プレゼント(ポケモン)

登録日:2025/08/10 Sun 21:22:59
更新日:2025/08/11 Mon 00:22:38NEW!
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プレゼントはポケットモンスターシリーズの第二世代で登場した技。




■データ

威力:効果を参照
命中:90%
PP:15
タイプ:ノーマル
分類:物理
接触:×
範囲:1体選択
効果:以下の効果からランダムに選択される。
  • 威力40の攻撃(40%)
  • 威力80の攻撃(30%)
  • 威力120の攻撃(10%)
  • 相手のHPを最大HPの1/4回復(20%)


■概要

威力や効果がランダムな攻撃技。
説明文を見る限り罠を仕掛けた箱を相手に渡すようだが、第二・第三世代では敵に爆弾をプレゼントすると書かれていた。
実際、第二・第三世代までは小袋を、第四世代以降はリボンのついた箱を投げるエフェクトとなっている。


■ゲームにおけるプレゼント

レベルアップで覚えるポケモンが第八世代まではデリバードのみ、第九世代でもテツノツツミが追加されたのみというマイナー技。
一応タマゴ技で覚えるポケモンが複数いるため、専用技というわけではない。
このように覚えるポケモンがそもそも少なく、効果も不安定なためストーリー攻略では使用しにくい。というより無用な回復が含まれているせいで、攻略の効率が非常に悪くなる。
銀バージョンでは「こおりのぬけみち」にデリバードが登場する。このプレゼントを初めて受けたときの結果で技の印象が大きく変わってくることになる。


■対戦におけるプレゼント

最大威力こそ高いものの、威力が不安定で中々に使いにくい技となっている。
相手にダメージを与えられる確率は72%しかなく、そもそも相手を回復させてしまうのも痛い。
最大威力120も同じ威力の「すてみタックル」や「メガトンキック」があり、そのほかにもノーマル物理技には「おんがえし」や「やつあたり」といった優秀な技が揃っている。
そもそも覚えるポケモンで攻撃力が高いのはグランブルとマリルリ程度。マリルリはもともとタイプ不一致であり、グランブルもタイプ変更によって不一致となってしまった。

上述のように対戦で使えるような性能ではなく、わざわざ解説するような技ではない…第二世代を除いて。


■第二世代におけるプレゼント

項目の名前を見て「ああ、これを語りたい奴が立てたんだろうな」ということに気づいた人は筋金入りの古老。
第二世代のプレゼントはダメージ計算にバグがあるため、対戦でも選択肢に入るような性能となっている。通称「プレゼントバグ」。

一般的なノーマル技のダメージ計算は以下の通り。

ダメージ = (((攻撃側のレベル×2/5+2)×技の威力×攻撃側の攻撃力/防御側の防御力)/50×アイテム補正×急所補正+2)×タイプ一致補正×相性補正×乱数補正



大事なことは攻撃側のレベルや攻撃力、技の威力が高ければダメージが大きくなり、防御側の防御力が高ければダメージが小さくなるという点。
(なお、計算の結果小数点以下の端数が生じた場合、その都度切り捨てる。また、割る数が0となってしまった場合、代わりに1で割る。)

次にプレゼントのダメージ計算を見ていただこう。


ダメージ = (((防御側のタイプ2のタイプ番号×2/5+2)×技の威力(40or80or120)×(10×ノーマル技のタイプ相性)/攻撃側のタイプ2のタイプ番号)/50×アイテム補正×急所補正+2)×タイプ一致補正×相性補正×乱数補正



通常の技とはまるで違い、なんと攻撃側のレベルと攻撃力、防御側の防御力が一切使用されていない。
要は

攻撃側のレベル→防御側の2番目のタイプ番号
攻撃側の攻撃力→(10×ノーマル技のタイプ相性) 
防御側の防御→攻撃側の2番目のタイプ番号

に置き換わっているということである。何がどうなっているのやら…
(なお、タイプ2が存在しないポケモンについては、代わりにタイプ1を参照する。)

+ ※タイプ番号
各タイプに割り振られている内部データ。ノーマル=0、かくとう=1、ひこう=2、どく=3、じめん=4、いわ=5、むし=7、ゴースト=8、はがね=9、ほのお=20、みず=21、くさ=22、でんき=23、エスパー=24、こおり=25、ドラゴン=26、あく=27


これだけでも中々にぶっ飛んだ技になっていることが分かるが、実際に与えられるダメージを見ていこう。
具体例としてハピナスがラプラス(タイプはみず・こおり)にプレゼントを打った場合

ダメージ = (((12×2/5+2)×(40or80or120)×(10×1)/1)/50+2)×1.5×1×(217~255/255)

となる。具体的なダメージは

威力40 125~147
威力80 247~291
威力120 370~435

となる。
そしてHP種族値の高いラプラスとは言えレベル50ではHPが最大でも236
威力80が出る確率は30%、威力120が出る確率は10%のため、急所率を加味するとおよそ42.7%の確率でラプラスが即落ちする。
なんか数値おかしくない?

