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更新日:2025/08/28 Thu 20:40:53
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〜第四代社長・岩崎小彌太氏が示した経営理念「三横綱」〜
「
三菱グループ」は、岩崎弥太郎氏が創設した旧三菱財閥を前身とする
日本の企業グループ。
【◆概要】
戦前の三菱財閥のようにグループ全体を統括する持株会社や銀行を中心とした強力な資本関係は存在せず、旧三菱財閥を起源とする独立した会社同士の集合体である。
グループ内の中核企業で構成された「三菱金曜会」や「三菱広報委員会」などで人事交流などを行っている。
取り扱う商品の規模の広さから日本最大の企業グループと言っても過言ではなく、フィクション作品でも三菱グループをモデルにした企業が登場することが多い。
特に代表的なのが池井戸潤作品だが、これは氏が三菱銀行出身であることが大きな理由である。
【◆特徴】
前身の三菱財閥は
三井財閥や
住友財閥と異なり比較的歴史が浅いが、明治期に政商として巨万の利益を得てその礎を築き、両財閥とともに
日本三大財閥の一つにまで急成長した。
戦後にGHQの財閥解体によって創業家の岩崎家との資本関係が解消され、三菱重工や三菱商事などは会社単体で分割されたが、その後徐々に再結集を図っていった。
「三菱は岩崎家一個のものではなく、国家社会のための三菱である」とする考えが財閥時代から戦後にも引き継がれ、「三菱は国家なり」として三菱グループが国家との結びつきが強いことが知られている。それゆえ、他社では採算面から二の足を踏むような事業についても積極的に挑むことが多い。
また旧財閥系グループの中でも比較的組織内の横の結束が強いと言われ、一般に「組織の三菱」と称される。
三菱グループ各社の本社および支社等は三菱地所や明治安田生命保険保有ビルに置かれている事が多く、その三菱地所が東京駅前の丸の内一帯に多数のオフィスビルを所有していることから「丸の内の大家」、丸の内一帯にグループ各社が本社を抱えていることから「三菱村」とも呼ばれている。
【◆歴史】
土佐藩が現在の大阪府大阪市西区で経営していた海運会社
「九十九商会」が設立されたことが始まりとされ、そこを土佐藩士であった
岩崎弥太郎氏が買い受け個人企業とした。
岩崎氏は同じく土佐藩出身の
坂本龍馬が率いる
海援隊の商法に影響を受け、九十九商会を
「三菱商会」へと改称し、海運と海外貿易を中心に事業を展開した。
戦後のGHQによる財閥解体政策により三菱本社と三菱商事が解散、三菱重工業、三菱化成が三分割に追い込まれ、基幹産業の一つでもあった不動産も財閥解体により関東不動産と陽和不動産に分割されたが、1952年(昭和27年)の「陽和不動産乗っ取り事件」を契機に三菱の再統合が促進され、1954年(昭和29年)に三菱商事が再合同し、同年には主要企業の会長・社長の親睦と情報交換を目的とした三菱金曜会が設立され、1964年には三菱重工業も再合同するなど再びグループ化した。
このグループ化は戦前の三菱本社を頂点とした三菱財閥の復活ではなく、グループ各社による対等なグループ形成となっている。
高度経済成長期には高度成長を担った重化学工業分野に中核有力企業が多いという強みを活かし、戦後も引き続き日本を代表する企業グループの一つとして発展した。
【◆グループ内組織、呼称】
系列会社の中で最も規模が大きく影響力を持つ三菱商事、三菱重工業、三菱UFJ銀行の総称。
グループ企業の中でも中核をなす27社の会長・社長が参加する懇親会で毎月第2金曜日に行う懇談昼食会を活動の中心としている。
戦後の三菱財閥解体後、陽和不動産が株の買い占めに遭ったのを買い戻すため、中核企業が結束を求めて発足した。
1964年に「よりよい製品とサービスをより安くより的確に提供し、且つ海外貿易の伸張に寄与せんとする三菱系企業を広く内外に認識せしめ、『三菱』に対する好感と信頼感を醸成する」を指針とし、会員会社37社によって設立されました。
現在は、三菱グループ企業36社により構成され、三菱グループの広報誌やパンフレットの発行をはじめ、グループ広報センターの運営や国際文化交流促進のための社会貢献、講演会等のイベント開催など、様々な活動を行なっている。
