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尾形百之助

登録日:2024/01/23 Tue 23:33:53
更新日:2026/04/24 Fri 21:23:53
所要時間:約 8 分で読めます






…お前達のような奴らがいて良いはずがないんだ



命を穿つ孤高の狙撃手

尾形(オガタ) 百之助(ヒャクノスケ)

尾形百之助とは、漫画『ゴールデンカムイ』の登場人物。

プロフィール


所属:帝国陸軍北海道第七師団・歩兵第27聯隊(狙撃手)
階級:上等兵
誕生日:1月22日
出身地:東京府生 茨城県出身
好物:あんこう鍋、赤飯
嫌い:しいたけ、パン
CV:津田健次郎
演:眞栄田郷敦


概要

大日本帝国陸軍第七師団所属の軍人で、階級は上等兵。
劇中で杉元とアシㇼパさんが最初に交戦した第七師団の兵士でもある。

物語初期は鶴見中尉率いる小隊に所属していたが、間もなく数人を伴って鶴見陣営から造反。
以後も杉元、土方と所属する陣営を転々としながら、アイヌの隠した金塊争奪戦に加わる。
ツーブロックの似合うイケメンかつ、状況を掻き乱すトリックスター的な活躍やその凄惨な過去に起因する拗らせっぷりからゴールデンカムイでトップクラスの人気を持つ。

容姿

初登場時は他の軍人と同じ坊主頭で、全体的に覇気のない地味な印象だった。そのため「序盤の雑魚」という愛称でネタにされることもある。

しかし鶴見中尉を裏切り再登場した際には髪を伸ばしたツーブロック姿に変化*1。杉元に返り討ちにされた際の手術痕も頬に残っており、猫のヒゲのような形状になっている。これにより初期と印象が大きく変わり、「個性的な美形」として描かれるようになった。

性格

冷静で無口。
また、かつての戦友であっても躊躇なく射殺出来る精神を持ち、目的を遂行するまで耐え忍ぶ忍耐力と狙撃に絶対的な自信を持つプライド高い性格で、総じて狙撃手としての適正が高い性格と言える。
真意を語ろうとしない性ゆえか、読者目線でも彼が何のために金塊を狙うのか一切が不明であり、杉元からは「一度裏切った奴はまた裏切る」と全く信用されていない。

そんな尾形であるが、「バァチャン子の俺にそんなことをさせるな」とアシㇼパさんのフチ(おばあちゃん)に危害が及ぶ手段を嫌がったり、発砲音によって自身への狙撃リスクを生みかねない状況でも仲間を援護し離脱の機会を作るなど、単純に合理だけでは割り切れない行動も見せている。


出自

日露戦争当時の第七師団師団長・花沢幸次郎中将と、芸者であった妾・尾形トメとの間に生まれる。
しかし花沢中将は本妻との嫡子・花沢勇作のみを愛し、尾形と母は事実上見捨てられる形となった。
その後は茨城で母方の祖父母と母に育てられる。
祖父は尾形に鉄砲を教えた人物であり、祖母は日々の食事を与える存在だった。

母は花沢中将に捨てられた衝撃から精神を病み、旬の季節になると尾形が鴨を獲ってきても毎日のようにあんこう鍋を作り、ひたすらに花沢中将の帰りを待ち続けるようになる。
のちに母は「あること」が原因で死亡。祖父母も尾形が軍へ入隊する頃には行方知れずとなった。

後に花沢中将は日露戦争における責任を取る形で自刃。勇作も戦死し、花沢家の直系は断絶。
現在、陸軍内には花沢中将の血を引く存在として尾形を担ぎ上げようとする動きもあるが、本人の意向は不明である。

戦闘力

銃の扱いに長けた狙撃手であり、300m以内であれば確実に頭を撃ち抜くと豪語するほどの腕前を持つ。実際に長距離からの精密射撃、移動目標への即応射撃、遮蔽物越しの貫通射撃(窓二枚抜き)など、高度な狙撃描写が多数存在する。

