ビッグマックポリス

登録日:2024/09/15 Sun 10:22:00
更新日:2025/03/30 Sun 01:00:17
所要時間:約 8 分で読めます





ハッハッハ~、ビッグマック~!


ビッグマックポリス(Officer Big Macとは、ファーストフードチェーン・マクドナルドのマスコットキャラクターである。


目次


【概要】

マクドナルドの代表的なマスコットといえばご存じドナルド・マクドナルド
ではその仲間たちについてはどれぐらい知っているだろうか?

ハンバーグラーグリマスバーディフライキッズ……
1990年代以前の世代から多く挙がるのはおおよそこの辺りだろう。名前まではわからなくともビジュアルなら記憶に残っている人も少なくないはず。
また、これらのキャラが表立って使用されなくなった2000年代半ば以降に生まれた世代とは、マックのマスコットに対する認知度において著しい差が生まれる傾向にある。

しかし、この男を知っているか否かが、さらに多大なるジェネレーションギャップをもたらすと言っても過言ではない。
今でこそ存在を忘れ去られているものの、マクドナルド史を語る上で欠かせないキャラクターなのである。


【特徴】

その名の通り、顔がビッグマックになっている警察官のキャラ。
某パンヒーローアニメに出て来ても違和感がないデザインだが、顔の一部を食べさせたりはしない。

ビッグサイズが売りのビッグマックがモチーフらしく、首から下がそのまんま人間の体型であるのとは対照的に、頭が異常にデカい。
時期によっては頭のサイズを調整し胴体との比率を縮めているCMもある。

ドナルドや仲間たちが住む「マクドナルドランド」の平和を守るおまわりさん。日本で放送されたCMでは「正義の味方」と歌われていた。
階級は不明で、この世界に他の同業者がいるのか、そもそも組織としての警察があるのかも定かではない。

獅子鼻で眉はグリマスのように垂れ下がっており穏やかな印象を与える。
デザインの関係上「口」は描かれていないものの、ビッグマックを共食い食べるCMでは、下半分(チーズが挟まっている方)がパカッと開いているため、ここに口があるようだ。

常に制服姿だがその割には警察らしい活動をする場面は少なく、ドナルドらとマックへ行ったり遊んだりしている光景の方が圧倒的に多く見られる。

だが、他人のハンバーガーを盗む悪者・ハンバーグラーが悪さをすればたちまち活躍。
CMでの基本的な流れは……
  1. ハンバーグラーが悪事を働く
  2. ドナルドが「ドナルド・マジック」などを駆使してお仕置き
  3. 退治されたハンバーグラーをビッグマックポリスが連行
という感じ。一番おいしいところをドナルドに取られてる気がしないでもないが、脇役なので致し方なし。

しかし、ハンバーグラーが悪役であってもドナルドの「仲間」である点が次第に強調され、「皆仲良くハンバーガーを食べる」という和解オチが定着してからはこうした役回りすら奪い去られるという憂き目に遭うように。
やる事と言えば、ハンバーグラーの悪事を見つけるやいなや慌てた様子で警笛を鳴らすぐらい。ドナルドが悪事を食い止める展開は大体同じ。より一層ドナルドのかませに…

事実、ドナルドランドの治安維持を託された警官という責任重大な立場の割にはイマイチ頼りない印象が強く、ドナルドのように魔法や超能力などの特技を持っているのかと言えばそうでもない。
拳銃・警棒などは携帯していないようだが、警笛だけは肌身離さず持ち歩いている。

つくづく不憫なおまわりさんだが、彼の能力を考慮するとドナルドの力なくしてハンバーグラーを捕まえられるかについては半信半疑であると考えられる。
されど力不足でも懸命にハンバーグラーを追いかける健気な姿には敬意を払いたい。


【突然の消失】

1970年代後半のデビューから数年はドナルド・ハンバーグラーとトリオでの出番が多かったのだが、1980年代後半より新キャラクター・バーディが登場してからは、徐々にその不動と思われていたポジションも隅へ追いやられるように。


そんな哀愁漂う半生を辿ってきたビッグマックポリスに無情にも追い討ちをかける事態が。

1988年頃、マクドナルドが全世界の法人・店舗にてビッグマックポリスの使用を中止したのである。
以降はドナルド・ハンバーグラー・グリマス・バーディの4人がメインで、フライキッズなどがサブという顔ぶれで固定されるようになった。

突然の殉職、もとい解雇―――こうしてビッグマックポリスは子供たちの前から姿を消した。


◆消えた理由?


では何故、ビッグマックポリスは消えたのか?

これについて公式からの正式な回答はなく、今日までに様々な憶測が飛び交っている。
あくまで第三者による仮説だが、ここでその一部を取り上げてみよう。

  • 世界観との不整合説
ドナルドたちが暮らすマクドナルドランドはいわば夢の国のような存在。争いのない平和豊かな世界観を形成している。
そんなドナルドランドに極めて現実的かつ威圧感のある職業である警察は相応しくないだろう……という意見からリストラに至ったとする説である。
彼の存在が、ドナルドたちを監視しているかのような冷たい印象を与えてしまうのだという。

  • 皮膚病患者への配慮説
ビッグマックポリスの顔の上半分には実物と同様にゴマが散りばめられている。
これが見ようによっては「あばた顔」に見えることから「皮膚病患者を連想させ差別を助長する」という理由でリストラされたとする説。

  • 警察官の不人気説
本場アメリカでは相次ぐ警察官の不祥事により、子供たちにとっても憧れではなくなりつつある状況を鑑みての降板説。
また、アメリカでは制服姿のままハンバーガーを食べていたり、過食が原因でメタボになったりした警察官も少なくない。
子供の憧れであるべきマスコットの印象が悪くなろうものなら、消されるのも納得せざるを得ないと言えよう。

