平成ギャングエイジ

登録日:2024/09/08 Sun 13:10:50
更新日:2025/04/20 Sun 09:34:54
所要時間:約 3 分で読めます






平成の世を駆け抜けた青春譚!!




『平成ギャングエイジ』とは、2024年2月15日から2025年2月15日まで『コロコロコミック』の兄弟web誌の『週刊コロコロコミック』にて連載していた漫画。作者は、せがわひろわき。
週刊を掲げたweb誌での連載作品だが、毎月1日と15日の月2回更新の隔週ペースでの連載となっている。

●目次

概要

コロコロコミックが企画した「全日本コロコロまんが家スカウトプロジェクト」の「曽山一寿賞」において『下校オニ』で大賞を受賞したせがわひろわきのデビュー作。

平成時代に少年時代を送った青年の過去と現代が交差する物語で、2000年代を題材にしたノスタルジー漫画的な作品だが、ミステリー要素も見られる。
月刊本誌よりも対象年齢が上の週刊コロコロでの連載と言うこともあってか、せがわ曰く「昔コロコロを読んでいた読者」を対象にした作品と解説しているが、公式では「子供も大人も楽しめる味わいの新感覚」とのこと。
2000年代当時のコロコロコミックで連載された漫画やタイアップしたホビーに関する小ネタが多く描写されており、場合によってはコロコロ以外の2000年代に流行った作品に関するネタも出てくる。

作中の回想における時系列はバラバラになっているため、例えば中学生時代の回想から小学生時代の回想に戻ったりする。
ただし、登場人物の言動などから時系列の正確な順番自体は分かるようになっている。

あらすじ

あくびをしているだけで給与が貰えるほど暇な田舎町において、自堕落な警察官として日々を過ごしていた男性の花田エイジ。
そんな彼だが、不発弾が埋まっていたという通報を聞いて現場に駆け付けたところ、その現場での光景を見て過去のことを思い出す。
それは世の中が平成の最中だった小学生の時、親友の雪村翔一や月島タクミと共に「ギャング」を名乗るトリオとして楽しい日々を過ごしていた輝かしい時代のこと。

不発弾と疑われている物体は、少年時代にタクミの転校を聞いて再会を誓った時に埋めた奇妙な形のタイムカプセルだった。
すっかりその出来事を忘れ去っていたエイジだが、かつての友人との約束のために警察で中身を調べられる訳にもいかないと考えた末に無断でタイムカプセルを持ち去る。
タイムカプセルを手に入れるも「もっとすげー大事なことを忘れている気がする」と違和感を感じるエイジは、少年時代を振り返る中で疎遠になってしまっていた翔一と接触することを決めるが…。

主な登場人物

  • 花田エイジ
本作の主人公の青年。田舎町で交番勤務の巡査としてやる気のない日々を過ごしていたが、少年時代に埋めたタイムカプセルを見つけたことで昔の友人達との再会を果たすために行動を開始する。
少年時代は「大人が支配する退屈な学校を裏から変える」ことを目的としたトリオ「ギャング」のリーダーを担当する図工の得意な悪ガキとして有名だったが、その一方で友情に熱い性格で怪談が苦手という一面も見せる。
中学生になると部活や勉強でも挫折を味わって上級生からイジメの標的にされたことで自分を卑下するようになり、自身の友情から暴走を始めた翔一の身を案じて友人としての縁を切った。
翔一と訣別してからは上級生に立ち向かうために剣道を利用したチャンバラの腕を鍛え、大人になった現代においてタイムカプセルをキッカケにした再会で翔一に抱いていた複雑な感情のわだかまりも解消されるのだが…。

  • 雪村翔一
エイジの小学生時代の友人で幼馴染だった少年。明るい性格で身長の低さに反して運動神経が非常に優れており、オリンピック選手になることを夢見ている。
ギャングの一員なのでウソ泣きをするなどずる賢い一面があるが、女性の権限が絶対的な母方の実家では女性達に着せ替え人形のように扱われていることやエイジを危険視している姉の言動に苦悩している一面も。
喧嘩も年上に圧勝できるなど非常に強く、中学生時代でも上級生複数人を一瞬で撃退しているほど。
中学生になってからは陸上部で大型新入生として頭角を現して学校のヒーローとして周囲に扱われるが、上級生にエイジへのイジメに対する報復の暴行をして問題になったことが原因でエイジとの友人関係が終わりを告げる。

エイジとの縁が切れてからは陸上で実績を残していった末にオリンピック選手の夢を叶えてメダルを獲得することに成功し、少年時代から一転して体格が立派な青年へと成長。
かつて訣別したエイジとの再会を少年時代と変わらない人懐っこい明るさと危険なバカさで喜ぶが、何故かタクミの存在自体を完全に知らないような様子を見せる。

