登録日:2025/08/10 Sun 23:57:53
更新日:2025/08/11 Mon 01:31:33NEW!
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◆ブラッドラインとは、2020年8月に結成し、2025年1月まで活動していたWWEのヒールユニットである。
サモア系のプロレスラーの一家、アノアイ・ファミリー所属のレスラーで構成されるのが特徴で、2020年代のWWEにおける最大最強のヒールユニットとして活躍していた。
そもそもアノアイ・ファミリーって?
前提としてアノアイ・ファミリーとは、70年代後期から80年代にかけて、WWEを中心に世界各地で活躍したサモア出身のタッグチーム”ワイルド・サモアンズ”のアファ・アノアイ、シカ・アノアイ兄弟を開祖とするプロレスラー一家で、多くのレスラーを輩出している。
2世・3世レスラー自体はアメリカマット界ではそこまで珍しいものではなく、プロレスラー一家という括りでは
ブレット・ハートやデイビーボーイ・スミス、ナタリアなどを輩出したハート・ファミリーが有名。
だが、アノアイ・ファミリーの場合、
活躍している、ないししていたレスラーの数と活躍の幅がえげつないのである。
直接血が繋がっており、WWEに所属した経験のあるレスラーだけに絞っても、
- 開祖たるワイルド・サモアンズ
- ファミリー初となる最高位王座獲得を果たしたヨコズナ
- シカ・アノアイの次男にしてサモア系レスラー初のグランドスラム達成者、そして“ブラッドライン”を率いる”Tribal Chief”ローマン・レインズ
- 双子レスラーにして現役ではトップクラスの王座獲得数を誇るタッグチーム”ウーソズ”ことジミー・ウーソ、ジェイ・ウーソ兄弟
- ウーソズの末弟の”Enforcer”ソロ・シコア
- ジミー、ジェイ、ソロの父にして
巨ケツ力士レスラーリキシ
- 巨漢ながらクルーザー級顔負けの身体能力で暴れ回った”サモアンブルドーザー”ウマガ
- レインズの兄にしてウマガとのタッグ”3分間警告隊”で活躍したロージー
- ありし日のウマガを彷彿とさせる体格と身体能力を併せ持つ”サモアン・ウェアウルフ”ジェイコブ・ファトゥ
- ランディ・オートン率いる”レガシー”に短期間ながら所属し
すぐ蹴られたアファ・アノアイjr
と、過去は勿論現在においても数多くのレスラーをWWEに送り出しており、その多くが第一線で活躍し続けているのである。
かつてWWEの第一線で活躍し続けたハート・ファミリーの直系のレスラーがブレット、スミス、オーエン・ハート、ジム・ナイドハート、ナタリアくらいで、現在はナタリア以外のファミリーのレスラーがWWEに在籍していないことを考慮すると、アノアイ・ファミリーの層の厚さを理解できるだろう。
更にWWE所属経験のない著名なレスラーや、義兄弟の縁のレスラー、ファミリーの一員と結婚したレスラーも含めると、
- 説明不要の”ピープルズ・チャンピオン”ザ・ロック
- ウマガの忘形見ジラ・ファトゥ
- アファ・アノアイの孫でプロレスリングNOAHへの参戦経験もあるランス・アノアイ
- ロック様の従姉妹にして女子部門では屈指の体格を誇るナイア・ジャックス
- ジミー・ウーソの奥さんで圧倒的な身体能力を誇るナオミ
- ロック様の娘にしてNXTのGMを務めるアヴァ
- 新日本プロレスや全日本プロレスにも参戦した”殺人風車”ゲーリー・オブライト
といった具合に、著名なレスラーが目白押しなのである。
すげー!
