声優(職業)

登録日:2012/06/12 Tue 18:04:44
更新日:2025/07/27 Sun 02:44:41
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声優(せいゆう)とは職業の一つ。
アニメ・ゲームのキャラクターの声を演じたり、テレビ番組のナレーション、洋画の吹き替えなどを行う俳優のこと。
アニメ・ゲーム・吹き替え映画が文化産業として確立しつつある現代社会においてはかなり需要のある職業であり、一般の認知度も上がりつつある。



概要

読んで字のごとく声を使って演じる職業であり、動いている映像にあたかもそのキャラクターや人物が話しているかのように声を当てなければならない。
単に台詞だけ言えばいいわけではなく、絵に合わせて息を呑む、苦悶の声を上げるなどアドリブも必要だったり、キャラの見た目や性格に合わせて声色も変えなくてはいけないなど、身体を使わない代わりに声を自在に変えることを要求される職業なのである。
台詞を喋らず、動きだけで全てを表現するスーツアクターとは対極の存在と言える。

顔出しの俳優と違って容姿に左右されないため、子供から老人の役を一人でこなしたり、性別や肌の色が異なっていたり、人間以外のキャラクターすらも演じられるのも特徴。

著名な声優たちについては、このアニヲタWikiには様々なWiki篭りがまとめた各 声優項目 がある。是非ともそちらを参考にして欲しい。


実は、最初から「声優」という職業があったわけではなく、当初はラジオドラマ専門*1の役者を、当時流行の海外ドラマや映画の吹き替えに起用し始めたことが始まりである。
故に声優になるには当初、俳優からの転身、と言うよりは兼業化するのが一般的だった。それはさらに当時の俳優にとっては屈辱的な役割でもあった。

上記の通り、アニメが日本の産業において大きな存在感を示すようになった昨今では、声優という職業に求められているイメージも役割も変化している。
ただキャラに声を当てるだけでなく、声優個人、あるいは声優達だけで結成されたグループが実際に舞台やステージに立って大規模なライブを行ったり、場合によっては演じたアニメのキャラクターとは関係なく、その声優本人を前面に押し出したコンテンツや商品が作られたりすることもあるなど、
もはや声優という職業そのものがある種のアイドル及びタレント的な存在のように扱われているのも事実である。
今や一般的な俳優、お笑い芸人・タレントなどと共にバラエティ番組などに出演するといった光景も珍しくなくなり、タレント同様顔出しの冠番組を持つ者まで現れた*2
アニメ・吹き替え映画・ゲームなどに興味がなくとも、声優という職業は知っているなんて人もいる事だろう。

一方で業界関係者の中には、この声優のアイドル・タレント化に関して疑問を抱いている人物たちも存在しており、「声優とはあくまでも裏方や役者であって、アイドルなどではない」と苦言を呈する者も多い。
特に古株のベテラン声優に多く見られ、彼らは声優が上記のような声優としての範疇を超えた活動に傾倒する事、そして業界全体が声優をそういう物のように扱う事に対して否定的だったりする者も多い。
一部のアニメファンからも、「演技力として関係ない部分ばかりが注目されて、演技力や声の個性が重視されなくなっている」と指摘する声もある。

だがベテラン声優や一部のアニメファンたちがどれだけ苦言を呈そうが、今の世の中においてはもはや声優というのはそういう存在であり、アイドル・タレント活動ができない声優は(よほど突出した能力がない限り)到底生き残れないというのが現実なのだが。
過去に皆口裕子が「芝居は好きだけど顔出しは嫌だから、顔出しせずに芝居ができる声優の道に興味を持った」と語っていたのは非常に有名な話だが、
今の世の中ではそんな事を安易に言う新人声優は「え? 顔出しできないの? じゃあ君もう帰っていいよ。君の代わりなんて他にいくらでもいるから」などと門前払いされ、オーディションすら受けさせてもらえないかもしれない。