  • 月島タクミ
エイジの小学生時代の友人の一人。小学生とは思えないほど優れた学力を持つことから「ギャング」の作戦参謀とされているが、異性は苦手。
父子家庭で父親の仕事の影響で転校を繰り返しており、小学6年生への進学を機に海外への転校が決まっていたことをエイジ達に話したことがタイムカプセルを埋めるキッカケとなった。
そのためか、他のギャングのメンバーと違って「大人になっても今のままでいたい」という妙に大人びた夢を抱いており、大人になって友人に忘れ去られることを恐れるような言動を見せていた。
ある時に出会った謎の男から突如として渡された実銃をどうすればいいのか分からぬまま密かに所持を続けてしまっており、海外に行くまでその存在を隠し通そうとしているが…。

  • 杉山真理
エイジ達の小学生時代のクラス担任の女性。エイジの小学生時代は初担任だったが、現代ではベテラン教師となっていて結婚の予定がある。
教師という仕事に充実感を抱いて教え子達とも互いに強い絆で結ばれているが、不発弾騒動をきっかけに思い出したギャングの面子は例外的に頭の痛い過去と教え子と認識している。
初担任の当時はゆとり世代の時期であり、そのゆとり教育に反感を抱く「夕日に向かって走るタイプ」の教師だったが、エイジの策略によって自身のルールや理想を押し付けていたことを反省して態度を改めた。
以後もエイジ達の行動に頭を悩ませる一方、教師としてしっかりと説教することもある。また、エイジにタイムカプセル用の容器を渡した張本人でもある。

  • 錫木夏美
エイジ達のクラスメイトの女子。エイジの回想からエイジや翔一とは小学校入学以前からの付き合いらしい。
ギャングを「3バカ」と呼んでいて(ただし、タクミは頭が良いと認識している)エイジと小競り合いをする関係だが、何だかんだで仲は良い。
エイジ達に呆れるような言動をする一方で本質的には活発的で似た者同士な性質があり、金への執着心が強いような様子も見せている。
中学生になるとすぐに上級生の彼氏を作っていたことはエイジと翔一に衝撃を与えている。

  • 塩谷啓太郎
エイジ達のクラスメイトの男子。真面目な少年だが、家が貧乏なので流行り物などは持っていない。
貧乏を理由に宿泊研修に行けないところをエイジや真理が救おうとした行為に感激し、いつか恩返しをすることを決めていた。
大人になってからは巡査長としてエイジの同僚になっていて真面目な性格のままだが、少年時代の出来事が理由なのかエイジのことを警官として過大評価している節がある。
同じ中学校に進学しており、大人になってからも翔一と友人関係を続けていた一方でギャングの関係が無くなっていたことは知らなかったらしく、翔一の連絡先をエイジに教えた。
結果としてエイジとはギャングのメンバーよりも仲間としての関係が少年時代から続いている人物であり*1、塩屋が連絡先を教えたことが青年時代のエイジと翔一を再度繋げることに貢献した。

  • ゴミ置き場の管理人
エイジ達が上級生のグループ「ハジケンジャー」と共に作った秘密基地の場所の土地の管理人とされる強面の雰囲気の男性。顔がどことなくタクミに似ている。
エイジと翔一が不在の際に基地を訪ねたタクミ達にその解体を命じるが、唐突にタクミに忘れ物として実弾が入った拳銃を与えて「今後同じ銃を持った人物が現れた際には迷わず撃て」という謎の指示を出す。

  • 教頭
エイジの通っていた小学校の教頭の高齢男性。本名は不明。
ギャングがかつて空き教室にカジノコミュニティを作ってPTAを巻き込む騒ぎになった過去からメンバーの3人を酷く恐れており、彼らの存在を考えるだけで胃の不調を覚える始末となっている。
教師としてはしっかりとした人物で「生徒が求めるのは管理されることではなく理解されること」という考えを真理に説いたこともある。

余談

  • 作者のせがわのX(Twitter)では定期的に描き下ろした漫画が掲載されているが、何作かは本作の主人公であるエイジの姿をした男性の物語となっており、外伝エピソードとも解釈できる。
    「小学校の机が変だった話」では、ラストの主人公が警察官であることや「エイジ」と呼ばれていることから、明確な同一の世界観の話だと思われる。




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最終更新:2025年04月20日 09:34

*1 ギャングとしての友情を誓い合ったはずのエイジと翔一が疎遠になってしまい、皮肉にもギャングではない小学生時代のクラスメイトだった塩谷が両者と仲間としての関係を持ち続けたという意味では、ある意味複雑な人間関係を象徴する人物とも言えるのかもしれない