メンバー
長らくベビーフェイスの看板選手として活躍していたが、2021年8月に病気療養による長期欠場から復帰すると同時にヒールターン、自らを”Head of the Table”、”Tribal Chief”と名乗り、ブラッドラインの結成を宣言する。
結成以前のレインズは典型的な優等生キャラで、個性を感じられない地味なキャラや技の引き出しの少なさから、ベビーフェイスにも関わらず観客からブーイングされるという期間が長く続いていた。
しかし、ヒールターンとユニバーサル王座獲得を機に、敵味方問わず気に入らない相手には高圧的・暴力的に接し、王座を保持す続ける為ならどんな手段も辞さない冷酷なマフィアの親分、或いは全てのWWEレスラーの上に君臨するラスボスと称すべき悪のカリスマとして覚醒する。
今なおカルト的人気を誇るハードコア系インディー団体ECWをブッカーとして支え、WWE移籍後もその才能
と顔芸を遺憾なく発揮している”ポール・E・デンジャラスリー”。
結成以前は長らく
ブロック・レスナーのマネージャーを務めていたが、復帰/ヒールターンしたレインズと結託、レインズを助言する”ワイズマン(賢者)”としてブラッドライン入りする。
ファミリーの一員ではないもののレインズからの信頼は厚く、不在時はブラッドラインの指揮を任される他、時には体を張って抗争相手に謀略を仕掛けた場面も。
双子タッグチーム”ウーソズ”の弟で、レインズの従姉妹。
ユニバーサル王者としてのレインズの初めての抗争相手であり、ベビー時代より暴力性を増したファイトスタイルと反則技に苦しめられた末に敗北、兄ジミーを半ば人質に取られた事で服従を決める。
以来、レインズから度々パワハラを加えられつつも、子分として試合への反則介入などを行い、レインズの王座保持を支えた他、ジミー復帰後は本業であるタッグチームとしてもブラッドラインに貢献する。
そんな過去があるだけに、ファミリーの一員でないにも関わらずブラッドライン入りを認められたサミ・ゼインに誰よりも反抗していたが・・・・・
双子タッグチーム”ウーソズ”の兄。
ブラッドライン結成当時は負傷しており、正式な加入は2021年5月。
加入してからは弟ジェイとともにレインズの子分として活動した他、タッグ王座の統一を成し遂げ、タッグチームとして最強格に躍り出る。
カナダ出身のレスラーで、ファミリーの一員ではない。
WWE移籍前は同郷のライバルにして盟友であるケビン・オーエンズと共に、ROHを中心に数々のインディ団体を渡り歩き、NXTでも数々の名勝負を生み出してきた実力派だったが、2020年代においては王座戦線から遠ざかっていた。
最高王座統一後からブラッドラインに擦り寄り、当初は見向きもされなかったものの、地道な献身をレインズから評価され、22年9月に”Honorary UCE(名誉兄弟)”として加入を許される。
以降、シリアスなストーリーラインばかりだったブラッドラインのコメディリリーフとなるが・・・・
ウーソズの末弟。
2021年にNXTでデビューしたばかりの新人ながら、2022年9月にブラッドライン入りする。
以降、陽気なウーソズやサミとは正反対の無口で無表情な用心棒として活躍する。
スティーブ・オースチンと共にアティチュード・エラの主役格として活躍した”ピープルズ・チャンピオン”。
当初こそレインズが保持する統一WWEユニバーサル王座への挑戦を掲げていたが、一度はレッスルマニアでの王座挑戦権を譲られた
コーディ・ローデスと対立、一転してブラッドライン入りし、これまでのキャラや活躍歴を複合した”ファイナル・ボス”に変貌する。
あまりにもオーラが強すぎたせいで、レッスルマニア当日までレインズが食われ気味だったのは内緒。
ジミーを追放し、ブラッドラインを乗っ取ったソロが呼び込んだ新メンバーの1人。
養父に80年代のWWEでも活躍したキング・ハク、義弟に後述のタンガ・ロア、実弟にヒクレオを持つ。
ファミリーと血のつながりはないものの、トンガ出身のポリネシア系のレスラーである事から抜擢されたと思われる。
移籍前は新日本プロレスを中心に活躍していた。