また単なる精度だけでなく、

  • 風向きや地形を読む観察力
  • 相手の心理や行動を先読みする判断力
  • 狙撃位置を即座に切り替える機動性
  • 銃器の構造理解(ボルト抜き取り等)

といった総合的な戦闘技術に優れている。

樺太編ではロシア軍狙撃手ヴァシリとの高度な読み合いを制しており、単純な腕比べだけでなく「忍耐と計算」を含めた狙撃戦にも強い。狙撃において作中最強と評して相違ないだろう。

一方で白兵戦においては、不死身の杉元や屈強な兵士である月島軍曹のような前衛型と比べると分が悪い場面が多い。実際に杉元との初戦では手も足も出ずに重傷を負わされている。(杉元が作中最強格という事情もあるが…)

活躍

邂逅

第七師団員として刺青の囚人・笠原勘次郎を追っていた所、既に杉元達に捕まっていた笠原を信じ難い長距離狙撃で射殺。杉元達と初交戦する。
アシㇼパさんの罠により銃を失ったことで完全敗北を喫し、顎、腕を骨折。さらには低体温症の重症を負う。
前述の「序盤の雑魚」と言われているのがこの時のコマだが、杉元の銃からボルトを抜き取り発射不能にするという今までの相手とは一線を画す戦闘力に加え、腕を折られた上で杉元達の会話から相手を「不死身の杉元」だと気づき撤退を決めて尚顔色一つ変えず「片腕では文字通り手に余る」などと余裕を見せるなど、この時点で只者でない片鱗は見せていた。後々の杉元の暴れっぷりを考えると生き延びるだけでも大戦果

その後、第七師団に救出されるが、尾形が鶴見中尉に心服していないことは既に見抜かれており、半ば監視下に置かれる立場となる。鶴見にとって尾形は有能だが危険な駒であり、尾形もまた自分が利用されていることを理解していた。

この状況下で尾形の監視役を務めていたのが宇佐美上等兵だった。宇佐美は鶴見に異常なまでの忠誠を捧げ、大義や善悪を掲げなくとも残虐行為も辞さない「生まれながらの兵士」と称される人物である。

尾形はその盲目的な忠誠心を見抜いた上で、宇佐美を「一番安い駒」と嘲る。これは「最も簡単に切り捨てられる存在」という意味であり、鶴見への忠誠を誇りとしている宇佐美にとっては最大級の侮辱だった。実際、宇佐美は激昂し、その場で尾形を刺殺しかけるほど取り乱している。

自分は「駒」であることを自覚しながら、同じ駒を値踏みする男。
この時点で、尾形は既に第七師団という盤面をはるか外側から見ていた。

谷垣狩り

造反組が行方不明となったため行動を共にしていたスケベマタギ谷垣源次郎が造反に反発し殺害したと認識したため敵討ちと口封じの為、二階堂を連れアシㇼパさんのコタンを襲撃した。
しかし谷垣は元マタギ。雪上での足跡の消し方、風下を取る位置取り、獲物を追い込む地形選びなど、山中での立ち回りにおいて尾形は後手に回る。負傷が完治していない状態も影響し、主導権を握れないまま消耗戦へ持ち込まれる。
戦闘の最中、二階堂がヒグマに襲われる事態が発生。尾形は即座にヒグマを射撃し排除するが、その一瞬の隙を突かれ谷垣に胸を撃ち抜かれる。勃起!!
致命傷かと思われたが、胸ポケットに入れていた双眼鏡が弾丸を受け止め一命を取り留める。

その後も深追いはせず戦線を離脱。さらに、尾形の造反を察知していた鶴見中尉の追手が迫っていたこともあり、状況不利と判断して撤退する。

茨戸抗争

刺青人皮を確保しているヤクザの抗争に介入し土方歳三と敵対。
遠距離射撃をもって優位に立つも新選組仕込の土方の指揮により撤退する。
しかし、刺青人皮が隠されている番屋に放火するという方法で土方を出し抜きその刺青人皮を手土産に土方一派に加入する。