近頃は声優という職業自体の偶像化、及びその声優が演じたキャラクターと声優自身の同一視化の流行に伴い、声優個人の交友・男女関係に敏感なファン、自分がその声優に抱いているイメージに対して強いこだわりや恋愛感情のようなものを持つファンも増加傾向にある。
とりわけ、そういうファンはストーカーや(主にSNSで)セクハラまがいの行為を行っていたり、その声優が誰かと交際・結婚したりすると過剰なまでに騒ぎ立てたり、中には裏切られたと思い込んで勝手に反発するというケースも少なくない。
度が過ぎて、声優や事務所などから警告を受けたり、さらには開示請求されて損害賠償を請求されたり・逮捕されて実刑判決を受けた者もいる。なので絶対に行ってはいけない。
竹達彩奈はバラエティ番組に出演した際、事務所の方針で30歳を過ぎてからでなければ結婚ができない契約になっているという衝撃の事実を明かしている*3
一見横暴とも取られかねないが、これも声優のアイドル化・タレント化が急激に進んでいる事から、事務所側が「ファンの夢を壊さないように」「声優に変な危害が及ばないように」と配慮したからなのだろう。
だからと言って声優たちに「結婚をするな」などと言うわけにもいかないので、妥協案として「30歳まで」という方針を声優達に提示したものと思われる。

日本のアニメが世界的に注目される現代では、海外でも高い人気や知名度を持つ日本人声優も少なくない他、日本で活動する外国人声優もいる。
一方で、不用意に政治的な発言・行動をしたり、特定の国にとって不都合な内容の作品に出演した結果、海外で炎上したり、海外資本の作品を降板させられるケースもある。
これからの声優はグローバルな職業であるという意識を持つことが大切でといえる。


仕事内容

昔とは逆転するように、現在では主にアニメやゲームに声を吹き込むこと(アフレコやアテレコ)が仕事だが、映画や海外ドラマなどでの吹き替え、キャラクターCDやユニット、またはソロとしての歌唱、番組でのナレーション、Vtuberなど多岐に渡る。
また、ナレーションを務める声優も多い。後述のギャランティの問題もあり「声優をしないナレーター」は多いが「ナレーターをしない声優」はほぼ皆無である。
ただ、俳優と声優の境界は曖昧であり、俳優もする人もいれば、声優しかしない人もいる。
また声優の中にもアニメやゲーム中心に活動する人もいれば、アニメやゲームにはあまり出演せずに吹き替えをメインでやる人など、声優の在り方も様々。
ちなみに昔は「声優は俳優でもある」という認識が一般で、かつては「声優は売れない俳優がやるアルバイト」とも言われていた。

分業化が進んでいるとはいえ、舞台やドラマで俳優としても活躍する声優も未だ多い。
というか近年では高木渉津田健次郎のように俳優業で注目を受ける人もいる。
ロボット・AI・動物(の声)を演じる場合など、実写ドラマに声優が声だけ出演するというパターンもある。

ちなみに、アフレコとアテレコという言葉にも違いがある。

  • アフレコ:「映像作成→声を吹き込む」の順。
映像を先に撮り、音声は後で録るということ。「アフターレコーディング」から「アフレコ」となった。

  • アテレコ:「元からある映像に台詞そのものをあてる」こと。
最初からある元の映像に、台詞を変えて(例えば英語→日本語訳にする等)、後から吹き込むこと。「当ててレコーディング」から「アテレコ」となった。例として洋画の吹き替えなど。

つまり、台詞の当て方の問題である。もっとも、最近はアフレコに統一され始めているが。


目指し方

声優になる方法は1つだけではない。
どの方法を使うかはその人が置かれている環境やどのようなジャンルの声優を目指すかによって変わる。
なお、ここに載っている例はあくまでも参考程度のものであり、声優になることを保証するものではない。



厳しい現実

一見華やかな職業だが、世の中そんなに甘くない。

星の数ほどいる声優志望者の中でも、アニメやゲームなどのメジャーな仕事を受けられるのはごく一部であり、レギュラー作品を持っている声優になるとさらに減る。
おまけに生涯に渡って安定した収入が得られる人物は、そのさらに極々一部だと言っても過言ではない。