加入後は何故かヤイヤイ唸るタマちゃん謎キャラとなり、極悪ユニットであるブラッドライン所属ながら憎めないヒールとして認知される。
ブラッドラインを乗っ取ったソロが呼び込んだ新メンバーの1人で、タマの義弟。
タマとのタッグ”ゲリラズ・オブ・デスティニー”として長く新日本プロレスで活躍していた。
....のだが、上記の憎めないキャラとなったタマ、後述するジェイコブに挟まれたことで相対的に地味キャラとなった上、移籍直後からミスを繰り返した事で、出番に恵まれなくなってしまった。
ブラッドラインを乗っ取ったソロが呼び込んだ新メンバーの1人。
ソロを除けばブラッドライン2.0唯一のアノアイ・ファミリー。
WWE移籍前は大手インディー団体であるMLWで活躍していた。
身長188cm、体重129kgの巨漢ながら、軽々ムーンサルトできるというわけのわからない優れた身体能力を併せ持つ怪物レスラーである。
更にものすごく圧の強い声で「I love you Solo!」とソロへの愛を叫ぶ強烈なキャラと化し、ロアどころかリーダーのソロまで食いかけた。
ウーソズ、サミと再び結託したレインズに対抗するべくソロが呼び込んだ新メンバーの1人。
新日本プロレスにジョナのリングネームで参戦し、2022年のG1クライマックスで
オカダ・カズチカを破ったことで有名。
WWE移籍後はブラウン・ストローマンとの怪物対決やUS王座戦線で活躍していた。
ブラッドライン2.0の他メンバーとは出身エリアくらいしか共通点がない。
言うなればブラッドライン2.0のサミ枠
ユニットとしての経歴
レインズ復帰〜ブラッドライン結成
事の発端は2020年8月のSummerSlam。
メインイベントのユニバーサル王座戦で”The Fiend”ことブレイ・ワイアットがブラウン・ストローマンに勝利した直後に長期欠場中だったレインズが登場、ワイアットにスピアーを喰らわせる。
と同時に、パイプ椅子を持ち出してワイアットとストローマン双方をメッタ打ちにし、ヒールターンをアピールする。
翌週のスマックダウンにて、
ビンス・マクマホンによりPaybackにてワイアット、ストローマン、レインズによるトリプルスレット式ユニバーサル王座戦の開催が決定、前者2名が試合契約のサインをする中、ポール・ヘイマンと結託していたレインズは王座獲得を宣言するも、その場でサインせず。
レインズのサインが得られないまま当日を迎えたPaubackでは、レインズ不在のまま試合が開始され、ワイアットとストローマンが激闘を繰り広げる。そして、両者がダウンしたタイミングを狙ってレインズが登場、ヘイマンが提示した契約書にサインして試合に乱入すると、またしてもパイプ椅子で両者をボコボコにし、ストローマンをフォール、新ユニバーサル王者となった。
その後、レインズの従姉妹であるジェイ・ウーソがユニバーサル王座への挑戦権を獲得、Clush of Championsでの王座戦が決定する。
が、迎えた王座戦では、レインズはジェイに一切容赦しないばかりか、必要以上にジェイを痛めつけて苦しめ、最終的にジェイの兄ジミーが見ていられずにタオルを投げ込んだ事から、レインズの勝利で終わる。
が、レインズはジェイが自身を一族の長として認めなかった事を非難、続くHell in a Cellにて、I quit形式のヘル・イン・ア・セル・マッチで自身に挑戦することを強要した。
そして、試合開始から何とか善戦するジェイだったが、やはりレインズの暴力性はとどまるところを知らず、中盤以降ジェイはレインズにほぼ一方的に痛めつけられる羽目に。
あまりに暴力的な試合を前にレフェリーがジェイに降参を薦めるばかりか、これ以上の試合継続は危険としてフロント陣が試合に介入するも、レインズはお構いなしにジェイを甚振り続ける。
が、これ以上弟が甚振られるのを見ていられなかったジミーがジェイを庇った事で、レインズは正気に戻ったように謝罪し始め、ジミーが差し出した手を取る。
しかし、正気に戻ったように見えたのは、レインズの演技でしかなかった。
なんとレインズは、自分が正気に戻ったと思い警戒を解いたジミーをギロチン・チョークで締め上げ始めたのである。兄を拷問するレインズを止めるべく、ジェイは泣く泣く降参を宣言、またしてもレインズの勝利に終わった。
