岡崎直幸

登録日:2011/04/14(木) 02:07:28
更新日:2023/07/09 Sun 00:54:58
所要時間:約 8 分で読めます。






Keyより発売された恋愛アドベンチャーゲーム『CLANNAD』の登場人物。

CV:中博史


本編の主人公である岡崎朋也の実父。
朋也を授かってすぐに妻を亡くし、以来男手ひとつで息子を育ててきた。
しかし、心労が重なったためか次第に酒と賭事に依存するようになり、息子との関係も悪化していく。
そしてついに、中学3年生の朋也がバスケットボールでの高校推薦も決まった頃、口論が原因で彼に暴力を振るってしまいバスケができない身体にしてしまった。
以降、彼は息子を「朋也くん」と呼び、他人行儀に接するようになる。


以下、AFTER STORYのネタバレあり






















実は見た目と前半の扱いからは想像もつかないが、key作品史上屈指の涙腺クラッシャーである。

朋也はとふたりきりの旅行先で、岡崎史乃(CV:麻生美代子)という老人と出会う。
彼女は直幸の母だった。
知人からのすすめで、史乃は朋也にかつての直幸のことを話し始める。


直幸とその妻は学生結婚だった。
幼い朋也と3人での生活は、大変ながらも幸せなものだった。
だが、それはある日突然、妻の死という形で壊れてしまった。

その時、彼は決意する。

「朋也は……こいつは、俺が立派に育ててやる」


だが、現実は厳しかった。
男手一つで仕事、家事、子供の世話をするのはあまりにも大変だった。

だが彼はそれを続けた。
子供を育てる、その決意だけを胸に抱いて、彼は働きつづけた。

それでも心労はつのる一方で、やがて酒や賭け事に手を出すようになる。これが彼の堕落の一歩だった。
朋也が一人前になったとき、彼はすべてを失っていたのだ……





いったい直幸はどのような思いで朋也を育ててきたのか――

直幸は自分の息子を傷付けてしまう。
口論し、暴力を振るった。振るった後に後悔しても遅かった。
朋也はその怪我が原因で肩が上がらなくなり、推薦入学が出来るまでに夢中だったバスケットボールができなくなってしまった。
自分の息子の夢を、絶ってしまったのだ。

この頃から彼は自分の息子を「朋也くん」と呼ぶようになる。他人として接し、「話相手」とまでいうようになった。
彼はこの時、こう思ったのかもしれない。

「俺は、朋也の親として失格だ」と。


しばらくして朋也が家から出た後、彼はそれまでと同じように酒や賭博に耽った。ついには騙されて犯罪者になってしまう。
それは朋也が就職し、より良い会社に行く話があった矢先であり、そのせいで朋也はその話を引き下げられてしまった。
朋也は恋人のに連れられ、刑務所の面会室にて自分の父親に面会する。
その時、彼から出た言葉は糾弾だった。

「なんで、あんたは俺の邪魔ばっかするんだ!!」

ちなみにテレビアニメ版では、朋也が直幸に対して激怒するのが「直幸が他人に接するような弱々しい笑顔をした瞬間」になっている。
これは作品全編で一貫している。さすが京アニ細かい。







その後、彼が刑務所暮らしをしている間、朋也は結婚し、子供のをもうけ、そして妻を失った。

さらに5年後(この間に直幸は出所したとみられる)、渚を失ったショックで、朋也は渚との過去をなかったことにしようとした。
たった一人の娘は渚を思い出させるばかりで、そんな汐を古河家に預けっぱなしのまま、5年間ひたすらに働き続けた。
賭け事・タバコ・酒にも手を出しつつ、自動人形のように働き続けた。
しかし、史乃との出会いによって、朋也は自分がかつての直幸と同じ立ち位置にいることを自覚し、直幸への思いを改める。
すべてを聴いた朋也は汐と同じ目線で向き合って謝罪し、2人は家族として一緒に生活していくこととなった。


朋也は町に帰ると、自分の父親の所に戻り、言葉をかけた。
(テレビアニメ版では、汐も連れて直幸のもとへ向かっている)

「あんたはもう十分にやり遂げた。俺をここまで立派に育て上げてくれたじゃないか……
なけなしの金で、自分の分を削ってまで、俺におやつやおもちゃを買ってくれたじゃないか……!
だから、もう故郷に帰ってさ……休めよ。」