桑原由気は自らの著書において
声優は4000人近くいるが、それだけで食べていけるのは300人
という過酷な実情を明らかにしており、自身もアルバイトをしながら声優業をこなしている事を公言している。
上記の山田康雄はかつて、日々の食事をコロッケ一個だけで凌ぐ生活を続けていたという逸話も。
さらに上記の永井一郎は文藝春秋社の『オール讀物』という雑誌に「磯野波平ただいま年収164万円」という記事を掲載し声優の待遇改善を求めたという話がある。

また、花江夏樹はテレビのバラエティ番組に出演した際、
「収入が安定しておらず、毎日就活してるようなもの。それは大御所のベテランといえども決して例外ではない」
などと過酷な実態を明らかにしている。

またどんな職業にも言える事だが、仮に才能があったとしても常に努力をしないと実を結ばないという職業でもある。
作品の世界観や役柄によっては演じ分けやアドリブ、外国語や方言といった柔軟な対応力も求められる。

さらに最近ではテレビ番組や楽曲のプロモーション、顔出しでのメディア露出のニーズから、容姿や歌唱力、果てには声優と直接関係ない技能*9も重要視されている。
所謂「アイドル声優」などと呼ばれるもので、演じるキャラクター同様に声優自身のパーソナリティが魅力的かどうかという点にも注目が集まりがち。
またアーティスト活動においても、コンテンツとのタイアップで「演じるキャラクターの声で歌う」技能を要求されるケースが増加傾向にあり、売れっ子声優の中には歌の為にわざわざボーカルスクールに通ったという人もいる。
……もっとも、制作スタッフが匙を投げる上に本人も歌う仕事を嫌がるほどの音痴の人や、「僕が素顔を出すとみんなショックを受けるんですよw」なんて人もいるっちゃいる。
だが大御所のベテランならともかく、他に特徴のない新人や若手がそんな事をしたところで、「あー無理なの? じゃ帰っていいよ。おーい、今抜けた人の代わり集めてきてー」と呆気なく現場から叩き出されて終了だろう。

また、アイドルとしての需要、キャラクターとの一体感を出せる事などから、若い人材が求められやすい。
遅咲きの声優もいるにはいるが、若ければ声優として芽が出なかった時も進路の修正がしやすいので、本気で声優を目指すのであればなるべく若いうちに行動する事をお勧めする。

しかし、声優の多様化・アニメやゲームの浸透によって「アニメ声だから」「俳優やアイドル目指すより簡単になれそう」「オタクだから」「一般の職に就きたくない」
といった甘い考えから業界を志す若者も増えており、結果的に当然と言わんばかりに夢を絶たれるケースも年々増えている。
このような甘い考えから業界を志す風潮に対しては、ベテラン声優のみならずアニメ監督である富野由悠季も苦言を呈している。
もちろん、上記の理由を「声優を目指すきっかけ」として挙げるプロも珍しくないが、あくまでもきっかけだけであり、それだけではプロになる事はとても困難。
アニメ声を出せる人間なんて声優学校の1クラスだけ見てもわんさかいるし、雇われのサラリーマンさえ務まらないような人間がやっていける業界ではない。

志村由美は声優業の引退を自らのブログで報告した(現在は閉鎖)際、
声優というのは一見華やかに見えるけど、全然そんな事は無い。
一般企業と同じで物凄く辛くて大変な事ばかり。
中途半端な気持ちで目指す事だけは、絶対に止めておいた方がいい。
などと警告を発していた。

また、声優のアイドル化や社会的な認知度の向上に伴って、世間が声優のスキャンダルに敏感になっていることも注意が必要。
昨今では芸能タレント同様、人気声優のプライベートの写真が週刊誌に流出なんてことも珍しくなくなってしまった。
これの延長で不祥事や過去のヤンチャが発覚すると、今後の活動にも悪影響を及ぼしてしまう。