そして、試合の一部始終を見ていた父と叔父にしてアノアイ・ファミリーの開祖であるアファ・アノアイとシカ・アノアイから、一族の長を示すネックレスであるウラファラを授けられた事で、レインズはファミリーの長、”Tribal Chief”として認められたのである。
一方のジェイは、ジミーを守るべくレインズに服従、度々パワハラを浴びせられながらも、レインズの王座保持を援護するべく、レインズの王座戦への介入を繰り返すようになる。
ジェイとの抗争後、レインズはケビン・オーエンズ、
エッジ、
ジョン・シナ、フィン・ベイラー、
ブロック・レスナーといった指折りのトップレスラーたちを相手に快進撃を続け、2022年のWrestleMania38ではWWE王者となったレスナーを破って最高王座の統一を成し遂げた。
他方、21年の5月にはジミーが膝の怪我から回復し戦線復帰、当初こそレインズに反抗したものの最終的に和解し、同年のMoney in the Bankでレイ・ミステリオ、ドミニク・ミステリオ親子からスマックダウンタッグ王座を奪取する。
更に22年の5月には
ランディ・オートンとリドルのタッグ”RK-Bro”からRAWタッグ王座を奪取、レインズに続きタッグ王座の統一を果たした。
後、レスナーとの抗争の過程でヘイマンが昼ドラのヒロインみたいなポジになった。
サミ・ゼインの加入
レインズが最高王座統一を成し遂げた2022年、ブラッドラインに新顔が加わった。
ソロ・シコアとサミ・ゼインである。
ソロはウーソズの末弟で、21年10月にWWEの二軍格番組であるNXTでデビューしたばかりのルーキーだったが、デビュー時から無口な怪物キャラで存在感を強め、中堅王座である北米王座にも挑戦していた。
初めて一軍に顔見せしたのは22年9月のClash at the Castleでの統一WWEユニバーサル王座戦で、対戦相手であるドリュー・マッキンタイアに敗北寸前まで追い詰められていたレインズを救出、ユニット入りを果たした。
そして、アノアイ・ファミリーとは一切血縁関係を持たない、カナダ出身のサミ・ゼイン。
2020年以降のサミは小悪党系ヒールとして活動していたものの、22年年初に中邑真輔から奪取したIC王座を2週間程でリコシェに奪取される、レッスルマニア38ではコメディアンのジョニー・ノックスビルとの試合で散々恥をかかされる等、あまり芳しい活躍をできずにいた。
そこでサミは、最高王座、タッグ王座を独占し、我が世の春を謳歌しているブラッドラインに擦り寄り、おこぼれにあやかろうとしたのである。
当初は案の定見向きもされなかったが、抗争相手からの攻撃からレインズを庇い身代わりになるなどの地道な貢献を評価され、遂にはレインズ自ら”Honorary UCE(名誉兄弟)”とプリントされたTシャツを渡された事で、ユニット入りを許された。
以降、シリアス一辺倒だったブラッドラインの清涼剤的ポジションに収まったサミだったが、ジェイだけはサミのユニット加入を頑なに認めず、事あるごとにサミに食って掛かっていた。
ユニット初期に半ば強引に引き入れられ、家族にも関わらずレインズの下でパワハラ同然の扱いを受け続けてきたジェイにとって、一族の一員で無いサミがあっさり加入を許されたのが納得いかなかったのである。
一方のサミもそれを承知の上でブラッドラインに貢献し続け、遂にはSurvivorSeriesのウォーゲームズ戦にて嘗ての親友であるケビン・オーエンズに金的からの十八番ヘルヴァ・キックを喰らわせて勝利に貢献、ジェイもサミをユニットの一員として認めるに至った。
迷場面Ucey
ジェイがサミをユニットの一員と認めず、度々衝突していたとあるSmackDownにて。
タッグ戦に敗れ、敗北の責任がサミにあると激昂するジェイ、弁明しようとするサミ、ジェイを宥めようとするジミーとソロが言い争う中、見かねたレインズが説教に現れる。
それでもジェイの怒りは治らないばかりか、レインズまでも引き合いに出してサミを糾弾し続けるジェイに対し、なんとかその場を収めようとしたサミが発したのが、”Ucey”という単語である。