このダメ―ジはタイプ2がこおり・ドラゴン・あくタイプのポケモンに対してのものだが、でんき・エスパータイプに対しても

威力40 114~135
威力80 227~267
威力120 339~399

となり、ほのお・みず・くさタイプのポケモンに対しては

威力40 104~123
威力80 206~243
威力120 308~363

となる。
要はニンテンドウカップ2000のルールで考える場合、タイプ1が特殊*1でタイプ2が無い、あるいはタイプ2が特殊のポケモンをおよそ42.7%の確率で即落ちさせられるということである*2
プレゼントを覚えられるポケモンにはハピナスやドーブルなど火力に劣るポケモンが複数いるが、プレゼントは攻撃力がダメージに一切関係しないためメインウェポンとして非常に相性が良い。

なお上記の計算はあくまでノーマル単タイプが使用した場合の話である*3。トゲチックが使用すると相手の防御力が2になってしまいダメージが約半分に、デリバードの場合はタイプ一致補正も無くなるため約1/3になってしまう。


使用する側としての有用性を説明してきたが、相手にプレゼントを打たれた場合の対処は実はかなり簡単。
ノーマル技を半減できるポケモン、タイプ2がかくとうあるいはひこうタイプのポケモン、ノーマルあるいはかくとう単タイプ、ゴーストタイプのいずれかで受けてしまえばよい。
ノーマル技を半減できるポケモンについては、プレゼントのダメージ計算ではなぜか相性補正が2回掛かってくる*4ため、ダメージをほぼ1/4に抑えられる。
後者の3種に関しては、単純にダメージが落ちるため*5普通に耐えることが可能。ゴーストタイプは言わずもがな。
具体的にはハガネール、バンギラス、サンダー、カビゴン、ムウマなどが適任か。かなりのメジャーポケモンが揃っているため、プレゼントに対処できないといった事態はガチ対戦では起こりにくいだろう。

なお、第二世代におけるバグとして解説したが、ポケモンスタジアム金銀やクリスタルバージョンのシングルプレイでは、このバグは発生せず仕様通りの技として機能する
どの環境でバトルをするのかを事前に聞いておいた方がいいだろう。


■ポケモン不思議のダンジョンシリーズにおけるプレゼント

青の救助隊・赤の救助隊

正面の相手にランダムなダメージを与えるか、最大HPの25%を回復する。ダメージは40、80、120のいずれか。
何とダメージが固定となり、本編の威力をそのままダメージとして使用している。最大ダメージの120が出てしまうと一撃で倒される可能性もあり中々に危険な技となっている。


時の探検隊・闇の探検隊・空の探検隊

流石にダメージが大きすぎると判断されたのか、ダメージが25、50、75に下方修正。


すすめ! 炎の冒険団・いくぞ! 嵐の冒険団・めざせ! 光の冒険団

探検隊シリーズと変わらず。


ポケモン超不思議のダンジョン

ダメージが固定では無くなり威力がランダムな技になった。


ポケモン不思議のダンジョン 救助隊DX

ポケモン超不思議のダンジョンと同じく、威力がランダムな技となっている。


■余談

ポケモンカードでは当初、デリバード(めざめる伝説)のワザとして登場。無色2エネで使える。
コイントスを3回行い、表が3回なら相手に60ダメージ、2回なら相手を30回復、1回なら40ダメージ、0回なら全回復。
1/2の確率で当時としてはかなりのダメージ効率を出すが、1/2の確率で何もしないどころか回復させてしまう。他の技もない上に進化などで他のポケモンに派生することもないので、使われることはなかった。



配布ポケモンにぴったりな技なためか、特別にプレゼントを覚えたポケモンが配布されている。2011年・2023年にはピカチュウが、2011・2012年にはタブンネが配布された。



わなを しかけた はこを アニヲタに わたして ついき・しゅうせいをおねがいする。へんしゅうがっせんが はっせいして しまうことも ある。


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最終更新:2025年08月11日 00:22

*1 攻撃技のダメージが「とくしゅこうげきりょく」によって決まるタイプのこと。第三世代まではノーマルタイプの技なら物理、みずタイプの技なら特殊というように、技のタイプによって物理か特殊かが決まっていた。

*2 一応メジャーではないポケモンには耐えるポケモンがいる。具体的にはソーナンスが威力80でも確定で耐えられる。また、シャワーズとランターンも乱数によっては耐えることが可能。

*3 タイプ2がノーマルのポケモンは存在しない。

*4 攻撃力の代わりに10×ノーマル技のタイプ相性を使用しているが、ダメージ計算の最後にタイプ相性補正が再度掛かる。

*5 レベルの代わりに防御側の2番目のタイプ番号を使用しているため、防御側のタイプ2のタイプ番号×2/5の部分が切り捨てによって0になる。