飼育係(ちゃおホラー)

登録日:2023/06/07 (水) 22:42:19
更新日:2023/07/18 Tue 22:06:39
所要時間:約 6 分で読めます




『飼育係』はちゃお公式サイト「ちゃおコミ」にて掲載されていたホラー短編。
作者は阿南まゆきで、ちゃおホラーコミックス「令和 学校の怪談」にも収録されている。

動物を通じて仲良くなった2人の女の子の友情物語。
の、はずだったが…



【ストーリー】


小学生の女の子、由愛は母子家庭で、母親は仕事でかまってくれず、内気な性格故に学校でもひとりぼっちだった。
そんなある日、教室で飼っているハツカネズミや魚を眺めていると、飼育係のまりあが話しかけてくる。
ここの生き物は彼女1人で世話しているとのことだった。

由愛は朝ご飯を抜いて来たので空腹でいると、まりあが飴をこっそりとくれたので、由愛は彼女と仲良くなる。
それからは2人で生き物の世話をするようになった。
まりあ曰く「愛情をこめてお世話すれば生き物たちもこたえてくれる」とのこと。
更にまりあは由愛の身だしなみも整えてくれるようになる。ついでにおにぎりももらった



なんだか、アタシもお世話されてるみたい



さらにさらにまりあはテストで100点をとる等成績もよかった。
由愛に褒められるとまりあは暗い顔をして「100をとらないとママに怒られるから」と答えた。
彼女は母親に中学受験をするように言われていたのだ。
由愛も母親の事で苦労していたので共感していると、まりあは由愛を抱きしめ「私が由愛のお母さんになって由愛のお世話をしてあげる」と言う。



優しい まりあ


まるで聖母マリア様みたい


だいすきだよ


そんなある日、水槽のメダカの数が減っていることに気付いた由愛。
だがハツカネズミに10匹の子供が産まれたのでそこまできにしていなかった。

しかし数日後、ハツカネズミの子供が8匹になっていた。
まりあは「弱った子供は母親に食べられることがある」と説明する。
悲しみに暮れる由愛はネズミの事を日記に記すことにするのだった。

だがその後も子供の数は減っていく、ここで由愛はあることに気付く。
子ネズミがいなくなる次の日には必ずテストがあったのだ。

そこで由愛は次のテストの前日の放課後に教室を隠れて見張り、原因を突き止める事にした。
すると教室にまりあが入ってくる。いつもと様子の違う彼女は子ネズミを2匹連れて何処かへいってしまう。
由愛が後をつけると、彼女は学校の裏山に向かう。

そこには聖女らしき女性の像があり、まりあはその前にネズミを離し、

聖女様、明日のテストで100点をとらせてください



そう言ってネズミを石で潰して殺してしまう。その光景に驚愕した由愛は見つかりそうになったのでその場を去る。


翌日のテストでまりあは願い通りに100点をとっていた。
由愛は今までの動物行方不明もまりあの仕業だと思い、1人裏山に行って像を壊そうとする。
だがそこにまりあがやってくる。彼女曰くその像はいけにえをささげれば願いを叶えてくれる大事な像とのこと。

まりあは当初その辺の虫やカエルをいけにえにしていたが、途中あることに気付く。
それは…



かわいがってる生き物をいけにえにしたほうが、効果があるってこと――――



そのためにまりあは飼育係をしていたと不気味な笑顔で答えた。
だが次の願いである中学受験は大きな生け贄が必要かもしれないと話す。
勿論その生け贄とは…




あなたよ由愛!!


たっぷりお世話してあげたでしょ?


わたしの愛にこたえてくれるわよね!?


そう言ってハンマーを振りかざして襲い掛かってくる。
由愛は「そんなことのために…」と反論するも



あんたにはわからないでしょうね



受験に失敗したらママにどれだけ怒られるか…!

と泣きながら迫ってくる。聖女像からも「ころせ!血をささげよ!」という声が聞こえてきた。
それに共鳴するようにまりあも「ころさなきゃ」「ママに怒られちゃう」と呟きながら迫ってくる。
由愛は思わずまりあを突き飛ばすと、聖女像に頭をぶつけてまりあは死亡。
彼女の死に由愛が動揺していると、聖女像は




おまえの願い、ひとつかなえたぞ




と悪魔のような形相で答えるのであった。

数日後、由愛の母親は宝くじで3億円当て、今までのように働きづめになることはなくなり喜ぶ。
由愛はこれが自分の願いであり、聖女像の力は本物であると確信。

だが願いが叶った後も、由愛の頭には聖女像の声が響いてくるのだった。



ころせ ころせ 次のいけにえをささげよ――――



【登場人物】


  • 馬場(ばば)由愛(ゆあ)

今回の主人公兼被害者である小学生の女の子。
母子家庭であり母親も働きづめで構ってもらえず、人見知りな上に身だしなみにも気を使えずクラスでも浮いていた。
そんな時まりあと出会い動物の世話を通じて仲良くなり、彼女にママみ友情を感じるも、マリアは聖女像の願いに取り付かれており自分の事を生贄にささげるつもりであったことにショックを受けた上に故意でないにせよ彼女を殺してしまう。*1
結果的にそれが「願いの為にまりあをいけにえに捧げた」と聖女像に解釈されたのか願いが叶い、母親が自分に構ってくれるようになった。
だがまだ聖女像からは願いの為に生贄を捧げよとせっつかれている模様。
一応自身の最大級の願いは叶っているものの、彼女はまだ子供、これからどんな願いを抱いてもおかしくはない。
願わくば聖女像の誘惑に負けずに生きていて欲しいものである。ラストの表情からして無理そうだけど



  • (ひつじ)()まりあ

今回のやべーやつ担当。
由愛のクラスで飼育係をしている女の子で、その延長で由愛の世話もしてきた。
だがそれは自分の願いの為の生贄を育てるのが目的で、動物や由愛に内心は情は感じてなかった模様
最後は事故とはいえ自分が生贄になる形になってしまった。他のちゃおホラーのやべーやつのようなチートスペックはなかった模様
とはいえ、彼女も母親から中学受験を無理に勧められていたという点はあり、そう言った意味では被害者といえるかもしれない。どっちにしろそんなインチキで中学に進んでも周りについていけず挫折してただろうけど


  • メダカ
  • ハツカネズミ

マリアの願いの為に生贄にされてしまった純粋な被害者。



  • 聖女像

今回の元凶にして呪物
生贄を捧げれば願いは叶えてくれるものの、その後も生贄をせっついてくる等タチの悪い代物
とはいえ願い自体は確実に叶える上に当人に罪悪感以外のデメリットを課すことはなかった。
今までの生贄の小ささからして殺人までしなくても中学受験合格くらいは叶えてくれたかもと思わなくはない



  • 由愛の母

女手一つで由愛を育てるために働きづめで、由愛に構う暇がなかった。
だが聖女像の力で3億円当て、今までのように働かなくてよくなったことを喜ぶ等、娘に愛がなかったわけではない模様。



  • まりあの母

劇中登場していないが、今回の真の元凶
娘に中学受験を強いてしまったせいで娘が狂気にかられることになってしまった。
まりあを彼女に怒られる事を泣きながら脅えていたため、相当な事をしていた可能性もある。
まさか娘がオカルトじみた方法でこれを解決していたとはもわなかっただろうが





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最終更新:2023年07月18日 22:06

*1 事故として処理されたのか、彼女に特にお咎めはなかった模様