グループ32社によって組織され、岩崎弥之助氏本邸の維持・管理、およびグループの迎賓館・社交クラブとしての運営に当たる。
【◆主な所属企業】
◇『三菱』と付く企業
御三家。金曜会、広報委員会加盟企業。
三井物産、住友商事、伊藤忠商事、丸紅と並ぶ五大商社の一つで、単に「商事」と言えばここを指すほどの知名度を誇る。
旧来の貿易仲介から資源開発、平成以降はコンビニの
ローソンを傘下に置き、多岐にわたる投資や経営参画を実施している。
上述したキャッチコピーは三菱問わず、総合商社の特徴として現在も用いられることが多い。かつてはロケットの部分が「ミサイル」だったが、あまりにも物騒なため変更された経緯がある。
御三家。金曜会、広報委員会加盟企業。
三大都市圏に経営基盤を持つ大手銀行で、グループの一角である
三菱UFJフィナンシャル・グループ(以下MUFG)傘下の都市銀行。
三井住友銀行とみずほ銀行と並ぶ
3大メガバンクの一角。
2006年に東京三菱銀行とUFJ銀行が合併した
三菱東京UFJ銀行として発足し、2017年に現在の社名となった。
なみに2021年から頭取を務めているのは半沢淳一。
テレビドラマ放送直後の就任かつ前述した池井戸潤とは同期入社ということで大きな話題となったが、池井戸側は面識が一切ないとコメントしている。
御三家。金曜会、広報委員会加盟企業。
三菱グループの源流である日本郵船船舶の修繕・改修のために国が払い下げた長崎造船所を発祥とする。
川崎重工業、IHIと並ぶ日本の三大重工業の一角で、単に「重工」と言えばここを指す。
事業領域は陸・海・空・宇宙と多岐にわたり、社会インフラから防衛産業までを担う日本最大の技術開発メーカーで、冒頭に記した「三菱は国家なり」を地で行く存在。
そのため1970年代には革マル派の標的となり、本社ビルが爆破テロの被害に遭ったこともある。
Jリーグのオリジナル10である浦和レッズは同社のサッカー部が前身で、2016年以降は再度親会社に返り咲いた。
総合不動産デベロッパー。
戦後の財閥解体で三菱本社の不動産事業を分割した関東不動産と陽和不動産が合併する形で誕生した。
代表的な開発先として、重工の造船所跡地を再開発した横浜のみなとみらい21や大名古屋ビルヂング、
梅田貨物駅跡地の再開発エリア「グランフロント大阪」「グラングリーン大阪」がある。
全国展開の再開発事業では「MARK IS」と「○○プレミアム・アウトレット」の名称もおなじみ。
金曜会、広報委員会加盟企業。
日立製作所に次ぐ業界第2位の売上高を誇る大手総合電機メーカー。
重工から分社化した企業だが、重工とは今でも一部製品で競合しており、代表的なのがエアコンでこちらが「霧ケ峰」、重工が「ビーバーエアコン」の名称で発売されている。
一般向けの家電から人工衛星まで幅広い製品を手掛け、多くの産業用電気機器で日本国内トップシェアを誇り、維持特許数も日本一を誇る。
前述した三菱地所の建物には言うまでもなく傘下である「三菱電機ビルソリューションズ」の製品が装備されている。
また、電車の制御装置や空調機器、車内案内用の液晶ディスプレイなども大半が三菱電機製で、今では当たり前となった電車のMM'ユニット方式は、三菱電機が近鉄と共同で開発したものである。
三菱GTOと検索するとVVVFとサジェストしてくるのもここのせいである
80年代後半から2000年まではスリーダイヤを企業ロゴから外しており、ロゴも「MITSUBISHI」と他社と異なる青いものが使用されていた。
一方、社員による架空発注や国への過大請求、各検査での不正や労働問題など不祥事が散見される。
金曜会、広報委員会加盟企業。
MUFG傘下の信託銀行。
三菱の信託銀行部門である三菱信託銀行とそれ以前に存在したUFJホールディングス傘下の三和銀行の流れを持つUFJ信託銀行の合併により誕生した。
そのため三和グループに属する企業で構成される三水会とその後身社長会である水曜会およびみどり会にも加盟している。
金曜会、広報委員会加盟企業。
2005年に大手化学メーカーの三菱化学(現在の三菱ケミカル)と、大手医薬品メーカーの三菱ウェルファーマ(現在の田辺三菱製薬)との株式移転により、両社の共同持株会社として設立された。
ちなみに三菱ケミカルとしても金曜会に所属している。
金曜会、広報委員会加盟企業。