それから声優を目指す人が大切にすべきもの。それは自分の身体
身一つで仕事をこなす都合上、心身ともに消耗が激しい職業でもある。なので日々の体調管理は怠らないようにしてほしい(声優に限らず、社会人であれば基本でもあるが)。
特に大事な商売道具である「喉」周辺のケアはかなり重視される。何せ喉が枯れただけで仕事にならないのだから。
が、意外な事に個人差も激しい。
  • 喉の乾燥を防ぐ:加湿器を置く、常にマスクをする、こまめな水分補給など。
  • 喉に刺激がある物を控える:酒やタバコ、辛味のある食品、硬い食品など喉に膜を作る食品を控える人もいる。
といったケアをしっかりする人もいれば、
  • 仕事の時以外は特別なケアをしない:ただし、最低限壊さないようには気を付ける。
  • 酒もタバコもするし食事も特に気にしない:特にベテランに多い。
といった人も普通にいる。
自分の体質や思想と相談して、無理のない範疇で行うと良い。事務所やスタッフの指示がある場合は、そちらに従おう。

また狭い世界であるため、共演者やスタッフ、マネージャーとの協調性も非常に重要視されており、態度が悪かったり仕事がやり辛かったりと判断されれば才能豊富な逸材だったとしてもバッサリ切り捨てられたりもする。
切り捨てる際も「こいつ性格悪いから次呼ばなくていーよね?」と、軽いノリで決まってしまう可能性も(もっとも、これは声優以外にも言えるが)。
現場での共演がきっかけでプライベートでも仲良く……とか、これをきっかけに付き合い始めてそのまま……というパターンが多いのも協調性が求められる(=どうしたって現場で仲良くなる)からだろう。

また上記でも記した通り、専門学校に通うだけでも最低50万円はかかるなど、初期投資の資金もそれなりに必要。
相当の意志があるか、家族に理解があるか、実家が裕福でもない限り、これだけの金額を出すのはかなり厳しいだろう。

俳優との決定的な差はやはりギャランティの額と拘束時間だろう。
30分番組を1本吹き込んだあたりの給料は約1万円から3万円+再放送料などを入れて×1.8(目安)であり、一番安いのがラジオで、アニメ、ナレーション、CMといった順に単価が上がっていく。
また30分番組の収録時間は大体2~3時間、長くても半日程度で、劇場版でも1日で終わる事が多い。
このほかにも出演作に関連したイベントへの出演などのケースもあるが、こちらもまたギャランティ事情は異なる。

なおアニメのギャランティはキャリアによって変動し、台詞が1行でも50行でも1本分のギャラは基本的に変動はないことが多い。
しかし、所謂「大御所」レベルの声優はほぼ言い値でギャラが決まることがある(といっても限度はあるだろうが)。週一のレギュラー長寿アニメくらいしか仕事のないベテラン声優が十分生活していけるのはこのためである。
一方でこのシステムによる弊害として、予算に対して高額すぎるギャランティを理由に、安定した技術を持ったベテランが呼ばれなくなるケースもあるようで、三ツ矢雄二などのベテラン声優がその辺りの事情について赤裸々に語っている。

ドラマや映画ならば製作費用の大半が人件費に費やされるのに対して、声優へのギャラは元々予算の少ないアニメでもそのおよそ1~2割ほどで収まることが多い。
ただし、テレビ番組のナレーションやタレント契約扱いとなるCMのギャランティは別格であり、番組によってはタレント並に支払われることもある。
ゲームやパチンコなどもこれらとはまた事情が異なり、「ワード数」と呼ばれる単位を基準にギャランティが計算されるため、アニメなどよりも拘束時間ごとの報酬が総じて高くなりやすい。