恐らくサミはサモア語で兄弟を示す”Uce”と発音しようとしてテンパってしまったのだと思われるが、この意味不明な単語にレインズとジェイがツボってしまい、緊張張り詰める場面は一転して和やかに。
この回以降、”Ucey”は観客の間でちょっとしたミームと化し、サミのコメディリリーフとしての人気をまた一段引き上げる事となった。
ブラッドライン分裂
しかし、大団円に終わったサバイバー・シリーズも束の間、ブラッドラインに亀裂が走る出来事が起こった。
22年最後のSmackDownにて、ジョン・シナが21年のサマースラム以来久々に出演し、ケビン・オーエンズとのタッグでブラッドラインとタッグ戦を戦うことが決定、レインズはサミをパートナーに迎えて試合に臨んだものの、シナの5ナックル・シャッフル→AAからのKOのスタナーを食らったサミがフォールされ敗戦したのである。
これにより、復帰以来の無敗記録に傷をつけられたレインズは、今までの厚遇が嘘だったかのようにサミに冷たく当たり始めたばかりか、自身に歯向かおうとしていると言いがかりをつけて異端審問に掛けたのである。
反論の機会すら与えず遂にはソロにサミを制裁するよう命じたレインズだったが、これまで散々サミに反抗してきたジェイがサミを庇い、サミのこれまでの貢献を持って弁護したことで、レインズはRoyalRumbleでの自身の王座戦でセコンドに着くことを条件に恩赦、異端審問は終了となった。
迎えたRoyalRumbleでは、レインズはサミの力を殆ど借りる事なく対戦相手であるケビン・オーエンズに勝利、試合後も他の子分たちを呼びつけて総出でKOを甚振るが、裏切ったとは言え嘗ての親友への暴行を見ていられなくなったサミは、暴行を止めるようレインズに懇願する。
が、レインズは自身への忠誠が本物か確かめるべく、サミにパイプ椅子を差し出してオーエンズを殴打する様に指示、躊躇うサミを恫喝する。
そしてサミは、背を向けた瞬間に背後からパイプ椅子でレインズを殴打、ユニットの反旗を翻したのである。
すぐさまジミーとソロがサミに制裁を加えるが、ジェイだけはサミを制裁できず、1人リングから立ち去ってしまう。
これを受け、続くElimination Chamberでサミの統一WWEユニバーサル王座挑戦が決定。
サミの地元カナダはモントリオール開催のPPVということもあり、入場時からレインズに大ブーイング、サミに大歓声が飛ぶ中始まった王座戦だったが、ジミーの試合介入とジェイへの誤爆もありレインズはサミに勝利する。
その後、レインズは今度はジェイにパイプ椅子を渡してサミへの制裁を命じ、躊躇するジェイをまた恫喝するが、オーエンズの乱入によって有耶無耶となる。
その後、ジェイは苦悩の末血の繋がった家族を選び、ブラッドラインに舞い戻る。
サミは孤軍奮闘を強いられる中、遂にオーエンズは長年のサミとの蟠りを水に流してサミを救出、サミはオーエンズとの和解を果たす。
そしてKO&サミ対ウーソズの統一タッグ王座戦がWrestleMania39Day1のメインイベントにて開催決定、ウーソズのコンビネーションに苦しめられながらも果敢に挑み、最後はサミが因縁の相手であるジェイにヘルヴァ・キック三連発を見舞い、遂に勝利。
スマックダウンタッグ王座から数えて約1年9ヶ月に及ぶウーソズのタッグ王座独占にピリオドを打ったのである。
一方のレインズは、WrestleMania39Day2のメインイベントにて、同年のロイヤルランブル・マッチ優勝者である
コーディ・ローデスと対戦、多彩な技に苦しめられつつも子分たちの介入により王座防衛に成功した。
が、タッグ王座を失ったウーソズへのレインズの心象は当然ながら悪化、続くBacklushでソロを加えたウーソズがKO・サミ・リドルとの6人タッグ戦に敗れたことから、レインズは次のPPVであるNight of Championsでウーソズを差し置いて自分とソロが統一タッグ王座戦に臨むと宣言する。
自分達が軽んじられている事を自覚しつつも、迎えた統一タッグ王座戦で試合に介入しKO&サミに攻撃するウーソズだったが、サミに放ったダブルスーパーキックを避けられてソロに誤爆した挙句、その場面をレインズに見られてしまう。