江渡貝君襲撃

夕張にて不思議な刺青の情報が有り調査中、鶴見中尉による剥製師江渡貝君の偽刺青人皮作りを察知しこれを防ぐために襲撃。
炭鉱のガス爆発もあり偽刺青人皮が流出してしまうが、土方歳三と杉元を引き合わせ協力関係を作り出すことに成功する。
その後偽刺青人皮の証拠の隠滅を目論む第七師団と交戦。
狙撃にて牽制し逃げ出す隙を作った。

白石救出

第七師団に捕まった白石を助けるために旭川の第七師団の基地へ訪れる。
作戦には失敗したものの尾形の狙撃の援護により飛行船を奪取し逃走に成功する。
この際、早口の鹿児島弁で自身を非難する鯉登少尉を煽り散らした。

のっぺらぼう争奪戦

アイヌを殺し金塊の隠し場所を刺青に残したのっぺらぼうがアシㇼパさんの父親という疑惑を確かめる為に杉元達と共に網走監獄を襲撃した。
杉元がのっぺらぼうを確保するもいつの間にか手を組んでいたキロランケの指示でのっぺらぼうを射殺。
のっぺらぼうと話していた杉元も金塊の情報を得たものとして射撃した。
その後キロランケに連れられアシㇼパさん白石と共に樺太へ渡った。

樺太逃走

鶴見中尉により指名手配中のキロランケ(ユルバルス)が向かうとの通報を受けたロシア軍国境警備隊と交戦、狙撃手のヴァシリとの読み合いに勝ち撃退する。
キロランケの提案した流氷に乗じ亜港監獄で集団脱獄させる案にも協力。その後ソフィアとアシㇼパのやり取りでアシㇼパが刺青人皮の暗号の解き方に気付いたことを察知し、アシㇼパと二人きりになったところで問い質す。
その間に杉元が追撃してきている事を目視で確認したためキロランケと組んでのっぺらぼうを射殺したこと、杉元が死んだという話をしてアシㇼパから情報を引き出そうとするが、「杉元が最後にあんこう鍋が食べたいと言った」と口にしたため失敗。
この殺伐とした争奪戦の中でアシㇼパが清いままでいるのはおかしいと自分を殺させようとするが、ついに杉元に追いつかれこれも失敗。
動揺したアシㇼパの毒矢で右目を射抜かれてしまうも杉元に毒を吸い出され、手術を施されたことにより九死に一生を得てしまう。
そして案の定治療を施してくれた医師を殺害し脱走した。

札幌連続殺人

隻眼となりながら土方一派に再度合流。
アシㇼパを狙うも何故か不穏な気配を感じて撃てず、また杉元一行と土方一派が同盟を組んだことから土方一派から離脱せざるを得なくなり、以降は単独で行動するようになる。
更に杉元一行の中にヴァシリがいることから尾形は簡単にアシㇼパを狙えなくなった。
移動していたところで死角にいた宇佐美と遭遇戦になり、接近戦となりながらも射撃し致命傷を負わせた後に、窓を二枚抜いての狙撃を披露して射殺した。
その際狙撃手の俺を完成させたと勝ち誇るが、つい右目の義眼が外れてしまい慌てて戻した。
最後に菊田とすれ違うも互いにそ知らぬふりをし、全てが終わった後は茨戸の土方よろしく民家を堂々と通り柵を通って逃げた。

最終決戦

杉元一行が五稜郭から脱出する際にヴァシリとの狙撃勝負を制し、鯉登の後ろにいた師団兵を射殺し馬を確保。
杉元や鶴見らが函館行きの列車に乗り込んだのを確認し、先頭に回り機関士を殺害する。

暴走列車地獄行きだぜ

そして客車の上で外の師団兵に指揮を執りつつアシㇼパの持つ土地の権利書*2を狙う鶴見中尉と対峙する。
第七師団は激闘の末壊滅状態、鶴見中尉は責任を取るしかない。
そして自分が戦争の最中に射殺した花沢勇作の代わりになって出世し師団長の地位を得て、表向き死亡したことになった鶴見を下に置き暗躍させる…そんな筋書きを語る。*3
だが鶴見中尉はわかっていた。第七師団長なんて肩書きは大したことがない、偽物ですらなれるそんな地位。尾形は母を捨てた男もその息子も欲しがっていたくだらないものだと嘲笑ってやりたかった。
歪んだコンプレックス…それだけが尾形百之助を突き動かす原動力だったことを。