また所謂18禁作品の出演料は一般作品のよりも高く、知名度が低い声優が「裏に行きそう」と言われることもある。
ただ、そういう作品では基本的に濡れ場を含めてキャラクターを魅力的に演じることが求められるため、裏をメインに活動している声優は総じて演技力が高い傾向がある。
名前は知らないが演技は上手い、と思った声優が実は裏メインだった……というのはよくあることである。
もっとも、実はR-18作品と全年齢作品で別名義を使い分けている著名声優も多いため、18禁作品の声優=無名の声優とは限らない。
なお、こういった別名義と紐づける行為はマナー違反だと感じる人もいるので、事実を知ってしまった場合は胸の中にしまっておこう。騒ぎ立てたっていい事はないのだから。

また、アルバイトなどの副業と掛け持ちしながら声優を続けている人もいるが、むしろ副業の方が稼いでいるような声優もいる。
最近、実家が裕福な声優が目立つようになってきたのも、そうでないと生活していくのが厳しいというのもあるだろう。
白石文子は声優として仕事をもらえて忙しかったにもかかわらず、引退して実家に帰っているのだが、その理由として「声優業だけではとても食べていけないから」}だと明かしている。

……とここまで色々書いてきたが、

『好きこそ物の上手なれ』

厳しいけど、好きだから色々頑張れるというまさにそんな人がなれるような職業だろう。
テレビ等で紹介されている華やかな部分も事実の一つであり、中には豪邸を建てた声優もいる。
他の芸能関係の職業同様、まさにハイリスクハイリターンな職業である。大塚氏曰く「ハイリスクローリターン」

ただ、大御所たちの多くは「声優」という職業を認めていない。
「声優」とは「声優業」であって、あくまで「役者」の一部分に過ぎず、それが全てであると思われるのはかなり抵抗があるらしい。
古来より声優と舞台俳優の結びつきが強いことから、昨今では声優を志す若者が安易な考えで舞台の世界に飛び込もうとする風潮も見られるが、上述の理由から大御所やベテランはそんな風潮に対しても苦言を呈している。
その背景には顔出しでなかなか売れず、同時期に俳優として大成した者との圧倒的な待遇の差を味わった苦い過去が影響している。


フィクション作品における声優

  • ゆにまる。(夏とレモンとオーバーレイ)
主人公の女性声優。本名は「西島沙樹」。
年齢は不明だが、作中での「高卒後7年経つけど」という本人のセリフから25歳前後だと思われる。
声優業だけでなくYouTuberとしても活動している。
事務所に所属しているのかフリーランスなのかは明確に描写されていないが、作中で事務所を介さずに直接仕事の契約をしている描写がある事から、フリーランスの可能性が高い。
あるいは養成所を卒業したものの、どこの事務所とも契約を結ぶ事が出来ず、フリーランスとして声優としての活躍の場を求めたのかもしれないが。

だが声優になる事を夢見て高卒後すぐに上京し、晴れて声優としてデビューするものの、
◆仕事が全然もらえない
◆生活費がいつもギリギリ*10
コンビニのバイトとYouTuberとしての収入で、辛うじて食いつないでいる
◆両親からは声優を続ける事を反対されており、実家に帰ってこいと執拗に迫られている
などといった声優という仕事の負の一面が、作中においてこれでもかというくらい明確に描かれている。

作中での描写を見た限りでは、プロの声優としての確かな技術と歌唱力はしっかりと持ち合わせているようだが、そもそも声優というのはそういう連中がごまんといる世界であり、それだけでやっていけるような甘い世界ではないという事なのだろう。
代わりの声優なんて掃いて捨てる程いる今の業界において、容姿が平凡で他に何の特徴も武器も無い彼女が、声優としてクライアントから仕事を貰えるのかと問われると……
そんな中、彼女の生配信を観たという金持ちの令嬢から、「成功報酬50万円&何らかの理由で拘束した場合は追加で時給3000円」という破格の報酬*11を提示され、
「私はもうすぐ死ぬ予定なので、葬儀の場で遺書を読んでもらえませんか?」という破天荒な依頼を受け、疑心暗鬼になりながらも元々生活苦に陥っていたという事もあり、多額の報酬に釣られて受諾する事になったのだが……