当然レインズは激昂、弁明するジェイもお構いなしに恫喝するが、なんとジミーがレインズをスーパーキックで襲撃、動揺するジェイを連れて引き上げたことでレインズとソロは敗北、その後のSmackDownにてジェイもレインズに三行半を突きつけたことでユニット分裂は決定的となる。
そして、Money in the Bankにて行われたウーソズ対レインズ・ソロのタッグ戦では、ジミーが負傷しつつもジェイがレインズをフォールし勝利、ノンタイトル戦だったため王座移動はしなかったものの、レインズは1294日以来となるフォール負けを喫してしまう。
勢いに乗ったジェイはSummerSlamでレインズの王座挑戦を表明、対するレインズも”Tribal Chief”の座を賭けて試合に臨むことを宣言する。
迎えた王座戦でジェイはレインズを敗北寸前まで追い込むものの、突如裏切ったジミーの妨害を受け、敗戦。
翌週のSmackDownにて、「お前が新たなTribal Chiefになってクソ野郎になる所を見たくなかった」という意味不明なジミーの言い分に失望したジェイは、なんと会社を辞めると宣言、観客席から会場を去っていった。
まさかジミーのこの意味不明な言い分が壮大な伏線になっていようとは誰も知る由もなかった
その後、ジェイはPayBackのトークコーナーで復帰、以降は”YEET!”をキャッチフレーズにする陽気なベビーフェイスに変貌、続くFastlaneではコーディとのタッグで”ジャッジメント・デイ”から統一タッグ王座を奪取している。
一方、ジミーはレインズが休暇に入ったのを良い事にソロとヘイマンに擦り寄り、しれっとユニットに再加入している。
ソロは、Fastlaneでジョン・シナ&LAナイト組に敗北したことをきっかけに11月のCrownJewelにてシナと対戦し勝利している。
レインズはCrownJewelにてLAナイト、翌年1月のRoyalRumbleにてLAナイト、
AJスタイルズ、ランディ・オートンを相手に王座戦を行い、いずれも勝利している。
レインズの落日
レインズが悪の絶対王者として君臨し続ける中、WrestleMania39で敗戦したコーディ・ローデスは、ブロック・レスナーや”ジャッジメント・デイ”、
中邑真輔らとの抗争を経て、2024年のRoyalRumbleで史上4人目となる連覇を達成、改めてレインズへ挑戦しようとしていた。
他方、1月1日の開催のDay1にて、アティチュード時代のレジェンドであるザ・ロックが登場、こちらもレインズへの挑戦を表明する。
レインズは当初、WrestleManiaXLにて、コーディから挑戦権を譲渡されたロックとの対戦に挑むつもりでいたが、ファンの声を受けたコーディが改めてレインズへの王座挑戦を表明したため、一転してロックがブラッドラインに加入する。(詳細は
ロックの項目を参照)
ブラッドライン入りしたロックは、嘗ての自身のギミックやTKOグループ取締役という役職を複合した”Final Boss”に変貌、時にはコーディやセス・ロリンズをアカペラ歌唱でコケにし、またある時はコーディをバックステージで襲撃するなど、文字通りのラスボスとして君臨した。
他方、ジェイはグンターが保持するIC王座に挑戦した際、試合終盤にジミーの妨害を受けて敗北を喫した事で、こちらもWrestleManiaXLで遺恨戦を戦うことが決まる。
迎えたWrestleManiaXLのDay1。
4戦目に配置されたジェイとジミーの兄弟対決は、ジェイが制した。
そしてメインイベント。
レインズとロック組は、勝利すれば翌日の統一WWEユニバーサル王座戦がレインズ側に絶対有利なブラッドラインルールで行われるという条件で、コーディ・セス組と対戦する。
レインズのスピアーがロックに誤爆するなどの危機に見舞われながらも、最終的にコーディがレインズのスピアーを喰らってダウンしたところに、ロックがロックボトム、ピープルズ・エルボーを見舞い勝利、翌日に向けた足がかりとした。
Day2のメインイベント。
前日の試合結果通り、ブラッドラインルールで王座戦が開始され、レインズを援護するべくジミー、ソロ、ロックが試合に介入、コーディに妨害を仕掛けてくる。
