/ 日本語吹替:岡寛恵(映像ソフト版)、甲斐田裕子(日本テレビ版)

本作のヒロインで金髪のグラマー美女。大柄な体格で身体能力に優れまた泳ぎも得意。
勝気な性格で掴まった父親カルービと弟を助けようと奮闘し、セード率いる猿軍団との戦争では女性で唯一戦闘に参加。棍棒やナイフを武器に猿の軍隊と対決した。

演じたエステラはシンクロ選手であり、途中のスイミングシーンの彼女の特技を生かして挿入されたものである。
また最終決戦でチンパンジーに馬乗りになられレイプされている様に見えるシーンはサービスシーンとの事である。

アリ
演:ヘレナ・ボナム=カーター/ 日本語吹替:唐沢潤(映像ソフト版)、田中敦子(日本テレビ版)

本作のもう一人のヒロイン?
雌のチンパンジーでネード元老院議員の娘である学者。
人間に好意的で人間を奴隷化と虐待する事に反対している。
好奇心旺盛な性格でレオに興味を持ちレオとデイナを自宅の使用人として迎え入れる。
レオの脱出を手出すしセードらに追われ禁断の地へと同行する事となる。
セードに求婚されているが、後にレオに種族を超えた好意を抱いていく。

ちなみに本作の公開後にバートンは、長年のパートナーだったリサ・マリーと別れている。
その後ほどなくして、演者のヘレナと急接近していくことに。
リサ・マリーも本作に出てるのに……当時の嫁と後の事実婚の嫁の共演という、修羅場以外の何物でもない組み合わせである

クラル
演:ケイリー=ヒロユキ・タガワ/ 日本語吹替:楠見尚己(映像ソフト版)、池田勝(日本テレビ版)

アリの家の使用人を務める屈強な老雄のゴリラで元軍人。
かつてはセードの上官だったがセードに追い落とされ彷徨っていた所をネード議員に拾われ以後は彼に忠誠を誓っている。またアターは彼の弟子である。
短気だがゴリラらしく勇猛果敢な武人。
アリに同行する形で禁断の地へ向かうが最終的には人間達を守るべく猿軍団と対決する。セードとの勝負を望むがアターと相対する事となる。

「信用できない」という理由*2でレオのレーザーガンを壊してしまい、それも自らの寿命を減らす要因になった。

セード将軍
演:ティム・ロス/ 日本語吹替:山路和弘(映像ソフト版)、小山力也(日本テレビ版)

猿軍団の将軍で、猿の始祖であるセモスの直系であるゼイウスを父親に持つ雄のチンパンジー。
チンパンジーらしく性格は冷酷で獰猛。
人間を殺害する事は勿論、自らの出生の秘密を知りそうなゴリラ兵士の部下すらも殺害するほどに情け容赦がないが、アリ相手には純情な恋愛感情を持つ。
また人間を蔑視する一方で、奴隷にされてもなお鋭い目で自分を睨むレオを「威勢が良い」と警戒する一面も。
ゼイウスの遺産から人間の拳銃に興味を持つようになる。そしてラストバトルではレオと対決しその身体能力で追い詰めるも、人間の知恵に追い詰められて・・・。

アター隊長
演:マイケル・クラーク・ダンカン/ 日本語吹替:青森伸(映像ソフト版)、菅生隆之(日本テレビ版)

セードの腹心の部下で副将軍を務める雄ゴリラ。かつてはクラルの弟子であった。
クラル同様にゴリラらしく怒ると凶暴だがその実は信心深く理性的な性格。
セード同様人間嫌いだが自らが認めた人間には敬意を払う武人でもある。
ラストバトルではかつての師匠であるクラルと一騎打ちを行う。

カルービ
演:クリス・クリストファーソン/ 日本語吹替:小山武宏(映像ソフト版)、糸博(日本テレビ版)

デイナの父親である老人で心臓を患っている。
デイナと弟共々一度は人間狩りで掴まるが、デイナらにより助け出される。
しかし弱った体では皆に付いて行けない事を悟った彼は追い縋るアターに特攻した。
結果、アターにはその男気を認められ見逃されそうになるが、背後から現れたセードが容赦する事はなかった。
カルビーではない。

リンボー
演:ポール・ジアマッティ/ 日本語吹替:岩崎ひろし(映像ソフト版)、斎藤志郎(日本テレビ版)

奴隷商人のオランウータン。
惑星不時着直後のレオとデイナ達を捕えてアリに売った、ある意味因縁の相手。
その後レオ達が脱走した後は「商品」を連れ戻すべく追って来るも、逆に拘束されて人質として連れまわされる羽目に。
飄々とした物腰ながらも人間を「獣」「金づる」としか見ていなかった彼だが、旅の中で次第に心境に変化が……?

リンカーン像

ある場所に降り立ったレオが目の当たりにした巨大な像。見た目はリンカーン像だがその顔をよく見てみると...
思わぬ状況にレオは茫然とし、その直後に襲った更なる事態に彼は困惑する事しかできなかった...

余談


〇チャールトン・ヘストン演じるゼイウスは、死の床でセードにかつて人間が猿を支配していたという秘密を語り、人間の技術と恐ろしさの証拠である拳銃のありかを教える……という役どころ。
ヘストンが全米ライフル協会の会長であることを考えると、かなり皮肉なものと言えるだろう。

〇撮影中バートンは災難続きだったそうで、俳優たちに落ち方の手本を見せようとして肋骨を折るわ、風邪をひくわの目に遭っている。*3
挙句に「宇宙船内の場面を撮影していた時、チンパンジーが現場に一匹いたんだけど、ある日すっかり僕に欲情しちゃったんだ――足、脚、腕、顔、背中とまとわりつかれた。で、翌日になったら、どうしてだか僕に唾を吐きかけていた」という目に遭ったらしい……
これがカカポだったらまだ笑い話で済んだのに……


バートンの次回作は、余命少ない父親と、その彼の人生を理解しようとする息子のヒューマンドラマであり、バートン自身にとっても重要なテーマを持つ作品であった。


「じゃあな追記修正」


参考文献
ティム・バートン[映画作家が自身を語る](フィルムアート社)

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最終更新:2024年05月06日 10:51

*1 もともと彼自身基本的に続編をやりたがるタイプではないのだが

*2 小説版では後々レオも「(腹立たしいが)気持ちは分かる」と一応理解を示している

*3 もっとも、俳優たちも大変な目に遭っており、マーク・ウォルバーグはスタント中に火の玉に当たり、マイケル・クラーク・ダンカンは走っている途中で落下し負傷した