  • 高良木ひかる(あかね噺)
上記のゆにまる。とは全くの正反対で、アイドル声優として確固たる地位を確立している女子高生。芸名なのか本名なのかは不明。
ある人気アニメの主役に抜擢された事と彼女自身の美貌によって、多くのアニメファンたちからの絶大な人気を誇っている。

大手の事務所に所属し、他の声優たちが羨む程の多数の仕事の依頼が舞い込んでいる人気声優なのだが、それらは全て「彼女の演技力ではなく容姿が評価されてのもの」だという事が作中で明確に描写されている。
今の世の中、声優は演技力だけでなく容姿も重要視されている、アイドル活動が出来ない声優は到底生き残れないという事を明確に描写していると言えるだろう。

この件に関してプロの落語家の1人が、
華があり過ぎるのも考え物だな。これでは観客は作品を楽しむどころではなくなってしまう。
などと苦言を呈していた。

彼女自身もその事に危機感を抱いており、落語家業界のトップに君臨する阿良川一生に認めてもらう事で、容姿だけに頼った上っ面な声優ではなく、実力派の声優として周囲に認めてもらう為に、阿良川一生が主催するアマチュアの学生の落語大会である可楽杯に参加する事になった。

なお、可楽杯には彼女以外にもプロの声優が多数参加していたらしいのだが、決勝まで生き残れたのは彼女1人だけらしい。


余談

2022年になって邦画業界において、女優たちによる「ある有名監督に枕営業を強要された」との告発が相次いだ事で大騒動になってしまった。
これは声優業界でも当てはまるのではないかとの声も当然出ているのだが、音響監督の長崎行男はその事実を真っ向から否定している。

仮にそんな経緯で技術の無い女性声優をキャスティングしてしまうと、経緯が経緯だけに関係を切れなくなってしまう。
その女性声優が何度もNGを出してしまうと、キャスティングをした監督やプロデューサーが責任を問われる事になってしまう。
少なくとも僕には怖くてできないですね。

また、現代のアニメは製作委員会方式で作られており、監督・プロデューサー・スタッフ・原作者が存在する作品ならば原作者も交えての綿密な話し合いによってキャスティングが決定されるので、いかに監督といえども個人の一存だけでキャスティングを勝手に決める事はできないようになっている。
なので、そもそも声優業界において枕営業の入り込む余地は微塵も無いとの事。



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最終更新:2025年07月27日 02:44

*1 というかそれくらいしか仕事のなかった。

*2 背景には、2020年にビデオリサーチの視聴率調査のリニューアルが行われ、テレビ局が視聴者層の若返りを目的とした改編が行うようになったこともある。

*3 後に声優の梶裕貴と結婚。また、全ての事務所で同様の契約が結ばれているとは限らない。

*4 ただし年間20万円以上の収益が発生した場合は、確定申告をして所得税を支払う必要がある。事務所に所属する声優は事務所側が源泉徴収と年末調整をやってくれるので、基本的に確定申告は必要無い。

*5 部外者から忌避されがちな大人の事情も、内部の人間であれば味方になり得る。

*6 服巻浩司。ちなみにその従姉妹は田村ゆかり。

*7 若本規夫。曰く「(よせばいいのについ)上司をぶん殴ってしまった」。

*8侍戦隊シンケンジャー』から生身パートのみそのまま同時録音になった。変身後がアフレコなのは同様。

*9 高学歴、高難易度の資格持ち、スポーツが得意、ゲームが上手い、絵が上手い、楽器演奏ができる、作編曲スキルがある、その他珍しい趣味を持つなど。

*10 「そろそろ卵以外のたんぱく質を摂りたい」などと愚痴をこぼしたり、真夏にエアコンをつけずに扇風機で涼を取っている描写がある、家賃や税金、公共料金の支払いに追われているなど、相当困窮している事がうかがえる。

*11 依頼主の女性曰く「プロの声優への依頼の相場がよく分からなかった」との事。