ずっと決意を自らの手で壊し、息子の夢や未来を二度も邪魔し、父親失格だ、俺は朋也の家族なんかじゃない……そう彼は思い続けてきた。
ぼんやりと、直幸はつぶやく。


もう、いいのだろうか……
俺は……やり終えたのだろうか……

朋也はうなずいた。もう十分だと。

直幸は、朋也が彼の苦労を知り、同じ場所に立ち、それをねぎらうことで、とうとう報われたのだ。
翌日、荷物をまとめた直幸は、史乃のいる実家へと帰っていった。
(テレビアニメ版では、直幸の背中を見送るなか、汐が光の玉を空に見ている)

こうして朋也と直幸は新たな生活を送っていくことになる。
しかし、朋也と汐にはさらなる悲劇が待っているというのは、また別の話。
(詳細は岡崎汐の項目を参照のこと)





息子に疎んじられ、社会から見放されて、遂には犯罪者にまで墜ちてしまった直幸。

しかし、亡き妻とかつての自分との誓いの為に、ボロボロになりながらも息子の傍に居続けた彼は、
朋也が同じ思いを胸に彼の前に立った事で決着がついたのだと思う。

彼もまた、『CLANNADは人生』という言葉を形作る一人だろう。




智代アフターのラストエピソードでも登場している。
智代ルートの後日談なので登場シーンも短く和解こそ出来なかったが父親として朋也を思う姿を垣間見る事が出来る。


以下、劇場版のネタバレあり


















劇場版では、妻を亡くした悲しみのなかで、幼かった頃の朋也をかまってあげられなかったことが語られている。
実際、バスケができなくなる前から親子仲が険悪だった描写がある。
朋也がバスケをできなくなった理由の大枠は原作通りだが、直幸が酔っ払って帰宅した際、朋也にお土産を渡そうとしたが反発され、
逆上して突き飛ばしてしまい、その時に割れた窓ガラスが朋也の肩の筋肉の筋を切ってしまった、といった感じになっている。
こうして、もとから険悪だった関係は、取り返しがつかないほどに冷え切ってしまったのだ。
直幸は、自分の息子を「朋也くん」と呼ぶようになった。
朋也は、直幸を自分の傍に決して寄せ付けようとはしなくなった。

そんな自分と同じように渚を亡くし、5年間も汐と会おうとすらしていなかった朋也を諭そうとする。
(ちなみに劇場版では、直幸は犯罪を犯してはおらず、普通に仕事をしている)
それを突っぱねようとする朋也に、直幸は強い口調で指摘する。

そう、それじゃ私とおんなじだっ……
母さんが死んで、お前に寂しい思いをさせた私とおんなじだ!

自分の非運を嘆いて過ごしているうちに、朋也はずっと遠くへ行ってしまった、気づいたときにはもう遅かった、そんな自らの罪を語っていく。
衝撃を受けながらもなお突き放した態度を取ろうとする朋也に、直幸は土下座をして許しを乞う。
最終的に直幸を追い返してしまうが、朋也は一人きりの寝室から直幸を眺めつつ、絶叫のような慟哭を上げるのだった。

直幸はこのままではいけないと、祐介と公子のもとへ赴き、朋也を大人にするべく協力を仰ぐ。
その結果計画されたのが、祐介・公子・春原・智代・杏・古河夫妻、そして汐を交えた合宿である。
直幸は合宿にこそ参加しなかったが、合宿先の部屋の予約をするなど、陰から計画を立案した。
半ば拉致されるような形で列車に乗った朋也は、祐介にこの計画を立てた人物が誰なのかを質問するが、祐介は答えなかった。


いつかわかる時がくる。
お前が大人になれば、必ず。


原作とは違った形で、父親としての役目を果たしたといえる。
朋也が精神的にも大人になって汐と向き合い、直幸とわかりあえる日がくることを祈らずにはいられない。



原作ファンからは辛い評価も聞こえた劇場版であったが、直幸については原作以上にいいキャラになっていると評価する声が大きい。




俺は、…追記・修正…、…やり遂げたのか…?

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最終更新:2023年07月09日 00:54