1970年に重工から独立した自動車メーカーで、グループ内を中心に「自工」とも呼ばれている。
代表的な車種に「パジェロ」「ランサーエボリューション」があり、車種からも分かるようにオフロードとパワー(と不祥事)に定評がある。
AYCなど自動車にハイテク電子装備関係の先鞭を打ったメーカーでもある。オートマチックトランスミッションにシーケンシャルレンジを初めて用いた。
現在は日産自動車系列だが、その日産は三菱の初の国産乗用車のエンジンメーカーの末裔だったという奇妙な縁がある。
また世界でもかなり早い段階で電気自動車の開発を行い、軽自動車の「i-MiEV」世界初の量産販売電気自動車でもある。
かつては色々と車種をラインナップしていたがどうにもSUV以外があまり売れず、現在の自社設計車は全てSUV系のみ。
セダンなんかは20年以上モデルチェンジされなかった「走るシーラカンス」こと初代デボネアや59台しか売れなかったディグニティなどの珍車もそこそこ見受けられ、納車先のほとんどが三菱グループ各社だったとも。
金曜会、広報委員会加盟企業。
三菱の源流企業「九十九商会」の炭鉱事業進出にルーツを持つ。
1990年に三菱金属と三菱鉱業セメントが合併して三菱マテリアル株式会社として発足した。
金曜会、広報委員会加盟企業。
化学工業に携わる機械の製造を主業務としている。
水素発生装置は業界シェアトップクラス。他にプラント用・環境用などの機械製品を扱う。
金曜会、広報委員会加盟企業。
日本海に天然ガスの自社鉱区を所有し、化学品を生産している。
鉄が錆びるときに酸素を吸収する原理を応用した脱酸素剤『エージレス®』を世界に先駆けて商品化し、これは食品の鮮度保持などに広く用いられている。
金曜会、広報委員会加盟企業。
三菱財閥直系企業。
自動車や建設機械、鉄道車輛向けの特殊鋼やばね、鉄系を主にした鋳・鍛造品、さらには自動車、航空・船舶、エネルギー、エレクトロニクスほか、幅広い分野で使用される高機能特殊合金の鋳・鍛造製品および粉末製品を生産している。
特にばね事業は日本最古のばねメーカーの系譜を継ぎ、素材から製品まで一貫した国内唯一のメーカー。
金曜会、広報委員会加盟企業。
製紙業界6位。
印刷用紙を中心に情報用紙、ティッシュペーパー、製紙用パルプ、写真、フィルター、感光剤などを製造している。
近年は不織布・ガラス繊維ペーパー、リチウムイオン電池セパレーターなどに注力している。
金曜会、広報委員会加盟企業。
三菱財閥の中では日本郵船、三菱商事、三菱重工、三菱UFJ銀行に次いで創設された企業。
1930年(昭和5年)に竣工した本店があった江戸橋倉庫ビルは船体を連想させる外観が特徴で、表現派風建築の代表的作品として東京都選定歴史的建造物の選定を受けている。
2014年(平成26年)に竣工した日本橋ダイヤビルディングは旧江戸橋倉庫ビルの外壁を随所に保存した高層建築であり、東京都選定歴史的建造物に選定されている。
金曜会、広報委員会加盟企業。
三菱創業100周年の記念事業として三菱グループ各社の共同出資により設立された。
政府、官公庁、地方公共団体等から委託される各種調査研究に強みを持つ。
金曜会、広報委員会加盟企業。
元々は三菱自動車のトラック・バス部門で戦前以来のブランドネームだったが、とある出来事をきっかけに分離独立してダイムラー傘下に。将来的には日野と経営統合することが決まっている。
バスについては「エアロ」が車名についているのが特徴で、国産で唯一量産に成功した二階建てバス「エアロキング」は同社の製品。
トラックでは小型トラックの「キャンター」がライバルのいすゞ・エルフとしのぎを削る。
金曜会、広報委員会加盟企業。三和グループのみどり会の会員企業でもある。
野村證券、大和証券、SMBC日興証券、みずほ証券と並ぶ日本の総合証券会社大手5社の1角。
広報委員会加盟企業。
自動車の割賦販売及びリースの各事業を営む株式会社。
広報委員会加盟企業。
海運業界で唯一三菱ファンネルを掲げる外航船を持つ。
広報委員会加盟企業。
明治屋商事・菱食などの4社が合併して誕生した総合食品商社。
海外のお菓子の輸入を一手に扱うほか、「かむかむグミ」でもおなじみ。
三菱商事連結子会社で東証スタンダード市場TOP20の構成銘柄の一つ。
広報委員会加盟企業。
鉄道シミュレータ、航空用電波事業、パーキングシステム事業を行っている。