しかし、ジェイがジミーを、シナがソロを、そして
アンダーテイカーがロックを撃退した上、セスがレインズにとってトラウマである”ザ・シールド”の衣装で登場した事で、レインズはセスを攻撃してしまう。
結果、隙を晒したレインズはコーディからクロス・ローズ三連発を喰らった末にフォールされ、ついに
統一WWEユニバーサル王座を手放す事となった。
OGブラッドラインvsブラッドライン2.0
WrestleManiaXL翌週のSmackDownにて、これまで命令を下された時以外は事の成り行きを静かに見守り続けるばかりだったソロ・シコアが、突如ニューリーダー病を発症しジミーを攻撃して追放、族長の証であるウラファラを奪い、新たな”Tribal Chief”を自称する。
ソロは新たな味方としてタマ・トンガ、タンガ・ロア、ジェイコブ・ファトゥらを引き入れ、自身を新たな”Tribal Chief”として承認しなかったヘイマンをも粛清、同年のMoney in the Bankでのコーディ・KO・オートンを相手取った6人タッグ戦では、ノンタイトル戦とはいえ何とコーディにピンフォール勝ちするという大金星を上げる。
またこの間、タマ、ロア、ジェイコブは#DIYからWWEタッグ王座を奪取している。(その後、モーターシティ・マシンガンズに敗北し王座陥落)
勢いに乗ったソロはSimmerSlamでコーディが保持する統一WWE王座へ挑戦するが、試合終盤、WrestleManiaXL以来姿を見せていなかったレインズが”OTC”=Original Tribal ChiefのTシャツを纏って登場、ソロを攻撃してコーディの王座防衛をアシストした。
その後のSmackDownで行われたコーディ対ソロの金網戦にもレインズは乱入、コーディをアシストしたことで、ソロはレインズと対戦することを決意する。
他方、レインズはコーディをタッグパートナーに迎え、Bad Bloodでソロとジェイコブのタッグに挑み、復帰したジミーの助力もあり勝利する。
が、Bad Bloodでの勝利以降もソロ率いるブラッドライン2.0の襲撃に晒され続けたレインズは、ジェイやサミに助力を求める。
ジェイ、サミはやはり反発したものの、ジミーの説得やソロの凶行を受け、以前のような服従ではなく対等な立場での共闘である事を条件にレインズに合流、OGブラッドラインを結成する。
その後、ソロがSurvivorSeriesでの対決を見据えて新たにブロンソン・リードを引き入れたのに対し、OGブラッドラインには満を持してポール・ヘイマンが、嘗て自身がマネージャーを務めていたCMパンクを助っ人として引き連れ合流、迎えたSurvivorSeriesでのウォーゲームズマッチではレインズ率いるOGブラッドラインが完勝する。
そして、”Tribal Chief”の称号とウラファラをめぐってレインズとソロは2025年1月のNetflix初回放送版RAWで対戦、ジミー、サミ、ジェイコブ、タマに加え、ヒールターンしたKOとコーディまでもが入り乱れた試合の末、レインズがソロをピンフォールして勝利、ウラファラを取り戻し正真正銘の”OTC”ととなったのである。
以降、OGブラッドラインはレインズ、ジェイ、ジミー、サミがそれぞれ別々のストーリーへと進んだ為自然解散、ソロ率いるブラッドライン2.0はメンバーこそ変化していないものの、ユニット名を”MFT”に変更したため、ブラッドラインのストーリーはレインズのウラファラ奪還を以て、一旦の幕引きを迎えたと言えるだろう。
評価
以上のように、ブラッドラインは2020年8月の結成からストーリーが一旦の区切りとなった2025年1月に至るまで、実に約4年半もの長期間活躍し続けたヒールユニットである。
レインズの1316日に及ぶユニバーサル王座保持日数記録や最高王座統一、王座独占などの記録も勿論であるが、ブラッドラインが推しも推されぬ人気ヒールユニットとなり得た最大の要因は、所属していたスーパースターのキャラクターの元々あった一面や新たな一面を花開かせたからだろう。