  • 人気になり過ぎた説
主役であるドナルドよりもビッグマックポリスの方が人気になってしまい、やむを得ず干されたとする説。
劇中での扱いこそあまり良くなかった一方、利用客からの人気は決してドナルドに引けを取らなかった模様。
見るからにピエロ恐怖症からの支持が得られにくいドナルド*1
初期は痩せこけた老人の顔で、様相も不気味だったハンバーグラー
同じく初期は腕が4本あり、外見が岩の怪物そのものだったグリマス*2
良くも悪くもアメリカンセンスが凝縮されたこれら錚々たる初期メンバーと比較しても、バーガー頭の彼こそ最もハンバーガー屋のマスコットらしく親しみやすいデザインとして受け止められていたことも、こうした人気に一役買っていたといえる。
とはいえ、その人気が実際にドナルドを食う勢いまでだったかは不確かではある。
ぶっちゃけ好みが分かれやすいピエロより、ハンバーガーの擬人化の方がクセがない分幅広く受けやすいと思われても無理はない。


繰り返すが、これらはあくまで第三者が唱えた仮説に過ぎず、公式からも正式な回答が出ていない以上、真相は謎に包まれたままとなっている。

日本語版Wikipediaにおける彼の記事では、上記の一部説が記述されていた*3が現在は削除されている。


【現在の扱い】

理由は何であれ、ドナルドらと共にマスコットとして尽力してきたビッグマックポリスは、昭和晩期に突如消息を絶った。
公式的に彼の姿を拝める方法といえば、昭和後期までに開店かつ未改装の老舗店の壁面に残されたままの、彼が描かれた絵を探す*4か、ファミリーコンピュータのゲームソフト『ドナルドランド』*5を遊ぶくらいしかない。

しかし、実はリストラから30年以上が経過した現在でも、幾度に渡り限定的な復活の機会が与えられている事実を見過ごしてはならない。

  • 2010年、香港のマクドナルドでビッグマックセットのおまけで付いてくる人形の一種類としてビッグマックポリスが登場した。
あくまで海外においての復活だが、少なくともビッグマックポリスが公式で永久に封印されたキャラクターではなかった事実に大きな確信を得られる朗報には間違いないだろう。

  • そして2014年、日本マクドナルドが展開した「アメリカンヴィンテージ」キャンペーンの一環として、ビッグマックポリスを含むキャラクターのLINEスタンプを配布。
期間限定とはいえ、日本では約25年ぶりに懐かしのビッグマックポリスに出会える機会として話題となった。

  • さらに2022年・2023年に実施されたマクドナルドとアパレルブランド・グラニフとのコラボとして、ビッグマックポリスとハンバーグラーがプリントされたパーカーやトートバッグ等が発売された。

このように、ビッグマックポリスは様々な形で復活を遂げていることがわかるだろう。
一度は葬り去られたと思しき彼は、再び生きてマクドナルドランドの土を踏める可能性が潰えたわけではないのである。


【ビッグマックポリス以外に「消えた」キャラクター】

老舗店舗を中心に用意されているキッズチェアーには、背もたれと備え付けのテーブル部分にドナルドらの絵が描かれている*6
この中にビッグマックポリスは登場しないが、同時期に出番が激減した「メイヤーチーズマック」や「キャプテンクロック」などの古参キャラが顔を出している。
これらも現在では見かけることのなくなったマスコットキャラクターだ。

ちなみに、この2人および彼らと同じく古参だった「プロフェッサー」は国外のCMには頻繁に登場していたが日本国内ではほとんど登場していなかったため、知名度についてはビッグマックポリスと雲泥の差があった。
すなわち世界的には「ポリス、メイヤー、キャプテン、プロフェッサー」の計4キャラクターが80年代のうちにリストラされたことになるが、日本では「ドナルド、ハンバーグラー、グリマス、ポリス、フライキッズ」のうちバーディと入れ替わるようにポリスがクビになってしまったように見えるのである。

このチェアーは現在でも少し古い店舗を訪れるとその存在を確認できることがあるため、今は亡きドナルドランドの古株たちの在りし日の姿を窺い知れる資料としてはかなり貴重なものだろう。

もしもこのチェアーに彼の姿もあれば、ビッグマックポリスにあまり馴染みのない平成生まれの世代からの知名度にも少なからず変化があったのかもしれない。



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最終更新:2025年03月30日 01:00

*1 特に初期のメイクは現在と比べてかなり怖いとの声が多い。

*2 初登場時は『Evil Grimace(邪悪なグリマス)』という名前でハンバーグラーと同じく悪役だった。

*3 当初は出典なしだったが、後に「探偵ファイル」による調査結果のページがソースとして追記された。なお探偵ファイルはこのうち「世界観との不整合説」と「皮膚病患者への配慮説」の真偽について、いずれも正式に否定した上で「マクドナルドに資料が残っておらずマクドナルドランドにも帰還していないとされている」との調査結果を掲載している。しかし、これが公式の回答であるかは不明。

*4 ただし現在のところ目撃情報は皆無に等しい。

*5 彼だけでなく同時期に出番が激減した「メイヤー・チーズマック」や「キャプテン・クロック」などの古参キャラも登場する。

*6 新しいデザインのチェアーには背もたれに実写のドナルド、テーブルにフードバディーズ(ハンバーガー、Sサイズポテト、ジュース容器などに顔が付いたキャラクターの総称)のぬいぐるみがプリントされている。