それでも鶴見中尉と尾形はこの土壇場でお互いのために手を組み、鶴見中尉は権利書を手に入れて客車の中へ。
尾形は車両の上にいたところを何故か前方から登ってきたエゾヒグマに気を取られ、後ろから来た杉元の銃剣に刺される。

「元気そうで嬉しいぜ尾形 ぶっ殺してやる」「俺もだぜ杉元ッ」

だが二人の戦いにエゾヒグマが水を差す、前方にいるエゾヒグマが杉元を捕らえて離さない。しかし後方から更にアシㇼパも現れ、今度は迷わずに毒矢を放たれ脇腹を射られる。
すぐに杉元が持っていた土方の刀で鏃を取り出すも、毒が周り幻覚を見せられ錯乱する。

邪魔ばかりしやがってこの悪霊が…
悪霊なのかなぁ?アシㇼパに銃を向けるたび勇作が出て来て邪魔するのは何でだ?

毒だけではなかった。尾形の内心を明らかに「何か」が邪魔していた。その正体は何か?



罪悪感だ



自分の記憶が襲い来る、どんなに否定しても逃げられない。父が母を愛してくれているか確認するため母を殺した、勇作は自分のことを「兄さま」と呼び慕ってくれていたが殺した。後悔していない?
母と自分を差別していた花沢幸次郎は自刃したことになっている、そんな自分が第七師団長になる。自分で欠けた自分になるための道を進んでいた?
アシㇼパの姿が勇作と被る。これ以上考えるな、負ける、思考を止めろ。止めるにはどうすればいい?

これまで感情を抑え思考を重ねて撃ってきたはずの狙撃手は、溢れる感情の中にある「それ」を撃つ。
自分の持っている三八式歩兵銃で、尾形は自分の左目の中にいるはずの「それ」を狙う。引き金は土方の刀で押す。
300mどころか300mm以内だ、確実に相手の頭を撃ち抜ける。迷いはない。

兄さまは祝福されて生まれた子供です

狙撃手として完成したと豪語していた尾形は絶対に外すことなく、「それ」を完璧に撃ち抜いた。
そして尾形百之助の体は自らが生み出した花沢勇作の亡霊に抱かれるように、暴走する列車から投げ出され落ちて行った……


その後エゾヒグマはアシㇼパが退治し、杉元一行は先頭で待つ鶴見中尉の下へ向かう。
また一緒に投げ出された土方の刀は後で杉元が回収。線路脇に落ちた山猫の死体はあるロシア人によって絵画にされ、彼は死ぬまでその絵を手放すことがなかったという。


余談

作者によると母親からはあんこう鍋から苦手なシイタケを取り除いてもらうなど、愛されてはいた。
また宇佐美に騙されてウソの訓練場所にボーっと突っ立ったり飯盒に穴が空いてることに気付かずカチカチのご飯を炊いてしまったり、師団内では迂闊な面を見せたりしている。

英傑大戦のゴールデンカムイコラボでも第七師団側として後半で登場。
5/6とスペックは平凡だが特技に伏兵狙撃を持っており、また計略で長時間隠密状態になり射程距離も上がるとしっかり尾形らしい面が反映されている。
なお生没年不明となっているが、本編は1907年2月から始まっていて谷垣と関係を持ったインカラマッが出産しているため1908年没と思われる。
メタ的に言えばネタバレ防止なわけだが


追記・修正に向いてるやつってのは 臆病なまでに慎重なもんだ

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最終更新:2026年04月24日 21:23

*1 作者曰く「解放感からくるイメチェン」

*2 ガルトネル事件というプロイセンの貿易商であるガルトネルという商人が蝦夷共和国と土地の権利書を条件に交渉を成立させ、それが明治政府にまで引き継がれてしまいトラブルになったためこの権利書は生きている

*3 鶴見中尉は満州へ逃げる予定だったため上手く行っても尾形の理想は叶わなかったのだが、そんなことを尾形は知る由もない