よく言えば品行方正な優等生、悪く言えば無個性だったローマン・レインズがカリスマ的人気を誇る”Tribal Chief”に成長できたのも、双子のタッグチームという出自故二人セットで語られてばかりだったジミー・ウーソ、ジェイ・ウーソ兄弟がシングルプレイヤーとして花開いたのも、小悪党ヒールとして埋没しかかっていたサミ・ゼインが正統派ベビーフェイスのトップ格として復活できたのも、無口で無表情だったソロ・シコアが新たなユニットのリーダーとして個性を得たのも、ブラッドラインのストーリー故である。
長期間の王座保持や王座統一などには批判的な意見も多いものの、所属していたスーパースター達の魅力をここまで深掘りできたユニットであるという点で、ブラッドラインもまた、WWEの歴史に名を残す名ユニットであると言えるだろう。
メンバー達のその後
ウラファラを取り戻した後、5年ぶりにロイヤルランブル・マッチにて挑戦者として出場、終盤まで生き残るものの、因縁のセス・ロリンズに加え、ウォーゲームズマッチで助っ人を務めたCMパンクによって脱落させられたことで遺恨が発生、WrestleMania41で3way戦を戦うことになった。
が、試合終盤にパンク共々ヘイマンの裏切りに遭い敗戦、8月には再びジェイ・ウーソと結託しセス・ヘイマン率いるヒールユニットと抗争した。
ただ、長年患っている白血病の闘病や映画出演などによりパートタイマー契約となっている事から、今後は4大PPVの時期のみ活動するものと思われる。
ブラッドラインでワイズマンを務めていた2024年に
WWE殿堂入りを果たす。
OGブラッドライン解散後もレインズに付き従っていたが、上記の3way戦の折、ウォーゲームズ戦で助っ人を務めた事に対する”見返り”としてパンクが自身のセコンドに付く事を要求、レインズとパンクでどちらがヘイマンをセコンドに付けるかやら、セスにアプローチをかけられていた所をレインズに見られるやらで試合前から泥沼の修羅場状態に。
やっぱ昼ドラじゃねーか!
が、上述の通りWrestleMania41での試合終盤にパンク、レインズ双方を裏切ってセスの勝利に貢献、現在はセス率いるヒールユニットの参謀を務めている。
2023年のブラッドライン離脱以降の陽気なベビーフェイスキャラが人気を博し、一気にトップスターに登り詰める。実績面でも、2024年にキャリア初のシングル王座であるIC王座を、2025年のWrestleMania41では念願の最高王座である世界ヘビー級王座を獲得し、グランドスラムにリーチを掛けている。現在は再びレインズと結託し、セス率いるヒールユニットと抗争中。
こちらも2023年のブラッドライン脱退以降、トップベビーフェイスの仲間入りを果たし、2024年のWrestleManiaXLではIC王座最長保持記録を更新中だったグンターに勝利、IC王座を獲得している。サミの主人公属性とグンターのラスボス感が相まって最高王座戦みたいな雰囲気になってたが
現在はタイトル戦線から若干遠ざかっているものの、引き続きベビーフェイスのトップ格として活躍中。
上述の4人と比べると派手な活躍こそないが、2025年にはソロを裏切りフェイスターンしたジェイコブ・ファトゥと結託する予兆がある他、シングル王座への挑戦も格段に増加している。
どう見ても他より扱いが雑?言うな
ユニット名を”MFT”に変更した上で、引き続きブラッドライン2.0の面々を率いており、負傷欠場中のタマ・トンガ、タンガ・ロアに代わる新たな戦力として、元新日本プロレス所属のジェフ・コブ改めJCマテオ、ヒクレオ改めタラちゃんタラ・トンガを引き入れる。
更に、25年Money in the Bankのラダーマッチ中に自身を裏切りフェイスターンしたジェイコブとの抗争の過程でUS王座を獲得した。
元々はソロの子分の一人に過ぎなかったが、優れた体格に身体能力、異様な程のタフさ、そして強烈なキャラクターから人気を博し、WrestleMania41にてLAナイトが保持するUS王座に挑戦し見事勝利する。
現在は上述の通りフェイスターンし、ジミーも巻き込んでソロ率いるMFTと抗争中。
追記・修正は最高王座とタッグ王座を統一してからお願いします。
最終更新:2025年08月11日 01:31