広報委員会加盟企業。
MUFG中核企業で、日本の大手クレジットカード会社。
かつては日本信販という社名だった。
広報委員会加盟企業。
大手総合リース会社。
三和グループ・春光グループにも属しており、三菱広報委員会の他にみどり会や春光懇話会の会員企業である。
金曜会、広報委員会加盟企業。
2021年に三菱マテリアルとUBE(旧:宇部興産)がそれぞれ50%ずつ出資して両社のセメント関連事業を統合した関連会社として設立された。
セメント関連の事業の売上高は、日本企業としては太平洋セメントに次いで2番目。
◇『三菱』と付かない企業
金曜会、広報委員会加盟企業。
三菱源流企業「九十九商会」をルーツとする売上高日本1位の海運企業。
国内・海外合わせて350以上の都市の港へ684隻の運航船舶が乗り入れており商船三井・川崎汽船と並ぶ日本の三大海運会社の一つ。
金曜会、広報委員会加盟企業。
日本で初めて設立された生命保険会社で日本生命保険、第一生命ホールディングス、明治安田生命保険、住友生命保険と並ぶ4大生保の一角。
2004年に三菱グループの明治生命保険と芙蓉グループの安田生命保険が合併し発足した。
三菱と芙蓉グループに加え官公庁という強固な法人営業基盤を有している。
金曜会、広報委員会加盟企業。
2004年に東京海上火災保険と日動火災海上保険の合併により発足した。
三菱グループに加えて芙蓉グループの芙蓉会と芙蓉懇談会、第一勧銀グループの三金会の加盟企業でもあるため、三菱UFJフィナンシャル・グループやみずほフィナンシャルグループと仲が良い。
金曜会、広報委員会加盟企業。
大手ビールメーカーのキリンビール、大手清涼飲料水メーカーのキリンビバレッジなどを傘下を持つ持株会社。
三菱グループが所有するビルには、ほぼ必ず、キリンビバレッジの自動販売機が設置されている他、社内行事ではキリンビール・キリンビバレッジの製品を扱う飲食店が優先的に選ばれている。
金曜会、広報委員会加盟企業。
世界最大級のガラスメーカー。
広報委員会加盟企業。
石油精製・販売大手の新日本石油株式会社(現在のENEOS株式会社)と新日鉱ホールディングス株式会社(現在のJX金属株式会社)が経営統合を目的として共同で設立した。
金曜会、広報委員会加盟企業。
カメラ、双眼鏡、望遠鏡、顕微鏡、ステッパー、メガネ、測定機、測量機、光学素材、ソフトウェアなど光学関連装置の大手メーカー。
広報委員会加盟企業。
セブンイレブン、ファミリーマートに次ぐ国内3位のコンビニ。
1997年7月には業界で初めて47都道府県全てに出店した。
おなじみの「ローソン」以外にも品揃えが異なる「ナチュラルローソン」や「ローソンプラス」、「ローソンストア100」も展開している。
広報委員会加盟企業。
出光興産グループと三菱商事グループの液化石油ガス部門が統合して発足したLPガス商社。
広報委員会加盟企業。
重防食・建材用塗料の最大手で国内第3位の総合塗料メーカー。
広報委員会加盟企業。
インドの世界有数のコングロマリットタタ・グループ中核企業のタタ・コンサルタンシー・サービシズと三菱商事による合弁会社。
【◆余談】
三菱鉛筆(文房具メーカー)や三菱サイダー、三菱クリーンサービスなど三菱グループとは無関係ながら「三菱」を名乗ったり「スリーダイヤ」を使用していた企業などが存在していた。
またその逆で三菱グループの中には三菱UFJフィナンシャルグループやENEOSグループのようにグループ外の企業と合併した企業や、日本郵船やキリンビール、明治安田生命保険、東京海上日動火災保険などのように、古くから「三菱」「スリーダイヤ」とは異なる商標を用いてきた企業も存在する。
三菱グループ社員は追記・修正宜しくお願い致します。
- 昭和とかはグループ内縛りが厳しかったという話は聞くが、今はそうでもない。グループ内の某工場に行ったとき、敷地内の売店(というかコンビニ)はローソンじゃなかったし、飲み会で連れていかれた御用達飲食店ではキリンだけでなくサントリーのビールがあったり。 -- 名無しさん (2025-08-22 18:23:11)
- 昔は社員どころか家族も三菱製の車を購入するのが義務だったり、家電も三菱を買うみたいなルールがあったとかなかったとか… -- 名無しさん (2025-08-27 13:25:48)
最終更新:2025年08月28日 20:40